おかひじきの栄養と効果効能・調理法・保存法
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おかひじきの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、おかひじきに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
おかひじきとは
おかひじき(saltwort)とは、ヒユ科オカヒジキ属の一年草です。「ひじき」と名前がついていますが、海藻ではなく植物に分類されます。見た目がひじきに似ていることから、おかひじきという名がつきました。地域によっては、同じく海藻のミル(海松)に似ていることから、オカミル、ミルナ(水松菜)とも呼ばれます。
可食部は若い葉や茎で、シャキシャキとした歯ごたえが特徴です。淡白な味わいなので、汁物から炒め物・揚げ物・和え物などさまざまな料理に活用されます。
原産地として有名なのは山形県の南陽市です。江戸時代から栽培が始まり、今では山形県の伝統野菜として知られています。山形県で伝統野菜として栽培出荷されているおかひじきの出荷時期は、3月下旬から11月上旬です。
そのほかの天然物や露地栽培のおかひじきは、4月から6月が旬時期となっていますが、ビニール栽培が盛んに行なわれており、通年流通しています。また害虫がつきにくい性質があるため、市販されているもののほとんどは無農薬となっています。
おかひじきは日本全国の海岸・砂浜に自生していましたが、近年は土地の開発によって自生地が減少しつつあります。
おかひじきに含まれる成分・栄養素
おかひじき100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
おかひじきには美容に良いとされるビタミンEのほか、カリウムやカルシウムなどのミネラルが多く含まれています。整腸作用のある食物繊維や抗酸化作用を持つβ‐カロテンも豊富で、近年は栄養価の高い食品として注目を浴びています。
さらにカロリーが低めなので、ダイエットや健康維持に役立つ食品と言えます。
食 品 名 | 単位 | おかひじき 茎葉 生 | おかひじき 茎葉 ゆで | |
廃 棄 率 | % | 6 | 0 | |
エネルギー | kJ | 67 | 64 | |
kcal | 16 | 16 | ||
水 分 | g | 92.5 | 92.9 | |
タンパク質 | アミノ酸組成によるタンパク質 | g | - | - |
タンパク質 | g | 1.4 | 1.2 | |
脂質 | 脂肪酸のトリアシルグリセロール当量 | g | - | - |
コレステロール | mg | 0 | 0 | |
脂質 | g | 0.2 | 0.1 | |
炭水化物 | 利用可能炭水化物(単糖当量) | g | - | - |
g | ||||
利用可能炭水化物(質量計) | g | - | - | |
差引き法による利用可能炭水化物 | g | 0.9 | 1.1 | |
* | * | |||
食物繊維総量 | g | 2.5 | 2.7 | |
糖アルコール | g | - | - | |
炭水化物 | g | 3.4 | 3.8 | |
有機酸 | g | - | - | |
灰分 | g | 2 | 1.6 | |
無機質 | ナトリウム | mg | 56 | 66 |
カリウム | mg | 680 | 510 | |
カルシウム | mg | 150 | 150 | |
マグネシウム | mg | 51 | 48 | |
リン | mg | 40 | 34 | |
鉄 | mg | 1.3 | 0.9 | |
亜鉛 | mg | 0.6 | 0.6 | |
銅 | mg | 0.1 | 0.1 | |
マンガン | mg | 0.66 | 0.59 | |
ヨウ素 | μg | - | - | |
セレン | μg | - | - | |
クロム | μg | - | - | |
モリブデン | μg | - | - | |
ビ タ ミ ン | レチノール(ビタミンA) | μg | 0 | 0 |
α|カロテン | μg | 0 | 0 | |
β|カロテン | μg | 3300 | 3200 | |
β|クリプトキサンチン | μg | 0 | 0 | |
β|カロテン当量 | μg | 3300 | 3200 | |
レチノール活性当量 | μg | 280 | 260 | |
ビタミンD | μg | 0 | 0 | |
α-トコフェロール | mg | 1 | 1 | |
β-トコフェロール | mg | Tr | Tr | |
γ-トコフェロール | mg | 0 | 0 | |
δ-トコフェロール | mg | 0 | 0 | |
ビタミンK | μg | 310 | 360 | |
ビタミンB1 | mg | 0.06 | 0.04 | |
ビタミンB2 | mg | 0.13 | 0.1 | |
ナイアシン | mg | 0.5 | 0.4 | |
ナイアシン当量 | mg | 0.7 | 0.6 | |
ビタミンB6 | mg | 0.04 | 0.03 | |
ビタミンB12 | μg | 0 | 0 | |
葉 酸 | μg | 93 | 85 | |
パントテン酸 | mg | 0.22 | 0.22 | |
ビ オ チ ン | μg | - | - | |
ビタミンC | mg | 21 | 15 | |
アルコール | g | - | - | |
食塩相当量 | g | 0.1 | 0.2 | |
備 考 | 別名: みるな 廃棄部位: 茎基部硝酸イオン: 0.5 g | 別名: みるな 茎基部を除いたもの硝酸イオン: 0.4 g |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
おかひじきの効果・効能
おかひじきに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
カリウムで高血圧症予防
おかひじきには、ミネラルの一種であるカリウムが豊富です。カリウムは細胞内液の浸透圧を調整する過程でナトリウム(塩分)の排出を促すので、高血圧症予防として注目されている栄養素です。
特に日本人の高血圧症は、塩分の摂り過ぎが一番の原因と言われています。カリウムが多く含まれる食品を意識して摂って、塩分の摂り過ぎを防ぎましょう。
カリウムの効果効能・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
食物繊維で便秘解消
おかひじきには整腸作用のある食物繊維が含まれています。食物繊維は胃で消化吸収されずに大腸まで届くことで、腸のぜん動運動を刺激する作用があります。
さらに脂質・糖・ナトリウムを吸着して排出する働きもあるため、美容面・健康面でも役立つでしょう。
食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA
β‐カロテンやビタミンEの抗酸化作用
おかひじきに含まれるβ‐カロテンやビタミンEなどの栄養素は、高い抗酸化作用を持ちます。これらの抗酸化物質は体内で発生する活性酸素の働きを抑えたり、活性酸素そのものを除去したりする作用があります。
活性酸素は免疫機能の維持や生理活性に役立ちますが、過剰に発生すると老化やがんをリスクを高めてしまう物質です。紫外線やストレスなどで活性酸素の発生量は増えますので、抗酸化物質を上手に取り入れていきましょう。
β-カロテンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
豊富なミネラルが骨を強化
おかひじきには、鉄・カルシウム・マグネシウム・リンなどのミネラルが多く含まれています。これらのミネラルはいずれも、骨の生成に欠かせない栄養素です。
また、骨粗しょう症予防に役立つビタミンKも豊富です。ビタミンKはカルシウム結合タンパク質であるオステオカルシンを活性を促す作用を持ち、健康的な骨作りをサポートしてくれるでしょう。
鉄の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
マグネシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
リンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・摂取量を減らす方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンKの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
おかひじきの食べ方や注意点
おかひじきの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。
おかひじきの選び方
おかひじきを選ぶときは、葉や茎にハリと艶のあるものを選びましょう。色が青々としているものも新鮮な証拠です。また、おかひじきは若芽を食べますので、育ちすぎていない丈の短いもののほうがおいしく食べられます。加えて、なるべく茎が細いものを選ぶと良いでしょう。
一方、変色しているものや茎が太く育ち過ぎたおかひじきは、鮮度が落ちている傾向にあります。
おかひじきの下処理方法
おかひじきはアクが強いので、食べる際は下処理を行ないましょう。ただし炒め物や天ぷらにする場合は、下処理なして調理して構いません。
アク抜きの方法は、茹でるか、水に浸けるかの2通りです。
茹でる場合は軽く塩を加えたお湯で、1分から2分ほど茹でます。茹ですぎるとおかひじき特有の食感が失われてしまいますので、短時間で済ますのがポイントです。下ごしらえが完了したら、お浸しや和え物に利用しましょう。
生のまま食す場合は水に浸けます。茹でる場合と比較すると、シャキシャキとした食感が失われにくいので、より手軽においしく食べられる方法と言えます。
油と一緒に摂取するのがおすすめ
β‐カロテンやビタミンEなど脂溶性の栄養素を積極的に摂りたい場合は、油と合わせましょう。どちらも油に溶けやすい栄養素なので、そのひと工夫で吸収効率がアップします。
油を使って炒めたり、サラダにする場合はオイルドレッシングをかけて食べたりする方法がおすすめです。良質な脂質が多く含まれる魚類と合わせても良いでしょう。手軽なところではツナ缶やサバ缶が使いやすいです。
ビタミンCが豊富な食品を合わせて
おかひじきに含まれる鉄の吸収効率を高めるなら、ビタミンCが豊富な食品と一緒に摂取しましょう。
また、ビタミンCも鉄も熱に弱いので、サラダにして食べる方法がおすすめです。ビタミンが多く含まれるパプリカやトマトと合わせると、彩りも良くなるでしょう。
食べ過ぎによる下痢に注意
おかひじきには食物繊維が豊富に含まれるので、あまりにも過剰に摂取しすぎると下痢や腹痛などの症状が出る場合があります。
現代の日本人は総じて食物繊維の摂取量が足りていないと言われており、摂り過ぎることはほぼないと考えられますが、サプリメントで食物繊維を多く摂取している人は気を付けましょう。
おかひじきの保存方法
おかひじきの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
常温保存
おかひじきは常温で保存するのは適さないので、必ず冷蔵か冷凍で保存しましょう。
冷蔵保存
おかひじきは乾燥すると食感が落ちてしまいます。保存するときはラップで包む、または保存袋に入れて冷蔵保存しましょう。野菜室でおおよそ3日から5日程度持ちますが、あまり日持ちしないので早めに食べきるのがおすすめです。
冷凍保存
冷凍保存する場合は、固めに下茹でしてから保存します。なるべく食感の劣化を防ぐために、茹で時間は1分程度を目安に。よく水を切ったおかひじきをバットに並べて急速冷凍させたら、保存袋に移して冷凍庫で保存します。
保存期間の目安は2週間から1ヶ月程度です。食べるときは冷凍庫で自然解凍するか、凍ったまま調理に使いましょう。