かぼちゃの栄養と効果効能・調理法・保存法
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かぼちゃの旬や原産地などの基本情報、かぼちゃが持つ栄養素とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
かぼちゃとは
カボチャはウリ科カボチャ属の蔓性植物で、ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEなどのビタミン類を豊富に含んだ緑黄色野菜です。
原産はアメリカ大陸ですが、日本にはカンボジアから持ち込まれました。16世紀、種子島に鉄砲と共にやってきて、その際「カンボジア」が訛って「かぼちゃ」になったとされています。
現在の主要生産地は中国・インド・ウクライナ・アフリカで、世界には多様な品種がありますが、日本で主に栽培されているものは日本かぼちゃ・西洋かぼちゃ・ペポカボチャの3種類です。
国内産のかぼちゃの旬は、秋から初冬にかけて。国内で栽培されるかぼちゃは6月から9月にかけて収穫されますが、収穫してすぐのかぼちゃは水気が多く甘味が少ないため、それから3ヵ月ほど寝かせることで旬を迎えます。
かぼちゃに含まれる成分・栄養素
かぼちゃ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
β-カロテンの豊富さが特徴のかぼちゃですが、品種によっても含有量に大きく差があることが分かるでしょう。
生の日本かぼちゃ100g当たりに含まれるβ-カロテン当量が730μgなのに対し、同じく生の西洋かぼちゃ100g当たりに含まれる-カロテン当量は4000μgと実に6倍近いβ-カロテンを含有しています。
食品名 | 単位 | 日本かぼちゃ(生) | 日本かぼちゃ(茹で) | 西洋かぼちゃ(生) | 西洋かぼちゃ(茹で) | 西洋かぼちゃ(焼き) | 西洋かぼちゃ(冷凍) |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 49 | 60 | 91 | 93 | 122 | 83 |
水 分 | g/100 g | 86.7 | 84 | 76.2 | 75.7 | 68.2 | 78.1 |
たんぱく質 | g/100 g | 1.6 | 1.9 | 1.9 | 1.6 | 2.5 | 2.2 |
炭水化物 | g/100 g | 10.9 | 13.3 | 20.6 | 21.3 | 27.7 | 18.5 |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.7 | 0.8 | 0.9 | 0.9 | 1.3 | 0.9 |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 2.1 | 2.8 | 2.6 | 3.2 | 3.9 | 3.3 |
食物繊維総量 | g/100 g | 2.8 | 3.6 | 3.5 | 4.1 | 5.3 | 4.2 |
ナトリウム | mg/100 g | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 3 |
カリウム | mg/100 g | 400 | 480 | 450 | 430 | 570 | 430 |
β-カロテン当量※1 | µg/100 g | 730 | 830 | 4000 | 4000 | 5500 | 3800 |
レチノール活性当量(ビタミンA)※2 | µg/100 g | 60 | 69 | 330 | 330 | 450 | 310 |
ビタミンE | mg/100 g | 5.1 | 6.1 | 6.3 | 5.8 | 8.8 | 5.4 |
ビタミンK | µg/100 g | 26 | 27 | 25 | 22 | 0 | 17 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.07 | 0.08 | 0.07 | 0.07 | 0.09 | 0.06 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.06 | 0.07 | 0.09 | 0.08 | 0.12 | 0.09 |
ナイアシン | mg/100 g | 0.6 | 0.7 | 1.5 | 1.5 | 2.1 | 1.3 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.12 | 0.13 | 0.22 | 0.19 | 0.22 | 0.19 |
葉酸 | µg/100 g | 80 | 75 | 42 | 38 | 58 | 48 |
パントテン酸 | mg/100 g | 0.5 | 0.5 | 0.62 | 0.62 | 0.77 | 0.44 |
ビオチン | µg/100 g | 1.7 | - | 1.7 | - | - | - |
ビタミンC | mg/100 g | 16 | 16 | 43 | 32 | 44 | 34 |
※2:レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
かぼちゃの効果・効能
かぼちゃに含まれる栄養素が持つ効果・効能について解説します。
β-カロテンや各種ビタミンで免疫力アップ
かぼちゃは冬至に食べる食べ物としても知られますが、その理由は冬至の時期に旬を迎えるだけでなく、β-カロテンをはじめ免疫力強化に効果を発揮する栄養素がバランスよく含まれており、風邪予防に役立つためです。
β-カロテン以外にも、ビタミンE・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンCといったビタミン類を豊富に含むほか、カルシウム・鉄分・カリウムといったミネラル類も摂取できます。
皮膚の紫外線ダメージを修復して美肌効果も期待
β-カロテンは免疫力をアップさせるほか、皮膚や粘膜の修復もサポート。
この効果によって、皮膚が紫外線などから受けたダメージを修復して、肌を美しく健康に保つ効果が期待できます。
抗酸化ビタミンによるアンチエイジング効果
β-カロテン(ビタミンA)・ビタミンC・ビタミンEは、「ビタミンACE(ビタミンエース)」や三大抗酸化ビタミンとも呼ばれており、3つのビタミンを豊富に含んだかぼちゃは、老化を防ぐアンチエイジング効果が期待できます。
β-カロテンは、肌に与えられたダメージを修復して肌荒れや乾燥の予防改善に効果的です。
ビタミンCは、メラニン色素の生成を阻害してしみを予防するほか、コラーゲンの生成もサポート。
ビタミンEは、血行を改善して肌の代謝やターンオーバーを促進します。
食物繊維が豊富で便秘の予防・解消に
かぼちゃは食物繊維も豊富に含んでいるため、便秘の予防・解消に役立ちます。
食物繊維は水溶性と不溶性に分かれるのですが、かぼちゃの食物繊維は両方をバランスよく含んでいる点も特徴です。
そのなかでも腸のぜん動運動をサポートする不溶性食物繊維が豊富なため、下痢になることが少なく便秘がちという人に特に向いています。
冷え症・貧血の改善に効く栄養素が豊富
ビタミンEは抗酸化作用でアンチエイジングに効果を発揮するだけでなく、末梢血管を拡張して血行を整える働きもあります。
そのため、血行不良が原因の冷え症や肩こり、頭痛などの改善が期待できるでしょう。
さらにかぼちゃは植物性鉄(非ヘム鉄)も含んでおり、貧血改善にも効果が期待できます。
鉄そのものの含有量はトップクラスというほどではないものの、鉄の吸収を助けるビタミンCが豊富なため、かぼちゃ単体で鉄の摂取から吸収までをサポートしてくれる点は理想的です。
豊富なカリウムがむくみ改善に効果
むくみの解消には、カリウムが効果を発揮します。
カリウムを豊富に含有する野菜としてはきゅうりが代表的ですが、実は同じ量で比較するとかぼちゃはなんときゅうりの2倍ものカリウムを含有しているのです。
カリウムは塩分を体外に排出するのを促すため、普段から塩分の多い食事を摂っている方や、汗をかくことの多い夏場などには特に不足しがちなミネラル。
国内産かぼちゃの旬は秋から冬にかけてですが、現在は海外産かぼちゃもあり年中食べることができますので、特にカリウムが不足しやすい夏場に食べるというのもおすすめです。
かぼちゃの調理方法
かぼちゃの栄養を損なわない調理方法を解説します。
かぼちゃの洗い方
かぼちゃを調理する際は、まず表面の汚れを水でよく洗い流しましょう。
特に残留農薬が気になる場合などは、たわしでしっかりと皮を洗ってください。それでも不安な場合は、皮を部分的に剥いてしまってもいいでしょう。
ただし、皮にはβ-カロテンが果肉の約2倍含まれているため、可能な限り皮ごと食べることをおすすめします。
種やわたを取り除く
かぼちゃを洗ったら、使用する料理に合わせて切りましょう。カットする方法は料理によってさまざまですが、切った後、種やわたを取り除く点は共通します。
このとき、取り除いた種やわたは捨てずに取っておくことが重要です。皮と同様に、種やわたには豊富な栄養が含まれています。
食べ方は種・わた・皮まで食べられる煮つけがおすすめ
種・わた・皮まですべてまとめて食べたい場合には、煮つけがおすすめです。
別々に調理する場合は、種はカリカリに炒ってヒマワリの種のように食べるとおつまみにもなっておすすめ。わたはスープやポタージュに入れると甘味が際立つだけでなく彩りにもなります。
免疫力を高めるためにかぼちゃを摂取するなら、肉や卵などのタンパク質との食べ合わせがおすすめ。ストレスを緩和させたいときには、チーズと合わせてかぼちゃグラタンなどもおすすめです。
なお、かぼちゃが苦手な子どもに食べさせたい場合は、あえて葉物野菜と合わせてさっぱりとサラダとして出してみるというのも手。味よりも食感が苦手という場合は、できるだけ食感を残さないスープ仕立てにしてもいいでしょう。
かぼちゃを食べるうえでの注意点
かぼちゃに含まれるβ-カロテンは、ビタミンAが不足しているときだけビタミンAとして吸収・利用されるプロビタミンAのため、ビタミンAの過剰摂取などの心配はありません。
ただし、じゃがいもやサツマイモといったイモ類と同等の糖質を含んでいるため、食べ過ぎるとエネルギーの過剰摂取になってしまいます。
米に比べると糖質は比較的少ないですが、カロリーはそれなりにありますので注意しましょう。なおかぼちゃダイエットをするなら、よりカロリーの少ない日本かぼちゃの方が向いています。
また、かぼちゃの種・わた・皮には果実よりも豊富な栄養が一部含まれていますが、離乳食としてかぼちゃを利用する場合は消化しにくいため、取り除くようにしましょう。
かぼちゃの保存方法
かぼちゃの保存方法は、カットしていない丸ごとの状態ならそのまま常温で3ヵ月程度はもちます。
カットすると切り口から水分が入り傷みやすくなってしまうため、水分の多いわたを取り除いてラップをして冷蔵か冷凍保存をしましょう。
冷蔵保存の場合は3日程度しかもたないため、すぐに使う予定がない場合は冷凍保存がおすすめです。
冷凍保存は生の状態でも可能ですが、食感を重視するなら一度蒸かしてマッシュした状態で冷凍するとより使いやすくなります。なお冷凍のかぼちゃを食べる際は、解凍せずそのままお使いください。