とうもろこしの栄養と効果効能・調理法・保存法
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とうもろこしの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、とうもろこしに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
とうもろこしとは
とうもろこし(corn)は、イネ科トウモロコシ属の野菜です。実がぎっしりと詰まっていることから、「財宝」「豊富」という花言葉がつけられています。
原産地については諸説ありますが、メキシコやグアテマラなどの中南米が有力です。探検家クリストファー・コロンブスが15世紀にアメリカ大陸からスペインに持ち帰ったことで、世界に広まりました。
日本に入ってきたのは明治時代初期で、それ以降本格的に栽培されるようになります。
とうもろこしの旬は6〜9月頃の夏の時期。全体の約3割は北海道で栽培されており、次いで千葉県、茨城県と続きます。
とうもろこしの品種・種類
とうもろこしには、一般的に食用とされる「スイートコーン種」、ポップコーンになる「ポップコーン種」、トルティーヤなどに用いられる「フリントコーン」などがあります。
スイートコーン種(甘味種)
一般的に食用として用いられ、「とうもろこし」と呼ばれるのは「スイートコーン種」を指します。
スイートコーン種はさらに、「ゴールデンコーン」「シルバーコーン」「バイカラーコーン」の3種に分けられます。
ゴールデンコーン
ゴールデンコーンは、すべての粒が濃い黄色の品種です。「黄粒種」とも呼ばれています。
皮が薄くて甘みが強い「ゴールドラッシュ」や、新鮮なものなら生でも食べられる「味来(みらい)」などがあります。
シルバーコーン
シルバーコーンは「白粒種」とも呼ばれる品種。粒が白っぽく、小粒でつやがあり、サラダに向いているとうもろこしです。
真っ白な見た目の「ピュアホワイト」や、穂先まで実入りの良い「雪の妖精」が有名です。
バイカラーコーン
3対1の割合で黄色と白色の粒があらわれるため、「バイカラー(2色)コーン」と呼ばれています。
強い甘みが特徴で、現在国内で主流のとうもろこしになっています。
ポップコーン種
ポップコーン種は名前の通りポップコーン用の品種で、「爆裂種」とも呼ばれます。
かたい皮が特徴で、熱を加えると粒が膨れてはじけ、ポップコーンになります。
フリントコーン種
フリントコーン種は、硬粒種とも呼ばれる品種です。
トルティーヤなどに加工して食べられるほか、家畜の肥料などに利用されます。
とうもろこしに含まれる成分・栄養素
とうもろこし100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
食品名 | 単位 | とうもろこし 玄穀 黄色種 | とうもろこし 玄穀 白色種 | とうもろこし コーンミール 黄色種 | とうもろこし コーンミール 白色種 | とうもろこし コーングリッツ 黄色種 | とうもろこし コーングリッツ 白色種 | とうもろこし コーンフラワー 黄色種 | とうもろこし コーンフラワー 白色種 |
廃 棄 率 | % | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 350 | 350 | 363 | 363 | 355 | 355 | 363 | 363 |
エネルギー(kJ) | kJ/100 g | 1464 | 1464 | 1519 | 1519 | 1485 | 1485 | 1519 | 1519 |
水 分 | g/100 g | 14.5 | 14.5 | 14 | 14 | 14 | 14 | 14 | 14 |
たんぱく質 | g/100 g | 8.6 | 8.6 | 8.3 | 8.3 | 8.2 | 8.2 | 6.6 | 6.6 |
アミノ酸組成によるたんぱく質 | g/100 g | -7.4 | - | -7 | - | 7.5 | - | -5.7 | - |
脂 質 | g/100 g | 5 | 5 | 4 | 4 | 1 | 1 | 2.8 | 2.8 |
トリアシルグリセロール当量 | g/100 g | -4.5 | - | -3.6 | - | 0.9 | - | -2.5 | - |
飽和脂肪酸 | g/100 g | -1.01 | - | -0.8 | - | 0.2 | - | -0.56 | - |
一価不飽和脂肪酸 | g/100 g | -1.07 | - | -0.85 | - | 0.21 | - | -0.6 | - |
多価不飽和脂肪酸 | g/100 g | -2.24 | - | -1.79 | - | 0.45 | - | -1.26 | - |
コレステロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
炭水化物 | g/100 g | 70.6 | 70.6 | 72.4 | 72.4 | 76.4 | 76.4 | 76.1 | 76.1 |
利用可能炭水化物(単糖当量) | g/100 g | 71.2 | - | -79.7 | - | 82.3 | - | -79.7 | - |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.1 | 0.1 | 0.2 | 0.2 |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 8.4 | 8.4 | 7.4 | 7.4 | 2.3 | 2.3 | 1.5 | 1.5 |
食物繊維総量 | g/100 g | 9 | 9 | 8 | 8 | 2.4 | 2.4 | 1.7 | 1.7 |
灰 分 | g/100 g | 1.3 | 1.3 | 1.3 | 1.3 | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.5 |
ナトリウム | mg/100 g | 3 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 |
カリウム | mg/100 g | 290 | 290 | 220 | 220 | 160 | 160 | 200 | 200 |
カルシウム | mg/100 g | 5 | 5 | 5 | 5 | 2 | 2 | 3 | 3 |
マグネシウム | mg/100 g | 75 | 75 | 99 | 99 | 21 | 21 | 31 | 31 |
リン | mg/100 g | 270 | 270 | 130 | 130 | 50 | 50 | 90 | 90 |
鉄 | mg/100 g | 1.9 | 1.9 | 1.5 | 1.5 | 0.3 | 0.3 | 0.6 | 0.6 |
亜鉛 | mg/100 g | 1.7 | 1.7 | 1.4 | 1.4 | 0.4 | 0.4 | 0.6 | 0.6 |
銅 | mg/100 g | 0.18 | 0.18 | 0.16 | 0.16 | 0.07 | 0.07 | 0.08 | 0.08 |
マンガン | mg/100 g | - | - | 0.38 | 0.38 | - | - | 0.13 | 0.13 |
ヨウ素 | µg/100 g | 0 | 0 | - | - | Tr | Tr | - | - |
セレン | µg/100 g | 6 | 6 | - | - | 6 | 6 | - | - |
クロム | µg/100 g | Tr | Tr | - | - | 0 | 0 | - | - |
モリブデン | µg/100 g | 20 | 20 | - | - | 10 | 10 | - | - |
レチノール | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-カロテン | µg/100 g | 11 | - | 11 | - | 15 | - | 14 | - |
β-カロテン | µg/100 g | 99 | - | 100 | - | 110 | - | 69 | - |
β-クリプトキサンチン | µg/100 g | 100 | - | 100 | - | 130 | - | 100 | - |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 150 | Tr | 160 | Tr | 180 | Tr | 130 | Tr |
レチノール活性当量 | µg/100 g | 13 | 0 | 13 | 0 | 15 | 0 | 11 | 0 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-トコフェロール | mg/100 g | 1 | 1 | 1.1 | 1.1 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.2 |
β-トコフェロール | mg/100 g | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | Tr | Tr | Tr | Tr |
γ-トコフェロール | mg/100 g | 3.9 | 3.9 | 4.1 | 4.1 | 0.5 | 0.5 | 0.8 | 0.8 |
δ-トコフェロール | mg/100 g | 0.1 | 0.1 | 0.2 | 0.2 | 0 | 0 | 0 | 0 |
ビタミンK | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.3 | 0.3 | 0.15 | 0.15 | 0.06 | 0.06 | 0.14 | 0.14 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.1 | 0.1 | 0.08 | 0.08 | 0.05 | 0.05 | 0.06 | 0.06 |
ナイアシン | mg/100 g | 2 | 2 | 0.9 | 0.9 | 0.7 | 0.7 | 1.3 | 1.3 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.39 | 0.39 | 0.43 | 0.43 | 0.11 | 0.11 | 0.2 | 0.2 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 28 | 28 | 28 | 28 | 8 | 8 | 9 | 9 |
パントテン酸 | mg/100 g | 0.57 | 0.57 | 0.57 | 0.57 | 0.32 | 0.32 | 0.37 | 0.37 |
ビオチン | µg/100 g | 8.3 | 8.3 | - | - | 3.1 | 3.1 | - | - |
ビタミンC | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
食塩相当量 | g/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
アルコール | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
硝酸イオン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
テオブロミン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
カフェイン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
タンニン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
ポリフェノール | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
酢酸 | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
調理油 | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
有機酸 | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - | - |
重量変化率 | % | - | - | - | - | - | - | - | - |
備考 | 別名: とうきび | 別名: とうきび | 別名: とうきび歩留り: 75~80 % | 別名: とうきび歩留り: 75~80 % | 別名: とうきび歩留り: 44~55 % | 別名: とうきび歩留り: 44~55 % | 別名: とうきび歩留り: 4~12 % | 別名: とうきび歩留り: 4~12 % |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
とうもろこしの効果・効能
とうもろこしに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
糖質:脳や体のエネルギー源になる
とうもろこしは、米、小麦とならぶ「世界三大穀物」と呼ばれており、主成分は糖質です。
糖質は、体内に摂取され分解されるときに脳や体を動かすエネルギーが生まれます。
とうもろこしは100gあたり13.8gと、他の食材に比べて多くの糖質を含む高エネルギー食材です。
不飽和脂肪酸:動脈硬化や血栓症を予防する
とうもろこしには、リノール酸(多価不飽和脂肪酸)やオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)などの不飽和脂肪酸を含まれています。
不飽和脂肪酸は、悪玉(LDL)コレステロールを低下させて動脈硬化や高血圧を予防する、アレルギー症状を緩和させる、血流を促進させて心筋梗塞などの血栓症を予防する、といった効果があります。
食物繊維:便秘の予防・改善
とうもろこしは、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を含んでいます。
なかでも一粒一粒の実を包む皮には不溶性食物繊維が豊富に含まれており、100gあたり8.4gと野菜のなかでも多くの含有量を誇ります。
不溶性食物繊維は便のかさを増やして腸を刺激し、便秘を予防・改善するのに役立つ栄養素です。
ミネラル(カリウム・鉄・亜鉛):臓器や組織を円滑に働かせる
とうもろこしには、各種ミネラルも豊富に含まれています。
特に、体内にある余分なナトリウム(水分)を排出してむくみを予防する働きがある「カリウム」、ヘモグロビンの材料となり体中に酸素を送り届ける「鉄」、味覚や免疫システムを正常に機能させる「亜鉛」などのミネラルが豊富です。
とうもろこしの食べ方
とうもろこしの栄養素を損なわない調理方法・食べ方などを解説します。
とうもろこしの調理方法
とうもろこしをお湯で茹でると、ビタミンや糖質などの水溶性の栄養素が流れ出てしまいます。
そのためとうもろこしを加熱する際は、皮はそのままでラップに包み、600Wの電子レンジで約5分加熱すれば、栄養素を損なわずに食べることができます。
とうもろこしを食べる際の注意点
とうもろこしの粒の根元にある「胚芽」は、栄養素のたくさん詰まった部位です。
胚芽にはリノール酸、ビタミンB群、食物繊維、鉄分、亜鉛が豊富に含まれています。
包丁で粒をそぎ落とすと、胚芽の部分が残ってしまうため、できるだけ根元から粒を食べるようにしましょう。
とうもろこしの保存方法
とうもろこしの栄養素を損なわない保存方法を、生の状態と茹でてある状態でそれぞれ解説します。
生のとうもろこしの保存方法
冷蔵保存の場合、皮はそのままでキッチンペーパーで包み、立たせた状態で冷蔵庫の野菜室で保存します。冷蔵での保存期間は2〜3日です。
冷凍の場合は、まずひげの先端を切り落とし、周りの土汚れを落とします。皮付きのままで1本ずつラップで包み、その後さらに冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存しましょう。
冷凍なら約2ヶ月保存することができます。
茹でとうもろこしの保存方法
茹でてあるとうもろこしは、冷蔵保存の場合、熱いうちに1本ずつラップで包み、粗熱を取ってから冷蔵庫に入れます。冷蔵の保存期間は3〜4日です。
冷凍保存の場合は、まずかために茹でてから3〜4cmに輪切りします。水気を拭き取ったら冷凍用保存袋に入れて、冷凍庫で保存しましょう。
冷凍での保存期間は約1ヶ月です。