もち麦の栄養と効果効能・調理法・保存法

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もち麦

もち麦の基本情報、よく似た穀類との違い、もち麦に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

もち麦とは

もち麦(pearl barley)は、大麦の一種です。

もち麦とうるち麦の違い

ローラーなどで押しつぶして食べやすくした押し麦にうるち麦が用いられるのに対して、もち麦はもち性遺伝子型を有する品種の大麦のことをいいます。

うるち麦がアミロースを多く含み粘り気が少ないのに対し、もち麦はアミロペクチンが豊富で、もっちりとした粘り気のある食感が特徴です。

またもち麦には、大麦に豊富に含まれる栄養素のひとつであるβ-グルカン(水溶性食物繊維)がうるち麦の1.5倍ほど含まれています。

もち麦に含まれる成分・栄養素

大麦100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

なお、日本食品標準成分表2015年版(七訂)ではもち麦の成分表が記載されていないため、参考までに押し麦と白米の成分表を並記したものを掲載しています。

食品名単位押し麦 乾押し麦 めし白米
廃 棄 率%000
エネルギー(kcal)kcal/100 g346124168
エネルギー(kJ)kJ/100 g1448521703
水 分g/100 g12.768.660
たんぱく質g/100 g6.72.22.5
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g5.822
脂 質g/100 g1.50.50.3
トリアシルグリセロール当量g/100 g1.20.40.2
飽和脂肪酸g/100 g0.430.140.1
一価不飽和脂肪酸g/100 g0.130.040.05
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.620.20.08
コレステロールmg/100 g000
炭水化物g/100 g78.328.537.1
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g72.424.238.1
低分子量水溶性食物繊維g/100 g2.40.60.9
高分子量水溶性食物繊維g/100 g4.31.5Tr
不溶性食物繊維g/100 g5.52.10.6
食物繊維総量g/100 g12.24.21.5
灰 分g/100 g0.70.20.1
ナトリウムmg/100 g2Tr1
カリウムmg/100 g2103829
カルシウムmg/100 g2163
マグネシウムmg/100 g40107
リンmg/100 g1604634
mg/100 g1.10.40.1
亜鉛mg/100 g1.10.40.6
mg/100 g0.220.080.1
マンガンmg/100 g0.860.240.35
ヨウ素µg/100 g000
セレンµg/100 g1Tr1
クロムµg/100 g000
モリブデンµg/100 g11330
レチノールµg/100 g000
α-カロテンµg/100 g--0
β-カロテンµg/100 g--0
β-クリプトキサンチンµg/100 g--0
β-カロテン当量µg/100 g000
レチノール活性当量µg/100 g000
ビタミンDµg/100 g000
α-トコフェロールmg/100 g0.1TrTr
β-トコフェロールmg/100 g00Tr
γ-トコフェロールmg/100 g000
δ-トコフェロールmg/100 g000
ビタミンKµg/100 g000
ビタミンB1mg/100 g0.110.020.02
ビタミンB2mg/100 g0.03Tr0.01
ナイアシンmg/100 g3.40.80.2
ナイアシン当量mg/100 g51.30.8
ビタミンB6mg/100 g0.130.030.02
ビタミンB12µg/100 g000
葉酸µg/100 g1033
パントテン酸mg/100 g0.40.130.25
ビオチンµg/100 g2.70.80.5
ビタミンCmg/100 g000
食塩相当量g/100 g000
アルコールg/100 g---
硝酸イオンg/100 g---
テオブロミンg/100 g---
カフェインg/100 g---
タンニンg/100 g---
ポリフェノールg/100 g---
酢酸g/100 g---
調理油g/100 g---
有機酸g/100 g---
重量変化率%-280210
備考歩留り:玄皮麦45~55 %、玄裸麦55~65 %乾35 g相当量を含む精白米47 g相当量を含む
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

もち麦の効果・効能

もち麦に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

食物繊維による整腸作用

大麦に含まれる栄養素のなかでも、特徴的なのが食物繊維の含有量です。実に、白米のおよそ20倍におよぶ食物繊維を含んでいます。

さらに優れているのは、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がどちらもバランスよく含まれている点です。

食物繊維は消化器官で消化されずに腸まで届き、腸内細菌の栄養源となって腸内環境を整えるのに役立ちます。

また、不溶性食物繊維は水分を吸収してふくらみ、腸のぜん動運動を促進、水溶性食物繊維は粘性があるため、糖質などの消化吸収を遅らせ、血糖値の急激な上昇を抑制します。

もち麦は、一般的な食用とされる押し麦と比較してさらに1.5倍もの水溶性食物繊維を含んでいるため、より高い効果が期待できるでしょう。

カロリーが低くダイエットに効果的

大麦(押し麦)のカロリーは、白米のおよそ70%程度です。そのため、主食として取り入れることで摂取カロリーを減らすことができます。

また、食物繊維の効果によって、よく噛む必要があるため食べ過ぎ防止につながったり、消化器官内をゆっくり移動することで満腹感の持続につながったりといった効果も得られるでしょう。

カロリーや糖質の低さに加えて、さらなるダイエット効果が期待できます。

β-グルカンのコレステロール低下効果

大麦に含まれる水溶性食物繊維・β-グルカンには、LDLコレステロールを低下させる働きがあります。

LDLコレステロールを低下させることで動脈硬化予防につながるほか、がん予防にも効果的であることが分かっています。

なお、β-グルカンの含有量は皮麦よりもはだか麦が多く、さらにうるち麦よりももち麦に多く含まれる傾向にあります。

セカンドミール効果により血糖値上昇を抑える

β-グルカンには、体内の糖質や脂肪を包み込んで吸収を遅らせる働きがあります。この働きにより血糖値が上昇しにくくなり、糖質が脂肪に変わるのを抑制します。

β-グルカンを摂取するとこの効果が次の食事まで続き、この効果をセカンドミール効果と呼びます。

もち麦の調理方法

もち麦の炊き方や食べる際の注意点を解説します。

もち麦の炊き方

もち麦を白米に混ぜて炊く場合、たいていの製品は洗わずに炊飯が可能です。洗った白米に混ぜたり、無洗米に加えたりしてそのまま炊飯しましょう。

分量の目安は、米2合に対してもち麦100gです。水の量は、米2合はいつも通りの水加減に、もち麦は重量の2倍(100gなら200ml)を加えます。

吸水時間も白米と同様ですので、白米といっしょに炊飯すれば問題ありません。

炊飯後は、炊飯器の保温機能を使うと臭いが生じたり変色したりする可能性があるため、保温を切っておくことをおすすめします。

もち麦を食べる際の注意点

もち麦は食物繊維が豊富なため、腹持ちがよくセカンドミール効果などを発揮します。

しかしセカンドミール効果は、朝食と昼食、昼食と夕食の間に発揮する場合には健康効果が期待できますが、夕食に腹持ちのよい食品を食べ過ぎると、睡眠へ影響を及ぼす可能性があります。

そのため、夕食にもち麦ごはんを取り入れる場合は、朝食や昼食で食べる量よりも意識的に減らすようにしましょう。

もち麦の保存方法

もち麦の保存方法は、白米などと基本的に同様です。乾燥状態であれば高温多湿を避けて保存すれば問題ありません。

炊飯後は、タッパーなどの容器に入れて2~3日は冷蔵保存が可能です。

サランラップなどで小分けにして冷凍保存すれば、2~3週間保存できます。

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