パスタの栄養と効果効能・調理法・保存法
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パスタの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、パスタに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
パスタとは
パスタ(pasta)とは、小麦粉を練って作った食材や、その食材を用いた料理を指します。イタリアが発祥地で、その原型は古代ローマで食されたプルスという説が濃厚です。プルスは小麦やキビを引いて煮込んだおかゆのような食べ物と言われています。
日本には幕末に伝えられ、明治時代にはパスタが輸入されるようになったと考えられています。しかし一部の愛好家しか食せなかったそうで、一般人に普及するようになったのは昭和30年代以降です。
パスタの種類
パスタ料理に使われる、製品について紹介します。まず大きくロングパスタとショートパスタに分けられます。
ロングパスタ
ロングパスタとは、麺状のパスタの総称です。主に太さや形状によって、以下の種類に分けられます。
- カッペリーニ:直径0.9mmほどで細め。冷製パスタに使うのがおすすめです。
- フェデリーニ:直径1.4mmほど。ジェノベーゼパスタやスープパスタによく使われます。
- スパゲッティーニ:直径約1.6mm。通常のスパゲッティより若干細めのパスタです。
- スパゲッティ:直径1.9~2mm程度。もっちりとした食感でトマト系のソースに合わせやすいパスタです。
- リングィーネ:平たい紡錘形の断面をしています。幅は2~3mm程度のものが多いパスタです。
- フィットチーネ/タリアテッレ:幅が5〜10mmほどの平打ち麺。クリームソースのような濃厚な味わいと相性が良いパスタです。
ショートパスタ
ショートパスタとは、短くカットされたパスタの総称です。種類が非常に多く、形状の違いで食感も異なってきます。
- マカロニ:円筒状のショートパスタ。よくグラタンやサラダに用いられる種類です。
- リガトーニ:円筒状でマカロニより太いパスタです。表面に筋が入っています。
- ペンネ:円筒状の先端が斜めにカットされており、その形状から「ペン先」の意味を持つペンネという名前がつけられました。マカロニと異なり、表面には細かい溝が入っています。
- ファルファッレ:リボンのような形が特徴的なパスタです。中心部には厚みがあり、ひと口でいろいろな食感が楽しめます。
- コンキリエ:貝殻のような形をしたショートパスタ。別名で「シェル」とも呼ばれます。
- フジッリ:らせん状に巻かれたパスタ。弾力があり、歯ごたえの良さが魅力です。
- ルオーテ:車輪のような形をしています。隙間が多い分、パスタソースに絡みやすいパスタです。
パスタに含まれる成分・栄養素
パスタ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
パスタには糖質・ビタミンB1・鉄・リンなどが多く含まれています。特に糖質が豊富でカロリーが高いため、食べ過ぎには注意したほうが良いでしょう。
おおよそ1人前の分量は、乾麺の状態で80~100gです。茹でると2.3~2.5倍に膨らむため、1人前のカロリーは276~375kcalになります。
うどんや蕎麦・そうめんなどと比較しても、パスタはカロリーが高めの食品です。ただしタンパク質の含有量は、ほかの麺類に比べて高い傾向があります。
食 品 名 | 単位 | こむぎ [マカロニ・スパゲッティ類] マカロニ・スパゲッティ 乾 | こむぎ [マカロニ・スパゲッティ類] マカロニ・スパゲッティ ゆで | こむぎ [マカロニ・スパゲッティ類] マカロニ・スパゲッティ ソテー | こむぎ [マカロニ・スパゲッティ類] 生パスタ 生 | |
廃 棄 率 | % | 0 | 0 | 0 | 0 | |
エネルギー | kJ | 1476 | 636 | 784 | 982 | |
kcal | 347 | 150 | 186 | 232 | ||
水 分 | g | 11.3 | 60 | -57 | 42 | |
タンパク質 | アミノ酸組成によるタンパク質 | g | 12 | 5.3 | -5.1 | 7.5 |
タンパク質 | g | 12.9 | 5.8 | -5.5 | 7.8 | |
脂質 | 脂肪酸のトリアシルグリセロール当量 | g | 1.5 | 0.7 | -5.6 | 1.7 |
コレステロール | mg | 0 | 0 | (Tr) | 0 | |
脂質 | g | 1.8 | 0.9 | -5.8 | 1.9 | |
炭水化物 | 利用可能炭水化物(単糖当量) | g | 73.4 | 31.3 | -29.7 | 46.1 |
g | * | * | * | |||
利用可能炭水化物(質量計) | g | 66.9 | 28.5 | -27 | 42.2 | |
差引き法による利用可能炭水化物 | g | 68.9 | 29.7 | -28.4 | 45.9 | |
* | ||||||
食物繊維総量 | g | 5.4 | 3 | -2.9 | 1.5 | |
糖アルコール | g | - | - | - | 0 | |
炭水化物 | g | 73.1 | 32.2 | -30.5 | 46.9 | |
有機酸 | g | - | - | - | - | |
灰分 | g | 0.8 | 1.2 | -1.2 | 1.4 | |
無機質 | ナトリウム | mg | 1 | 460 | -440 | 470 |
カリウム | mg | 200 | 14 | -13 | 76 | |
カルシウム | mg | 18 | 8 | -8 | 12 | |
マグネシウム | mg | 55 | 20 | -19 | 18 | |
リン | mg | 130 | 53 | -50 | 73 | |
鉄 | mg | 1.4 | 0.7 | -0.7 | 0.5 | |
亜鉛 | mg | 1.5 | 0.7 | -0.7 | 0.5 | |
銅 | mg | 0.28 | 0.14 | -0.13 | 0.12 | |
マンガン | mg | 0.82 | 0.35 | -0.33 | 0.32 | |
ヨウ素 | μg | 0 | 0 | 0 | - | |
セレン | μg | 63 | 32 | -31 | - | |
クロム | μg | 1 | 1 | -1 | - | |
モリブデン | μg | 53 | 13 | -12 | - | |
ビ タ ミ ン | レチノール(ビタミンA) | μg | 0 | 0 | 0 | 0 |
α|カロテン | μg | - | - | 0 | 0 | |
β|カロテン | μg | - | - | 0 | 0 | |
β|クリプトキサンチン | μg | - | - | 0 | 0 | |
β|カロテン当量 | μg | 9 | 0 | 0 | 0 | |
レチノール活性当量 | μg | 1 | 0 | 0 | 0 | |
ビタミンD | μg | 0 | 0 | 0 | - | |
α-トコフェロール | mg | 0.3 | 0.1 | -0.9 | 0.1 | |
β-トコフェロール | mg | 0.2 | 0.1 | -0.1 | Tr | |
γ-トコフェロール | mg | 0 | 0 | -1.6 | 0.2 | |
δ-トコフェロール | mg | 0 | 0 | -0.1 | Tr | |
ビタミンK | μg | 0 | 0 | -6 | 0 | |
ビタミンB1 | mg | 0.19 | 0.06 | -0.06 | 0.05 | |
ビタミンB2 | mg | 0.06 | 0.03 | -0.03 | 0.04 | |
ナイアシン | mg | 2.3 | 0.6 | -0.6 | 1.1 | |
ナイアシン当量 | mg | 4.9 | 1.7 | -1.7 | 2.6 | |
ビタミンB6 | mg | 0.11 | 0.02 | -0.02 | 0.05 | |
ビタミンB12 | μg | 0 | 0 | 0 | 0 | |
葉 酸 | μg | 13 | 4 | -4 | 9 | |
パントテン酸 | mg | 0.65 | 0.28 | -0.27 | 0.27 | |
ビ オ チ ン | μg | 4 | 1.6 | -1.5 | - | |
ビタミンC | mg | 0 | 0 | 0 | 0 | |
アルコール | g | - | - | - | - | |
食塩相当量 | g | 0 | 1.2 | -1.1 | 1.2 | |
備 考 | 食物繊維:AOAC2011.25法 | 1.5 %食塩水でゆでた場合食物繊維:AOAC2011.25法 | 原材料配合割合: マカロニ・スパゲッティゆで95、なたね油5食物繊維:AOAC2011.25法 | デュラム小麦100 %以外のものも含むビタミンB2無添加のもの |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
パスタの効果・効能
パスタに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
糖質が筋肉の合成をサポート
パスタには体のエネルギー源となる炭水化物が多く含まれています。特に易消化性炭水化物である糖質の割合が多く、効率的なエネルギー補給に最適です。
さらに糖質は筋肉の合成にも欠かせない存在です。筋力トレーニング中に糖質が不足していると、筋肉を作るためのタンパク質がエネルギーとして消費されてしまいます。ダイエット中でも、糖質の摂取を制限しすぎないようにしましょう。
糖質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
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ビタミンB1が糖質を代謝
パスタに含まれるビタミンB1は、体内で補酵素として働く栄養素です。脳のエネルギー源であるブドウ糖を代謝する役割を持ちます。脳や神経の機能を正常に保つだけでなく、疲労回復もサポートしてくれるでしょう。
ビタミンB1の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ | NANIWA SUPLI MEDIA
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鉄で貧血予防
パスタには鉄が含まれています。鉄は血液中のヘモグロビンに多く存在する栄養素です。不足するとヘモグロビンが減少し、赤血球の数が少なくなることで、貧血を招く危険性が高まります。集中力の低下や頭痛などの症状にもつながるので注意しましょう。
ただしパスタに含まれる鉄は、ヘム鉄より吸収効率の悪い非ヘム鉄です。ヘム鉄の豊富な動物性タンパク質や、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収効率が高まるので、肉類やトマトなどを合わせましょう。
鉄の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
貧血の予防・改善におすすめの食べ物・飲み物|NANIWA SUPLI MEDIA
リンが健康的な骨や歯を形成
リンはミネラルの一種で、人体にはカルシウムに次いで多く存在しています。細胞膜や核酸を構成したり、細胞のpHバランスを調節したりなどの働きを持ち、体には欠かせない栄養素のひとつです。
なかでももっとも重要な働きが、丈夫な骨や歯を作る作用です。人体に存在するリンのうち約85%は、カルシウムやマグネシウムと結合して骨や歯を形成しています。
リンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・摂取量を減らす方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
パスタの食べ方や注意点
パスタの栄養素を損なわない調理方法・食べ方・注意点などを解説します。
パスタのおいしい茹で方
乾麺のパスタを茹でるときに重要なのは、塩加減です。茹で湯にはパスタに下味をつける役割があるので、塩気を感じる程度の塩水を用意してしましょう。
塩の目安量は水の10%ほどです。例えば1人前のパスタを1Lのお湯で茹でる場合、大さじ2/3杯(約10g)の塩を入れてください。
具材や付け合わせを工夫しよう
パスタはタンパク質や食物繊維がほとんど含まれない上に、ビタミン・ミネラルの豊富な食材ではありません。栄養バランスを整えるには、入れる具材や付け合わせを考慮しましょう。以下で栄養価を高めるアイディアを紹介します。
肉・魚・大豆でタンパク質をプラス
タンパク質を補うなら、パスタの具材に肉や魚を加えるのがおすすめです。ひき肉やベーコンのほか、海老やイカなどを使いましょう。ツナ缶やホタテ缶も手軽に使えるので、重宝します。
またはタンパク質が豊富な大豆を使用しても良いでしょう。動物性食品よりヘルシーな一品になります。
タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品 | NANIWA SUPLI MEDIA
きのこでビタミンと食物繊維たっぷり
ビタミンDや食物繊維が多く含まれるきのこを、パスタの具材として活用しましょう。エリンギやしめじのほか、とりわけビタミンDが豊富なまいたけもおすすめです。ビタミンが多く含まれるほうれん草やパプリカを合わせるとさらに栄養価が高まる上に、彩りも良くなります。
食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
ソースを変えてみる
より栄養バランスを整えたいなら、ソースを工夫しましょう。トマトベースのパスタなら、トマトに含まれるビタミンCやリコピンを摂取できます。ひき肉や海老でタンパク質を補えば、さらに栄養価が高くなるでしょう。
クリームタイプのパスタなら、カルシウムとタンパク質がプラスされます。ビタミンCや疲労回復に役立つクエン酸が豊富なレモンを加えても良いでしょう。
また、スープパスタにすれば、溶け出た栄養素を摂取できるのでおすすめです。野菜に多く含まれるカリウムやビタミンCなどの栄養素も余すことなく摂取できます。
サラダやスープを付け合わせに
オイルパスタのようにシンプルなメニューにする際は、付け合わせで足りない栄養素を補ってください。
例えば、野菜をたっぷり使ったサラダやスープがおすすめです。サラダのトッピングにツナ缶や茹でたささみを用いたり、スープにウインナーや肉団子を加えたりすると、タンパク質も補えます。
ダイエット中におすすめのパスタ
パスタのカロリーが高くなるのは合わせるソースが原因のひとつです。パスタソースには脂質や塩分が多く含まれているため、その分のカロリーが追加されてしまいます。
特にたらこパスタやチーズをたっぷり使うカルボナーラ、油の多いオイルパスタはカロリーが高くなりがちなので気をつけましょう。ダイエット中にはきのこを使った和風パスタがおすすめです。
最近では糖質を抑えた低糖質パスタや低カロリーパスタも市販されているので、うまく活用すると良いでしょう。
玉ねぎとニンニクで糖質を代謝
糖質が気になる人は、玉ねぎやニンニクなどアリシンが多く含まれる食材を合わせましょう。アリシンにはビタミンB1の吸収率を高める作用があるので、糖質の代謝アップに役立ちます。
パスタにもビタミンB1は含まれますが、より糖質のエネルギー化を高めたい場合は、豚肉や鮭などビタミンB1が豊富な食品を足しましょう。
妊婦でもパスタはOK
妊娠中でもパスタは摂取可能な食品のひとつです。パスタに多く含まれる糖質は妊婦の大切なエネルギー源となり、健康維持を助けてくれます。毎日の主食としてパスタも候補に入れてみましょう。
ただし記事内でも解説した通り、パスタはソースによってカロリーが変動しやすい食品です。体重管理をしている場合、総カロリー量を気にしながら摂取しましょう。
パスタの保存方法
パスタの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
常温保存
乾麺の場合は、常温保存で十分です。冷蔵庫で保存してしまうと、水分が失われ、食味が損なわれる原因となります。必ず直射日光の当たらない冷暗所で保存しましょう。
また、保存するときにパッケージの口をしっかり閉じないと、コクゾウムシがわく危険性が高まります。保存容器や、ジッパー付きの保存袋に移し替える方法がおすすめです。保存期間は各製品の記載に従い、開封したら早めに使い切るようにしましょう。
冷凍保存
パスタを茹でる手間を削減するために、一気に湯がいたパスタを冷凍保存する方法があります。冷凍する過程で水分が浸透して食感がもちもちになるので、ナポリタンにして食べたい場合は特におすすめです。
ただし冷凍すると麺が柔らかくなりやすいため、下ごしらえに工夫が必要になります。コツは茹で時間を1分半~2分ほど短くして、固めに茹でること。さらに茹で上がったあと、すぐに冷水で冷やすことで、余熱でパスタに火が入り過ぎるのを防げます。ラップで1食分ずつ包み、麺同士がくっつかないようサラダ油をまぶして保存するとより使いやすいでしょう。
保存期間は1ヶ月程度です。電子レンジを使って加熱するか、冷蔵庫で自然解凍してから調理に使いましょう。