オレガノの栄養と効果効能・調理法・保存法
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オレガノの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似たハーブとの違い、オレガノに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
オレガノとは
オレガノ(oregano)は、香辛料として使われるシソ科のハーブです。ほろ苦い味と爽やかな香りが特徴で、イタリア料理に多く利用されています。
オレガノの原産地は、地中海沿岸のヨーロッパ諸国です。その歴史は古く、紀元前から香辛料として利用されてきました。古代エジプトでは、防腐剤としてミイラの作成に使用されていたと言われています。
オレガノが日本に伝わったのは、江戸時代の末期です。香りと花の印象から、日本では花薄荷(ハナハッカ)の名で普及しました。
オレガノは、ギリシャ語で「山の喜び」を意味する言葉が語源です。ギリシャ神話では、女神アフロディテ(ヴィーナス)が海水からオレガノを作り、太陽がたくさん当たる高い山に植えたと言い伝えられています。そのため、ヨーロッパでは、白~ピンク色の花を結婚式用の花冠に編み込むなど、幸せの象徴として扱われてきた経緯があります。
ヨーロッパが原産のオレガノですが、現在はアジアやアメリカ大陸などで、広く自生しているハーブです。日本でのオレガノの旬は6月~9月。しかし、オレガノは温暖な気候を好むため、寒さや暑さが激しく梅雨のある日本では、香りの高いオレガノを栽培するのは難しいとされています。
オレガノを香辛料として使うのは、葉と茎の部分です。他のハーブと同様に生の葉を使うこともできますが、オレガノは乾燥させたほうが香りが強くなります。
オレガノとマジョラム類の違い
オレガノと似たハーブに、マジョラムがあります。オレガノはワイルドマジョラムとも呼ばれ、マジョラムの一種と考えられています。オレガノは、他のマジョラムと比較して香りと味が強いのが特徴です。
マジョラムは大きく分けて、スイート・マジョラムとポット・マジョラムの2つに分類できます。スイート・マジョラム、ポット・マジョラムともに、可食部はオレガノと同じ葉と茎の部分です。
スイート・マジョラム
スイート・マジョラムは、花の付き方がこぶ状で特徴的なマジョラムの一種です。キプロス島・トルコを原産地とし、フランス料理によく使用されます。オレガノより小型で、甘い香りが特徴です。
ポット・マジョラム
ポット・マジョラムは、シチリア島、ギリシャ、トルコを原産地とするマジョラムの仲間です。香りは、スイート・マジョラムとオレガノの中間と言われています。ギリシャ料理に使われることが多く、イギリスではオレガノの代用品として使用されるハーブです。
オレガノとアマラクス類の違い
アマラクス類はオレガノの近縁種で、主に観賞用として楽しまれる種類です。ケントビューティーなどの品種が有名で、オレガノやマジョラムよりも綺麗な花を咲かせます。
オレガノに含まれる成分・栄養素
オレガノ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
オレガノは、カリウムをはじめとするミネラルを多く含みます。特に、カルシウムと葉酸が豊富です。
また、ビタミンAやカロテノイドの一種であるルテインを豊富に含み、香辛料として香りや味だけでなく栄養面でも優秀なハーブと言えます。
成分名 | 単位 | オレガノ 乾燥 |
水 | g | 9.93 |
エネルギー | kcal | 265 |
エネルギー | kJ | 1107 |
タンパク質 | g | 9 |
総脂質(脂肪) | g | 4.28 |
灰 | g | 7.87 |
炭水化物、違いによる | g | 68.92 |
食物繊維、総食事 | g | 42.5 |
砂糖、NLEAを含む合計 | g | 4.09 |
スクロース | g | 0.91 |
ブドウ糖(ブドウ糖) | g | 1.9 |
フルクトース | g | 1.13 |
乳糖 | g | 0 |
マルトース | g | 0 |
ガラクトース | g | 0.15 |
カルシウム、Ca | mg | 1597 |
鉄、Fe | mg | 36.8 |
マグネシウム、Mg | mg | 270 |
リン、P | mg | 148 |
カリウム、K | mg | 1260 |
ナトリウム、Na | mg | 25 |
亜鉛、亜鉛 | mg | 2.69 |
銅、銅 | mg | 0.633 |
マンガン、Mn | mg | 4.99 |
セレン、Se | µg | 4.5 |
ビタミンC、総アスコルビン酸 | mg | 2.3 |
チアミン | mg | 0.177 |
リボフラビン | mg | 0.528 |
ナイアシン | mg | 4.64 |
パントテン酸 | mg | 0.921 |
ビタミンB-6 | mg | 1.044 |
葉酸、合計 | µg | 237 |
葉酸 | µg | 0 |
葉酸、食品 | µg | 237 |
葉酸、DFE | µg | 237 |
コリン、合計 | mg | 32.3 |
ベタイン | mg | 9.8 |
ビタミンB-12 | µg | 0 |
ビタミンB-12、追加 | µg | 0 |
ビタミンA、RAE | µg | 85 |
レチノール | µg | 0 |
カロチン、ベータ | µg | 1007 |
カロチン、アルファ | µg | 20 |
クリプトキサンチン、ベータ | µg | 7 |
ビタミンA、IU | IU | 1701 |
リコピン | µg | 0 |
ルテイン+ゼアキサンチン | µg | 1895 |
ビタミンE(アルファ-トコフェロール) | mg | 18.26 |
ビタミンE、追加 | mg | 0 |
トコフェロール、ベータ | mg | 0 |
トコフェロール、ガンマ | mg | 24.42 |
トコフェロール、デルタ | mg | 0.92 |
ビタミンD(D2 + D3)、国際単位 | IU | 0 |
ビタミンD(D2 + D3) | µg | 0 |
ビタミンK(フィロキノン) | µg | 621.7 |
ビタミンK(ジヒドロフィロキノン) | µg | 0 |
脂肪酸、総飽和 | g | 1.551 |
4:0 | g | 0 |
6:0 | g | 0 |
8:0 | g | 0 |
10:0 | g | 0.004 |
12:0 | g | 0.246 |
13:0 | g | 0 |
14:0 | g | 0.004 |
15:0 | g | 0 |
16:0 | g | 0.792 |
17:0 | g | 0 |
18:0 | g | 0.505 |
20:0 | g | 0 |
22:0 | g | 0 |
24:0 | g | 0 |
脂肪酸、全一価不飽和 | g | 0.716 |
14:1 | g | 0 |
15:1 | g | 0 |
16:1 | g | 0.004 |
17:1 | g | 0 |
18:1 | g | 0.712 |
18:1 c | g | 0.712 |
20:1 | g | 0 |
22:1 | g | 0 |
24:1 c | g | 0 |
脂肪酸、総多価不飽和 | g | 1.369 |
18:2 | g | 0.748 |
18:3 | g | 0.621 |
18:3 n-3 c、c、c(ALA) | g | 0.621 |
18:3 n-6 c、c、c | g | 0 |
18:4 | g | 0 |
20:2 n-6 c、c | g | 0 |
20:3 | g | 0 |
20:4 | g | 0 |
20:5 n-3(EPA) | g | 0 |
22:5 n-3(DPA) | g | 0 |
22:6 n-3(DHA) | g | 0 |
脂肪酸、トータルトランス | g | 0 |
脂肪酸、総トランスモノエン酸 | g | 0 |
18:1トン | g | 0 |
コレステロール | mg | 0 |
トリプトファン | g | 0.203 |
スレオニン | g | 0.322 |
イソロイシン | g | 0.441 |
ロイシン | g | 0.78 |
リジン | g | 0.5 |
メチオニン | g | 0.127 |
シスチン | g | 0.11 |
フェニルアラニン | g | 0.449 |
チロシン | g | 0.297 |
バリン | g | 0.585 |
アルギニン | g | 0.449 |
ヒスチジン | g | 0.144 |
アラニン | g | 0.5 |
アスパラギン酸 | g | 1.009 |
グルタミン酸 | g | 0.975 |
グリシン | g | 0.517 |
プロリン | g | 1.712 |
セリン | g | 0.314 |
ヒドロキシプロリン | g | 0 |
アルコール、エチル | g | 0 |
カフェイン | mg | 0 |
テオブロミン | mg | 0 |
オレガノの効果・効能
オレガノに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
チモール・カルバクロールによる抗菌作用
オレガノに多く含まれるチモールやカルバクロールなどの成分は、細菌やカビに対する抗菌作用を持っています。オレガノの精油には、フェノール類・チモールが約20%含まれており、食中毒の原因菌を殺菌する効果があります。
ポリフェノールによる抗酸化作用
オレガノの葉には、ポリフェノールが多く含まれており、抗酸化作用を持ちます。ポリフェノールの抗酸化作用には、老化や動脈硬化、がんの原因となる過酸化脂質の産生を抑制する効果があります。
ポリフェノールの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンB1(チアミン)で疲労回復
ビタミンB1(チアミン)は、代謝にかかわる補酵素の役割をし、神経系や脳を正常に働かせています。ビタミンB1が欠乏すると、消化吸収の低下や神経系の以上をきたすと考えられています。
そのため、ビタミンB1を多く摂取することは、疲労回復に効果的です。疲労感を和らげ、イライラを解消します。
ビタミンB1の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA
ルテインで眼精疲労を防止
ルテインとは、植物の色素成分であるカロテノイドの一種です。眼のレンズ部分にあたる水晶体などに存在し、眼を正常に働かせる役割があります。
ルテインは眼の奥に蓄積し、ブルーライトや紫外線などの有害な光を吸収しています。また、ルテインは強い抗酸化作用もあり、眼精疲労や眼の疾患を予防するのに効果的です。
オレガノの食べ方
オレガノの栄養素を損なわない収穫方法・調理方法・代用品などを解説します。
オレガノの収穫方法
オレガノの香りが最も強くなるのは、つぼみを付けた開花直前です。自宅で育てたオレガノは、土から3分の1程度の高さで切り落として収穫します。
収穫したオレガノは、束ねて逆さに吊るして乾燥させましょう。生のままでも使用できますが、オレガノは乾燥させたほうが香りが強くなります。完全に水分が抜けたら、葉だけを採って密閉容器に入れて保存します。
おすすめオレガノのレシピ
オレガノは、地中海沿岸で採れるハーブ。そのため、パスタや魚のソテーなどに加えるのがおすすめです。魚やエビなどの臭みをとる効果も期待でき、オレガノの味を引き立たせられます。
オレガノは、チーズとの相性も抜群です。ピザやグラタンだけでなく、チーズクッキーなどのお菓子にも利用できます。
オレガノの代用品
オレガノは、肉や魚の臭みを消す効果があります。そのため、オレガノが自宅にないときは、同じような効果のあるハーブで代用可能です。
オレガノの代用品として使えるハーブは、次のとおり。特に、パセリ・タイム・ローリエ・ローズマリーは、臭み消しとしてオレガノの代わりに使用できます。
◎バジル
◎マジョラム
◎パセリ
◎タイム
◎ローリエ
◎ローズマリー
マジョラムはオレガノと近縁種のため、ほぼ同じ香りと味です。オレガノのほうが香りが強いとされていますが、代用品として十分な役割をしてくれるでしょう。
バジルもオレガノと似た香りを持ち、代用品として使えます。香りはバジルのほうが弱いとされていますが、スーパーマーケットでも手に入りやすいのがメリットです。癖が少ないため、オレガノの強い味と香りが苦手な場合の代用品としてもおすすめです。
オレガノの保存方法
オレガノの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
乾燥剤を入れると長期保存可能
乾燥オレガノは、湿気を含むことでカビやすくなります。香りが落ちる原因にもなりますので、密閉できる容器に入れるだけでなく、一緒に乾燥剤を入れておくと1年程度の長期保存が可能です。
破棄の目安は茶色に変色・香りが薄くなったら
乾燥タイプのオレガノは、劣化に気付きにくいかもしれませんが、見た目が茶色くなったら劣化していると判断できます。また、香りが薄くなって、以前のような強い香りがしない場合も、破棄の時期の目安です。
日本の梅雨は、オレガノが湿気でカビやすくなる原因です。賞味期限や、見た目の確認をしてから使用しましょう。
生のままのオレガノは冷蔵・冷凍保存
乾燥させて使用することの多いオレガノですが、生のまま保存することも可能です。冷蔵庫で保存するときは、水で湿らせた新聞紙や布に包んで、ラップに包むかビニールに入れて保存します。ただし、保存期間が長くなると香りや味がとぶので、摘みたてを使用するのがよいでしょう。
また、生のオレガノを冷凍保存することもできます。使用する量で小分けしたオレガノを、ラップで包んで冷凍庫で保存します。解凍せず、そのまま料理に使えるので便利です。冷凍の場合も、香りが落ちやすいのでなるべく早く使いましょう。