クロムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品
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クロムの基本情報、種類、効果・働き、不足・欠乏・過剰摂取による影響、1日の摂取目安量、多く含む食品について解説します。
クロムとは
クロム(chromium)は原子番号24、元素記号Cr のクロム族元素のひとつです。
クロムの種類には主に0価、3価、6価があり、食品に含まれるのは3価クロムのため、厚生労働省の食事摂取基準においても3価クロムを対象としています。
なお6価クロムは産業汚染の産物であり、有毒な物質です。
クロムは体内において、下記のような働きがあると考えられてきました。
- 糖の代謝や脂質の代謝を正常に維持する
- 血糖値やコレステロール値をコントロールする
- 高血圧や高脂血症を予防・改善する
一方で近年の研究では、クロムを必須の栄養素とする根拠はないという報告も上がっています。
厚生労働省の食事摂取基準2020年版では、それらの説はまだ定説に至っていないとしてクロムを必須栄養素のひとつとして定めていますが、その働きの詳細はまだはっきりと分かっていません。
クロムの効果・働き
クロムの持つ効果・効能・働きについて解説します。
インスリンの働きを促進する
クロムは、インスリンの働きを促進します。
インスリンは、体内の炭水化物・脂質・タンパク質の代謝と貯蔵に影響を与えるホルモンです。
インスリンが正常に機能することによって、食物中の糖分を分解して得られたブドウ糖が筋肉などへ送り込まれ、エネルギーとして利用されます。
クロムは、インスリンに情報を伝達する働きの性質から、ブドウ糖耐性因子(耐糖因子)とも呼ばれます。
耐糖能異常と2型糖尿病の予防
クロムは、ブドウ糖耐性因子としての働きにより、耐糖能異常(血糖値が高いいわゆるメタボリックな状態)の改善、および2型糖尿病の予防に有益な効果が得られることがわかっています。
心血管疾患の予防
耐糖能異常と2型糖尿病は、心血管疾患のリスク増大に大きく関わっています。
そのため耐糖能異常と2型糖尿病を改善・予防する働きを持つクロムは、心血管疾患の予防にも効果的です。
筋肉量の増加・体重減少の促進については証拠が十分でない
一部の報告では、クロムがインスリンの働きを促進することから、筋肉量の増加に効果的であったり、体重減少の促進(ダイエット)に効果的であったりといった効能が謳われています。
しかしこれらの効果効能をはっきりと示す情報はまだ明らかになっていません。
クロムが不足・欠乏すると起こる症状
クロムが不足・欠乏すると起こる症状は次の通りです。
- 糖の代謝異常
- 成長障害
- 脂質・タンパク質の代謝異常
- 角膜の病気
- 動脈硬化
- 脂質異常症
クロムが不足・欠乏する原因と対策
クロムが不足・欠乏する原因は次の通りです。
- クロムを添加していない静脈栄養の投与
- 土壌にクロムを含有していない地域の作物を摂取する人
- 単糖類の多く含まれる食事を継続的に摂取する人
- 感染症、急な運動、妊娠、授乳、ストレスなどによりクロミウム減少量が増加している人
原因としては上記の理由が挙げられますが、クロムは通常の食事で十分摂取できており、実際にクロム欠乏症(クロミウム欠乏症)に陥ることは稀です。
クロムを過剰摂取すると起こる症状
クロムを過剰摂取すると起こる症状は次の通りです。
- 吐き気
- 下痢
- 頭痛
- 不眠などの睡眠障害
3価クロムは吸収率がおよそ1%と低いこともあり、通常の食事により過剰摂取に陥ることはまずありません。
ただし、600~1,000μg(1mg)など高用量のクロムサプリメントを継続して服用した場合、上記の症状を引き起こす可能性があります。
クロムの1日の摂取目安量
クロムの1日の摂取目安量は、成人男性・成人女性ともに10μgです。
また、過剰摂取のリスクを鑑みて、耐容上限量は成人男性・成人女性ともに500μgに設定されています。
過剰摂取に陥ることは稀ですが、念のため摂取目安量を守って摂取しましょう。
クロムの食事摂取基準(μg/日)
性 別 | 男 性 | 女 性 | ||
年齢等 | 目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 |
0~5 (月) | 0.8 | ─ | 0.8 | ─ |
6 ~11(月) | 1 | ─ | 1 | ─ |
1~2 (歳) | ─ | ─ | ─ | ─ |
3~5 (歳) | ─ | ─ | ─ | ─ |
6~7 (歳) | ─ | ─ | ─ | ─ |
8~9 (歳) | ─ | ─ | ─ | ─ |
10~11(歳) | ─ | ─ | ─ | ─ |
12~14(歳) | ─ | ─ | ─ | ─ |
15~17(歳) | ─ | ─ | ─ | ─ |
18~29(歳) | 10 | 500 | 10 | 500 |
30~49(歳) | 10 | 500 | 10 | 500 |
50~64(歳) | 10 | 500 | 10 | 500 |
65~74(歳) | 10 | 500 | 10 | 500 |
75 以上(歳) | 10 | 500 | 10 | 500 |
妊 婦 | 10 | ─ | ||
授乳婦 | 10 | ─ |
クロムを多く含む食品
クロムを多く含む食品を、全食品・野菜・魚介類・肉類・菓子・飲料の順で、それぞれランキング形式で紹介します。
クロムを多く含む食品ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりμg |
1 | 藻類/あおさ/素干し | 160 |
2 | アサイー、冷凍、無糖 | 60 |
3 | 調味料及び香辛料類/バジル/粉 | 47 |
4 | 藻類/あおのり/素干し | 39 |
4 | 藻類/てんぐさ/粉寒天 | 39 |
6 | 調味料及び香辛料類/パセリ/乾 | 38 |
7 | うめ 梅干し 塩漬 | 37 |
8 | 藻類/(こんぶ類)/刻み昆布 | 33 |
8 | 調味料及び香辛料類/パプリカ/粉 | 33 |
10 | 調味料及び香辛料類/こしょう/黒、粉 | 30 |
クロムを多く含む野菜ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりμg |
1 | つるにんじん、根、生 | 16 |
2 | ドライトマト | 11 |
3 | ほうれんそう/葉、冷凍 | 7 |
3 | ほうれんそう/葉、冷凍/油いため | 7 |
5 | ほうれんそう/葉、冷凍/ ゆで | 6 |
6 | かんぴょう/乾 | 5 |
7 | パセリ/葉、生 | 4 |
7 | たかな/葉、生 | 4 |
9 | 切干しだいこん/乾 | 3 |
9 | みずな/葉、生 | 3 |
9 | リーフレタス/葉、生 | 3 |
9 | ひろしまな/葉、生 | 3 |
クロムを多く含む魚介類ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりμg |
1 | くろあわび 生 | 6 |
1 | まさば/水煮 | 6 |
1 | さざえ/生 | 6 |
1 | まさば/焼き | 6 |
5 | あわび/生 | 5 |
5 | まだかあわび 生 | 5 |
5 | いがい/生 | 5 |
5 | めがいあわび 生 | 5 |
9 | あさり/生 | 4 |
9 | かき/養殖、水煮 | 4 |
9 | ちょうせんはまぐり/生 | 4 |
9 | たら類 加工品 桜でんぶ | 4 |
9 | とびうお/焼き干し | 4 |
クロムを多く含む肉類ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりμg |
1 | ぶた/[プレスハム類]/チョップドハム | 16 |
2 | ぶた/[ソーセージ類]/レバーソーセージ | 13 |
3 | ぶた [ハム類] ロースハム ロースハム | 12 |
4 | ぶた [ハム類〕 ロースハム ゆで | 11 |
4 | ぶた [ハム類〕 ロースハム 焼き | 11 |
4 | うし/[加工品]/ビーフジャーキー | 11 |
7 | ぶた [ハム類〕 ロースハム フライ | 8 |
8 | ぶた/[ハム類]/骨付きハム | 6 |
8 | ぶた/[その他]/ゼラチン | 6 |
10 | ぶた/[ソーセージ類]/生ソーセージ | 5 |
10 | ぶた/[プレスハム類]/プレスハム | 5 |
クロムを多く含む菓子ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりμg |
1 | ミルクチョコレート | 24 |
2 | 米菓/あられ | 5 |
2 | カレーパン/具のみ | 5 |
2 | スポンジケーキ | 5 |
2 | ひなあられ/関西風 | 5 |
2 | 甘納豆/あずき | 5 |
7 | 米菓/しょうゆせんべい | 4 |
7 | みしま豆 | 4 |
7 | らくがん/もろこしらくがん | 4 |
7 | ショートケーキ/果実なし | 4 |
クロムを多く含む飲料ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりμg |
1 | 紅茶/茶 | 18 |
2 | 昆布茶 | 13 |
3 | 青汁/ケール | 12 |
4 | せん茶/茶 | 8 |
5 | ぶどう酒/赤 | 2 |
5 | インスタントコーヒー | 2 |
7 | 梅酒 | 1 |