もやしの栄養と効果効能・調理法・保存法

9303views

もやし

もやしの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、もやしに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

もやしとは

もやし(bean sprouts)は、穀類や豆類の種子を暗所で水にひたして、発芽・成長させた野菜を指します。「もやし」という名前は植物名ではなく「発芽・成長させる」という意味で、「萌し」「芽し」「生し」に由来しています。

もやしの原産地には諸説ありますが、中近東地方から中国を経由し、日本に伝わったとされています。平安時代に書かれた日本で最も古い薬草の本「本草和名」に紹介されており、薬用として栽培されていたことがわかっています。

もともとは薬用として使われていましたが、明治時代末期から専業生産者が登場し、中華料理店に納品されるようになり、徐々に庶民の食べ物として親しまれていくようになりました。

もやしは人工的に栽培されているため旬などはなく、1年を通して出回っています。主な生産地は福島県、栃木県、群馬県です。

もやしの品種・種類

もやしは大きく「緑豆もやし」「ブラックマッペもやし」「大豆もやし」の3種類に分類されます。

緑豆(りょくとう)もやし

緑豆もやしは、国内で生産されるもやしの約9割を占める、もっとも生産量の多いもやしです。

緑豆という中国原産の豆から作られます。やや太めでくせがなく、ラーメンの具材や炒めもの、鍋物に使われます。

ブラックマッペもやし

ブラックマッペと呼ばれる黒い豆からつくられるもやしです。やや細めで、黒豆特有の甘みが特徴です。焼きそばやラーメンの具材、おひたしに向いています。

大豆もやし

大豆から作られるもやしです。先端に大きな豆がついており、ほかのもやしに比べてカリウムや食物繊維を豊富に含んでいます。韓国料理のナムルやビビンパ、スープ、炒めものなどに適しています。

もやしに含まれる成分・栄養素

もやし100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

比較として、緑豆もやし・ブラックマッペもやし・大豆もやしのほか、アルファルファもやし(別名:糸もやし)の成分表を並記しています。

食品名単位アルファルファもやし 生だいずもやし 生だいずもやし ゆでブラックマッペもやし 生ブラックマッペもやし ゆでりょくとうもやし 生りょくとうもやし ゆで
廃 棄 率%0401030
エネルギー(kcal)kcal/100 g12373415131412
エネルギー(kJ)kJ/100 g5015514263545950
水 分g/100 g9692939595.895.495.9
たんぱく質g/100 g1.63.72.921.31.71.6
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-2.8-2.21.2-0.81.1-1.1
脂 質g/100 g0.11.51.6TrTr0.10
トリアシルグリセロール当量g/100 g-0.11.2-1.3---0.1-
飽和脂肪酸g/100 g-0.010.2-0.21---0.03-
一価不飽和脂肪酸g/100 g-0.010.2-0.21---0.01-
多価不飽和脂肪酸g/100 g-0.060.78-0.83---0.04-
コレステロールmg/100 g0TrTr0000
炭水化物g/100 g22.32.22.72.72.62.3
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-0.30.6-0.51.5-1.21.3-1.1
水溶性食物繊維g/100 g0.10.20.30.10.20.10.2
不溶性食物繊維g/100 g1.32.11.91.31.41.21.3
食物繊維総量g/100 g1.42.32.21.41.61.31.5
灰 分g/100 g0.30.50.30.30.20.20.2
ナトリウムmg/100 g7316222
カリウムmg/100 g431605071126924
カルシウムmg/100 g14232415241011
マグネシウムmg/100 g132319111087
リンmg/100 g37514328172524
mg/100 g0.50.50.40.40.40.20.3
亜鉛mg/100 g0.40.40.30.40.30.30.2
mg/100 g0.090.120.080.070.050.080.06
マンガンmg/100 g0.10.30.350.080.090.060.06
ヨウ素µg/100 g1----2-
セレンµg/100 g1----0-
クロムµg/100 g0----0-
モリブデンµg/100 g16----55-
レチノールµg/100 g0000000
α-カロテンµg/100 g0000000
β-カロテンµg/100 g56TrTrTrTr35
β-クリプトキサンチンµg/100 g0000050
β-カロテン当量µg/100 g56(Tr)(Tr)(Tr)(Tr)65
レチノール活性当量µg/100 g50000TrTr
ビタミンDµg/100 g0000000
α-トコフェロールmg/100 g1.90.50.60.10.10.10.1
β-トコフェロールmg/100 g00.10.10000
γ-トコフェロールmg/100 gTr1.61.90.40.5TrTr
δ-トコフェロールmg/100 g00.80.9TrTr0.10.1
ビタミンKµg/100 g4757495633
ビタミンB1mg/100 g0.070.090.040.040.020.040.03
ビタミンB2mg/100 g0.090.070.040.060.020.050.04
ナイアシンmg/100 g0.20.40.10.40.10.30.2
ビタミンB6mg/100 g0.10.080.040.060.030.050.02
ビタミンB12µg/100 g0000000
葉酸µg/100 g56853942364133
パントテン酸mg/100 g0.460.360.190.340.20.230.14
ビオチンµg/100 g4.4----1.7-
ビタミンCmg/100 g55111282
食塩相当量g/100 g0000000
アルコールg/100 g-------
硝酸イオンg/100 gTr000000
テオブロミンg/100 g-------
カフェインg/100 g-------
タンニンg/100 g-------
ポリフェノールg/100 g-------
酢酸g/100 g-------
調理油g/100 g-------
有機酸g/100 g---Tr-Tr-
重量変化率%--85-83-84
備考別名: 糸もやし廃棄部位: 種皮及び損傷部種皮及び損傷部を除いたものゆでた後水冷し、水切りしたもの廃棄部位: 種皮及び損傷部種皮及び損傷部を除いたものゆでた後水冷し、水切りしたもの廃棄部位: 種皮及び損傷部種皮及び損傷部を除いたものゆでた後水冷し、水切りしたもの
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

もやしの効果・効能

もやしに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

ビタミンC:免疫力アップ・美白効果

ビタミンCは、強い抗酸化作用を持つ水溶性のビタミンです。

抗酸化作用により、白血球の働きを強化して免疫力を上げ、感染症やがん、肺炎などの病気を予防する、ストレスなどで発生する活性酸素を除去して細胞を保護し老化を遅らせる、といった効果があります。

また、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑制するため、美白効果も期待できます。

カリウム:血圧を下げる・むくみを予防する

カリウムには、細胞の浸透圧を調整して血圧を下げる効果があります。血圧を下げることによって、心血管疾患・脳卒中・冠動脈性心疾患といった、高血圧を起因とする各種生活習慣病の予防に繋がります。

また、筋肉や心筋の活動を正常に保って血流を改善し、体内にある過剰なナトリウム(水分)を排出してむくみを予防します。

食物繊維:便秘を予防・改善する

もやしには不溶性食物繊維と水溶性食物繊維が含まれています。

不溶性食物繊維は便のかさを増やして腸のぜん動運動を促し、水溶性食物繊維は善玉菌のえさとなって腸内環境を整えて、便秘を予防・改善します。

ビタミンB1:疲労回復に効果的

ビタミンB1は水溶性のビタミンで、ブドウ糖をエネルギーに変換する働きがあります。

この働きによって、疲労回復を助けたり、糖質を主なエネルギー源とする神経や脳を正常に機能させたりする効果があります。

アスパラギン酸:疲労回復・美肌作りを促進する

もやしには、タンパク質の原料となるアミノ酸の一種「アスパラギン酸」が含まれています。

アスパラギン酸には疲労のもととなる乳酸の分解を促進して疲労回復を助ける、人間の体液のバランスを整えて体調不良を予防する、肌の新陳代謝を促し保湿をする、などの効果があります。

もやしとキャベツの栄養比較

全体の約95%が水分でできており、緑豆もやしの場合100gあたり50kcalと低カロリーのもやし。100gあたり23Kcalと低カロリーのキャベツも、ダイエットに用いられる食材です。

もやしとキャベツの栄養素を比較すると、カリウムやビタミンC、葉酸はキャベツが多く含んでいるのに対し、もやしはタンパク質を多く含み、含有量はキャベツの2倍以上です。

もやしを調理する際の注意点

もやしには、ビタミンCやビタミンB1、カリウムといった水溶性の栄養素が含まれています。

そのため、長時間水洗いをしたり、茹でる調理をするとそれらの栄養素が流れ出てしまうため、水洗いはなるべく短時間に済ませ、調理方法は炒めたり、汁ごと飲めるスープや味噌汁にすると良いでしょう。

もやしの保存方法

もやしの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

冷蔵保存:保存期間は約1週間

数日中に使う場合は冷蔵保存で問題ありません。

蓋付きの保存容器にもやしを入れ、もやしがひたひたになるまで水を注ぎます。蓋をして冷蔵庫に入れて保存します。2日に一度、新しい水に入れ替えましょう。

水溶性の栄養素が流れ出てしまうため、すぐに使わないとわかっている場合は冷凍保存するようにしましょう。

冷凍保存:保存期間は約2週間

冷凍保存する場合は、まずもやしを袋から出し、さっと水洗いします。霜がつかないように水気をしっかり切ったら、冷凍用保存袋に入れ冷凍庫で保存します。

一度冷凍したもやしは、食物繊維が破壊されるため解凍してもシャキシャキとした食感にはなりません。そのまま炒め物や汁物などの具として利用すると良いでしょう。

LINE公式アカウントを追加
LINEお友達追加