オリーブの栄養と効果効能・調理法・保存法

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オリーブ

オリーブの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、オリーブに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

オリーブとは

オリーブ(olive)は、モクセイ科オリーブ属の木で、その果実は塩漬けにしたり、油を搾ってオリーブオイルを抽出したりします。オリーブの色・香り・味わいは、世界各国のオリーブの産地や気候、土壌、品種、摘み方、収穫時期によって変わります。

オリーブの木は「夫婦の木」とされ、その葉は「安らぎ」「幸せ」「長寿」のモチーフとして、結婚式のウェディングブーケや花冠、花束などに利用されます。

オリーブの実には緑色のものと黒色のものがありますが、この違いは実の熟成度にあります。グリーンオリーブはまだ熟していない若い実でポリフェノールを多く含んでいる一方、ブラックオリーブは熟成されているためまろやかな味わいで、オイル分を多く含んでいます。

オリーブの原産地はイタリアやスペイン、ギリシャなど地中海地方の国です。現在でもこれらの国々がオリーブを生産しており、国内では香川県の小豆島で生産されています。なかでもスペインは全体の約75%を生産する世界最大の産地で、生産量は平均120〜140万トンです。

オリーブオイルは1年を通して店頭に並ぶため、オリーブに旬があることはなかなか知られていませんが、9月中旬〜11月下旬ごろの秋冬の時期がオリーブの旬です。

オリーブの品種・種類

オリーブの主要な品種について解説します。

コロネイキ

コロネイキは、ギリシャで栽培されているオリーブの主力品種です。果実が小さめで1粒あたり1〜2gほどしかありません。生産量が少なく高品質なため、オイルは高級品として知られています。

チプレッシーノ(シプレッシーノ)

チプレッシーノは、イタリアのシチリア島が原産地のオリーブ。丸みのある果実で、サイズは1粒あたり2〜3.5gほどです。ピクルスやオリーブオイルに使われます。

ルッカ

ルッカはイタリア原産のオリーブで、日本にはアメリカから伝わってきました。オイルの含有量が高く、フルーティーな味わいなオリーブオイルになります。

マンザニロ

マンザニロはスペイン原産のオリーブで、現在世界中で栽培されている品種です。果実は大きめで、ピクルスやオリーブオイルに加工されます。

ネバティロブランコ

ネバティロブランコは、スペイン原産でオリーブの数ある品種のなかでもっともポピュラーといえる品種。果肉は柔らかく、大きさは1粒あたり2〜2.5gと小ぶりです。主にオリーブオイル用として加工されます。

オリーブに含まれる成分・栄養素

オリーブ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位グリーンオリーブブラックオリーブスタッフドオリーブ
廃 棄 率%25250
エネルギー(kcal)kcal/100 g145118137
エネルギー(kJ)kJ/100 g607494573
水 分g/100 g75.681.675.4
たんぱく質g/100 g10.80.8
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g---
脂 質g/100 g1512.314.3
トリアシルグリセロール当量g/100 g-14.612-
飽和脂肪酸g/100 g-2.532.07-
一価不飽和脂肪酸g/100 g-10.638.72-
多価不飽和脂肪酸g/100 g-0.820.67-
コレステロールmg/100 g0Tr0
炭水化物g/100 g4.53.44.2
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g(Tr)--
水溶性食物繊維g/100 g0.20.40.8
不溶性食物繊維g/100 g3.12.12.9
食物繊維総量g/100 g3.32.53.7
灰 分g/100 g3.91.95.3
ナトリウムmg/100 g14006402000
カリウムmg/100 g471028
カルシウムmg/100 g796883
マグネシウムmg/100 g131113
リンmg/100 g855
mg/100 g0.30.80.3
亜鉛mg/100 g0.20.20.1
mg/100 g0.170.170.14
マンガンmg/100 g0.040.080.03
ヨウ素µg/100 g---
セレンµg/100 g---
クロムµg/100 g---
モリブデンµg/100 g---
レチノールµg/100 g000
α-カロテンµg/100 g0-0
β-カロテンµg/100 g450-490
β-クリプトキサンチンµg/100 g0-78
β-カロテン当量µg/100 g450Tr530
レチノール活性当量µg/100 g38044
ビタミンDµg/100 g000
α-トコフェロールmg/100 g5.54.65.3
β-トコフェロールmg/100 g00.10
γ-トコフェロールmg/100 g0.20.10.2
δ-トコフェロールmg/100 g000
ビタミンKµg/100 g000
ビタミンB1mg/100 g0.010.050.01
ビタミンB2mg/100 g0.020.060.01
ナイアシンmg/100 gTr0.3Tr
ビタミンB6mg/100 g0.030.020.02
ビタミンB12µg/100 g000
葉酸µg/100 g321
パントテン酸mg/100 g000
ビオチンµg/100 g---
ビタミンCmg/100 g12Tr11
食塩相当量g/100 g3.61.65.1
アルコールg/100 g---
硝酸イオンg/100 g---
テオブロミンg/100 g---
カフェインg/100 g---
タンニンg/100 g---
ポリフェノールg/100 g---
酢酸g/100 g---
調理油g/100 g---
有機酸g/100 g---
重量変化率%---
備考緑果の塩漬試料: びん詰液汁を除いたもの廃棄部位: 種子別名: ライプオリーブ熟果の塩漬試料: びん詰液汁を除いたもの廃棄部位: 種子緑果にピメントを詰めた塩漬試料: びん詰液汁を除いたもの

β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)

レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)

 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。

 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。

-:未測定

出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

オリーブの効果・効能

オリーブに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

オレイン酸:悪玉コレステロールを減らす・便秘解消

オリーブから作られるオリーブオイルには、一価不飽和脂肪酸に分類されるオレイン酸が豊富に含まれています。

オレイン酸は、悪玉(LDL)コレステロールを減少させる効果があり、悪玉コレステロール増加による動脈硬化や高血圧、糖尿病などの生活習慣病を予防につながります。

また、オレイン酸は小腸で消化吸収されにくく、腸まで届き刺激を与えることでぜん動運動を促し、便秘を予防・解消するのに効果的です。

オリーブポリフェノール:美白効果・美肌効果・抗炎症作用

オリーブの果実や葉には「オリーブポリフェノール」というポリフェノールが含まれています。これはオリーブオイルの苦味や辛味の成分で、早摘みのオリーブ(グリーンオリーブ)に多く含まれています。

オリーブポリフェノールの主成分は「ヒドロキシチロソール」という物質です。ヒドロキシチロソールの抗酸化力は非常に強く、ビタミンCの約10倍と言われており、美白効果だけでなく、コラーゲン生成を助ける働きによって美肌効果も期待できます。

また、抗炎症作用もあり、関節痛の予防か改善にも効果的です。

ポリフェノールは、摂取してから3〜4時間ほどしか効果を持続しないので、食事に取り入れながら1日の中で数回に分けて摂取するのが良いでしょう。

ビタミンE:生活習慣病の予防・血行促進

ビタミンEは脂質性のビタミンで、強い抗酸化力と過酸化物質を抑制する働きがあることから、「若返りのビタミン」と言われています。

ビタミンEを摂取することで、動脈硬化やがんなどの生活習慣病や免疫力低下、老化を引き起こす活性酸素の発生を抑制することできます。

また、ビタミンEをには末梢血管を広げて血行をよくし、血行不良による冷えや頭痛、生理痛を改善するのに効果を発揮します。

β-カロテン:目や皮膚の粘膜を健康に保つ・視機能を改善する

β-カロテンは、緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイド(天然の色素)の一種で、オリーブの実に多く含まれています。体内に取り込まれたβ-カロテンは、一部は脂肪組織の蓄えられ、残りはビタミンAに変換されます。

ビタミンAは、抗酸化作用によって活性酸素を除去したり、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、視機能の改善をしたり、免疫機能を正常に機能させたりといった効果があります。

オリーブとオリーブオイルの食べ方

オリーブとオリーブオイルの栄養素を損なわない食べ方と、食べる際の注意点を解説します。

オリーブの食べ方

塩漬けのオリーブは、塩分が多く含まれています。

塩分を過剰に摂取すると、むくみや血圧上昇の原因になってしまうため、塩分の摂取量が気になる方は食べる際に薄い塩水で10分以上さらして塩分を抜くと良いでしょう。

オリーブの摂取目安量・食べる際の注意点

日本で手に入るオリーブは、ほとんどが塩漬けかオイル漬けです。オリーブ自体、多くの油分を含んでおり、食べ過ぎると油分過多になってしまいます。

また、塩漬けのオリーブを食べすぎると塩分過多になってしまうので、特に高血圧の人やむくみが気になる人は摂取量に注意が必要です。

1日の食べる量の目安は、オリーブの実5個に抑えるようにしましょう。

オリーブオイルの食べ方

トマトに含まれるリコピンという成分は油に溶けやすい性質を持っており、オリーブオイルなどの油脂と一緒に食べると効率よく摂取することができます。

リコピンは熱に強いため、トマトソースのスパゲッティやブルスケッタなど、オリーブオイルと一緒に加熱する料理が効率的に栄養を摂る上で良いでしょう。

また、未精製で酸化が少ないエキストラバージンオイルには、オレイン酸がより豊富に含まれています。オレイン酸には腸のぜん動を活性化する働きがあり、朝食前に飲むことで腸を刺激し便秘を解消することができます。

オリーブオイルの摂取目安量・食べる際の注意点

オリーブオイルも同様で、摂り過ぎると脂質の摂りすぎに繋がり、体重増加を引き起こす可能性があります。オリーブオイルの1日の摂取目安量は、大さじ2〜3杯です。

オリーブの保存方法

オリーブの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

オリーブの保存方法

開封後の瓶詰めや缶詰のオリーブは、常温保存すると湿度によってカビが生えてしまう可能性があります。

一緒に入っている液体をすべて捨てて軽く水洗いし、キッチンペーパーなどで水気を丁寧に拭き取った後、エキストラバージンオイルを入れて保存しましょう。

オリーブオイルの保存方法

オリーブオイルは食用油の中でも酸化に強い食品ですが、日光や高温、空気に弱いため、適切な方法で保存しないと風味を損なってしまいます。

オリーブオイルを保存する際は、冷暗所で保存するのが最適です。コンロ周りや電子レンジ周りなど高温になる場所は避け、キッチン下や戸棚の中、床下収納で保存しましょう。

高温を避けようとして冷蔵庫などの5度以下の環境に長時間置くと、白色の沈殿が生じたり、凝固したりしてしまいます。これはカビなどではなくオリーブの成分のため、暖かい場所に一定時間置いておくと元に戻ります。

食べる上では問題ありませんが、繰り返すと風味が落ちてしまうため注意しましょう。

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