オリゴ糖の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
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オリゴ糖の基本情報、種類、効果・働き、不足・欠乏・過剰摂取による影響、1日の摂取目安量、多く含む食品、効率よく摂取する方法について解説します。
オリゴ糖とは
オリゴ糖は、腸内のビフィズス菌などの善玉菌を増やす効果があり、整腸作用を発揮する甘味料の一種で、「お腹の調子を整える」効果からトクホ(特定保健用食品)としても認められています。
単糖が2個から10個程度結びついたもので、少糖類ともいいます。オリゴはギリシャ語で「少ない」という意味で、単糖の結合数が比較的少ないことからこの名前で呼ばれます。
単糖の結合数が少ないオリゴ糖に対して、結合数が多いものを多糖類と呼びます。それぞれ、代表的なものは次の通りです。
- 単糖類:果糖(フラクトース)、ブドウ糖(グルコース)など
- オリゴ糖(少糖類):ショ糖(スクロース)、麦芽糖(マルトース)、乳糖(ラクトース)、乳糖果糖オリゴ糖(ラクトスクロース)など
- 多糖類:でんぷん、セルロース、グリコーゲンなど
オリゴ糖と多糖類の間に、明確な定義はありません。ショ糖・麦芽糖・乳糖などの二糖類(単糖が2分子結合した糖類)もオリゴ糖に含まれますが、一般的には3つ以上の糖が結合したものをオリゴ糖と呼ぶことが多いようです。
二糖類にはトレハロースやパラチノースなどの甘味料も含まれ、むし歯になりにくいことや、消化されにくくエネルギーとして使われにくいことから、代替甘味料としてよく利用されています。
また、広義の意味での多糖類は、単糖が結合した糖類すべてを指すため、その場合はオリゴ糖も多糖類に含まれます。
市販のオリゴ糖として代表的なものは、砂糖から作られるフラクトオリゴ糖、大豆から天然成分を抽出・分離させた大豆オリゴ糖、乳糖にβ-ガラクトシダーゼを作用させたガラクトオリゴ糖などがあります。
オリゴ糖の種類
オリゴ糖には、消化性と難消化性の2種類があります。
消化性オリゴ糖
砂糖(ショ糖)や、牛乳に含まれる乳糖など、人体の消化酵素で消化・分解してエネルギー源として利用できるものを消化性オリゴ糖といいます。
一般的な糖と同じくエネルギー源として活用できますが、そのぶん大腸まで届く量が少ないため、オリゴ糖としての機能を得るためにはより多くの分量を摂取する必要があります。
食べ過ぎると一般的な砂糖と同じく肥満・虫歯を引き起こすほか、下痢などを促す可能性があり、過剰摂取に注意が必要です。
難消化性オリゴ糖(機能性オリゴ糖)
消化性オリゴ糖の問題点を改良したオリゴ糖を、難消化性オリゴ糖や機能性オリゴ糖といいます。
消化性オリゴ糖と異なり、消化酵素によって消化・分解されにくいので、腸まで運ばれてビフィズス菌の栄養源となることから、「お腹の調子を整える」などの機能性表示が認められています。
難消化性オリゴ糖として代表的なものは、次の通りです。
- フラクトオリゴ糖
- 大豆オリゴ糖
- 乳果オリゴ糖
- ガラクトオリゴ糖
- イソマルトオリゴ糖の一部
- キシロオリゴ糖
- コーヒー豆マンノオリゴ糖
- ラクチュロース
- ラフィノース
オリゴ糖の効果・働き
オリゴ糖の持つ効果・効能・働きを解説します。なお、ここで解説するオリゴ糖とは主に、トクホなどに用いられる難消化性の機能性オリゴ糖のことを指します。
腸内フローラの改善
難消化性のオリゴ糖は、胃や小腸で分解されず大腸まで届き、大腸の99%を占めるビフィズス菌の栄養源となります。
ビフィズス菌の増殖により、腸内環境が改善されます。オリゴ糖は発見当初、この働きから「ビフィズス菌増殖因子」とも呼ばれていました。
なお、すべてのオリゴ糖がすべての腸内細菌の増殖に寄与するわけではありません。イソマルトオリゴ糖は利用できるがフラクトオリゴ糖は利用しにくい、といった菌もあるため、特定の種類のオリゴ糖を摂取するだけでなく、いくつかの種類をバランスよく摂取した方がより効果が期待できるでしょう。
代謝が上がりダイエット効果も期待
腸内フローラの改善によって得られる効果のひとつとして、代謝の改善およびダイエット効果が挙げられます。
また、腸内環境が改善して便秘が解消すると、ぽっこりとしていた下腹が引っ込むことにより、見た目にウエストの引き締めを実感できる可能性もあります。
肌荒れ改善や美肌効果
同じく腸内フローラの改善によって得られる効果のひとつとして、肌荒れの改善や美肌効果が挙げられます。
腸内環境が改善すると代謝が促されるため、肌のターンオーバーが正常化して肌荒れ改善が期待できます。また、肌表面の過剰な皮脂などが抑えられる可能性もあります。
免疫力アップ
ビフィズス菌には、免疫力を高める作用があります。そのため腸内フローラが改善し、ビフィズス菌を増殖させることができれば、免疫力も高まるといえるでしょう。
虫歯を抑える
オリゴ糖は、砂糖と比べて虫歯菌にとって栄養源としにくい構造をしているため、砂糖を摂取する場合に比べて虫歯になりにくいと言えます。
低カロリー&血糖値の上昇を抑える
オリゴ糖は、ブドウ糖などに比べて低カロリーであり、また難消化性のオリゴ糖は吸収されにくいため、甘味料として使用しても血糖値の上昇を抑えることができます。
加工食品の品質向上
生体内での作用ではありませんが、加工食品の品質向上にもオリゴ糖は力を発揮します。
一部のオリゴ糖、たとえばイソマルトオリゴ糖は、清酒やみりん、味噌などの発酵食品に含まれる成分で、耐熱・耐酸性に優れており、煮崩れを防ぐ効果があるとして冷凍食品などにも利用されます。
オリゴ糖を過剰摂取すると起こる副作用
オリゴ糖を過剰摂取すると、次のような副作用が起こることが報告されています。
- 腹部膨満感(ガスがたまる)
- 胃部不快感
- 腹痛
- 下痢
- むくみ
- こむら返りなど
なおこの副作用は、難消化性オリゴ糖を1日あたり20gなど大量に摂取した場合のものであり、食品に含まれる天然のオリゴ糖の摂取による副作用の心配は基本的にありません。
オリゴ糖の1日の摂取目安量
オリゴ糖は必須栄養素ではないため、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020 年版)において、1日の摂取必要量などは定められていません。
オリゴ糖の種類によっても異なりますが、パウダー状の製品ではおよそ10g前後、ドリンク上の製品ではおよそ5g前後を1日あたりの摂取目安量と設定しているものが多いようです。
ただし、配合されたオリゴ糖の種類によってもその作用は異なります。
食品から天然のオリゴ糖を摂取しようとする場合はともかく、健康食品として抽出・精製されたオリゴ糖を摂取する場合は、食品ごとに推奨する摂取量を守るようにしましょう。
オリゴ糖を多く含む食品
天然の食品からオリゴ糖を摂取する場合は、以下の、オリゴ糖を多く含む食品を意識的に摂取するとよいでしょう。
- 玉ねぎ(全量の2.8%)
- ゴボウ(3.6%)
- にんにく(1%)
- 豆腐(0.4%)
- バナナ(0.3%)
- きな粉(7.0%)
- 枝豆(0.1%)
- ネギ(0.2%)
そのほかにも、サトウキビ、キャベツ、アスパラガス、じゃがいも、トウモロコシ、大豆などに豊富に含まれています。
オリゴ糖を効率よく摂取する方法
オリゴ糖は熱に強いので、加熱しても問題ありません。
ただ、整腸作用を得るための摂取必要量は一般的に5~10g程とされており、この量を普段の食事だけで摂取するのは困難です。
そのため、オリゴ糖食品を普段の食事に取り入れて、天然のオリゴ糖と組み合わせて摂取量を増やすとよいでしょう。