生姜の栄養と効果効能・調理法・保存法
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生姜の旬や原産地、主要な品種などの基本情報、生姜に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
生姜とは
生姜(ginger)とは、ショウガ科に分類される多年草です。土の中に根茎を持ち、地上には葉だけが出ます。私たちが食用としている生姜は、地下にある根の部分です。
アジア、アフリカ、アメリカなど世界の至るところに分布する植物のため、原産地は確定していませんが、一説によるとインドからマレー半島にかけての南アジアと言われています。
日本国内でも栽培されており、全体の約半分は国内生産、もう半分は海外から輸入しています。輸入ものの生姜はほとんどが中国産です。
収穫された直後の生姜を「新生姜」といいます。新生姜は夏にスーパーなどに並べられますが、本来の旬は秋です。新生姜は春先にタネとなる根生姜を植え、11月頃に収穫されます。
秋に収穫される新生姜は白色をしています。秋を待たずに夏に収穫される新生姜は茎が赤いのが特徴で、基本的に甘酢漬けなどにされます。
生姜の品種・種類
生姜は、大きさや収穫時期、出荷方法で呼び名が変わります。
大生姜(おおしょうが)
大生姜は、スーパーや青果店などに並び、日本国内でもっとも多く栽培されている一般的な生姜です。
爽やかな香りと辛さがあり、生育に時間がかかる分、根茎が大きく育ちます。
大生姜はさらに、出荷方法により「根生姜(囲い生姜・ひね生姜)」と「新生姜」に分類されます。
「根生姜」は収穫された後、貯蔵されてから出荷される生姜で、「新生姜」は収穫後すぐに出荷される生姜です。
中生姜(ちゅうしょうが)
中生姜は、おもに新生姜として販売される生姜。一株500gほどで、大生姜に比べてやや小ぶりです。辛味が強く繊維が少ないため、漬物や加工品として利用されます。
小生姜(こしょうが)
小生姜は、一株300g前後の親指ほどの小さな生姜。辛味成分の「ジンゲロール」の含有量が多く、中生姜よりも辛いのが特徴です。
小生姜はさらに、収穫時期によって「葉生姜」と「筆生姜」に分類されます。
「葉生姜」は、成熟した小生姜に、茎や葉がついた状態で収穫された生姜。「筆生姜」は、若い小生姜を茎つきのままに、根を筆先のように剥いて整えて出荷される生姜です。
生姜に含まれる成分・栄養素
生姜100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
食品名 | 単位 | 葉しょうが 根茎 生 | しょうが 根茎 生 | しょうが 漬物 酢漬 | しょうが 漬物 甘酢漬 | しょうが 粉 | しょうが おろし |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 11 | 30 | 19 | 51 | 365 | 43 |
エネルギー(kJ) | kJ/100 g | 46 | 126 | 79 | 213 | 1527 | 180 |
水 分 | g/100 g | 96.3 | 91.4 | 88.2 | 83.9 | 10.6 | 88.2 |
たんぱく質 | g/100 g | 0.5 | 0.9 | 0.2 | 0.2 | 7.8 | 0.7 |
アミノ酸組成によるたんぱく質 | g/100 g | -0.4 | 0.7 | -0.2 | -0.2 | -5.3 | -0.3 |
脂 質 | g/100 g | 0.2 | 0.3 | 0.4 | 0.3 | 4.9 | 0.6 |
トリアシルグリセロール当量 | g/100 g | -0.1 | -0.2 | -0.3 | -0.2 | - | -0.4 |
飽和脂肪酸 | g/100 g | -0.05 | -0.08 | -0.11 | -0.08 | - | -0.16 |
一価不飽和脂肪酸 | g/100 g | -0.04 | -0.06 | -0.08 | -0.06 | - | -0.12 |
多価不飽和脂肪酸 | g/100 g | -0.04 | -0.06 | -0.08 | -0.06 | - | -0.12 |
コレステロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
炭水化物 | g/100 g | 2.1 | 6.6 | 4 | 12.5 | 72.5 | 8.6 |
利用可能炭水化物(単糖当量) | g/100 g | - | 4.2 | - | - | -59.2 | -5.1 |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.1 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | - | - |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 1.5 | 1.9 | 2.2 | 1.8 | - | - |
食物繊維総量 | g/100 g | 1.6 | 2.1 | 2.4 | 2 | - | - |
灰 分 | g/100 g | 0.7 | 0.7 | 7.2 | 3.1 | 4.2 | 1.9 |
ナトリウム | mg/100 g | 5 | 6 | 2800 | 1200 | 31 | 580 |
カリウム | mg/100 g | 310 | 270 | 21 | 27 | 1400 | 140 |
カルシウム | mg/100 g | 15 | 12 | 67 | 36 | 110 | 16 |
マグネシウム | mg/100 g | 21 | 27 | 8 | 7 | 300 | 17 |
リン | mg/100 g | 21 | 25 | 4 | 4 | 150 | 14 |
鉄 | mg/100 g | 0.4 | 0.5 | 0.9 | 0.5 | 14.1 | 0.3 |
亜鉛 | mg/100 g | 0.4 | 0.1 | Tr | Tr | 1.7 | 0.1 |
銅 | mg/100 g | 0.05 | 0.06 | 0.04 | 0.03 | 0.57 | 0.04 |
マンガン | mg/100 g | 4.73 | 5.01 | 0.78 | 0.56 | 28 | 3.58 |
ヨウ素 | µg/100 g | - | 0 | - | 1 | 1 | 0 |
セレン | µg/100 g | - | 1 | - | 6 | 3 | 1 |
クロム | µg/100 g | - | 1 | - | 2 | 6 | 1 |
モリブデン | µg/100 g | - | 6 | - | 0 | 11 | 1 |
レチノール | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-カロテン | µg/100 g | 0 | 1 | 0 | 0 | - | 2 |
β-カロテン | µg/100 g | 4 | 4 | 0 | 4 | - | 6 |
β-クリプトキサンチン | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 4 | 5 | 0 | 4 | 16 | 7 |
レチノール活性当量 | µg/100 g | Tr | Tr | 0 | Tr | 1 | 1 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-トコフェロール | mg/100 g | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | - | - |
β-トコフェロール | mg/100 g | 0 | Tr | 0 | 0 | - | - |
γ-トコフェロール | mg/100 g | 0.4 | 0.8 | 0.3 | 0.4 | - | - |
δ-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - |
ビタミンK | µg/100 g | Tr | 0 | 0 | 0 | - | - |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.02 | 0.03 | 0 | 0 | 0.04 | 0.02 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.03 | 0.02 | 0 | 0 | 0.17 | 0.03 |
ナイアシン | mg/100 g | 0.3 | 0.6 | Tr | 0 | 4.2 | 0.8 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.08 | 0.13 | 0 | 0 | 1.03 | - |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - |
葉酸 | µg/100 g | 14 | 8 | 1 | 1 | 0 | - |
パントテン酸 | mg/100 g | 0.07 | 0.21 | 0 | 0 | 1.29 | - |
ビオチン | µg/100 g | - | 0.7 | - | 0.2 | 9.6 | 0.3 |
ビタミンC | mg/100 g | 3 | 2 | Tr | 0 | 0 | 120 |
食塩相当量 | g/100 g | 0 | 0 | 7.1 | 3 | 0.1 | 1.5 |
アルコール | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
硝酸イオン | g/100 g | 0.2 | 0.1 | - | - | - | - |
テオブロミン | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
カフェイン | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
タンニン | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
ポリフェノール | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
酢酸 | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
調理油 | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
有機酸 | g/100 g | - | 0.1 | - | - | - | - |
重量変化率 | % | - | - | - | - | - | - |
備考 | 別名: 盆しょうが、はじかみ廃棄部位: 葉及び茎 | ひねしょうが廃棄部位: 皮 | ひねしょうが別名: 紅しょうが液汁を除いたもの | ひねしょうが別名: ガリ液汁を除いたもの | 別名: ジンジャー | 試料: チューブ入りビタミンC: 添加品を含む |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
生姜の効果・効能
生姜に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
ジンゲロール・ショウガオール:血流改善・免疫力アップに効果的
生姜の辛味成分である「ジンゲロール」と、ジンゲロールが加熱することによって変わる「ショウガオール」には、冷えを改善する効果があります。
冷えは血行不良によって引き起こされる症状。その原因の1つが、血管を収縮する働きのある「プロスタグランジン」という物質だと言われています。
ジンゲロールには、プロスタグランジンの作用を抑える働きがあり、血管を拡げて血流を良くする効果があります。
平均体温が1℃下がると、免疫力が約30%下がると言われているため、ジンゲロールが血流を改善し体温を上昇させることは、免疫力を上げることにも繋がります。それに加え、ジンゲロールには免疫細胞を活発にして、免疫力を向上させる効果もあります。
血流が改善されることで、体内の新陳代謝が活性化されて、エネルギー消費が増加されるため、ダイエット効果も期待できます。
さらに、ジンゲロールは胃腸の働きを良くしたり、肝臓の働きを保護したり、といった効果があるとされています。
シネオール:食欲促進・疲労回復に効果的
生姜の香り成分「シネオール」は、ローズマリーやハーブにも含まれる成分で、食欲を増進させる働きがあり、夏バテ解消に役立ちます。
また、疲労回復にも効果があるため、運動後などに摂取すると良いでしょう。
生姜の調理方法
生姜の栄養素を損なわないおすすめの食べ方や、生姜を食べる際の注意点を解説します。
生姜のおすすめの食べ方
生の生姜には、辛味成分「ジンゲロール」が豊富に含まれています。ジンゲロールには殺菌作用があり、喉の痛みなど風邪のひきはじめの症状に有効です。
ジンゲロールは空気に触れることで減少してしまうため、すりおろした食後に食べるようにしましょう。
チューブタイプの生姜は、加工から時間がかなり経っているため、生の生姜に比べるとジンゲロールの含有量は少なくなっています。
また加熱・乾燥させた生姜に豊富に含まれる成分「ショウガオール」には、免疫力アップ、抗酸化作用、脂肪燃焼効果があります。
これらの効果を得たい場合は、すりおろした生姜を料理に加えて加熱調理しましょう。
生姜を食べる際の注意点
生姜は一度にたくさん摂取すると、消化器官に負担をかけて胸やけや腹痛、下痢を引き起こしてしまう可能性があります。
1日の摂取量の目安は生の生姜でスライス6〜7枚(約5g)です。
生姜の保存方法
生姜の栄養素を損なわない保存方法を解説します。
生姜は乾燥を防ぐために水に浸して保存しておくことができます。生姜を水洗いし、かぶるくらいの水を入れて保存容器に入れた状態で、冷蔵庫の冷蔵室で保存してください。
こまめに水を取り替えれば、約1ヶ月保存することが可能です。
使いきれなかった生姜は、使いやすい大きさにカットして小分けにしてから冷凍保存するのが良いでしょう。
生姜を水洗いして水気を拭き取り、皮を剥いて千切りやすりおろし、みじん切りなど調理しやすい状態にします。小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れ、冷凍庫に入れます。冷凍での保存期間は約1ヶ月です。