セージの栄養と効果効能・調理法・保存法

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セージの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、セージに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

セージとは

セージ(Sage)は、シソ科アキギリ属の多年草で、葉はハーブやスパイスとして利用される薬用植物です。鑑賞用の花であるサルビアの近縁種で、ヤクヨウサルビアとも呼ばれます。

セージの原産地は地中海沿岸で、ヨーロッパでは古くから薬効のあるハーブとして用いられてきました。抗菌・防腐作用など多くの効能があり、「長生きしたければ5月にセージを食べなさい」といったことわざも存在します。

セージの葉には独特の苦味があり、肉・魚料理の臭み消しとして使われるほか、ソーセージの香辛料としても定番。ソーセージの語源は、牝豚(Sau)とセージ(Sage)が合成されたという説もあるほどです。

セージを用いたハーブティーは、すっきりとした味わいで、五感を活性化させたり車酔いを改善する効果があると言われています。また、セージの持つ抗菌作用を活かし、セージティーを風邪予防のうがいに用いることもあります。

セージの葉が収穫される旬の時期は7~10月です。家庭で育てる場合、葉が出ている間はいつでも収穫できます。花が咲くと香りが弱まるため、ハーブとして利用する場合は開花前に葉を収穫しましょう。

セージの葉から抽出される精油には樟脳のようなスッとした香りがあり、アロマオイルとしても高い人気があります。

主なシソ科ハーブの効能|セージ・タイム・ローズマリー・オレガノの違い

セージと同じシソ科には、食用として利用できるハーブが多くあります。セージを含む主要なシソ科ハーブの効能は次の通りです。

  • セージ:殺菌作用・防腐作用
  • タイム:殺菌作用・防腐作用
  • ローズマリー:記憶力・集中力を高める
  • オレガノ:消化促進作用

セージの品種・種類

代表的なセージの種類を紹介します。セージには、メキシカンセージやチェリーセージなど、食用ではない鑑賞用のセージも多数存在します。

コモンセージ

コモンセージは、最も一般的な食用セージです。単にセージというときはコモンセージのことを指します。葉には樟脳のようなすっきり系の香りがあり、独特の苦味を味わえます。

抗菌作用・防腐作用・消化促進作用などがあり、ハーブティーや料理の臭み消しなど、さまざまな用途で使われています。

クラリセージ

女性のためのハーブとも呼ばれるクラリセージには、女性ホルモンのエストロゲンに似たスクラレオールという成分が含まれています。

甘い香りのするクラリセージの精油は、PMS(月経前症候群)や月経不順、更年期など女性特有の悩みに効果を発揮します。

パイナップルセージ

パイナップルセージは、パイナップルのような甘酸っぱい香りを持った食用セージで、鮮やかな赤い花を咲かせる品種です。

ハーブティーに向いているほか、肉料理との相性も良く、料理の風味付けにも活用できます。甘い香りのするパイナップルセージは、コモンセージのスッとした香りが苦手な方にもおすすめです。

ホワイトセージ

ホワイトセージは、ネイティブアメリカンが聖なるハーブとして用いてきた植物で、食用のセージとは異なる品種です。葉や茎が白っぽく見えることがホワイトセージと呼ばれる所以で、葉には細かな毛が生えています。

ホワイトセージの葉を燃やすと浄化作用が得られるといい、スピリチュアルなアイテムとして利用されています。

セージに含まれる成分・栄養素

セージ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位セージ 粉
廃 棄 率%0
エネルギー(kcal)kcal/100 g384
エネルギー(kJ)kJ/100 g1607
水 分g/100 g9.2
たんぱく質g/100 g6.4
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-
脂 質g/100 g10.1
トリアシルグリセロール当量g/100 g-8.8
飽和脂肪酸g/100 g-5.46
一価不飽和脂肪酸g/100 g-1.48
多価不飽和脂肪酸g/100 g-1.39
コレステロールmg/100 g0
炭水化物g/100 g66.9
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-
水溶性食物繊維g/100 g-
不溶性食物繊維g/100 g-
食物繊維総量g/100 g-
灰 分g/100 g7.4
ナトリウムmg/100 g120
カリウムmg/100 g1600
カルシウムmg/100 g1500
マグネシウムmg/100 g270
リンmg/100 g100
mg/100 g50
亜鉛mg/100 g3.3
mg/100 g0.53
マンガンmg/100 g2.85
ヨウ素µg/100 g-
セレンµg/100 g-
クロムµg/100 g-
モリブデンµg/100 g-
レチノールµg/100 g0
α-カロテンµg/100 g0
β-カロテンµg/100 g1400
β-クリプトキサンチンµg/100 g0
β-カロテン当量µg/100 g1400
レチノール活性当量µg/100 g120
ビタミンDµg/100 g0
α-トコフェロールmg/100 g-
β-トコフェロールmg/100 g-
γ-トコフェロールmg/100 g-
δ-トコフェロールmg/100 g-
ビタミンKµg/100 g-
ビタミンB1mg/100 g0.09
ビタミンB2mg/100 g0.55
ナイアシンmg/100 g2.7
ビタミンB6mg/100 g-
ビタミンB12µg/100 g0
葉酸µg/100 g-
パントテン酸mg/100 g-
ビオチンµg/100 g-
ビタミンCmg/100 g0
食塩相当量g/100 g0.3
アルコールg/100 g-
硝酸イオンg/100 g-
テオブロミンg/100 g-
カフェインg/100 g-
タンニンg/100 g-
ポリフェノールg/100 g-
酢酸g/100 g-
調理油g/100 g-
有機酸g/100 g-
重量変化率%-
備考
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

セージの効果・効能

セージに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

優れた抗菌力で風邪・感染症を予防

セージには、強力な抗菌作用や抗ウイルス作用があることがわかっており、風邪や感染症の予防効果が期待できます。

セージの抗菌力は、同じシソ科のハーブであるタイムや青じそに比べてより強いという実験結果も発表されています。報告によれば、胃炎の原因となるピロリ菌や、虫歯の原因となるミュータンス菌に対して、セージがより強い抗菌力を発揮したといいます。

セージのハーブティーはうがい薬としても利用することができ、風邪やインフルエンザが流行する季節や、のどに痛みや腫れが生じたときに役立ちます。また、口内炎や歯肉炎など口内のトラブルにも効果的です。

アンチエイジングや健康維持に役立つポリフェノール

セージには、抗酸化物質の一種であるポリフェノールが豊富です。抗酸化物質とは、老化・がん・生活習慣病などの原因となる活性酸素を除去する作用をもった栄養素の総称です。

セージには、脳の健康を維持するロスマリン酸・紫外線から皮膚を保護するカルノシン酸などが含まれています。

ポリフェノールは野菜や果物に多く含まれますが、セージのポリフェノール含有量はほうれん草の44倍という報告もあり、セージは、食品のなかでも非常に特に強い抗酸化作用を持ったハーブです。

記憶力アップやアルツハイマー病の予防

セージには脳の働きを良くし、記憶力・注意力・集中力を高める作用が認められています。

軽度から中等度のアルツハイマー病患者に対して、セージの抽出物が思考力や学習力を向上させる効果があるという実験結果も発表されました。

脳の機能を高めるセージは、仕事や勉強で集中力を高めたいときにも最適なハーブです。

女性のホルモンバランスを整えるスクラレオール

セージの精油はアロマテラピーで人気があり、女性のホルモンバランスを整える作用が期待されています。

特に、セージの一種であるクラリセージには女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをするスクラレオールという成分が含まれており、あらゆる女性の悩みに効果的です。

スクラレオールは、PMS(月経前症候群)や生理不順など月経にまつわる悩みから、ホットフラッシュなど更年期に生じる諸症状の解消に役立つと言われています。

セージの食べ方

セージの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

香りの強いセージを料理に取り入れるなら少量

セージは、食用ハーブのなかでも非常に強い香りを持ったハーブです。多く使用すると料理の風味を損なう可能性があるため、セージを料理に取り入れる場合は、スパイスとして少量使うのがおすすめです。

セージの強い香りを楽しむには、オイルや酢に漬けて香りをうつしたり、刻んだ葉をバターに混ぜ込んで使っても良いでしょう。

セージ独特のスッとする香りが苦手な方は、甘い香りを持つパイナップルセージなど別の品種も試してみてください。

うがい薬としても利用できるセージのハーブティー

強力な抗菌作用を持つセージのハーブティーは、飲用はもちろん、うがい薬として利用すれば風邪予防や口内炎の改善に役立ちます。

生のセージの葉を使ったフレッシュハーブティー、乾燥させた葉で淹れたドライハーブティーのどちらも抗菌作用があるので、水でのうがいに物足りなさを感じたときはセージティーのうがいを試してみてください。

妊娠中・授乳中のセージの摂取は控える

セージは、妊娠中・授乳中には摂取しない方が良いといわれているハーブのひとつです。

セージには女性ホルモンに似た成分が含まれており、母体に何らかの影響が出る可能性があるため、妊娠中・授乳中の使用は控えましょう。

食べ過ぎると副作用が生じる可能性あり

セージはアメリカの食品医薬品局(FDA)によって安全性が認められ、香辛料としての使用が承認されている食品です。

ただし、セージを大量に摂取することで、情緒不安・嘔吐・めまい・頻脈・ふるえ・腎障害吐きなどの副作用が生じる可能性があるため、食べ過ぎないように気を付けましょう。

セージの精油は、12滴以上の経口摂取で中毒量に達すると言われています。

セージの保存方法

セージの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

フレッシュセージの保存は冷蔵庫で

生のセージの葉は、乾燥を防ぐために密閉できる容器や袋に入れて冷蔵庫で保存します。数日以内に使い切るようにしましょう。

長期保存したいならドライハーブに

使い切れないセージは、乾燥させてドライハーブにすると長期保存できます。

水洗いしてから水分をよく拭き取り、キッチンペーパーや新聞紙の上に並べて乾燥させます。水分が飛んだら、輪ゴムなどで束にして、風通しがよく直射日光の当たらない場所に吊るして干してください。

参考文献

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