ブロッコリーの栄養と効果効能・調理法・保存法
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ブロッコリーの基本情報、含まれる栄養とその効果効能、ブロッコリーとブロッコリースプラウトやカリフラワーとの違いなどを解説し、さらに栄養素を損なわない調理法や保存法を紹介します。
ブロッコリーとは
ブロッコリーは、アブラナ科アブラナ属の緑黄色野菜で、キャベツを品種改良して生まれました。
原産地はキャベツと同じイタリア地中海沿岸です。単位は「株(かぶ)」。旬は産地によっても異なりますが、最もおいしい時期は冬から春先(11月~3月)ごろにかけてです。
緑色の食用部分は花のつぼみ(花蕾)が集まったもので、1株あたりに3万個以上のつぼみがあります。(※1)
ブロッコリーとカリフラワーの違い
カリフラワーはブロッコリーと同じくアブラナ科の野菜でキャベツの仲間であり、ブロッコリーの花蕾が白く突然変異して生まれました。
ブロッコリーが緑黄色野菜であるのに対し、カリフラワーは色がなく葉緑素やカロテンといった色素成分をほとんど含みません。
一方ビタミンCを豊富に含んでいることから、「畑のレモン」とも呼ばれます。またブロッコリーのビタミンCが加熱すると失われやすいのに対し、カリフラワーのビタミンCは加熱しても損なわれにくい点が大きな特長です。
生の状態ではおよそ倍ほどの違いがあるビタミンC含有量ですが、茹でるとその差がほとんどなくなります。
ブロッコリーとカリフラワーの栄養素の違い
カリフラワー(生) | カリフラワー(茹で) | ブロッコリー(生) | ブロッコリー(茹で) | |
β-カロテン(μg/100g) | 18 | 16 | 900 | 830 |
ビタミンC(mg/100g) | 81 | 53 | 140 | 55 |
ブロッコリーとブロッコリースプラウトの違い
がん予防に効果的(※2)な栄養素・スルフォラファンを豊富に持つとして、近年話題のブロッコリースプラウト。ブロッコリーとブロッコリースプラウトの違いは、成長しているかしていないかです。
なお発芽後3日目のスプラウトは特にスルフォラファンが豊富なため、スーパースプラウトと呼ばれます。
ブロッコリーとブロッコリースプラウトの栄養素の違い
食品名 | ブロッコリー(生) | ブロッコリースプラウト |
エネルギー | 40 | 19 |
水分 | 86.2 | 94.3 |
たんぱく質 | 5.4 | 1.9 |
脂質 | 0.6 | 0.6 |
炭水化物 | 6.6 | 2.6 |
βーカロテン | 900 | 1400 |
βークリプトキサンチン | 7 | 27 |
ビタミンK | 210 | 150 |
ビタミンB1 | 0.17 | 0.08 |
ビタミンB2 | 0.23 | 0.11 |
ナイアシン | 1 | 1.3 |
ナイアシン当量 | 1.9 | (1.6) |
ビタミンB6 | 0.3 | 0.2 |
ビタミンB12 | (0) | (0) |
葉酸 | 220 | 74 |
パントテン酸 | 1.42 | 0.52 |
ビオチン | 13.1 | - |
ビタミンC | 140 | 64 |
重量 | 100 | 100 |
ブロッコリーに含まれる成分・栄養素
ブロッコリー100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
ビタミンCはひときわ豊富で、生食であれば100gで成人男性の1日分のビタミンCを摂取することができます。
食品名 | ブロッコリー(生) | ブロッコリー(茹で) | ブロッコリー(電子レンジ調理) | ブロッコリー(焼き) | ブロッコリー(油いため) | |
エネルギー | kcal/100g | 40 | 30 | 45 | 65 | 110 |
水分 | g/100g | 86.2 | 89.9 | 85.3 | 78.5 | 79.2 |
たんぱく質 | g/100g | 5.4 | 3.9 | 5.7 | 9.9 | 6.9 |
脂質 | g/100g | 0.6 | 0.4 | 0.7 | 1.2 | 6.3 |
炭水化物 | g/100g | 6.6 | 5.2 | 7 | 8.4 | 6.1 |
βーカロテン | μg/100g | 900 | 830 | 990 | 1700 | 1200 |
βークリプトキサンチン | μg/100g | 7 | 6 | 9 | 20 | 13 |
ビタミンK | μg/100g | 210 | 190 | 220 | 380 | 270 |
ビタミンB1 | mg/100g | 0.17 | 0.06 | 0.18 | 0.27 | 0.2 |
ビタミンB2 | mg/100g | 0.23 | 0.09 | 0.25 | 0.4 | 0.28 |
ナイアシン当量 | mg/100g | 1.9 | 1 | 2.2 | 3.4 | 2.4 |
ビタミンB6 | mg/100g | 0.3 | 0.14 | 0.41 | 0.67 | 0.52 |
ビタミンB12 | μg/100g | (0) | (0) | - | - | - |
葉酸 | μg/100g | 220 | 120 | 160 | 450 | 340 |
パントテン酸 | mg/100g | 1.42 | 0.74 | 1.31 | 1.99 | 1.47 |
ビオチン | μg/100g | 13.1 | 7.1 | 14.2 | 22.7 | 17.1 |
ビタミンC | mg/100g | 140 | 55 | 140 | 150 | 130 |
重量 | g/100g | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
ブロッコリーの栄養が持つ効果・効能
ブロッコリーの栄養素が持つ効果・効能について解説します。
ビタミンC・Eが豊富でアンチエイジングによる美肌効果に期待
ビタミンCやビタミンEを豊富に含んでいることから、老化防止による美肌効果が期待できます。
ビタミンCはコラーゲンの生成を促進するほか、抗酸化作用があるためアンチエイジングに効果的です。
さらにメラニン生成を抑制するため、シミ・そばかす対策としての効果も期待できます。
低カロリー高タンパクで筋トレやダイエットのお供にぴったり
ブロッコリーは、筋トレやダイエットのサポートする食品としても活躍します。
ブロッコリーは植物性のタンパク質を豊富に含有しており、それでいて低カロリーなため、筋肉や骨を衰えさせずに身体を絞ることができるのです。
レモンより豊富なビタミンCが疲労回復・かぜ予防に活躍
ビタミンCの豊富さは数ある野菜・果物のなかでもトップクラス。生の状態ならレモンのおよそ6倍、茹でて栄養が損なわれた状態でもレモンのおよそ3倍もの量のビタミンCを含有しています。
豊富なビタミンCは、疲労回復やかぜ予防の効果などが期待できるでしょう。
葉酸・カロテン・鉄分が妊娠初期の栄養補給にぴったり
ブロッコリーには、葉酸・カロテン(ビタミンA)・鉄分といった妊娠初期にしっかり補給しておきたい栄養素が詰まっています。
葉酸は水溶性ビタミンなので過剰摂取の心配はなく、またブロッコリーに含まれるβ-カロテンはビタミンAが不足したときのみビタミンAに変換されるプロビタミンAなので、こちらも摂りすぎてしまう心配はありません。
豊富な食物繊維が便秘予防に有効
ブロッコリーは食物繊維も豊富に含有していて、便秘の予防・解消に有効です。食物繊維は消化されないためエネルギーにならない代わりに、腸のぜん動運動を助け、便通をスムーズにします。
スルフォラファンががん予防に効果
ブロッコリーは、がん予防に効果的(※2)とされるイソチオシアネートの一種、スルフォラファンを豊富に含んでいます。
スルフォラファンにはがん予防以外にも、血糖値改善(※3)・精神疾患の予防(※4)・肝臓機能の改善(※5)など非常に幅広い健康効果が研究されています。
ブロッコリーの食べ方
ブロッコリーの栄養を損なわない調理方法を解説します。
ブロッコリーの洗い方
ブロッコリーは撥水性があるため、流水で洗っても汚れを落とすことはできません。ボウルなどに張った水に頭から浸し、15分ほど漬けておくと花蕾が開くので、この状態でゆするよう洗いましょう。
軽く水に浸けて花蕾を開くことで、花蕾に入っていた汚れを落とすことができます。
調理方法は「焼き」か「電子レンジ調理」がおすすめ
ブロッコリーの栄養をなるべく損なわずに摂取したい場合は、「焼き」か「電子レンジ調理」がおすすめです。
ブロッコリーは茹でて食すことが多い野菜ですが、ビタミンCは水溶性ビタミンのため、茹でてしまうと水に溶けだすうえに熱で壊れてしまいます。
その点、焼き調理による短時間の加熱ならビタミンCはほぼ損なわれず、少量の水で蒸すように調理する電子レンジも同様に栄養を逃がさず摂取することが可能です。
また、ブロッコリーの栄養は花蕾よりも茎により豊富に含まれているため、ピーラーなどで皮をむいて茎まで捨てずに食べることでより効率的に栄養が摂取できます。
ブロッコリーの保存方法
ブロッコリーの保存に適した温度は0~5℃なので、2~3日で食べ切れる場合は水気を切ってビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
2~3日で食べ切ることが難しい場合は、生の状態で冷凍することで栄養を損なわずに長期保存できます。
保存期間の目安はおおよそ1か月間。保存の際は、1房ずつラップに包みジップロックへ入れましょう。さらにアルミホイルや金属のトレーを併用することで急速冷凍も可能です。
参考文献
※2 Prevention of Carcinogen-Induced Oral Cancer by Sulforaphane.
※5 Sulforaphane-rich broccoli sprout extract improves hepatic abnormalities in male subjects