グアバの栄養と効果効能・調理法・保存法
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グアバの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、グアバに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
グアバとは
グアバ(guava)は、フトモモ科バンジロウ属の常緑低木です。グァバやグヮバと表記されることもあり、和名ではバンジロウ、バンザクロ、バンセキリュウなどと呼ばれます。
グアバの木は、春に白い花を咲かせ、夏に果実を実らせます。グアバの果実は、パイナップルやマンゴーとともに南国のトロピカルフルーツとして親しまれてきました。
果肉は、ほどよい酸味と甘みがありジューシー。生でも食べられますが、ジュースやジャムなどに加工されることの多い果物です。
「熱帯のリンゴ」とも呼ばれる果実には、ビタミンやカリウムなどの栄養素が豊富。原産地である熱帯アメリカでは、紀元前800年ごろから食べられてきたそうです。
グアバには100以上の品種があり、果肉の色は品種によって赤・白・ピンク・オレンジなどさまざまで、味や食感も異なります。
世界の熱帯地域で栽培されており、日本では沖縄や鹿児島での栽培が盛んです。果実は年間通して出回っていますが、沖縄産のものは8~10月が旬となります。
また、果実だけでなくグアバは葉にもポリフェノールなどの栄養素が豊富です。葉を乾燥させたグアバ茶には血糖値の上昇を抑える作用があり、健康食品としても人気です。
グアバの品種・種類
グアバが属するバンジロウ属の植物は、100以上の種類があると言われています。ここでは、日本でもよく利用されている代表的な種類を紹介します。
グアバ(バンジロウ)
品種によって果実の色や形がさまざまなグアバですが、大きくは赤肉種と白肉種に分けられます。一般的に、赤肉はねっとり、白肉はサクサクの食感が楽しめるといわれています。
実が大きいものをキンググアバ、果実が洋ナシ形のものをペアーグアバ、球形のものをアップルグアバと呼ぶことも。よく知られている品種は、ハワイ原産のバーモント、台湾原産の東山月抜(中山月抜)などです。
ストロベリーグアバ(テリハバンジロウ)
ストロベリーグアバの実は、果皮・果肉ともに赤色をしています。グアバとは別種ですが、市場ではグアバとして扱われることも多い果物です。
熟した果実からイチゴのような香りがすることから、ストロベリーグアバの名が付きました。葉が美しいため、観葉植物として利用されることもあります。
イエローストロベリーグアバ(キミノバンジロウ)
イエローストロベリーグアバは、ストロベリーグアバの変種です。
果実はストロベリーグアバよりやや大きめで、果皮・果肉ともに黄色くなるのが特徴。果肉は酸味が控えめで風味が良く、トロッとした柔らかな食感です。
グアバに含まれる成分・栄養素
グアバ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
食品名 | 単位 | グァバ 赤肉種 生 | グァバ 白肉種 生 | グァバ 果実飲料 20 %果汁入り飲料(ネクター) | グァバ 果実飲料 10 %果汁入り飲料 |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 38 | 38 | 51 | 51 |
水 分 | g/100 g | 88.9 | 88.9 | 87.4 | 87.4 |
たんぱく質 | g/100 g | 0.6 | 0.6 | 0.1 | 0.1 |
脂 質 | g/100 g | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 |
飽和脂肪酸 | g/100 g | - | - | - | - |
一価不飽和脂肪酸 | g/100 g | - | - | - | - |
多価不飽和脂肪酸 | g/100 g | - | - | - | - |
コレステロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
炭水化物 | g/100 g | 9.9 | 9.9 | 12.3 | 12.3 |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.7 | 0.7 | 0.2 | 0 |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 4.4 | 4.4 | 0.6 | 0.2 |
食物繊維総量 | g/100 g | 5.1 | 5.1 | 0.8 | 0.2 |
ナトリウム | mg/100 g | 3 | 3 | 4 | 7 |
カリウム | mg/100 g | 240 | 240 | 49 | 28 |
カルシウム | mg/100 g | 8 | 8 | 3 | 3 |
マグネシウム | mg/100 g | 8 | 8 | 2 | 20 |
リン | mg/100 g | 16 | 16 | 3 | 2 |
鉄 | mg/100 g | 0.1 | 0.1 | 0.2 | 0.1 |
亜鉛 | mg/100 g | 0.1 | 0.1 | Tr | Tr |
銅 | mg/100 g | 0.06 | 0.06 | 0.01 | 0.01 |
マンガン | mg/100 g | 0.09 | 0.09 | 0.03 | 0.02 |
ヨウ素 | µg/100 g | - | - | - | - |
セレン | µg/100 g | - | - | - | - |
クロム | µg/100 g | - | - | - | - |
モリブデン | µg/100 g | - | - | - | - |
レチノール | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-カロテン | µg/100 g | 5 | - | 0 | 0 |
β-カロテン | µg/100 g | 580 | - | 24 | 10 |
β-クリプトキサンチン | µg/100 g | 51 | - | 0 | 0 |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 600 | 0 | 24 | 10 |
レチノール活性当量 | µg/100 g | 50 | 0 | 2 | 1 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-トコフェロール | mg/100 g | 0.3 | 0.3 | 0.1 | Tr |
β-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
γ-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
δ-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
ビタミンK | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.03 | 0.03 | 0 | 0 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.04 | 0.04 | 0.01 | 0 |
ナイアシン | mg/100 g | 0.8 | 0.8 | 0.1 | 0.1 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.06 | 0.06 | 0.01 | 0.01 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 41 | 41 | 9 | 3 |
パントテン酸 | mg/100 g | 0.32 | 0.32 | 0 | 0 |
ビオチン | µg/100 g | - | - | - | - |
ビタミンC | mg/100 g | 220 | 220 | 19 | 9 |
備考 | 別名: グアバ、ばんじろう、ばんざくろ廃棄部位: 果皮及び種子 | 別名: グアバ、ばんじろう、ばんざくろ廃棄部位: 果皮及び種子 | 別名: グアバ、ばんじろう、ばんざくろ果肉(ピューレー)分: 20 %ビタミンC: 酸化防止用として添加品あり | 別名: グアバ、ばんじろう、ばんざくろビタミンC: 酸化防止用として添加品あり |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
グアバの効果・効能
グアバに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
美白・ハリツヤアップなど美容に効果的
グアバの果実は、ビタミン類が豊富に含まれていることで知られています。特に、ビタミンCの含有量はレモンの2倍以上で、品種によってはミカンの十数倍のビタミンCを含むものもあります。
ビタミンCは、弾力のある若々しい肌を保つのに欠かせないコラーゲン生成を助ける作用や、シミ・そばかすの原因であるメラニン色素を抑制すると考えられています。美肌づくりには欠かせない栄養素です。
それに加えて、ビタミンCは鉄の吸収を助け、体を守る免疫機能を維持するのに必要な成分でもあります。
高血圧やむくみを予防する
必須ミネラルの一種であるカリウムは、体外にナトリウムを排出するのを助けます。高血圧やむくみなど、塩分の摂りすぎが原因と考えられる諸症状の予防に役立つ栄養素です。
果物や海藻、キノコ類などに豊富なカリウムですが、グアバの果実には赤肉種・白肉種ともに多くのカリウムが含まれています。
グアバは、塩分摂取量が多すぎるといわれる日本人にとって、ぜひ取り入れてきたい果物です。
若々しく健康な体づくりを助ける
赤肉種のグアバの果実には、強力な抗酸化作用をもつβカロテンがたっぷり含まれています。
βカロテンとは、植物に存在する赤や橙色の色素のことで、体に悪い影響を及ぼす活性酸素を除去する栄養素です。活性酸素は、動脈硬化・がんの発生・老化などとの関連性も指摘されています。
グアバは、健康な体づくりや、アンチエイジングにも役立つフルーツと言えるでしょう。
血糖値の上昇抑制が期待できるグアバ茶
果実だけでなく、グアバは葉にもポリフェノール類やビタミン類等の栄養素が豊富に含まれています。
ある研究では、グアバ茶を飲むことで食後血糖値の上昇が抑えられることが証明されました。グアバの葉に含まれるタンニンやケルセチンなどのポリフェノールが、糖の吸収を抑制するのです。
グアバの葉は、主にグアバ茶として飲用されています。実際に、グアバ茶を用いた特定保健用食品もあり「糖の吸収をおだやかにする」という表示が許可されています。
グアバの食べ方
グアバの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。
グアバの洗い方
グアバの果実は皮ごと食べられますが、食べる前に必ず水洗いするようにしましょう。
果皮にはゴミなどが付着している場合もあるので、水で丁寧に洗ってください。
グアバの調理方法
完熟したグアバの果実は、生で食べることもできます。
果肉を生で食べる際は、まず実を皮ごと半分にカットし、中のワタや種をスプーンで取り出します。種とワタを取り除けたら、果肉を食べやすい大きさにスライスしてください。
なお、グアバの種は食べられますが、食べすぎると消化に良くないとも言われています。調理する際に、種はなるべく取り除くようにしましょう。
グアバの食べ方・レシピ
グアバは生食のほか、ジュース・ジャム・ゼリー・ドライフルーツなどに加工して楽しむこともできるので、人気のレシピをいくつか紹介します。
トロトロ感が楽しめるグアバジュースは、カットした果肉を水・砂糖とともに30秒ほどミキサーにかけ、ザルで種をこして取り除くだけで作れます。
果実を生で食べきれないときは、ジャムに加工するのもおすすめです。グアバジュースを作る要領で果肉をミキサーにかけ、種をザルでこします。トロリとした液状になったら鍋に入れ、砂糖・レモン汁と弱火でじっくり煮込めば出来上がりです。
グアバ茶の飲み方
糖の吸収をおだやかにしてくれるグアバ茶は、食前~食事中に飲むのがおすすめです。
グアバ茶は、ペットボトル飲料やティーパックなどの形態で販売されています。手軽なのはペットボトルやティーパックですが、ここでは茶葉からグアバ茶を淹れる方法を説明します。
1リットルの水とグアバ茶葉5~10gを鍋に入れ、沸騰するまで火にかけます。沸騰したら火を弱め、1~2分ほど煮込んでください。次に、火を止めてザルや茶こしで葉をこせば、グアバ茶の完成です。
急須ややかんを使って、同じ手順でグアバ茶を淹れることもできます。
グアバを食べる際の注意点
グアバの副作用は、基本的にはないとされています。
ただし、グアバ茶には血糖値低下への影響があるため、血糖値をコントロールする薬を飲んでいる方は、かかりつけ医に相談したうえ摂取するようにしてください。
グアバの保存方法
グアバの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
皮が青く、触ってみて硬い果実は、未熟でおいしくありません。しばらく常温で保存して、食べごろになるまで追熟させてください。
食べごろのグアバの果実は、触ったときに柔らかく弾力を感じるようになり、甘い香りが強くなります。
熟した果実は、新聞紙に包み冷蔵庫の野菜室に入れて保存し、数日内で食べきりましょう。