むくみの予防・改善におすすめの食べ物・飲み物
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むくみの症状や定義、原因について解説したうえで、むくみの予防・改善に役立つ栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。
むくみとは
むくみ(浮腫み/swelling)とは、体内に余分な水分がたまり、体の一部分または全身が腫れる症状のことを言います。症状が出やすいのは手足や顔など体の末端部で、通常は痛みを伴いません。
むくみは、血管の外側の細胞内にある血液と水分のバランスが崩れ、細胞と細胞の間に水分がたまってしまうことで発生します。血管から細胞の間に流れ出る水分が増えたり、血管やリンパ管へ吸収される水分が減少することが主な原因です。
むくみのことを、医療用語では浮腫(ふしゅ)と呼びます。むくみの原因は、生活習慣やホルモンバランスによるものや、病気が引き起こすものなどさまざまです。むくみに悩んでいるのは圧倒的に女性が多いとされています。
むくみの種類
むくみは、症状が出る部位によって、全身性浮腫(ぜんしんせいふしゅ)と局所性浮腫(きょくしょせいふしゅ)の2種類に大きく分けられます。
全身性浮腫
全身性浮腫とは、全身に症状が出るむくみのことです。全身性浮腫の主な原因は内臓の疾患で、腎性・心性・肝性など複数の原因があります。
局所性浮腫
体の一部にだけ生じるむくみのことを、局所性浮腫と呼びます。全身性浮腫と異なり、右足だけむくんでいる、など左右非対称に症状が出ることが多いのが特徴。静脈やリンパなどの流れが悪くなることが局所性浮腫の主な原因です。
むくみの原因
むくみを引き起こす主な原因は次の通りです。
血行不良
むくみは血行不良と密接に関わっています。血行が悪いと体全体に酸素などの栄養素が行き届かなくなり、老廃物や水分をスムーズに排出できなくなります。
手足や顔など体の末端部に血液が停滞すると、血管から水分が流れ出し、血管の外側にある細胞の間などに余分な水分がたまってしまい、むくみとなります。
体の冷え
体の冷えもむくみの原因です。冷えは血行が悪くなることで起こりますが、足や手など末端部の毛細血管まで血液が巡らず血管やリンパの流れが悪くなると、老廃物が排出できず、水分バランスが崩れむくみを生じます。
生活習慣
塩分の過剰摂取・お酒の飲み過ぎなど、乱れた生活習慣により体内の水分バランスが崩れることもむくみの原因となります。たとえば、アルコールを摂取した翌日に顔やまぶたが腫れぼったくなるなどの症状が、乱れた生活習慣によるむくみに該当します。
ホルモンバランスの乱れ
女性特有のホルモンバランスの乱れがむくみを引き起こすこともあります。代表的な原因は以下の3つです。
- エストロゲンの減少:更年期に差し掛かると女性ホルモンのエストロゲンが減少し、血管の収縮・拡張を調節する自律神経のバランスが乱れます。自律神経の乱れにより血行が悪くなるため、むくみを生じやすくなります。
- 生理前のむくみ:生理前に増加するプロゲステロンという女性ホルモンには、体に水分をため込む性質があります。生理が近づくとむくみやすくなるのは、このプロゲステロンのためです。
- 妊娠中のホルモンバランスの変化:妊娠中はホルモンのバランスが大きく変化するため、特にむくみやすくなります。産後のむくみも、ホルモンの急激な変化が原因です。さらに、子宮が大きくなる妊娠後期には、脚から心臓へ流れる血流が圧迫されることで、妊婦は脚がむくみやすくなるとも言われています。
病気や薬の副作用
むくみの症状は、病気のサインである可能性もあります。ネフローゼ症候群などの腎疾患や、心不全などの心疾患、肝硬変、甲状腺機能低下症などが原因でむくむことがあるので、違和感があるときは速やかに医療機関を受診してください。
また、高血圧の薬や糖尿病の薬など、一部の薬の副作用により体がむくむこともあります。
むくみを引き起こす生活習慣
むくみにはさまざまな原因がありますが、ここではむくみを引き起こすと考えられる生活習慣について具体的に解説します。
長時間同じ姿勢でいる
立ちっぱなし・座りっぱなしなど、長時間同じ姿勢を続けることにより血行が悪くなると、下半身がむくんでしまいます。
ふくらはぎの筋肉には血液を心臓に戻すポンプのような働きがありますが、同じ姿勢を取り続けているとふくらはぎの筋肉が動かず、血液の巡りが悪くなってしまうのです。
また、補正下着などの強く締めつける服や、サイズのきつい靴を着用することで血流が悪くなり、むくみが生じることもあります。
塩分の摂り過ぎ
食生活の面では、塩分の摂り過ぎがむくみの原因となります。
人間の体には、細胞内の塩分濃度を一定に保とうとする働きがあります。塩分が過剰になると、それを薄めるために体に水をため込もうとして、余分な水分まで留めてしまいます。その結果、細胞間の水分が過剰になりむくみが生じます。
水分不足・水分の摂り過ぎ
水分不足や水分の摂り過ぎも、むくみの原因の一つです。水分が不足すると体内の水分バランスが崩れ、体に水をため込もうとする働きが起こり、むくんでしまうことがあります。
一方、水分を摂り過ぎても、体内に余分な水がたまってしまいます。冷たい飲み物を一気に飲むなどして胃腸の血流が悪くなることもむくみの一因と考えられます。
アルコールの過剰摂取
アルコールの過剰摂取もむくみの原因です。お酒を飲み過ぎた翌日に、顔やまぶたが腫れぼったくむくんでしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか。
お酒を飲んで血中アルコール濃度が高くなると、血管が拡張して水分が外に漏れ出します。水分の量を調整しようとする体の働きで、余分な水分がため込まれてしまうことでむくみが発生するのです。
運動不足
運動不足で筋肉が衰えると血行が悪くなり、その結果むくみやすい体になります。多くの女性が悩む脚のむくみは、心臓に脚の血液を送り返すポンプのような役割をしているふくらはぎの筋力低下が原因と考えられています。
むくみの予防・改善に効果的な栄養素
むくみの予防・改善に効果的な栄養素を紹介します。
なお、むくみにはさまざまな原因が考えられますが、ここでは特に生活習慣が引き起こすむくみの予防・改善を対象として解説します。
カリウム:余分な塩分を体外に排出する
カリウムは、人間の体を維持するために大切な必須ミネラルの一種。カリウムには体の浸透圧を調整し、余分なナトリウム(塩分)を汗や尿として体外に排出する作用があるため、むくみに効果的です。
塩分には、むくみを引き起こす余分な水分をため込もうとする性質があります。塩分を摂り過ぎたと感じたら、カリウムを多く含む食品を摂取してむくみを予防・改善しましょう。
カリウムは、体内の水分バランスを調節してくれるので、湿度が高くなる梅雨の時期にむくみやすくなるという方にも役立つ栄養素です。
カリウムは、海藻や野菜、果物などに多く含まれています。カリウムが特に豊富な食材は、わかめ・ひじき・昆布など、野菜だとほうれん草・アボカド・枝豆・にら・じゃがいもなど、果物だとバナナ・キウイフルーツ・柿・りんごなどです。
カリウムは、バナナや海藻入りサラダなど、コンビニで買える食品からも手軽に摂取することができます。
カリウムの効果効能・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンE:血行を促進する
むくみは、血行不良により血管やリンパの流れが悪くなることで引き起こされます。手足の先が冷たくなる冷え性や、それに伴うむくみにお悩みの方には、血行促進効果のあるビタミンEの摂取がおすすめです。
ビタミンEには、血管を収縮させる神経伝達物質の生成を抑える働きがあり、毛細血管を拡張して血流をスムーズにする作用があります。
ビタミンEは、ナッツ類・植物油・魚介類・緑黄色野菜などに豊富に含まれています。特に、コンビニなどでも買えるアーモンドにはナッツ類のなかでも多くのビタミンEが含まれており、スナック感覚で栄養を取り入れられます。
なお、ビタミンEは油に溶けやすい性質を持っているので、吸収率を高めたいときは油と共に食べてみてください。
ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
クエン酸:老廃物の排出を促し新陳代謝を高める
疲労回復効果で知られるクエン酸には、体内にたまった老廃物の分解・排出を助ける働きがあり、むくみ対策に役立つ栄養素です。
さらに、クエン酸には新陳代謝を高めたり、血流を改善する効果も期待できます。新陳代謝の低下が一因と言われる舌のむくみにもクエン酸が有効と考えられるでしょう。
クエン酸は、酢や梅干しに多く含まれるほか、レモンやグレープフルーツなどの柑橘類にも含まれています。
ビタミンB6:ホルモンに働きかけ生理前のむくみを改善
女性ホルモンの乱れからくる生理前のむくみにおすすめなのは、ビタミンB6を多く含む食材です。
女性ホルモンの一種であるエストロゲンの代謝を助ける作用があるビタミンB6は、ホルモンバランスを整える栄養素です。イライラ・落ち込みなどが起こる月経前症候群(PMS)を改善する効果も期待されています。
ビタミンB6は、鶏ささみ・豚ヒレなど脂肪分の少ない肉や、かつお・まぐろなど赤身の魚に豊富で、バナナやにんにくにも多く含まれています。
ビタミンB6は水溶性のため、スープや鍋物など汁ごと食べられる料理にすると栄養素を余さず摂取できます。野菜や果物などは生のまま食べるのがおすすめです。
ビタミンB6の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
サポニン:体内の水分量を調整する
サポニンは、マメ科の植物に多く含まれる配糖体の一種です。
利尿作用のあるサポニンは、体内の水分量を調整し、むくみを引き起こす過剰な水分の排出を助けます。また、高麗人参に含まれるサポニンには、血栓をできにくくし毛細血管の血流を良くするなど血行改善効果も期待できるため、むくみ対策にはぴったりな栄養素と言えるでしょう。
サポニンを多く含んでいるのは、大豆・大豆製品・ごぼう・高麗人参・田七人参などです。日常生活で取り入れやすいのは大豆製品やごぼうですが、豆腐・豆のサラダ・きんぴらごぼうなどコンビニで買える惣菜類でも効果があるので試してみてください。
なお、ごぼうは皮の部分にサポニンが豊富なので、多く摂取したいときは皮も活かせる調理方法がベターです。より手軽に栄養を摂りたい場合、ごぼう茶や高麗人参のサプリメントなども活用してみましょう。
むくみの予防・改善に効果的な生活習慣
むくみを予防・改善するために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。
塩分やアルコールは適度に
むくみが気になるときは、まず食生活を見直してみましょう。
塩分やアルコール類を摂り過ぎると体内に余分な水分をため込んでしまうこととなり、むくみやすくなります。塩分やアルコールの摂取を控えることが、むくみの改善・予防の第一歩です。
ミネラル・ビタミン・たんぱく質を含む食材を摂取する
むくみ改善効果のある、ミネラル類・ビタミン類を積極的に摂るのも有効です。
特に、塩分の排出を助けるカリウムや、血行改善効果のあるビタミンEが豊富な食材を、毎日の食事のなかに意識して取り入れてみてください。
また、たんぱく質の一種であるアルブミンの不足もむくみの一因と言われています。良質なたんぱく質は、肉・魚・豆類などに多く含まれているので、ダイエットなどで偏った食生活になってしまっている方は、これらの栄養素が不足しないよう気を付けましょう。
体を冷やさないようにする
体が冷えると血行が悪くなり、体内に余分な水分をため込みやすくなります。むくみを予防するため、日常生活のなかで体を冷やさない工夫をしましょう。
入浴や、防寒具・暖房などで外側から体を温めることも有効ですが、血行を良くし体を温める効果のある根菜類やココアなどを摂取し、体を内側から温めることも大切です。
適度な運動で筋肉を付ける
筋肉には、血行改善効果や冷えを予防し、むくみを改善する効果があります。運動不足の自覚がある方は、適度に体を動かして筋肉を付けましょう。
特に、ふくらはぎなど下半身の筋肉はむくみと密接に関わっており、意識して鍛えたい部分です。座った状態で足首を回すストレッチや、軽い屈伸運動でも効果があるので試してみてください。
着圧ソックスを着用する
脚のむくみには、むくみ解消用の着圧ソックスも効果的です。ソックスが適度な圧力をかけることで、ふくらはぎの筋肉の働きを助けて血流を促進し、むくみを改善してくれます。
着圧ソックスは、昼用・夜用など目的別にラインナップされているので、シーンに合わせて使い分けることでより高い効果が実感できるでしょう。
参考文献
- カリウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)
- ビタミンE | 海外の情報 | 一般の方へ|eJIM
- ビタミンB6 | 海外の情報 | 一般の方へ|eJIM
- 浮腫(ふしゅ)に関するQ&A|看護roo!
- リンパ浮腫の考え方と治療の基本|日本リンパ浮腫学会
- 妊娠中のむくみを解消!原因と改善方法は?マッサージや食べ物|医師監修 | kosodate LIFE(子育てライフ)
- タンパク質不足と浮腫(むくみ)|医療法人社団 満岡内科・循環器クリニック
記事の監修
AYA ARAHARA
ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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