赤ワインの栄養と効果効能・調理法・保存法

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red wine

赤ワインの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、赤ワインに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

赤ワインとは

赤ワイン(red wine)は、果皮が青紫~黒色をした黒ぶどうを原料とするアルコール飲料です。赤葡萄酒とも呼ばれます。赤ワインのアルコール度数は12%~16%が目安で、白ワインよりやや高めです。

白ワインはぶどうの果汁のみを発酵させるのに対し、赤ワインは果皮・果汁・果肉・種子をすべて一緒に発酵させるため、赤黒い色になります。

赤ワインの原料となるぶどうの果皮や種子は、生活習慣病やがんの予防に効果的なポリフェノールが豊富です。そのため、ぶどうの皮や種も利用する赤ワインは、栄養価の高さでも注目されています。

赤ワインの健康効果に着目した、「フレンチパラドックス」という説も存在します。フレンチパラドックスとは、肉やバターなど脂肪分を多く摂取するフランス人の心臓病発症率が他国と比べて低いのは、フランス人の赤ワイン消費量が多いからだと推測したものです。

フレンチパラドックスはその後、いくつかの研究によって否定されていますが、適量のアルコールをたしなむ人が、全く飲まない人に比べて長生きできることは実証されています。

赤ワインに使われるぶどうの品種

赤ワイン用のぶどう品種の中で、世界中で親しまれている代表的な品種と味の特徴を紹介します。

カベルネ・ソーヴィニヨン

フランスのボルドー地方原産のカベルネ・ソーヴィニョンは、世界中で栽培されている赤ワイン用ぶどうの代表的な品種です。タンニンが豊富で渋味が強く、重厚感のある芳醇な味わいを楽しめます。飲みごたえがあり、脂が多く味の濃い牛肉料理にマッチします。

ピノ・ノワール

ピノ・ノワールは、フランスのブルゴーニュ地方発の赤ワイン用ぶどうです。渋味成分であるタンニンが比較的少なく、ベリー系の爽やかな味わいが楽しめます。フルーティーなワインが好きな人におすすめで、甘いデザートにも合う品種です。

メルロー

メルローは、フランスのボルドー地方原産のぶどうです。メルローを原料とする赤ワインは、まろやかでコク・深みのある味わいが特徴。渋味はそれほど強くなく、赤ワインを飲み始めたばかりの人にもおすすめ。ハンバーグやミートボールなど肉汁の溢れる柔らかな肉料理と相性が抜群です。

マスカット・べーリーA

マスカット・ベーリーAは、新潟県で生み出された日本固有種の黒ぶどうです。赤ワインの原料とされるほか、生食することもできます。キャンディのような甘い香りとベリー系のフルーティーさを兼ね備えており、渋味は少なく飲みやすいワインが造られます。

シラー(シラーズ)

シラーは、フランスのコート・デュ・ローヌ地方原産の品種で、スパイシーで力強い風味のあるやや個性的な品種です。羊肉や、鹿肉・鴨肉のジビエ料理など、香りの強い肉料理を引き立てます。

ガメイ

ガメイは、フランスのボジョレー地方で多く栽培されるぶどうで、ボジョレー・ヌーヴォーの原料となる品種です。ベリー系の甘酸っぱくフレッシュな風味が特徴で、タンニン特有の渋味が苦手な方にもおすすめ。ランチにもぴったりの軽めの味わいです。

赤ワインの種類

赤ワインの味わい深さは、ワインの専門用語である「ボディ」で表現します。

ボディは、アルコール度数やタンニンの強さによって決められ、フルボディ・ミディアムボディ・ライトボディの3種類に大きく分類されます。ボディの種類は、ワインのラベル表示で確認できるため、味の参考にしてみてください。

フルボディ

フルボディは、最も濃厚で重めのワインです。味わい・香り・渋味のすべてが強く、ワインそのものの色も濃い目。味の濃い料理や、脂身の多い牛肉に良く合います。

カベルネ・ソーヴィニョンやシラーなど、タンニンを多く含むぶどうから造られるワインに多い種類です。アルコール度数が高く、ポリフェノールも多く含む傾向にあります。

ミディアムボディ

ミディアムボディは、重めのフルボディと軽めのライトボディの中間の味わいのワインを指します。万人受けする味わいで、どんな料理にも合わせやすく汎用性の高い赤ワインです。

フルボディに近いものからライトボディに近い軽い味わいのものまで、味の幅が広いのも特徴です。

ライトボディ

ライトボディは、最も軽くさっぱりした味わいの赤ワインです。タンニンが少ないため渋味や酸味がほどよく、フルーティーな味わいが楽しめます。ライトボディの赤ワインは、ピノ・ノワールを原料とするワインが代表的です。

赤ワイン特有の渋味や濃厚さが苦手な人にはライトボディがおすすめ。アルコール度数が低めな物も多く、ランチにも向いています。

赤ワインに含まれる成分・栄養素

赤ワイン100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。比較として、白ワイン・ロゼワインに含まれる成分・栄養素も並記しています。

食 品 名単位赤ワイン白ワインロゼワイン
廃 棄 率%000
エネルギーkJ282313296
kcal687571
水 分g88.788.687.4
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g---
たんぱく質g0.20.10.1
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g--0
コレステロールmg000
脂質gTrTrTr
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g-0.2-2.5-2.5
g***
利用可能炭水化物(質量計)g-0.2-2.2-2.5
差引き法による利用可能炭水化物g11.43.4
食物繊維総量g--0
糖アルコールg---
炭水化物g1.524
有機酸g0.50.60.6
灰分g0.30.2Tr
無機質ナトリウムmg234
カリウムmg1106060
カルシウムmg7810
マグネシウムmg977
リンmg131210
mg0.40.30.4
亜鉛mgTrTrTr
mg0.020.010.02
マンガンmg0.150.090.1
ヨウ素μgTr--
セレンμg0--
クロムμg2--
モリブデンμg1--
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg000
α|カロテンμg--0
β|カロテンμg--0
β|クリプトキサンチンμg--0
β|カロテン当量μg000
レチノール活性当量μg000
ビタミンDμg000
α-トコフェロールmg--0
β-トコフェロールmg--0
γ-トコフェロールmg--0
δ-トコフェロールmg--0
ビタミンKμg000
ビタミンB1mg000
ビタミンB2mg0.0100
ナイアシンmg0.10.10.1
ナイアシン当量mg0.10.10.1
ビタミンB6mg0.030.020.02
ビタミンB12μg000
葉 酸μg000
パントテン酸mg0.070.070
ビ オ チ ンμg1.9--
ビタミンCmg000
アルコールg9.39.18.5
食塩相当量g000
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

赤ワインの効果・効能

赤ワインに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

生活習慣病予防・アンチエイジングなど多様な効能があるポリフェノール

赤ワインの原料となる黒ぶどうは、ポリフェノールが豊富です。特にポリフェノールが多く含まれるのはぶどうの果皮や種子で、ぶどうを丸ごと発酵させる赤ワインは、白ワインやロゼワインよりも多くのポリフェノールが含まれます。

ポリフェノールは、活性酸素を除去・抑制する抗酸化作用を持つ抗酸化物質の一種です。体を酸化させる活性酸素は、老化を進行させるほか、がん・心血管疾患・生活習慣病との関連も指摘されています。

赤ワインに含まれる主なポリフェノールと、期待できる効果効能は次の通りです。

ポリフェノール効果効能
アントシアニン眼精疲労・視力低下・老眼・白内障など、眼病や眼のトラブルの予防および改善効果
レスベラトロール生活習慣病予防・コレステロール低下作用・動脈硬化予防・肥満予防・運動機能の向上
タンニン生活習慣病予防・動脈硬化予防・下痢の改善
カテキン抗菌作用・抗ウイルス作用・コレステロール低下作用・血糖値の上昇抑制作用・口臭予防・肥満予防
ケルセチン生活習慣病予防・認知機能の改善・コレステロール低下作用・脂肪分解促進作用
エラグ酸生活習慣病予防・動脈硬化予防・脂肪燃焼促進

ポリフェノールの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

カリウムで高血圧やむくみを予防・改善

赤ワインは、必須ミネラルの一種であるカリウムを多く含んでいます。カリウムには余分なナトリウムを体外に排出させる働きがあり、塩分の過剰摂取が原因となる高血圧やむくみの予防に効果的な栄養素です。

赤ワインは、白ワイン・ロゼワインの約2倍のカリウムを含んでいます。塩分の多い料理と共に飲むなら、赤ワインがおすすめです。

カリウムの効果効能・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ダイエット中に飲むなら糖質の少ない赤ワインがおすすめ

赤ワインは、アルコール類の中でも糖質の含有量が低く、ダイエット中にも飲みやすいお酒と言えます。

赤ワイン100gあたりの糖質(炭水化物)は1.5mgであり、白ワイン(2.0mg)・ロゼワイン(4.0mg)・ビール淡色(3.1g)・本醸造酒(4.5g)などと比較して控えめ。カロリーも白ワインやロゼワインより低くなっています。

赤ワインがダイエットに向いている点は、糖質やカロリーの含有量だけではありません。赤ワインは、内臓脂肪の蓄積を抑制する作用が示唆されるレスベラトロールや、脂肪燃焼効果が期待できるカテキンといったダイエット中に嬉しいポリフェノールも多く含んでいるのです。

赤ワインの飲み方・楽しみ方

赤ワインの風味を損なわない飲み方や、赤ワインが合う料理などについて解説します。

赤ワインの飲み頃の温度

赤ワインは、ボディによって飲み頃の温度が異なります。

  • フルボディ:18℃~30℃
  • ミディアムボディ:13℃~17℃
  • ライトボディ:10℃~12℃

渋味の強いフルボディのワインは、冷やしすぎるとタンニンの渋味が際立つため要注意。室温に近い18℃~20℃なら、渋味がまろやかになり飲みやすくなります。

ミディアムボディやライトボディは、室温よりやや低めの温度が飲み頃です。軽やかな味わいのライトボディの場合、10℃~12℃程度に冷やすことでより甘みが強く感じられます。

牛肉料理にはフルボディ・鶏肉料理にはライトボディが合う

赤ワインに豊富なポリフェノールのタンニンには肉の旨味や甘みを強調し、脂っぽさを和らげる効果があります。こってりした牛肉料理を食べるときは、赤ワインのなかでも特にタンニンが多く、味に深みのあるフルボディのワインがおすすめです。

一方、鶏肉料理などさっぱりしたメニューには、軽めのライトボディや白ワインがマッチする場合も。フルーティーなワインなら、繊細な料理の味を損なわずに楽しむことができるでしょう。

赤ワインは料理酒としても使える

赤ワインは、料理酒としても利用できます。タンニンは肉の旨味が詰まった肉汁の流出を防ぎ、生臭みや脂っぽさを和らげる効果があり、肉料理の味付けにおすすめです。

煮込みハンバーグ・ビーフシチュー・カレーライス・ハヤシライスといった煮込み料理のほか、醤油やみりんと合わせて赤ワインソースにもアレンジできます。

赤ワインによる歯の着色汚れ(ステイン)の予防方法

赤ワインに含まれるポリフェノールの色素は、歯の表面を覆うペリクルと結合するとステインとなり、色素沈着を引き起こします。

ステインを予防するには、赤ワインを飲んだ直後に歯磨きをするのがベストですが、水を飲んだり、マウスウォッシュで口をゆすいだりといった対策でも効果があります。

付着してしまったステインは、着色汚れ専用のオーラルケア用品や、歯医者での歯のクリーニングで落としましょう。

赤ワインによる二日酔い・悪酔いの予防方法

赤ワインを飲むと、二日酔いや悪酔いをするという人も少なくありません。赤ワインによる二日酔い・悪酔いを予防するには、アルコールの吸収を遅くするおつまみを食べたり、チェイサーや和らぎ水を一緒に飲んだりすることが有効です。

赤ワインのおつまみには、脂肪分を多く含むチーズや、肝機能をサポートするタウリンが豊富なタコ・イカのカルパッチョやアヒージョが、味の相性も良くおすすめです。

そのほかの二日酔いの予防・解消に効果的な食べ物・飲み物は、以下の記事で詳しく紹介しています。

二日酔いの予防・解消に効く食べ物&飲み物10選|NANIWA SUPLI MEDIA

赤ワインの保存方法

赤ワインの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

温度は13℃~15℃。冷蔵庫なら野菜室で

赤ワインのみならず、ワイン全般の保存に適した温度は13℃~15℃です。ワインセラーがない場合は、冬場なら常温の室内、夏場なら冷蔵庫の野菜室で保管します。光が当たらない置き場所がベストです。

開封後の赤ワインは2~3日以内を目安に飲み切る

赤ワインは、空気に触れると酸化して風味や栄養素が損なわれる可能性があります。一度開封したワインはできるだけ早く飲み切るようにしてください。

開封後の赤ワインは、2日~3日内に飲み切るのであればスクリューキャップやコルクで再度栓をすれば問題なく保存できるでしょう。1週間以上保存する場合は、ボトル内を真空の状態に近づけられるワイン専用の保存器具を使ってください。

参考文献

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