モリンガの栄養と効果効能・調理法
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モリンガの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、モリンガに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
モリンガとは
モリンガは、ワサビノキ科の植物です。モリンガの根に香味があることからワサビノキと呼ばれていますが、ワサビとの関連はありません。フィリピンのタガログ語では、マルンガイ・カムンガイ・カモンガイなどと呼ばれます。
β-カロテンやカルシウム、鉄、ポリフェノールなどさまざまな栄養素を豊富に含んでおり、その栄養価の高さから「ミラクルツリー(奇跡の木)」「生命の木」とも呼ばれています。
モリンガは木や葉だけでなく種・幹・枝・花・根・茎・樹皮・鞘(ドラムスティック)といったすべての部分を食べることができ、利用価値が高いのも特徴のひとつ。
原産地は、インドを中心とする南アジアの地域や、アフリカ・南米の地域です。
インドでは食材として現地の人に食べられているほか、伝統医学「アーユルヴェーダ」に約300の薬効があると紹介され、紀元前から治療やマッサージ施術の素材として用いられていました。
キヌアやアマランサスと同じスーパーフードのひとつで、日本では自生していない植物です。
近年ではサプリメントをはじめとしたモリンガの加工品が販売されるようになり、少しずつ注目が集まっています。病害虫に強く、栽培が容易であるため、国内でも沖縄県で栽培されています。
モリンガに含まれる成分・栄養素
モリンガ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
モリンガ(ワサビノキ)100 gあたりの栄養価
部位 | 葉 | 鞘(ドラムスティック) |
エネルギー | 64 kcal (270 kJ) | 37 kcal (150 kJ) |
炭水化物 | 8.28 g | 8.53 g |
食物繊維 | 2.0 g | 3.2 g |
脂肪 | 1.40 g | 0.20 g |
タンパク質 | 9.40 g | 2.10 g |
ビタミンA相当量 | (47%)378 µg | (1%)4 µg |
チアミン (B1) | (22%)0.257 mg | (5%)0.0530 mg |
リボフラビン (B2) | (55%)0.660 mg | (6%)0.074 mg |
ナイアシン (B3) | (15%)2.220 mg | (4%)0.620 mg |
パントテン酸 (B5) | (3%)0.125 mg | (16%)0.794 mg |
ビタミンB6 | (92%)1.200 mg | (9%)0.120 mg |
葉酸 (B9) | (10%)40 µg | (11%)44 µg |
ビタミンC | (62%)51.7 mg | (170%)141.0 mg |
ナトリウム | (1%)9 mg | (3%)42 mg |
カリウム | (7%)337 mg | (10%)461 mg |
カルシウム | (19%)185 mg | (3%)30 mg |
マグネシウム | (41%)147 mg | (13%)45 mg |
リン | (16%)112 mg | (7%)50 mg |
鉄 | (31%)4.00 mg | (3%)0.36 mg |
亜鉛 | (6%)0.6 mg | (5%)0.45 mg |
マンガン | (17%)0.36 mg | (12%)0.259 mg |
水分 | 78.66 g | 88.20 g |
出典: USDA栄養データベース
モリンガの効果・効能
モリンガに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
効果①:美肌促進効果
モリンガには、ポリフェノールやクロロフィルといった46種類の抗酸化成分が豊富に含まれています。
特に葉には、活性酸素に対する強力な抗酸化作用があると、いくつかの研究で明らかになりました。
抗酸化作用によって、体の細胞の酸化による老化を防ぎます。また、美白効果やシミの発生予防効果が期待できるビタミンCも豊富。美肌つくりに効果が期待できるでしょう。
効果②:血圧の上昇を抑える
モリンガには、血圧を下げる働きがあるギャバ(γ-アミノ酸)が豊富に含まれています。
ギャバは交感神経を抑制し、血管を収縮させるホルモンである「ノルアドレナリン」の分泌を抑えることで、血圧を下げます。
効果③:炎症を抑える
モリンガの根や葉の抽出物には、関節や気道の炎症を和らげる効果があります。動物実験から、抗炎症作用があることがわかりました。
また、モリンガの種に含まれる水およびエタノール抽出物には抗菌成分があり、コレラ、大腸菌や黄色ブドウ球菌などに対して抗菌作用が働くことも報告されています。
効果④:便通を改善し、便秘を解消する
モリンガには、食物繊維を豊富に含むことで有名な、ごぼうの約5倍の食物繊維が含まれています。
便のかさを増して腸を刺激する不溶性食物繊維と、ビフィズス菌や善玉菌を作って腸内環境を整える水溶性食物繊維をバランス良く含んでいるのも特徴です。
腸内環境が悪化すると体臭が強くなってしまうため、消臭効果も期待できます。
効果⑤:血糖値を下げる
モリンガに豊富に含まれる食物繊維は、腸管に働きかけ、糖質の吸収を穏やかにする効果もあります。
そのため、糖質の多い食事をする前にモリンガを摂取すれば、食後の血糖値上昇を抑えることができます。
また、モリンガに含まれる亜鉛やミネラル、GABAには血糖値を下げるインシュリンの分泌を促す作用があり、糖尿病の予防効果も期待できます。
効果⑥:花粉症対策に効果がある
ヒスタミンやロイコトリエンなどの花粉症を引き起こす物質は、ポリフェノールによって発生を抑える働きがあると言われています。
モリンガには、赤ワインの約8倍のポリフェノールが含まれているため、花粉症対策に効果が期待できるのです。
モリンガの種の栄養
モリンガの種は殻に覆われており、割ると白くてふわふわとした種が出てきます。
モリンガの種にはビタミン様物質のイノシトールが含まれています。イノシトールは「抗脂肪肝ビタミン」とも呼ばれ、脂肪の流れを改善し、肝臓に余計な脂肪が蓄積されないようにコントロールする働きがあります。
そのほかにも、神経機能を正常に保ったり、発毛や育成など頭皮の健康を保ったり、1日10g以上の摂取によりパニック症候群や強迫性障害の治療を助けたり、といった効果があります。
モリンガを摂取する際の注意点・摂取量の目安
厚生労働省の資料(※)によると、妊娠しているラットにモリンガの葉の抽出物を高用量与えたところ、流産がみられたとの文献報告があります。
このため、妊娠している方や妊娠の可能性のある方は、摂取を控えるよう注意喚起がされています。
また、モリンガには血圧を下げる効果があるため、過度に摂取すると低血圧になる可能性があります。
特に血圧降下剤を服用中の人は、専門医に相談の上、摂取するようにしてください。粉末の場合、摂取量の目安としては、成人で1日3.0g、子どもは1.5g、幼児は0.5gです。
Moringa oleifera(いわゆるモリンガ、ワサビノキ※)について|厚生労働省
モリンガの摂取方法
モリンガの摂取方法について解説します。
モリンガのおすすめの食べ方
モリンガは粉末やサプリメント、お茶として食べたり飲んだりするのが一般的です。
粉末のモリンガは緑茶や抹茶のようなお茶の味に近く、鮮やかな緑色と風味を生かしてスムージーやケーキにする方法があります。
また、モリンガのお茶の風味は抹茶やよもぎに、味は香ばしいコーン茶に似ています。そのためお茶の風味が苦手な人は、サプリメントで摂取すると良いでしょう。
生のモリンガを食べる際の注意点
モリンガは生でも食べることができます。
ただし、生のモリンガは加工されているものに比べて強い苦味、酸味、辛味を感じます。そのため、食べやすいようにアレンジする必要がある点に注意してください。