ヨーグルトの栄養と効果効能・調理法・保存法

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Yogurt

ヨーグルトの原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、ヨーグルトに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

ヨーグルトとは

ヨーグルト(Yogurt)は「はっ酵乳」の一種で、牛やヤギなどの乳を乳酸菌や酵母の力で発酵させたものです。原産国はトルコで、ヨーグルトの語源もトルコ語で「乳からつくった酸っぱいはっ酵乳」という意味の「ヨーウルトゥ(Yoğurt)」から来ています。

世界各国には、さまざまなヨーグルトがあります。日本では、厚生労働省の乳等省令において「乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌または酵母で発酵させ、糊(のり)状又は液状にしたもの、又これらを凍結したもの」と定義づけられています。

日本で最初のヨーグルトが作られたきっかけは、明治時代に始まった牛乳の販売です。1894年ごろ、売れ残った牛乳を処理するために発酵させた「凝乳」が売り出され、これが日本のヨーグルトの起源になりました。

大正時代には「ヨーグルト」と呼ばれるようになりましたが、当時は病人食として扱われるなど一般的な食品ではありませんでした。戦後の1950年に、ようやく本格的に生産されるようになりました。

ヨーグルトの種類

ヨーグルトは、製法によって5つの種類に分かれます。

プレーンヨーグルト

プレーンヨーグルトは、乳を乳酸菌で発酵させたシンプルなヨーグルトを指します。甘味料ような副原料は一切加えられておらず、生乳100%のヨーグルトで、爽やかな味わいが特徴です。

ハードヨーグルト

ハードヨーグルトは、原料の乳に甘味料や果汁、寒天、ゼラチンを加えてプリン状にしたヨーグルト。日本で最初に発売されたヨーグルトがこの種類です。ほどよい甘みや果物の風味などが感じられます。

ドリンクヨーグルト

ドリンクヨーグルトは、ヨーグルトの組織を細かく砕いて液状にしたヨーグルトです。甘味料や果汁などを加えて、飲みやすくしています。食べるタイプのヨーグルトより、のど越しがよく、すっきりしています

ソフトヨーグルト

ソフトヨーグルトは、発酵して固まったヨーグルトをかき混ぜてなめらかにして、甘味料や果汁・果肉などを加えたヨーグルトです。市販のフルーツヨーグルトがこの種類にあたり、デザート感覚で食べられます

フローズンヨーグルト

フローズンヨーグルトは、アイスクリームのように凍らせたヨーグルトです。ヨーグルトは凍結していますが、乳酸菌は生きています。一般的なアイスクリームよりも低カロリーで、さっぱりとした味わいが特徴です。

ヨーグルトに含まれる成分・栄養素

ヨーグルト100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位ヨーグルト 全脂無糖ヨーグルト 低脂肪無糖ヨーグルト 無脂肪無糖ヨーグルト 脱脂加糖ヨーグルト ドリンクタイプ 加糖
廃 棄 率%00000
エネルギー(kcal)kcal/100 g6245426765
エネルギー(kJ)kJ/100 g259188175280272
水 分g/100 g87.789.289.182.683.8
タンパク質g/100 g3.63.744.32.9
アミノ酸組成によるタンパク質g/100 g3.23.33.73.92.6
脂 質g/100 g310.30.20.5
トリアシルグリセロール当量g/100 g2.80.90.20.20.5
飽和脂肪酸g/100 g1.830.580.160.130.33
一価不飽和脂肪酸g/100 g0.710.220.060.060.11
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.10.030.010.010.02
コレステロールmg/100 g125443
炭水化物g/100 g4.95.25.711.912.2
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g3.94.14.311.710.5
水溶性食物繊維g/100 g00000
不溶性食物繊維g/100 g00000
食物繊維総量g/100 g00000
灰 分g/100 g0.80.80.810.6
ナトリウムmg/100 g4848546050
カリウムmg/100 g170180180150130
カルシウムmg/100 g120130140120110
マグネシウムmg/100 g1213132211
リンmg/100 g10010011010080
mg/100 gTrTrTr0.10.1
亜鉛mg/100 g0.40.50.40.4Tr
mg/100 g0.010.0100.01Tr
マンガンmg/100 gTr000.010.01
ヨウ素µg/100 g1714161410
セレンµg/100 g32332
クロムµg/100 g00000
モリブデンµg/100 g44443
レチノールµg/100 g3312305
α-カロテンµg/100 g000--
β-カロテンµg/100 g342--
β-クリプトキサンチンµg/100 g0----
β-カロテン当量µg/100 g3-201
レチノール活性当量µg/100 g33-305
ビタミンDµg/100 g000TrTr
α-トコフェロールmg/100 g0.100TrTr
β-トコフェロールmg/100 g00000
γ-トコフェロールmg/100 g00000
δ-トコフェロールmg/100 g00000
ビタミンKµg/100 g100TrTr
ビタミンB1mg/100 g0.040.040.040.030.01
ビタミンB2mg/100 g0.140.190.170.150.12
ナイアシンmg/100 g0.10.10.10.10.1
ビタミンB6mg/100 g0.040.040.040.020.03
ビタミンB12µg/100 g0.10.10.20.30.2
葉酸µg/100 g11151631
パントテン酸mg/100 g0.490.410.350.440.3
ビオチンµg/100 g2.51.62.121.2
ビタミンCmg/100 g121TrTr
食塩相当量g/100 g0.10.10.10.20.1
アルコールg/100 g-----
硝酸イオンg/100 g-----
テオブロミンg/100 g-----
カフェインg/100 g-----
タンニンg/100 g-----
ポリフェノールg/100 g-----
酢酸g/100 g-----
調理油g/100 g-----
有機酸g/100 g-0.81.10.91
重量変化率%-----
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ヨーグルトの効果・効能

ヨーグルトに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

腸内環境や免疫力に効果がある乳酸菌

ヨーグルトに含まれる乳酸菌を毎日摂取すると、善玉菌が増えて腸内環境が整います。

腸の蠕動運動って便は押し出されますが、腸内環境が整うことで、腸内の活動が活発になり、便秘の改善を図ることができます。また、これはデトックス効果もあり、ダイエットにも効果があるといわれています。

さらに、腸内環境の改善は、免疫力にもつながります。腸内の善玉菌が増えると、サイトカインという免疫活性物質の分泌を促進。そして、全身のリンパ球が活性化し、免疫力がアップするといわれています。

骨粗しょう症を予防するカルシウム

牛乳やヨーグルトのような乳製品には、カルシウムが豊富に含まれています。

日本人は昔から小魚や海藻を食べてカルシウムを摂取していましたが、近年食生活が欧米化し、このような食べ物の摂取量が減少したため、カルシウム不足といわれています。カルシウムは骨を構成する成分です。カルシウム不足の状態が続くと、骨粗しょう症のリスクが高まります。

しかし、ヨーグルトに含まれるカルシウムの吸収率は40%で、小魚の33%に比べて非常に高い吸収率です。これはヨーグルトのタンパク質や乳糖がカルシウムの吸収をサポートする役割があるためとされています。したがって、ヨーグルトを食べることで骨粗しょう症を予防することができます

人間の体を作るタンパク質

タンパク質は、人間の体を作る大切な栄養素です。タンパク質はアミノ酸から構成されます。アミノ酸が結合してペプチドになり、そのペプチドがさらに集まるとタンパク質と呼ばれます。

ヨーグルトのタンパク質はペプチドやアミノ酸に分解されており、一般的なタンパク質より吸収しやすくなっています。これは、もともと牛乳に含まれていたタンパク質の一部が、乳酸菌によって分解されるためです。

ペプチドやアミノ酸は、人体の細胞をはじめとする体の組織を作ります。また、貧血を防止する鉄や消化を助けるカリウムの吸収を助けたり、血圧を抑制する効果があると報告されています。

弱ったときのエネルギー源になる脂質

脂質は、エネルギーを得るために必要な栄養素です。ヨーグルトの脂質は脂肪球の構造が小さく、牛乳と比べて吸収しやすくなっています。

そのため、消化吸収能力が弱い幼児や高齢者、ストレスを感じている人、病み上がりの人などが少量のヨーグルトの摂取すれば、エネルギーをしっかり蓄えることができます。

代謝をサポートするビタミンB2

ビタミンB2は、脂質代謝の促進や皮膚・粘膜などの修復に関わる栄養素です。

糖質や脂質、タンパク質を体内でエネルギーに変換するなど代謝を支える重要な働きをしているため、運動などでエネルギーをたくさん消費する人はビタミンB2をたくさん摂取することをおすすめします。

また、ビタミンB2を摂取することで、肌を健やかに保つ効果があるほか、口角炎や口内炎、舌炎など、皮膚・粘膜の炎症を防ぐことができます。

ヨーグルトの食べ方

ヨーグルトの栄養素を効果的に摂取する食べ方を解説します。

ダイエットにはホットヨーグルト

ダイエットをしている人は、ヨーグルトを温めた「ホットヨーグルト」がおすすめです。乳酸菌が最も活発に動くとされる40度前後までヨーグルトを温めることで、ダイエット効果が高まります。

ただし、ヨーグルトを温める際は、菌が死滅しないように温度に注意が必要です。100gあたり、600Wで30~40秒電子レンジで加熱しましょう。

カルシウムを多く摂取するなら夜がおすすめ

カルシウムを効率よく摂取するなら、ヨーグルトは夜に食べることをおすすめします。朝食時と夕食時にカルシウムを摂り、その吸収率を調べた実験では夕飯時の方が吸収率が高いことがわかっています。

また、空腹の状態で摂取すると乳酸菌が胃酸で死んでしまうため、夕食後に食べましょう。生きた乳酸菌によって、便秘やダイエット、免疫力に関係する効果が期待できます。

ヨーグルトの保存方法

ヨーグルトの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

10℃以下で保存

ヨーグルトの乳酸菌は生きているため、低い保存温度なら発酵の進みが遅く、製造した時の新鮮な味をキープできます。逆に、温度が高いと乳酸菌の活動が活発になるため、酸度が高まり、乳酸菌が減少して、味が酸っぱくなってしまいます。

保存するときの注意点

ヨーグルトを冷蔵庫で保存する際は、振動を加えないよう、ドアの部分に入れないようにしましょう。ヨーグルトに振動を加えると、水分である「ホエイ」が分離してしまいます。ホエイの中には水溶性のタンパク質やカルシウム、ビタミンなどの栄養が含まれているため、振動によってこれらの栄養が損なわれることになってしまいます。

また、ヨーグルトの保存容器のふたはしっかりと閉めましょう。空気中の雑菌が入ると風味が変わり、カビが生える原因につながります。また、ヨーグルトは匂いを吸着しやすい性質があるため、さまざまなものを保存している冷蔵庫では密閉をして匂い移りを防ぎましょう。

参考文献

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