風邪予防におすすめの食べ物・飲み物
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風邪の症状や定義、原因について解説したうえで、風邪の予防に役立つ栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。
風邪とは
風邪とは、主にウイルスを原因とする鼻やのどの急性炎症、またそれに伴って生じる発熱や倦怠感などの症状の総称です。
風邪という病名は本来なく、普通感冒と呼ばれたり、西洋医学では「風邪症候群」と呼ばれたりします。風邪の諸症状を引き起こすウイルスとしては、ライノウイルスやコロナウイルス(※新型を除く)などが代表的です。感染すると、鼻風邪やのどの痛み、咳、たん、発熱などを引き起こします。
風邪症候群は年代、性別にかかわらずあらゆる人が発症する症状であり、健康な人でも多くの人が経験するごく一般的な疾患のひとつです。
人が1年間に風邪を引く回数は平均3~6回で、たいていは4日から長くとも1週間程度で治ります。これよりも風邪を引く回数が多いという方や、1回あたりの罹患期間が長いという方は、普段の食生活などを見直した方が良いでしょう。
【症状別】風邪に効くおすすめの食べ物・飲み物|NANIWA SUPLI MEDIA
風邪予防が大切な理由
風邪予防が大切な理由のひとつとして、風邪に対する特効薬がないことがあげられます。一般的に風邪薬といわれるものは、「熱を下げる」「咳を止める」「鼻水をとめる」などの諸症状に対する対症療法が基本であり、風邪の原因となるウイルスそのものを撃退する薬ではありません。
風邪で診療を受けて抗生物質を処方される場合がありますが、こちらも基本的には、原因となったウイルスの撃退が目的ではなく、その他の細菌などによる二次的な疾患・感染を防ぐ目的で処方されるものです。
風邪を根本から対策するには、体力をつけて免疫力を高めるしかありません。特に季節の変わり目などによく体調を崩すという方は、ぜひこの後解説する風邪予防に効果的な栄養素や食べ物、生活習慣などを参考にしてください。
風邪を引く原因
風邪は、鼻やのどといった上気道にウイルスなどの微生物が感染することによって引き起こされます。一部、細菌・マイコプラズマ・クラミジアなどウイルス以外の物質による感染もありますが、90%がウイルスによるものです。
風邪を引き起こす風邪ウイルスは200種類以上あるとされており、すべてに対してワクチンを用意するのは現実的ではありません。さらに、ひとつひとつのウイルスが年々変異し続けているため、一度かかったウイルスの免疫ができたとしても、しばらくすると再び同じウイルスに感染してしまうのです。
風邪の鼻症状や咽頭症状、発熱などは、ウイルスに感染した後、体の免疫機能が活発になることで引き起こされます。くしゃみ・鼻水・咳・たんはウイルスを外へ出すためのものであり、鼻・のどの炎症や発熱はウイルスに抵抗するためのものです。
このとき、ウイルスに感染しても健康であれば免疫機能が正常に働き、風邪の症状として認識する前にウイルスを撃退することができます。しかし免疫機能が衰えるなどして抵抗力が弱っている場合、ウイルスを撃退する機能よりもウイルスの増殖速度が上回ってしまい、ウイルスが全身へ広がりさまざまな症状を引き起こしてしまいます。
風邪とよく似た病気との違い
風邪に似た病気に、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症があります。それぞれの主な症状と違いについて解説します。
風邪とインフルエンザの違い
インフルエンザの症状は主に下記の通りです。
- 38度以上の高熱(悪寒を伴う)
- 急な発熱
- 頭痛
- 全身倦怠感
- 筋肉痛
- 関節痛
風邪とインフルエンザの主な違いは、急激かつ38度以上の高い発熱が見られる点です。迷った場合は、38度を超える発熱があるか否か、また発熱に伴って突然の悪寒を感じたか否かで判断すると分かりやすいでしょう。
インフルエンザウイルスは、風邪の原因となるウイルスに比べて種類が少ないため、ワクチンによる予防が効果を発揮します。
例年1~3月ごろにピークを迎えるため、その前にワクチンを接種することで、発病割合を70~90%減少させられるのに加え、罹患してしまったとしても重症化を予防できます。
しかしインフルエンザウイルスも風邪ウイルスと同様に年々変異するため、摂取したワクチンと同型のウイルスにしか効果は発揮できず、根本的にインフルエンザを予防するためには風邪と同様、日頃から体力をつけて免疫力を高めるほかありません。
風邪と新型コロナウイルス感染症の違い
新型コロナウイルス感染症の主な症状は下記の通りです。(2020年10月時点で公表されている各機関の情報に基づく)
- 発熱(インフルエンザのような突然の悪寒は伴わない)
- 嗅覚や味覚の異常
- 呼吸困難
- 鼻水や鼻づまりなどの鼻症状はあまり現れない
新型コロナウイルス感染症と風邪の主な違いは、鼻症状がまれである点、嗅覚や味覚異常がよく見られる点、呼吸困難症状が見られる点です。新型コロナウイルス感染症は呼吸器疾患であるため、呼吸困難などの呼吸器症状が見られる場合はただちに最寄りの医療機関を受診しましょう。
一方で、鼻症状が主であれば風邪を、急激な発熱や悪寒を伴う場合はインフルエンザを疑ってみてください。
新型コロナウイルス感染症もインフルエンザと同様に、新型コロナウイルスという種類の限られたウイルスによる感染症であるため、ワクチン摂取による予防が有効です。インフルエンザと違いまだワクチンが開発されていないため、現状では風邪と同じ予防法が最善策となります。
風邪の予防に効果的な栄養素と多く含む食べ物
風邪の予防に効果的な栄養素について解説します。
タンパク質:体力をつけて免疫力を高める
風邪などの感染症予防のために特に重要なタンパク質の役割が、のどや鼻の粘膜を作る働きです。
タンパク質を多く含む食品は幅広く、肉類、魚介類、卵類、大豆製品、乳製品など全般にわたります。特に風邪予防のために毎日の食事に取り入れるなら、ゆで卵・納豆・ヨーグルトなどを1日1個メニューに加えるなどするとよいでしょう。
タンパク質の1日の摂取目安量は、体重1kg当たり1gです。
タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンA(β-カロテン):免疫機能を正常にする
ビタミンAは、粘膜や皮膚の健康維持に役立つビタミンの一種です。皮膚や粘膜をつくるために欠かせないのに加えて、免疫機能を正常に保つために必須のビタミンでもあります。
免疫が反応する際には、白血球細胞が重要な役割を果たすのですが、この白血球細胞を発生させるためにビタミンAが働きます。その働きから、抗感染性ビタミンとも呼ばれます。
なお、ビタミンAは過剰症の可能性がありますが、体内でビタミンAへ変換されるβ-カロテンの形で摂取すれば、過剰摂取の心配もありません。
ビタミンAを多く含む食品は、にんじん・かぼちゃ・ブロッコリー・モロヘイヤ・ほうれん草などの緑黄色野菜のほか、豚レバーなどです。
ビタミンAの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA
β-カロテンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンC:白血球の働きを強化して免疫力アップ
ビタミンCには白血球の働きを強化する作用があるのに加え、ビタミンC自身もウイルスに抵抗することで、免疫力を高めて感染症予防に効果を発揮します。
近年は、強い抗酸化作用による美容・美白効果などが注目されるビタミンCですが、鉄の吸収を助けたりストレス対抗ホルモンの分泌に役立つなど、感染症予防以外の健康面におけるメリットも多い栄養素です。
ビタミンCを多く含む食品は、ブロッコリー、パプリカ、かぼちゃ、ゴーヤ、春菊など。
ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンE:血行を良くして自律神経を整える
ビタミンEは、強い抗酸化能力と過酸化脂質を抑制する働きから、老化を防ぐ「若返りのビタミン」として知られる脂溶性ビタミンの一種です。
ビタミンCと共に美容効果が注目されていますが、風邪などの感染症を予防する上では、血行を良くして自律神経を整える作用が効果を発揮します。
血流を良くして体が温まりやすくなり、冷え性・肩こり・腰痛などの改善にも役立ちます。
ビタミンEを豊富に含む食品は、ナッツ類・植物油・魚介類や、かぼちゃ・アボカドなどです。
ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
カプサイシン:エネルギーの代謝を促す
カプサイシンは、唐辛子などに含まれる辛味成分です。カプサイシンはアドレナリンの分泌を促す作用があります。アドレナリンには、脂肪の代謝やエネルギーの代謝、発汗などを促す作用があることから、脂肪燃焼作用を期待してダイエットなどに用いられることも少なくありません。
アドレナリンによる代謝を促す作用は、脂肪燃焼作用以外に、血流の改善や免疫力の向上などにも効果を発揮します。
カプサイシンを多く含む食品は、唐辛子・キムチ・ラー油・タバスコ・豆板醤などです。
アリシン:殺菌作用と疲労回復効果
ネギなどに含まれるアリシン(硫化アリル)という成分には、強い殺菌作用や疲労回復効果があります。風邪予防として有効なだけでなく、風邪のひきはじめなどに意識して摂取すれば、早期回復が望めるでしょう。
アリシンを多く含む食品は、にんにく・たまねぎ・長ねぎ・にらなどです。
風邪の予防に効果的な食生活・習慣
最後に、風邪などの感染症を予防するために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。
適度な湿度を保つ
湿度が低い乾燥した状態では、粘膜の免疫機能が低下してしまいます。一方、夏風邪の原因となるウイルスは高温多湿を好むため、梅雨から夏にかけての季節は湿度が高まりすぎないよう換気や除湿を心がける必要があります。
具体的な理想の湿度は、冬場はおよそ50~60%、夏場は50%以下になるよう意識すると良いでしょう。
うがい・手洗いの習慣化
うがい・手洗いは、風邪をふくめ一般的な感染症の予防方法として有効です。手指や口中に付着したウイルスを物理的に除去することで、感染の確率を下げる効果が期待できます。
特にうがいは、口の中を洗浄するだけでなく、のどを潤して異物をたんとともに排出する働きを促すなど、免疫機能をサポートする効果もあります。
十分な睡眠の確保
生活リズムの乱れや睡眠不足は、体力や免疫機能を低下させます。
十分な睡眠時間を確保するとともに、寝る前に湯に浸かって深部体温を高めたり、ストレッチをして自律神経を整えたりして、深い睡眠を促しましょう。
ストレスの回避・解消
感染症の予防には、ストレスへの対策も大切です。身体を休ませるだけでなく、精神的にリラックスできる時間を積極的に作りましょう。
バランスの良い食事を心がける
免疫物質のもととなるタンパク質や免疫機能を高めるビタミンなど、人体に必須の栄養素が不足すると体力や免疫力が低下します。
食生活の乱れによる体調不良を防ぐために、栄養バランスを意識するのに加えて、次のような食生活を心がけましょう。
- 朝食を抜かない
- 生姜などの体温を上げやすい食べ物を食べる
- よく噛んで唾液を出す
- 食後の激しい運動は避ける
- 胃腸に負担のかかる油ものや暴飲暴食は避ける
- 食べ物のバリエーションを増やす
- 発酵食品や食物繊維を積極的に摂取する
体温を高く保つ
人の体は、体温が1度下がるだけで免疫力が30%下がるといわれています。また体温の低下は代謝の低下にも繋がり、便秘などを引き起こす可能性があります。
外出する際なども、しっかりと上着を着込むようにしましょう。ただし暑すぎる格好もかえって具合を悪くしますので、室温に応じて適切な体温に調節できるよう、複数枚着込むようにしてください。
記事の監修
AYA ARAHARA
ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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