アリシンの効果・多く含む食品・効率よく摂取する方法
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アリシンの基本情報、効果・働き、多く含む食品、効率よく摂取する方法、不足・欠乏・過剰摂取による影響について解説します。
アリシンとは
アリシン(allicin)とは、にんにくや玉ねぎに含まれる香気成分で、強い匂いを持つイオウ化合物・硫化アリルの一種です。
特に疲労回復効果があることで知られており、「疲労回復や体力増進ににんにくが効く」と言われるのは、このアリシンの効果によるものと考えられます。
アリシンは、アリシンの状態のまま食品に存在しているわけではありません。にんにくや玉ねぎを切ったりすりおろしたりすると、食品に含まれるアリインがアリナーゼによって分解・変換されアリシンとなります。
アリインは、イオウ分を含むタンパク質中のアミノ酸の一種です。アリインはアリシンになると、さらにアホエンやジアリルジスルフィドなどのアリシン分解物となって各種作用を発揮します。
主なアリシン分解物と効果
- アホエン(Ajoene):血小板凝集阻害作用・抗菌作用・抗ウイルス作用・抗がん作用など
- ジアリルジスルフィド(Diallyl disulphide):抗潰瘍作用・血糖値低下作用・疲労回復・抗酸化作用・抗ウイルス作用・抗がん作用など
アリシンの効果・働き
アリシンの効果効能について解説します。
代謝促進による疲労回復効果
アリシンは、糖質の代謝に欠かせない栄養素・ビタミンB1と結びついて、その効果を促進・持続させ、通常の7倍にも高める働きがあります。
この働きによって、食物から摂取したエネルギーがきちんと利用されるようになり、疲労回復に効果を発揮するのです。
疲労回復には、代謝を促すビタミンB1およびビタミンB群の摂取が重要ですが、合わせてアリシンを摂取することでビタミンB1が体外に排出されにくくなり、より効率的に疲労回復効果を得ることができます。
抗酸化作用による生活習慣病予防効果
アリシンは抗酸化作用を持っているため、各種生活習慣病の予防効果も期待できます。
抗酸化作用とは、過剰に生成された活性酸素を除去する作用のことです。活性酸素は、適量であれば細胞にとって良い働きをしますが、過剰に産生されると細胞を傷つけたり、過剰な脂質と結びついて過酸化脂質を生成したりと、体に害をもたらします。
血糖値上昇抑制効果による糖尿病予防
アリシンは、ビタミンB1と結びついて糖質の代謝を促進する働きに加え、ビタミンB6と結合してインスリンの分泌を助ける働きもあります。
インスリンはすい臓から分泌されるホルモンで、ブドウ糖を効率よく利用するために必須です。このインスリンの分泌をサポートすることで、血糖値の上昇を抑制する効果や、糖尿病の予防効果などが期待できます。
血流改善効果により高血圧・動脈硬化予防
アリシン分解物のひとつであるアホエンには、血小板凝集阻害作用があります。この作用により、血液をサラサラにして血栓などをできにくくする効果が期待できるでしょう。
抗菌・抗ウイルス作用による感染症予防効果
アリシンには抗菌作用や抗ウイルス作用があり、食中毒の原因となる菌を除去するほか、風邪の予防にも効果を発揮します。
食欲増進効果
アリシンは、唾液や胃液の分泌を活性化して、食欲を増進させる働きがあります。
アリシン(アリイン)を多く含む食品
アリシンを多く含む食品は表の通りです。なお、にんにく以外の食材に関しては部位によってアリシンの含有量が不安定なため、詳細なデータは見つかりませんでした。
にんにくに含まれるアリシンおよびアリインの量についても、食品医薬品安全評価分析センターによる別の分析(※1)では、アリイン518mg・アリシン17mgとするものもあるなど、品種によってかなりバラつきがあるようですので、あくまでも参考値としてください。
ちなみに、アリシンは空気に触れた状態で時間を置くと効果が失われてしまうため、調理済みの刻みにんにくやチューブにんにくからアリシンを摂取するのは基本的に難しいでしょう。
食品名 | 含有量 |
にんにく | アリイン394mg/100g、アリシン230mg/100g(※2) |
玉ねぎ | データなし |
長ねぎ | データなし |
あさつき | データなし |
にら | データなし |
らっきょう | データなし |
※2:四国地域イノベーション創出協議会 地域食品・健康分科会 編
アリシンの1日の摂取目安量
アリシンの1日の摂取目安量に明確な基準はありません。ただ、副作用を引き起こさない大まかな目安はあり、にんにく換算で1日に4片、20g程度までが適量とされています。
また生食か調理済みかによっても異なり、生なら1日1片、加熱済みなら2~3片程度を目安とすると良いでしょう。
アリシンの摂取による副作用については本ページの後半で解説しますので、アリシンが人体に与える影響について確認したい方はそちらも合わせてご覧ください。
アリシンを効率よく摂取する方法
アリシンを効率よく摂取する方法を解説します。
刻む・すりおろすことで含有量アップ
アリシンは、アリインを含む食品を刻んだりすりおろしたりして、空気に触れさせることでアリシンになります。
アリシンの摂取を目的としてにんにくや玉ねぎを食べるなら、そのまま食べるのではなく細かく刻むかすりおろすようにしましょう。
なお、調理した食品は少し空気にさらすことでアリシンがより多くなりますが、空気に触れたアリシンは15分をピークに効果が失われてしまいます。あまり長時間置かず、新鮮なまま食べるようにしましょう。
アリシンを増やす切り方は「繊維に対して垂直」
アリシンをさらに増やしたい場合は、食品の繊維に対して垂直に包丁を入れましょう。
たとえば玉ねぎなら、繊維に沿って平行に切るのが一般的ですが、まず繊維と垂直に切ってから平行に切るようにすることで、アリシンをさらに増やすことができます。
生のまま薬味として食べるのが効果的
アリシンは水に溶けやすく、また熱にも弱いことから、生の薬味として摂取するのがもっとも損失の少ない食べ方です。
なお、「アリシンを多く含む食品」でも触れた通り、チューブにんにくなどは空気に触れてから時間が経過しており、アリシンの効果が失われていると考えられるため、生のまま食べても思うようにアリシンを摂取することができない可能性が高いでしょう。
油でコーティングすると損なわれにくくなる
アリシンは油でコーティングすることで損なわれにくくなり、さらに吸収しやすくなることが分かっています。
調理する場合はもちろん、チューブにんにくなどを取り入れる場合も、原材料に油脂が含まれているかをチェックすると良いでしょう。
ビタミンB1・B6が豊富な食材と組み合わせよう
アリシンの代謝促進効果を最大限活かすためにも、糖質の代謝に欠かせない栄養素であるビタミンB1やビタミンB6を豊富に含む食材と組み合わせて摂取しましょう。
ビタミンB1が豊富な食材の代表は豚肉です。そのほかの食材については下記ページもご覧ください。
ビタミンB1の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンB6の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ニオイが気になる場合はサプリメントもおすすめ
アリシンは香気成分なので、ニオイが気になる食品に多く含まれています。そこで、日頃の食事に取り入れるのが難しい場合は、サプリメントでの摂取を検討してみましょう。
アリシンの過剰摂取による副作用
アリシンはさまざまな健康効果を持つ一方で、過剰に摂取すると次のような副作用を引き起こす可能性があります。
- 胃酸過多などによる胃痛・腹痛・胃潰瘍
- 殺菌作用による腸内フローラの悪化
- 胃腸の環境悪化による下痢・便秘
- 胃腸の環境悪化による皮膚炎・口角炎・口内炎(肌荒れ)
- 降圧作用による貧血
- 血小板凝集阻害作用により出血が止まらなくなる
過剰摂取を引き起こす目安としては、およそにんにく丸ごと1個分、10片以上食べると過剰摂取であるといえるでしょう。この量に満たないのに上記のような症状を引き起こしている場合は、にんにくアレルギーが原因である可能性もあります。
アリシンの摂取を抑えたい場合は、次の点に気を付けましょう。
- 空腹時の摂取を避ける
- 水分と一緒に摂取する
- タンパク質と一緒に摂取する
- 加熱して摂取する