白菜の栄養と効果効能・調理法・保存法
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白菜の旬や原産地、主要な品種などの基本情報、白菜に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
白菜とは
白菜は、アブラナ科アブラナ属の野菜で、チンゲンサイやキャベツなどの仲間です。英語では「Chinese Cabbage(チャイニーズキャベツ)」と表記します。
身近な食材ながら栄養が豊富で、鍋や漬物、キムチなどに用いられるほか、精進料理では大根や豆腐とともに冬の「養生三宝」といわれ、精進料理に欠かせない食材です。
原産は地中海沿岸で、中国を経由して日本に明治時代に伝わってきました。なかなか球状にならず栽培は困難を極めましたが、試行錯誤した結果、伝来してから20年後の大正時代に日本初の結球白菜が誕生。
産地を変えながら通年店頭に並ぶ白菜ですが、旬は11月頃〜2月頃です。冬の白菜は霜が降りることで甘みが増し、美味しくなります。
白菜の品種・種類
白菜は日本で登録されているだけでも500種以上あり、株の形態から、「結球タイプ」「半結球タイプ」「不結球タイプ」の3つに分類することができます。
結球タイプ
結球タイプは、日本で最も多く出回っている白菜です。全体に葉が何重にも重なっててかたくしまっており、円筒形をしています。
重さは2〜4kgほど。外側の葉は緑色で、中心に向かって黄緑色や黄色になっているのが特徴です。水分が豊富で、味にくせがないので、鍋物や和え物などに向いています。
半結球タイプ
半結球タイプは、胴の部分がしっかりとしていて、葉先がひらいた形をしています。おもに関東で栽培されており、漬物に適している白菜です。半結球タイプの白菜には、山東菜や長崎白菜などがあります。
不結球タイプ
不結球タイプは、結球(葉が重なって球状になる状態)せずに、葉先から胴の部分にかけて葉が密着していない白菜です。おもに葉を食用とします。
不結球タイプの白菜には、使い切りサイズのミニ白菜や紫白菜があります。
白菜に含まれる成分・栄養素
白菜100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
食品名 | 単位 | 白菜 結球葉 生 | 白菜 結球葉 ゆで | 白菜 漬物 塩漬 | 白菜 漬物 キムチ | 長崎白菜 葉 生 | 長崎白菜 葉 ゆで |
廃 棄 率 | % | 6 | 10 | 6 | 0 | 3 | 5 |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 14 | 13 | 16 | 46 | 13 | 18 |
エネルギー(kJ) | kJ/100 g | 59 | 54 | 67 | 192 | 54 | 75 |
水 分 | g/100 g | 95.2 | 95.4 | 92.2 | 85.8 | 93.9 | 93.2 |
たんぱく質 | g/100 g | 0.8 | 0.9 | 1.4 | 2.8 | 1.3 | 2.2 |
アミノ酸組成によるたんぱく質 | g/100 g | 0.6 | -0.7 | -1.1 | - | -1 | -1.7 |
脂 質 | g/100 g | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.3 | 0.1 | 0.1 |
トリアシルグリセロール当量 | g/100 g | Tr | (Tr) | (Tr) | - | (Tr) | (Tr) |
飽和脂肪酸 | g/100 g | 0.01 | -0.01 | -0.01 | - | -0.01 | -0.01 |
一価不飽和脂肪酸 | g/100 g | Tr | (Tr) | (Tr) | - | (Tr) | (Tr) |
多価不飽和脂肪酸 | g/100 g | 0.03 | -0.03 | -0.03 | - | -0.03 | -0.03 |
コレステロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
炭水化物 | g/100 g | 3.2 | 2.9 | 3.4 | 7.9 | 2.6 | 3.4 |
利用可能炭水化物(単糖当量) | g/100 g | 2 | -1.9 | - | - | - | - |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.3 | 0.4 | 0.3 | 0.7 | 0.4 | 0.7 |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 1 | 1 | 1.5 | 2 | 1.8 | 1.7 |
食物繊維総量 | g/100 g | 1.3 | 1.4 | 1.8 | 2.7 | 2.2 | 2.4 |
灰 分 | g/100 g | 0.6 | 0.5 | 2.9 | 3.1 | 1.8 | 0.8 |
ナトリウム | mg/100 g | 6 | 5 | 900 | 870 | 21 | 12 |
カリウム | mg/100 g | 220 | 160 | 230 | 340 | 300 | 120 |
カルシウム | mg/100 g | 43 | 43 | 47 | 48 | 140 | 120 |
マグネシウム | mg/100 g | 10 | 9 | 15 | 17 | 27 | 24 |
リン | mg/100 g | 33 | 33 | 39 | 55 | 37 | 48 |
鉄 | mg/100 g | 0.3 | 0.3 | 0.4 | 0.6 | 2.3 | 1.6 |
亜鉛 | mg/100 g | 0.2 | 0.2 | 0.3 | 0.3 | 0.3 | 0.2 |
銅 | mg/100 g | 0.03 | 0.03 | 0.04 | 0.06 | 0.05 | 0.04 |
マンガン | mg/100 g | 0.11 | 0.12 | 0.07 | 0.17 | 0.21 | 0.2 |
ヨウ素 | µg/100 g | 1 | - | - | - | - | - |
セレン | µg/100 g | Tr | - | - | - | - | - |
クロム | µg/100 g | 0 | - | - | - | - | - |
モリブデン | µg/100 g | 6 | - | - | - | - | - |
レチノール | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-カロテン | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 0 |
β-カロテン | µg/100 g | 92 | 130 | 14 | 170 | 1900 | 2600 |
β-クリプトキサンチン | µg/100 g | 13 | 0 | 0 | 72 | 0 | 0 |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 99 | 130 | 14 | 210 | 1900 | 2600 |
レチノール活性当量 | µg/100 g | 8 | 11 | 1 | 18 | 160 | 220 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-トコフェロール | mg/100 g | 0.2 | 0.1 | 0.2 | 0.5 | 1.3 | 1.3 |
β-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | Tr | Tr | Tr |
γ-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0.1 | 0 | 0 |
δ-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
ビタミンK | µg/100 g | 59 | 87 | 57 | 63 | 130 | 150 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.03 | 0.01 | 0.04 | 0.05 | 0.05 | 0.02 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.03 | 0.01 | 0.03 | 0.14 | 0.13 | 0.07 |
ナイアシン | mg/100 g | 0.6 | 0.3 | 0.3 | 0.8 | 0.7 | 0.3 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.09 | 0.04 | 0.12 | 0.21 | 0.14 | 0.06 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 61 | 42 | 83 | 45 | 150 | 69 |
パントテン酸 | mg/100 g | 0.25 | 0.25 | 0.22 | 0.43 | 0.28 | 0.11 |
ビオチン | µg/100 g | 1.4 | - | - | - | - | - |
ビタミンC | mg/100 g | 19 | 10 | 27 | 24 | 88 | 23 |
食塩相当量 | g/100 g | 0 | 0 | 2.3 | 2.2 | 0.1 | 0 |
アルコール | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
硝酸イオン | g/100 g | 0.1 | 0.2 | - | 0.1 | 0.3 | 0.3 |
テオブロミン | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
カフェイン | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
タンニン | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
ポリフェノール | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
酢酸 | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
調理油 | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
有機酸 | g/100 g | - | - | - | - | - | - |
重量変化率 | % | - | 72 | 73 | - | - | 78 |
備考 | 廃棄部位: 株元 | 廃棄部位: 株元ゆでた後水冷し、手搾りしたもの | 廃棄部位: 株元水洗いし、手搾りしたもの | 別名: とうな、とうじんな、ちりめんはくさい廃棄部位: 株元 | 別名: とうな、とうじんな、ちりめんはくさい廃棄部位: 株元ゆでた後水冷し、手搾りしたもの |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
白菜の効果・効能
白菜に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
ビタミンC:美肌効果・免疫力を高める
白菜の葉の部分に多く含まれるビタミンCは、コラーゲンを生成するのに必要な栄養素です。この働きにより、肌にハリを与えてシワを予防する、傷の治りを早くする、毛細血管を丈夫にする、などの効果が発揮されます。
また、ビタミンCには強い抗酸化作用があり、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑制したり、細胞の老化を遅らせたり、免疫力を高めて感染症やがんの予防をしたりといった効果もあります。
カリウム:血圧を下げる・むくみを改善する
白菜の芯の部分に多く含まれるカリウムは、細胞の浸透圧を維持・調整したり、水分を保持したり、体内にある余分な水分(ナトリウム)を体外に排出する働きがあります。
これにより、血圧を下げたり、筋肉や心筋の活動を正常に機能させたり、血の巡りを改善してむくみを予防したりします。
食物繊維:便秘の予防・解消
白菜には水溶性食物繊維が含まれています。水溶性食物繊維は、溶けるとゼリー状になって食物をゆっくり移動させる、善玉菌を増やして腸内環境を整えるという性質があります。
この性質によって、便秘の予防や解消が期待できます。
白菜の食べ方
白菜の栄養素を損なわない食べ方や調理方法などを解説します。
白菜の栄養を効率よく摂取する方法
白菜の約95%は水分で、残りの5%にビタミンCやカリウムなど栄養素が含まれています。
特にビタミンCを豊富に含んでいるのは、緑色の葉の部分です。白菜のビタミンCはリンゴの約5倍、ぶどうの約10倍だと言われています。ビタミンCを摂取したい場合は、葉を積極的に食べると良いでしょう。
白菜の芯の部分に多く含まれるのはカリウムです。同じ葉物野菜のキャベツと比べて、多く含まれています。
白菜を調理する際の注意点
白菜には、ビタミンCやカリウムといった水に溶けやすい水溶性の栄養素が含まれています。
そのため、白菜を調理する際は、鍋物やスープなど、汁をまるごと食べられる料理にすると無駄なく栄養素を摂取することができます。
また、ビタミンCをは熱に弱いため加熱しすぎると壊れてしまいます。シャキシャキとした食感が残る程度に加熱しましょう。
白菜の保存方法
白菜の栄養素を損なわない保存方法を解説します。
常温保存:保存期間は3〜4週間
カットしていない白菜は、気温が低い冬場であれば常温で保存することができます。
芯は取らず、キッチンペーパーで包んだ後、全体を新聞紙に包みます。そして、冷暗所に立てた状態で保存します。
カットした白菜は傷みやすいため、冬場でも冷蔵庫の野菜室で保存するようにしましょう。
冷蔵保存:保存期間は約1週間
冷蔵保存する場合は、まず包丁で芯の両端から斜めに切り込みを入れて、三角形の形に取り除きます。芯があると、そこから葉が成長を続けてしまうため、鮮度が落ちてしまうのです。
その後、湿らせたキッチンペーパーを切り口に貼り、密閉できる保存袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存します。