パセリの栄養と効果効能・調理法・保存法

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パセリ

パセリの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、含む栄養素とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法を紹介します。

パセリとは

パセリは、セリ科オランダゼリ属の野菜です。

主に料理の添え物として食卓を華やかにしたり、仕上げに香りや風味を加えたりなどの用途で用いられます。

脇役となることの多いパセリですが、ビタミンC・葉酸・カリウム・鉄といった健康・美容効果のある栄養素を多く含む緑黄色野菜のひとつです。

原産地は地中海沿岸と言われており、ヨーロッパ全土で栽培されるようになったのは17世紀頃。日本には、18世紀末にオランダ船より長崎に持ち込まれました。

その後、パセリが一般に普及したのは、とんかつを考案した銀座「煉瓦亭」の木田元次郎氏が、とんかつにパセリを添えたことが影響していると言われています。

ハウス栽培が盛んな野菜なので季節を問わず市場に出回っていますが、旬は葉が柔らかく歯ざわりも良くなる3〜5月頃・9〜11月頃です。

国内の産地は主に、千葉県・茨城県・長野県で生産されています。

パセリの品種・種類

パセリの種類は大きく分けて「カーリーパセリ」と「イタリアンパセリ」の2つ。見た目も味わいも異なりますが、栄養価はさほど変わりません

カーリーパセリ:葉に細かい縮れがある

カーリーパセリは、葉に細かい縮れがあって丸くカールした「縮葉種」のこと。

唐揚げ、オムライスやサンドウィッチなど洋食に添えられている場合が多く、日本でパセリと言えば、このカーリーパセリを指します。

イタリアンパセリに比べると苦味やえぐみが強いのが特徴。葉や茎も硬めなので、そのまま食べるのは少々難しく、刻む、火を通すなどの工夫が必要です。

現在国内で栽培されているカーリーパセリは「中里」という品種の系統で、代表的なものに「瀬戸パラマウント」「グランド」などがあります。

イタリアンパセリ:葉が平たく三つ葉のような形

イタリアンパセリは、葉が縮れておらず平らで、三つ葉のような形をした「平葉種」のパセリ。フランス料理やイタリア料理では、イタリアンパセリが主流です。

カーリーパセリに比べて爽やかな香りと少ない苦味、柔らかい食感が特徴で、生食はもちろん、みじん切りにしてスープやドレッシング、ソースとしても使うことができます。

パセリに含まれる成分・栄養素

パセリ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位パセリ(生)パセリ(乾燥)
エネルギー(kcal)kcal/100 g43341
水 分g/100 g84.75
たんぱく質g/100 g428.7
水溶性食物繊維g/100 g0.6-
不溶性食物繊維g/100 g6.2-
食物繊維総量g/100 g6.8-
ナトリウムmg/100 g9880
カリウムmg/100 g10003600
カルシウムmg/100 g2901300
マグネシウムmg/100 g42380
リンmg/100 g61460
mg/100 g7.517.5
亜鉛mg/100 g13.6
mg/100 g0.160.97
マンガンmg/100 g1.056.63
ヨウ素µg/100 g722
セレンµg/100 g37
クロムµg/100 g438
モリブデンµg/100 g39110
β-カロテンµg/100 g740028000
α-トコフェロール(ビタミンE)mg/100 g3.37.2
ビタミンKµg/100 g8501300
ビタミンB1mg/100 g0.120.89
ビタミンB2mg/100 g0.242.02
ナイアシンmg/100 g1.211.7
ビタミンB6mg/100 g0.271.47
ビタミンB12µg/100 g00
葉酸µg/100 g2201400
パントテン酸mg/100 g0.481.68
ビオチンµg/100 g4.123.5
ビタミンCmg/100 g120820
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

パセリの効果・効能

パセリに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

鉄分:貧血予防に効果

貧血とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの量が減少している状態のこと。

酸素を運ぶヘモグロビンが減ると、細胞に行き渡る酸素が足りなくなってしまうため、顔が青白くなる・少し動くだけで動悸がする・立ちくらみがする、といった症状が起こってしまうのです。

パセリはヘモグロビン(血液)の材料となる鉄分が豊富で、含有量は数ある野菜の中でもトップクラス

鉄分が比較的豊富な小松菜が100gあたり2.8mg含有するのに対して、パセリは7.5mgと約3倍です。

また、鉄の吸収を助けるビタミンCもたくさん含んでいるため、パセリは貧血の予防や改善に適しています。

βカロテン:粘膜や皮膚、目の健康を保つ

パセリに多く含まれるβカロテンには、粘膜や皮膚を丈夫に保つ効果があり、肌のかさつきや肌荒れの改善に効果的です。

また、βカロテンには、紫外線を浴びることによって作られる活性酸素を無効にする働きがあるため、シミの原因になるメラニン色素の発生を抑える効果もあります。

βカロテンから変換されたビタミンAは、髪の健康維持、喉や肺など呼吸器系統と目の機能を守る効果も期待できます。

ビタミンC:免疫力向上や美肌促進に効果

ビタミンCは、βカロテンと同じく活性酵素から体を守る抗酸化ビタミン。コラーゲンの生成を促進する働きがあり、肌のハリを保ったり、シワの予防・改善に効果的です。

ビタミンCは水に溶け出しやすく、熱に弱いため、生のまま食べることでより無駄なく摂取することができます。

パセリの調理方法

パセリの栄養素を損なわない洗い方や調理方法を解説します。

パセリの洗い方

カーリーパセリの縮れた葉は、土やほこりなどの汚れが溜まりやすい形状です。また、パセリは害虫に弱く病気になりやすい野菜なので、たくさんの農薬が使われやすい傾向にあります。

そのため、汚れや農薬を洗い流すためにも、しっかりと水洗いしましょう。

まず、パセリがすっぽりと入る大きめの容器に、冷水を張ります。使う分のパセリを水の中に沈め、手を小刻みに揺らして洗いましょう。

水がひどく汚れる場合は、2〜3回繰り返してください。最後に流水で丁寧にすすぎます。

このとき、ぬるま湯で洗うとパセリの苦味や青臭さが増えてしまうため、冷たい水で洗うことが大切です。

イタリアンパセリも同様に、水を張った容器に茎がついた状態のまま浸して、やさしくふり洗いします。

水から取り出したら、キッチンペーパーなどでやさしく丁寧に水気を拭き取ってください。

パセリのおすすめ調理方法

カーリーパセリは、火を通すことで独特の苦味やえぐみがやわらかくなります。

お好みの大きさに切ってフリットや天ぷらにすると、食べやすくなる上にサクサクとした食感も楽しむことができますよ。

イタリアンパセリは、葉のやわらかさと苦味・えぐみの少なさから、生食に適しています。

パセリは、水に溶けやすく加熱することで壊れてしまうビタミンCが豊富なので、生で食べやすいイタリアンパセリの方が、より無駄なくビタミンCを摂取できるでしょう。

サラダやカルパッチョに使う際は、葉を手でちぎると香りが引き立ちます。オイル系のパスタの仕上げに加えたり、ソースとしても使うことができます。

パセリを調理する際の注意点

かたくて食べにくいことから、捨てられてしまうことが多いパセリの茎の部分。パセリを大量消費したいときなど、捨ててしまうのはもったいないのでぜひ使い方を覚えておきましょう。

葉に比べて特有の香りが強いので、肉や魚と一緒に煮てくさみ消しとして使えるほか、スープや洋風の煮物の出汁に活用することができます。

パセリの保存方法

パセリの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

カーリーパセリの保存方法

カーリーパセリの保存方法は、冷蔵保存・冷凍保存・乾燥保存の3種類です。

冷蔵保存

冷蔵保存の場合、水を入れたグラスにパセリをさし、上からポリ袋をかぶせます。

ポリ袋をコップの部分で輪ゴムをかけて密閉し、冷蔵庫の野菜室に入れて保存しましょう。冷蔵で約2週間保存することが可能です。

冷凍保存

冷凍保存の場合は、水洗いをしてキッチンペーパーなどで挟むように水気を拭き取ったら、葉と茎に切り分けます。葉と茎を一緒に保存袋に入れたら、空気を抜いて密閉し冷凍庫で保存しましょう。

使うときは、凍ったパセリを袋の上から揉むだけで、みじん切りの状態になります。冷凍保存の保存期間の目安は約1ヶ月です。

乾燥保存

乾燥保存の場合は、パセリを冷水で洗った後、水分をキッチンペーパーなどで丁寧に拭き取り、お皿に平らに並べます。

ラップをせずに600Wのレンジで3分加熱し、パセリにまだ水分が残っている場合は、追加で加熱してください。

完全に乾燥したら、殺菌消毒した瓶に移し、高温多湿を避けて常温で保存してください。乾燥保存の保存期間は、約1ヶ月です。

イタリアンパセリの保存方法

イタリアンパセリは、冷蔵保存します。

乾燥しないように濡れたキッチンペーパーで包み、保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。

2〜3日は保存可能ですが、香りが薄れてくるのでなるべく早く食べるようにしてください。

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