ねぎの栄養と効果効能・調理法・保存法
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ねぎの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、ねぎに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
ねぎとは
ねぎは、旧分類ではユリ科ユリ属に分類されていましたが、現在はヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属に分類される葉菜類の一種です。含む栄養素から、青ねぎ(葉ねぎ)は緑黄色野菜にも分類されます。
英語では、白ねぎ(長ねぎ)を「leek」と呼び、青ねぎや万能ねぎを「green onion」「scallion」など地域によって異なる呼び方をします。
中国西部またはシベリアが原産地とされており、日本へは朝鮮半島から8世紀頃に渡ってきたとされています。「日本書紀」や「万葉集」に登場し、平安時代には食用として多く栽培されていました。
昔から風邪のひき始めには、焼いたねぎをガーゼなどでくるんで首に巻くと良いと言われています。これは、ねぎの葉に含まれる揮発性の成分「硫化アリル(アリシン)」に殺菌効果と鎮静効果があるためです。
ねぎは通年を通して店頭に並ぶ野菜ですが、もっとも甘く美味しくなる旬は晩秋から春先にかけてです。国内では千葉県、埼玉県、茨城県で多く生産されています。
ねぎの品種・種類
ねぎは、大きく分けて「白ねぎ(長ねぎ)」と「青ねぎ(葉ねぎ)」の2種類に分類されます。
白ねぎ
白ねぎ(長ねぎ)は、東日本で一般的に出回っているねぎで、根深ねぎとも呼びます。太くて白い部分が多く、加熱するとやらかく甘みが出ます。葉の部分は、肉を煮込む際のくさみ消しとしても利用されます。
下仁田ねぎ
下仁田ねぎは、群馬県下仁田町の特産ねぎです。白い部分の直径が約5cmと太く、丈が短いのが特徴。肉質がやわらかく、加熱すると甘みが出てきます。旬は11月〜1月頃。
深谷ねぎ
深谷ねぎは、埼玉県深谷市を中心に作られている品種です。明治時代から栽培されており、白くてやわらかく、糖度が高いのが特徴。
青ねぎ
青ねぎ(葉ねぎ)は、主に西日本で栽培されているねぎです。
細長くて葉の部分が多いのが特徴。炒めものや麺類、お好み焼きなどさまざまな料理に使うことができます。また、青ねぎを若採りしたものを、小ねぎと呼びます。
九条ねぎ
九条ねぎは、京都府特産のねぎで、伝統的な京野菜を認定した「ブランド京野菜」のひとつでもあります。
ぬめりが多く、甘みとやわらかさが強いのが特徴です。食感が良いため、和え物や薬味、鍋物に適しています。
万能ねぎ
万能ねぎは、九条ねぎを若採りした小ねぎの一種です。小口に切って薬味にするほか、大ぶりに切ってチヂミの具にしたりナムルにしたり、と主役として使うこともできます。
万能ねぎは福岡県で栽培されているブランドねぎで、同じように青ねぎを若採りした小ねぎが、全国でブランド化されています。
その他
白ねぎ・青ねぎに含まれないねぎも多くあります。
浅葱(あさつき)
浅葱は、見た目が青ねぎやわけぎと似ていますが、青ねぎとは別の種類です。別名「糸ねぎ」とも呼ばれています。やや辛味があるのが特徴です。
わけぎ
わけぎは、ねぎと玉ねぎの仲間であるエシャロットを交雑してできた品種です。葉の先まで柔らかく、薬味や炒めものに使われます。
リーキ
リーキは、別名「ポロねぎ」と呼ばれる西洋品種です。
ずんぐりと太く、白ねぎのように白い部分を食べます。加熱すると甘みが出てきて、グラタンや煮込み、オーブン料理などに用いられます。
ねぎに含まれる成分・栄養素
ねぎ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載のある食品の中から、長ねぎ・青ねぎ・万能ねぎ・ポロねぎの成分表を並記しています。
ねぎは、白ねぎと青ねぎで含まれている栄養が若干異なります。
白ねぎ、青ねぎのどちらも主にビタミンC、β-カロテン、カルシウムは含まれていますが、いずれも青ねぎが白ねぎを大きく上回っています。
一方で、ねぎ特有の香り成分「硫化アリル(アリシン)」は、白ねぎの方が多く含まれています。
食品名 | 単位 | 白ねぎ 生 | 白ねぎ ゆで | 白ねぎ 油いため | 青ねぎ 生 | 青ねぎ 油いため | 万能ねぎ 生 | 西洋ねぎ(ポロねぎ) 生 | 西洋ねぎ(ポロねぎ)ゆで |
廃 棄 率 | % | 40 | 0 | 0 | 7 | 0 | 10 | 35 | 0 |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 34 | 28 | 78 | 30 | 81 | 27 | 29 | 28 |
エネルギー(kJ) | kJ/100 g | 143 | 118 | 328 | 126 | 339 | 113 | 121 | 117 |
水 分 | g/100 g | 89.6 | 91.4 | 83.9 | 90.5 | 83.9 | 91.3 | 90.8 | 91.3 |
たんぱく質 | g/100 g | 1.4 | 1.3 | 1.6 | 1.9 | 2.1 | 2 | 1.6 | 1.3 |
アミノ酸組成によるたんぱく質 | g/100 g | 0.9 | -0.8 | -1.1 | 1.3 | -1.5 | -1.4 | -1.2 | -1 |
脂 質 | g/100 g | 0.1 | 0.1 | 4.4 | 0.3 | 5.2 | 0.3 | 0.1 | 0.1 |
トリアシルグリセロール当量 | g/100 g | Tr | (Tr) | -4.1 | 0.1 | -4.9 | -0.1 | -0.1 | -0.1 |
飽和脂肪酸 | g/100 g | 0.02 | -0.01 | -0.32 | 0.03 | -0.38 | -0.04 | -0.01 | -0.01 |
一価不飽和脂肪酸 | g/100 g | Tr | (Tr) | -2.48 | 0.01 | -2.95 | -0.01 | (Tr) | (Tr) |
多価不飽和脂肪酸 | g/100 g | 0.02 | -0.01 | -1.1 | 0.07 | -1.37 | -0.08 | -0.06 | -0.06 |
コレステロール | mg/100 g | 2 | - | - | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
炭水化物 | g/100 g | 8.3 | 6.8 | 9.5 | 6.5 | 7.9 | 5.4 | 6.9 | 6.8 |
利用可能炭水化物(単糖当量) | g/100 g | 3.6 | -3 | -4.1 | 0 | 0 | - | -2.5 | -2.5 |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.3 | 1 | 0.9 | 0.3 | 1.7 | 0.2 | 0.4 | 0.7 |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 2.2 | 1.5 | 1.7 | 2.9 | 2.1 | 2.3 | 2.1 | 1.9 |
食物繊維総量 | g/100 g | 2.5 | 2.5 | 2.7 | 3.2 | 3.9 | 2.5 | 2.5 | 2.6 |
灰 分 | g/100 g | 0.5 | 0.4 | 0.5 | 0.7 | 0.9 | 0.9 | 0.6 | 0.5 |
ナトリウム | mg/100 g | Tr | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | 2 | 2 |
カリウム | mg/100 g | 200 | 150 | 220 | 260 | 310 | 320 | 230 | 180 |
カルシウム | mg/100 g | 36 | 28 | 35 | 80 | 95 | 100 | 31 | 26 |
マグネシウム | mg/100 g | 13 | 10 | 14 | 19 | 22 | 17 | 11 | 9 |
リン | mg/100 g | 27 | 22 | 28 | 40 | 49 | 36 | 27 | 26 |
鉄 | mg/100 g | 0.3 | 0.3 | 0.3 | 1 | 1.2 | 1 | 0.7 | 0.6 |
亜鉛 | mg/100 g | 0.3 | 0.3 | 0.3 | 0.3 | 0.4 | 0.3 | 0.3 | 0.3 |
銅 | mg/100 g | 0.04 | 0.05 | 0.06 | 0.05 | 0.06 | 0.03 | 0.03 | 0.04 |
マンガン | mg/100 g | 0.12 | 0.09 | 0.11 | 0.18 | 0.21 | 0.18 | 0.25 | 0.2 |
ヨウ素 | µg/100 g | 0 | - | - | 1 | - | - | - | - |
セレン | µg/100 g | Tr | - | - | 1 | - | - | - | - |
クロム | µg/100 g | 0 | - | - | 2 | - | - | - | - |
モリブデン | µg/100 g | 2 | - | - | 1 | - | - | - | - |
レチノール | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-カロテン | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | Tr | Tr | 0 | 0 | 0 |
β-カロテン | µg/100 g | 82 | 69 | 72 | 1500 | 1800 | 2200 | 45 | 37 |
β-クリプトキサンチン | µg/100 g | 1 | Tr | 1 | 17 | 20 | 13 | 0 | 0 |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 83 | 69 | 73 | 1500 | 1800 | 2200 | 45 | 37 |
レチノール活性当量 | µg/100 g | 7 | 6 | 6 | 120 | 150 | 190 | 4 | 3 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-トコフェロール | mg/100 g | 0.2 | 0.1 | 0.9 | 0.9 | 2.1 | 1.3 | 0.3 | 0.3 |
β-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | Tr | Tr | 0 | 0 | 0 | 0 |
γ-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 1.4 | 0 | 1.6 | 0 | 0.1 | 0.1 |
δ-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | Tr | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
ビタミンK | µg/100 g | 8 | 8 | 8 | 110 | 150 | 120 | 9 | 8 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.05 | 0.04 | 0.06 | 0.06 | 0.07 | 0.08 | 0.06 | 0.05 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.04 | 0.03 | 0.05 | 0.11 | 0.12 | 0.14 | 0.08 | 0.07 |
ナイアシン | mg/100 g | 0.4 | 0.3 | 0.4 | 0.5 | 0.5 | 0.6 | 0.4 | 0.3 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.12 | 0.09 | 0.14 | 0.13 | 0.16 | 0.13 | 0.24 | 0.2 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 72 | 53 | 72 | 100 | 120 | 120 | 76 | 68 |
パントテン酸 | mg/100 g | 0.17 | 0.17 | 0.17 | 0.23 | 0.29 | 0.2 | 0.17 | 0.14 |
ビオチン | µg/100 g | 1 | - | - | 1.7 | - | - | - | - |
ビタミンC | mg/100 g | 14 | 10 | 15 | 32 | 43 | 44 | 11 | 9 |
食塩相当量 | g/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
アルコール | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
硝酸イオン | g/100 g | Tr | Tr | Tr | 0.1 | 0.1 | 0.1 | Tr | Tr |
テオブロミン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
カフェイン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
タンニン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
ポリフェノール | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
酢酸 | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
調理油 | g/100 g | - | - | 4.3 | - | 4.9 | - | - | - |
有機酸 | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
重量変化率 | % | - | 100 | 94 | - | 84 | - | - | 98 |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
ねぎの効果・効能
ねぎに含まれる効果・効能・働きについて解説します。
ビタミンC:シミの生成を抑制・免疫力の向上など
ビタミンCには、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑制する働きがあります。また、抗酸化作用を持っているため、活性酸素の発生を防いで細胞を若々しく保ち、老化を遅らせるアンチエイジング効果が期待できます。
美容面の効果に加え、白血球の働きを強化することで免疫力を高める、鉄分の吸収を助けるといった健康面の効果もあります。
β-カロテン:目や皮膚の健康を保つ・動脈硬化やがんの予防
ねぎに含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAとして働くビタミンA前駆体の一種です。
ビタミンAには、視機能を改善する、目や皮膚の粘膜を健康に保つ、免疫機能の制御、といった効果があります。
また、ビタミンCと同様に抗酸化作用があり、活性酸素を除去することで老化の促進、動脈硬化、がんなどの予防に役立ちます。
カルシウム:骨や歯を丈夫にする・精神を安定させるなど
カルシウムには、骨や歯を形成して丈夫にする、皮膚や粘膜を強くする、血液や体液を一定の状態に保つ、といった効果があります。
そのほかにも、別名抗ストレスホルモンとも呼ばれる、副腎皮質ホルモンの分泌を調節することで、精神を安定させるといった働きも期待できます。
硫化アリル:新陳代謝の促進・疲労回復など
ねぎ特有の香り成分「硫化アリル(アリシン)」は、血行をよくして新陳代謝を促します。体温が上がることで、発汗・利尿作用が活発になります。
また、アリシンは体内で、滋養強壮や疲労回復に効果があるビタミンB1の吸収を促進する働きがあります。
ねぎの調理方法
ねぎの栄養素を損なわない洗い方や調理方法を解説します。
ねぎのおすすめ調理方法
ねぎに含まれるβ-カロテンは、青い部分に含まれています。β-カロテンは脂溶性の成分なので、炒め物など、油を使って調理すると効率良く吸収することができます。
またねぎの香り成分である硫化アリルは、空気に触れることでアリシンという成分を作り出します。
そのため、みじん切りや千切りなど、細かく刻んで切り口を多くすることで、空気に触れる部分が増えアリシンも多くなります。
ねぎを調理する際の注意点
硫化アリル(アリシン)は、水に長時間さらすと成分が流れ出てしまいます。
また、水溶性のビタミンCやカリウムも水に溶け出してしまうので、ねぎは最小限の時間でさっと洗うようにしましょう。
ねぎの保存方法
ねぎはそのままの状態で冷蔵保存すると水分が蒸発して乾燥し、風味を損なってしまいます。以下では、ねぎの風味や栄養素を損なわない保存方法を解説します。
冷蔵保存
ねぎを冷蔵保存する場合は、まず根の部分を薄く切り落とし、全体を3等分にします。
水をたっぷりと含ませたキッチンペーパーで白い部分の下半分(根に近い方)を包み、水を軽く含ませたキッチンペーパーで上半分を包みます。
緑の部分も同様にキッチンペーパーで包みます。そして、緑の部分と白い部分を分けて保存袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で長細い容器などに立てて保存します。
冷蔵保存での保存期間は約2週間です。
冷凍保存
冷凍保存する場合も、まず根元を切り落として3等分にします。
乾いたキッチンペーパーで水気を拭き取ってラップに包み、冷凍用保存袋に入れます。空気を抜いてから袋の口を閉じ、冷凍庫に入れます。
冷凍保存で約1ヶ月保存することができます。