ヨモギの栄養と効果効能・調理法・保存法

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ヨモギ

ヨモギの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、よく似た野菜との栄養価の違い、ヨモギに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

ヨモギとは

ヨモギ(mugwort)は、キク科の多年草です。クロロフィル(葉緑素)や鉄、カルシウムなどを豊富に含んでおり、貧血予防などに効果が期待できます。

よもぎ餅(草餅)やおひたし、天ぷらなどにして食用にするほか、乾燥させたものを生薬や漢方薬の原料として用いたり、葉の裏の繊毛を精製してお灸に用いたりします。

生薬や漢方薬に用いるものを「艾葉(ガイヨウ)」、お灸に用いるものを「もぐさ」と呼びます。艾葉には、体を温める、止血作用、下痢や便秘の改善などさまざまな効果があり、古くから薬草として用いられてきました。

産地は日本全国におよび、山野だけでなく日当たりの良い道端などにも集団で自生し、成長すると高さは1mほどになります。

食用のヨモギの旬は春。乾燥させて艾葉やもぐさにする場合は、旬を少し過ぎてよく成長し、花のつかない5~8月ごろの茎葉を用います。

ヨモギに含まれる成分・栄養素

ヨモギ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位よもぎ 葉 生よもぎ 葉 ゆで
廃 棄 率%00
エネルギー(kcal)kcal/100 g4642
エネルギー(kJ)kJ/100 g192176
水 分g/100 g83.685.9
たんぱく質g/100 g5.24.8
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-4.2-3.9
脂 質g/100 g0.30.1
トリアシルグリセロール当量g/100 g--
飽和脂肪酸g/100 g--
一価不飽和脂肪酸g/100 g--
多価不飽和脂肪酸g/100 g--
コレステロールmg/100 g00
炭水化物g/100 g8.78.2
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g--
水溶性食物繊維g/100 g0.90.9
不溶性食物繊維g/100 g6.96.9
食物繊維総量g/100 g7.87.8
灰 分g/100 g2.21
ナトリウムmg/100 g103
カリウムmg/100 g890250
カルシウムmg/100 g180140
マグネシウムmg/100 g2924
リンmg/100 g10088
mg/100 g4.33
亜鉛mg/100 g0.60.4
mg/100 g0.290.28
マンガンmg/100 g0.840.75
ヨウ素µg/100 g--
セレンµg/100 g--
クロムµg/100 g--
モリブデンµg/100 g--
レチノールµg/100 g00
α-カロテンµg/100 g00
β-カロテンµg/100 g53006000
β-クリプトキサンチンµg/100 g00
β-カロテン当量µg/100 g53006000
レチノール活性当量µg/100 g440500
ビタミンDµg/100 g00
α-トコフェロールmg/100 g3.23.4
β-トコフェロールmg/100 g0.10.1
γ-トコフェロールmg/100 g0.50.8
δ-トコフェロールmg/100 g00
ビタミンKµg/100 g340380
ビタミンB1mg/100 g0.190.08
ビタミンB2mg/100 g0.340.09
ナイアシンmg/100 g2.40.5
ビタミンB6mg/100 g0.080.04
ビタミンB12µg/100 g00
葉酸µg/100 g19051
パントテン酸mg/100 g0.550.13
ビオチンµg/100 g--
ビタミンCmg/100 g352
食塩相当量g/100 g00
アルコールg/100 g--
硝酸イオンg/100 gTrTr
テオブロミンg/100 g--
カフェインg/100 g--
タンニンg/100 g--
ポリフェノールg/100 g--
酢酸g/100 g--
調理油g/100 g--
有機酸g/100 g--
重量変化率%-89
備考別名: もちぐさ、よもぎな別名: もちぐさ、よもぎなゆでた後水冷し、手搾りしたもの
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ヨモギの効果・効能

ヨモギに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

クロロフィル・鉄・カルシウムによる造血作用

ヨモギには、クロロフィルが豊富に含まれています。クロロフィルは、緑の血液とも呼ばれる成分で、植物の葉の緑色を発色する色素でもあります。

クロロフィルに含まれる成分に、有機ゲルマニウムというゲルマニウム化合物があり、これが体のすみずみに酸素を送り届ける作用をサポートします。

この効果によって、ヘモグロビンの不足を原因とする貧血の予防効果が期待できるのです。

加えて、貧血予防に重要な鉄・カルシウムなども豊富に含まれていることから、造血作用にも期待ができます。

コレステロール値の低下やデトックス効果も

クロロフィルには、貧血を予防する効果以外に、血中のコレステロール値を低下させたり、体内の老廃物を体外へ排出させたりといった働きもあります。

下痢・便秘の解消

ヨモギには、食物繊維がほうれん草のおよそ3倍含まれていることから、整腸作用が期待できます。

食物繊維は、消化されずに腸内に留まることによって、腸内細菌の栄養源としての役割を果たします。

腸内細菌のうち、いわゆる善玉菌が活発になり優位になると、下痢や便秘、ガスがたまるといった各種消化器官の症状が改善する可能性があります。

カリウムによるむくみ改善効果

生のヨモギにはカリウムが豊富に含まれており、ナトリウムを排出することによるむくみ改善効果などが期待できます。

ビタミンACEによる免疫力アップ効果

ヨモギには、免疫力向上効果の期待できるビタミンが含まれています。

ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEの3種は、まとめてビタミンACE(エース)と呼ばれ、風邪を引きやすい季節の強い味方として知られます。

特にビタミンAは、プロビタミンA(ビタミンA前駆体)であるβ-カロテンの形で含まれているため、過剰摂取の心配もありません。

ビタミンACEの抗酸化作用による美容効果

ビタミンACEは、それぞれ活性酸素の発生を抑え取り除く抗酸化作用を持っています。

抗酸化作用以外にも、ビタミンCは皮膚のコラーゲン生成をサポートすることから、健康的な肌の維持に欠かせません。またビタミンEは、過酸化脂質の発生を抑える働きがあります。

なお研究によれば、ヨモギにはいわゆる健康茶として一般的に飲まれている飲料に匹敵するポリフェノールが含まれており、このポリフェノールにも抗酸化作用があります。

その他の効果・効能

ここまでに示した以外にも、ヨモギにはさまざまな健康効果があります。

  • 血流の改善
  • 新陳代謝の促進
  • 健胃・消化促進
  • 整腸作用
  • 便通改善
  • 下痢止め
  • 鎮咳(咳止め)
  • 冷え改善
  • 風邪予防
  • 止血
  • かゆみ止め
  • 口臭ケア
  • 美肌
  • 滋養強壮
  • 糖尿病への有用性(糖の代謝を活性化させる)

ヨモギの調理方法

ヨモギを家庭で食べる際の摘み方・洗い方・調理方法を解説します。

ヨモギの摘み方

道端や山野に自生するヨモギを摘み取って利用する場合は、柔らかい若芽だけを摘み取るようにしましょう。

なかには冬を越したような固い葉も含まれており、こうしたものは食用には向きません。

根元から摘み取るのではなく、成長した葉先をつまんで、軽く摘み取れるものだけに絞ってください。

ヨモギの下処理

ヨモギはそのままではアクが強いため、沸騰させたお湯に塩を加えて2分ほど茹でましょう。

少し古い葉も含めてつみ取った場合は、アクを取る段階で重曹も加えてください。ただし、重曹を加えると栄養素の損失が大きくなるため、無駄なく栄養を摂取したい場合は若芽だけを選ぶようにするといいでしょう。

茹で上がったヨモギはすぐに冷水にさらして、同じく栄養素を無駄にしたくない場合は時間を置かずにすぐ絞ってください。時間を置くと、水溶性ビタミンであるビタミンCなどが水に流れ出てしまいます。

ヨモギのおすすめ調理方法

ヨモギの代表的な食べ方は、よもぎ餅、天ぷら、おひたし、そしてソースやスープにする、といったものです。

よもぎ餅に混ぜ込む場合は、事前にペースト状やみじん切りにしておくと混ぜ込みやすくなります。天ぷらにするなら下茹での必要はありません。おひたしは、下茹でしたヨモギの味を調えるだけで大丈夫。

ソースやスープにする場合は、味噌汁などの具として加えてもよいですが、舌触りが気になるかもしれません。繊維が残らないようペースト状にすると、舌触りがよくなります。

ヨモギを調理する際の注意点

ヨモギの調理において注意する点は特にありませんが、近隣で摘み取る際は、それが私有地でないことをしっかり確認することをおすすめします。

ヨモギの保存方法

最後に、ヨモギの保存方法を解説します。

摘んできたばかりのヨモギや、買ってきた状態のヨモギは、常温保存や冷蔵保存にはあまり向きません。ゴミや汚れを落として袋に入れれば、1~2日程度はもちますが、長期保存は難しいでしょう。

ある程度長期保存したい場合には、下茹でした上で冷凍保存するのがおすすめです。

前述の方法で下茹でした後、しっかり水気を切って細かくみじん切りにして、小分けにしてラップに包んで冷凍しましょう。食感を活かさず、ソースやスープに使うならペースト状にしてから冷凍しても構いません。

冷凍よもぎの保存期間は、およそ2~3ヵ月が目安です。

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