バジルの栄養と効果効能・調理法・保存法

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basil

バジルの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、バジルに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

バジルとは

バジルは、シソ科メボウキ属のハーブです。英語ではバジル(Basil)、イタリア語ではバジリコ(Basilico)と呼ばれています。原産地は熱帯アジアからインドにかけてです。

濃い緑色をした卵型のバジルの葉は、甘く爽やかな香りを持っていて、イタリア料理をはじめとしたあらゆる料理に使われています。国内で生産されるバジルの旬は、7~9月の夏の時期です。

バジルが日本に入ってきたのは江戸時代で、当時は薬用植物として扱われていたといいます。バジルの種子は水に浸すと表面がゼリー状の物質で覆われる性質があり、それを目の中に入れると目のゴミを拭い去ることから、メボウキ(目箒)という和名が付きました。

バジルは主に葉・茎を食べるハーブで、生のままパスタ・ピザ・サラダなどのトッピングとして使われるほか、乾燥させ粉末状にしたドライバジルや、バジルペーストやジェノベーゼなどのソースとしても流通しています。

バジルとパセリの違い

バジルがシソ科なのに対し、パセリはセリ科のハーブです。どちらも料理の香りづけに使われますが、パセリのほうがクセがなくあっさりとした風味を持っています。

成分にも違いがあり、βカロテン・ビタミンCなどの抗酸化物質や、ビタミンK・カリウムなどの栄養素をより多く含むのはパセリです。便秘改善効果のある食物繊維もパセリのほうが豊富なので、栄養価を重視する方にはパセリが向いているでしょう。

ただし、パセリのカロリーはバジルの約2倍となっています。ダイエット中などで摂取カロリーを抑えたい方には、ヘルシーなバジルがおすすめです。

バジルの品種・種類

バジルの主要な品種について解説します。

スイートバジル

スイートバジルは、食用として広く出回っている種類で、単にバジルというとスイートバジルのことを指していることがほとんどです。甘みのあるフレッシュな香りが楽しめるハーブで、イタリア料理やフランス料理に使われています。

紫バジル

紫バジルと呼ばれる、葉が紫色のバジルも存在します。紫色の色素成分は、眼精疲労やガンの予防に効果的なアントシアニンです。「ヴァイオレット・アロマティコ」や「ダーク・パープル」などの品種があります。

レモンバジル

レモンバジルは、レモンのような爽やかな柑橘系の香りがするハーブで、肉や魚料理の香りづけにぴったりです。シトラスハーブと呼ばれることもあり、タイ料理などで良く用いられます。

ホーリーバジル

ホーリーバジルは、タイ料理のガパオライスに使われるバジルです。お香のような独特の強い香りが特徴で、エスニック料理に合います。薬効があることでも知られ、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダでは、不老不死の薬として用いられています。

バジルに含まれる成分・栄養素

バジル100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位バジル 葉 生バジル 粉
廃 棄 率%200
エネルギー(kcal)kcal/100 g24307
エネルギー(kJ)kJ/100 g1001284
水 分g/100 g91.510.9
たんぱく質g/100 g221.1
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-1.2-17.3
脂 質g/100 g0.62.2
トリアシルグリセロール当量g/100 g-0.5-2.2
飽和脂肪酸g/100 g-0.04-1.17
一価不飽和脂肪酸g/100 g-0.08-0.67
多価不飽和脂肪酸g/100 g-0.36-0.27
コレステロールmg/100 g00
炭水化物g/100 g450.6
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-0.3-
水溶性食物繊維g/100 g0.9-
不溶性食物繊維g/100 g3.1-
食物繊維総量g/100 g4-
灰 分g/100 g1.515.2
ナトリウムmg/100 g159
カリウムmg/100 g4203100
カルシウムmg/100 g2402800
マグネシウムmg/100 g69760
リンmg/100 g41330
mg/100 g1.5120
亜鉛mg/100 g0.63.9
mg/100 g0.21.99
マンガンmg/100 g1.9110
ヨウ素µg/100 g-42
セレンµg/100 g-18
クロムµg/100 g-47
モリブデンµg/100 g-200
レチノールµg/100 g00
α-カロテンµg/100 g00
β-カロテンµg/100 g63002400
β-クリプトキサンチンµg/100 g061
β-カロテン当量µg/100 g63002500
レチノール活性当量µg/100 g520210
ビタミンDµg/100 g00
α-トコフェロールmg/100 g3.54.7
β-トコフェロールmg/100 g00.2
γ-トコフェロールmg/100 g0.40.7
δ-トコフェロールmg/100 g00
ビタミンKµg/100 g440820
ビタミンB1mg/100 g0.080.26
ビタミンB2mg/100 g0.191.09
ナイアシンmg/100 g0.67.9
ビタミンB6mg/100 g0.111.75
ビタミンB12µg/100 g00
葉酸µg/100 g69290
パントテン酸mg/100 g0.292.39
ビオチンµg/100 g-61.5
ビタミンCmg/100 g161
食塩相当量g/100 g00.1
アルコールg/100 g--
硝酸イオンg/100 g0.4-
テオブロミンg/100 g--
カフェインg/100 g--
タンニンg/100 g--
ポリフェノールg/100 g--
酢酸g/100 g--
調理油g/100 g--
有機酸g/100 g--
重量変化率%--
備考別名: バジリコ、スイートバジル廃棄部位: 茎及び穂別名: めぼうき、 バジリコ
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

バジルの効果・効能

バジルに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

皮膚や粘膜の健康を維持するβ-カロテン

生のバジルの葉100gあたりには、6300µgのβ-カロテンが含まれています。

バジルに豊富なβ-カロテンは、緑黄色野菜などに含まれるカロテノイド色素の一種です。体に有害な活性酸素を取り除く働きがあり、β-カロテンを適切に摂取することで、がん予防・アンチエイジングなどの効果が期待できます。

また、β-カロテンは、体内に取り込まれると必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を健康に保つビタミンAとしての効果も発揮します。

骨を丈夫にするビタミンK

ビタミンKは、血液凝固や骨の健康維持に関わる脂溶性ビタミンです。ビタミンKが不足すると血液が固まるのに時間がかかってしまい、ケガや内出血の際に血が止まりにくくなります。

また、ビタミンKには骨を丈夫にする作用もあり、骨粗しょう症の予防にも役立つ成分です。骨に存在するたんぱく質を活性化し、カルシウムが骨に沈着するのを助けます。

バジルのビタミンK含有量は、ほうれん草の約1.5倍で、少量でも効率的に栄養素を摂取することができる食材です。なお、ビタミンKは、生のバジルだけでなくドライバジルにも豊富に含まれています。

カルシウムで骨粗しょう症を予防

バジルは、ビタミンやカロテノイドのほか、体の健康を保つためには欠かせない必須ミネラル類もたっぷりと含んでいます。

なかでも、バジルに豊富なのはカルシウム。カルシウムは、人体に最も多く含まれるミネラルであり、丈夫な骨や歯を形成する成分です。カルシウム不足は、骨粗しょう症のリスクを高めることでも知られています。

バジルにはカルシウムの吸収・沈着を助けるビタミンKも多く含まれており、2つの成分の相互作用で、丈夫な骨の維持により高い効果が期待できるでしょう。

高血圧・動脈硬化予防に効果的なカリウム

バジルには、高血圧や動脈硬化の予防効果があるカリウムが多く含まれています。

カリウムは必須ミネラルの一種で、余分なナトリウムを体外に排出するのを助ける作用があります。適切な量のカリウムを摂取することで、塩分の摂りすぎが関連する生活習慣病の予防となります。

血圧が気になる方は、塩分量の多い食事のトッピングや調味料としてバジルを活用してみましょう。

香り成分の効果・効能

バジルの香り成分であるシネオール・リナロール・アネトールなどには、食欲を増進させる効果やリラックス効果など、さまざまな効能があります。

バジルは、胃腸が弱っていて食欲の出ないときにもおすすめの食材です。

バジルの食べ方

バジルの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

油と一緒に食べて吸収効率アップ

バジルに含まれるβ-カロテン・ビタミンK・ビタミンEは脂溶性の栄養素なので、油と同時に摂取することで体内に吸収されやすくなります。

生のバジルの葉には、オリーブオイルや油を含むドレッシングなどをかけて食べると、栄養素を効率良く摂取できるのでおすすめです。

また、バジルに松の実・にんにく・オリーブオイルなどを加えて作るジェノベーゼソースにしても良いでしょう。

食べ方に迷ったらトマトと一緒に食べるのがおすすめ

バジルとトマトは味の相性がとても良いので、一緒に調理するとそれぞれの味を引き立たせることができます。

またトマトに含まれるリコピンも油と一緒に食べることで吸収率がアップするので、栄養価の観点からも理に適っていると言えるでしょう。

バジル・トマト・モッツァレラチーズにオリーブオイルをかけて作るカプレーゼは、調理も簡単でおすすめです。

バジルの保存方法

バジルの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

冷蔵保存

生のバジルは、冷蔵庫の野菜室での保存がベストです。

乾燥を防ぐため、濡れたキッチンペーパーを敷いた保存容器にバジルを入れ、さらに濡れたキッチンペーパーをかぶせておけば、1週間程度は日持ちします。

冷凍保存

バジルの葉は、冷凍することで1ヶ月ほど保存できるようになります。バジルをラップに包み、冷凍保存用の容器に入れて冷凍庫に入れてください。解凍は不要で、凍ったまま料理に使用できます。

オイル漬けにして保存

バジルの葉は、オイルに漬けることでも長期保存が可能になります。油と合わせることでバジルに含まれる栄養素が吸収されやすくなるので、栄養価を重視する方にもおすすめの方法です。

水で良く洗ったバジルの水気を拭き取り、半日ほど乾かしてから清潔な容器にオリーブオイルと共に入れ、冷蔵保存します。バジルを細かく刻んでからオイル漬けにすることもできます。

参考文献

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