パントテン酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品

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栄養素

パントテン酸の効果・働き、パントテン酸の種類、不足・欠乏・過剰摂取による影響、パントテン酸の1日の摂取目安量、パントテン酸を多く含む食品について解説・紹介します。

パントテン酸とは

パントテン酸は、別名ビタミンB5とも呼ばれるビタミンB群の一種です。

補酵素A(コエンザイムA)の前駆体であり、炭水化物・脂質・タンパク質と3大栄養素の代謝をサポートする働きがあります。

パントテン酸という名前には「広くどこにでもある酸」という意味があり、さまざまな生物に含まれることから名付けられました。

水溶性ビタミンであるため水に溶けやすい性質を持っていますが、あらゆる食品に含まれており食事からの摂取が容易なので、一般的な食生活をしている人において欠乏することは稀です。

パントテン酸の効果・働き

パントテン酸の持つ効果・効能・働きを解説します。

エネルギーの代謝を促進して疲労回復

パントテン酸を含むビタミンB群は、補酵素としてさまざまな酵素を助ける役割を持っており、炭水化物・脂質・タンパク質の代謝にも大きく関わっています。

エネルギーのもととなる栄養素を代謝するビタミンB群は、エネルギーへの変換をスムーズにするため疲労回復に効果的です。

副腎の働きをサポートしてストレスへの抵抗力を高める

人間の身体はストレスを感じると、副腎(腎上体)から副腎皮質ホルモンという抗ストレスホルモンを分泌します。

この際にパントテン酸は、副腎の機能をサポートしてストレスへの抵抗力をアップ

さらにこのとき、パントテン酸をビタミンC・ビタミンEと一緒に摂取することで、より高い抗ストレス効果が期待できます。

善玉コレステロールを増加させて動脈硬化予防

パントテン酸は善玉コレステロールを増加させて、動脈硬化や脳梗塞などの心血管系の病気を予防します。

皮膚を正常に保ち肌荒れに効果

パントテン酸にはエネルギーを代謝する働き以外にも、皮膚や粘膜の健康維持を助けるという重要な働きがあり、肌荒れや皮膚炎の予防改善に効果があります。

皮脂を抑制してニキビ予防・改善に効果

エネルギーの代謝に関わり、炭水化物や脂肪といった皮脂の原因となる栄養素を即座にエネルギーに変えることで得られる効果が、過剰な皮脂の抑制です。

パントテン酸が皮脂を抑制することによって、皮脂が原因となって引き起こされるニキビなどの改善も期待できます。

パントテン酸が不足・欠乏すると起こる症状

パントテン酸は体内のさまざまな活動に関わっているため、欠乏した際の症状も多岐にわたります。

なかでも代表的な欠乏症状は、足のしびれ・苦痛を伴った灼熱痛・刺痛・頭痛・疲労・不眠・腸の不調など。

ただし、人間の体内でパントテン酸が欠乏するのは非常に稀なため、欠乏症の結果に関するほとんどの情報は人以外の動物による実験研究で集められたものです。

具体的な欠乏症状に関する報告も、実験において意図的にパントテン酸を含まない食事を摂取したほか、パントテン酸を阻害する薬を飲むなどの方法で確かめられたものとなっています。

パントテン酸が不足・欠乏する原因と対策

前述の通り、通常の食事を摂取している人においてパントテン酸が不足・欠乏することは基本的にありません。

パントテン酸を過剰摂取すると起こる症状

食事からの摂取もサプリからの摂取も、特に毒性や副作用が確認されておらず、日本人の食事摂取基準(2020 年版)では上限量が設定されていません。

確認された唯一の有害作用は、D-パントテン酸カルシウムを1日あたり10~20g摂取した結果の下痢のみです。

なお、ニキビ対策の皮脂抑制などのためにパントテン酸サプリメントを過剰摂取する人の中には、唇がかさつく、肌が乾燥するといった副作用も見られています。

サプリメントの服用をやめることで症状は落ち着くようですが、症状が起こる摂取量には大きく個人差があるため、様子を見ながら摂取しましょう。

パントテン酸の1日の摂取目安量

パントテン酸の1日の摂取目安量は、成人男性・成人女性ともに5~6mgです。

これは、鶏レバーで摂取した場合およそ60gで推奨量を満たし、生のブロッコリーで摂取した場合およそ400g以上必要な量となります。

単体の食品で摂取しようとするとかなり多く感じますが、2018 (平成30) 年の国民健康・栄養調査では、男性で平均5.96 mg/日、女性で平均5.23 mg/日とほぼ目安量を満たしています

そのため、パントテン酸のみを意識的に摂取する必要はあまりないかもしれません。

性 別男 性女 性
年齢等目安量目安量
0 ~ 5 (月)44
6 ~11(月)55
1 ~ 2 (歳)34
3 ~ 5 (歳)44
6 ~ 7 (歳)55
8 ~ 9 (歳)65
10~11(歳)66
12~14(歳)76
15~17(歳)76
18~29(歳)55
30~49(歳)55
50~64(歳)65
65~74(歳)65
75 以上(歳)65
妊 婦5
授乳婦6
出典:日本人の食事摂取基準(2020 年版)

パントテン酸を多く含む食品

パントテン酸を多く含む食品を、「全食品ランキング」「野菜ランキング」「果物ランキング」の順で紹介します。

一般的な食生活で不足しにくいパントテン酸ですが、より多く摂取したい方はぜひ参考にしてください。

全食品中でパントテン酸を多く含む食品ランキング

順位食品名成分量100gあたりmg
1肉類/にわとり/[副生物]/肝臓/生10.1
2きのこ類/しいたけ/乾しいたけ/乾7.93
3肉類/ぶた/[その他]/スモークレバー7.28
4肉類/ぶた/[副生物]/肝臓/生7.19
5肉類/うし/[副生物]/肝臓/生6.4
6乳類/(その他)/チーズホエーパウダー5.95
7魚介類/やつめうなぎ/干しやつめ5.76
8調味料及び香辛料類/酵母/パン酵母、乾燥5.73
9魚介類/ぼら/からすみ5.17
10肉類/すずめ/肉、骨・皮つき、生4.56
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

全食品中でパントテン酸を多く含むのは、鶏レバー・豚レバー・牛レバーです。いずれも100g未満の摂取で1日あたりの摂取推奨量を満たします。

パントテン酸を多く含む野菜ランキング

順位食品名成分量100gあたりmg
1とうがらし/果実、乾3.61
2ぜんまい/干しぜんまい/干し若芽、乾3.1
3わらび/干しわらび、乾2.7
4ずいき/干しずいき、乾2
5ブロッコリー 花序 焼き1.99
6モロヘイヤ/茎葉、生1.83
7かんぴょう/乾1.75
8きく/菊のり1.5
9ブロッコリー 花序 油いため1.47
10ブロッコリー 花序 生1.42
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

野菜の中でもっとも多くパントテン酸を含むのは乾燥とうがらしですが、普段の食事で食べやすい野菜に限定すると、ブロッコリーやモロヘイヤが優秀です。

パントテン酸を多く含む果物ランキング

順位食品名成分量100gあたりmg
1きはだ、実、乾1.83
2アボカド/生1.65
3バナナ/乾1.13
4なつめやし/乾0.94
5かんきつ類/ゆず/果皮、生0.89
6なつめ/乾0.86
7かき/干しがき0.85
8くこ、実、乾0.71
9パインアップル/焼き0.64
10パッションフルーツ/果汁、生0.63
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

果物の中でパントテン酸を豊富に含むのはキハダの実ですが、食べやすさから考えるとアボカドやバナナを積極的に摂取するとよいでしょう。

参考文献

Flodin N. Pharmacology of micronutrients. New York: Alan R. Liss, Inc.; 1988.

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