クローブの栄養と効果効能・調理法・保存法

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Clove

クローブの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、クローブに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

クローブとは

クローブ(Clove)は、ピリッとしびれるような辛味を持つスパイスの一種です。スパイスの中でもとりわけ香りが強く、肉の臭み消しとしてハンバーグやカレーなどの料理によく使われます。

さらに、濃厚な甘い香りを生かしてお菓子やドリンクに利用されることも多いスパイスです。

クローブの原産地は、インドネシアのモルッカ諸島と言われています。収穫される時期は夏と冬の2回で、花が咲く前の蕾を乾燥させたものが製品として出回っています。

日本では見た目が釘(くぎ)に似ているため、釘の漢字から連想した「丁子(ちょうじ)」や「丁香(ちょうこう)」などの名称で呼ばれます。漢方としても利用され、食欲増進薬や芳香性健胃薬として有名です。

また、ゴキブリが嫌う成分が含まれているため防虫剤として活用されたり、鎮痛作用のある成分を生かして歯科をはじめとした医療分野で使われたりと、活用の幅は多岐に渡ります。

クローブの加工方法による違い

クローブは製品の種類によって加工方法が異なります。

ホールタイプ

ホールタイプはクローブを原形のまま乾燥させたものです。ホールスパイスとも呼ばれます。

そのまま使用するだけでなく、用途に合わせて細かく砕いたりすりつぶしたりできる使い勝手の良いタイプです。

パウダータイプ

ホールタイプのクローブを粉砕したのがパウダータイプです。パウダースパイスとも呼ばれます。

ホールタイプに比べ香り立ちの良いタイプですが、香りが持続しづらいのが難点。お菓子やハンバーグに練りこむ際はすぐに使えて便利です。

クローブに含まれる成分・栄養素

クローブ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位クローブ 粉
廃 棄 率%0
エネルギー(kcal)kcal/100 g417
エネルギー(kJ)kJ/100 g1745
水 分g/100 g7.5
たんぱく質g/100 g7.2
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-5.1
脂 質g/100 g13.6
トリアシルグリセロール当量g/100 g-9.7
飽和脂肪酸g/100 g-4.11
一価不飽和脂肪酸g/100 g-1.46
多価不飽和脂肪酸g/100 g-3.68
コレステロールmg/100 g0
炭水化物g/100 g66.4
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-
水溶性食物繊維g/100 g-
不溶性食物繊維g/100 g-
食物繊維総量g/100 g-
灰 分g/100 g5.3
ナトリウムmg/100 g280
カリウムmg/100 g1400
カルシウムmg/100 g640
マグネシウムmg/100 g250
リンmg/100 g95
mg/100 g9.9
亜鉛mg/100 g1.1
mg/100 g0.39
マンガンmg/100 g93
ヨウ素µg/100 g-
セレンµg/100 g-
クロムµg/100 g-
モリブデンµg/100 g-
レチノールµg/100 g0
α-カロテンµg/100 g0
β-カロテンµg/100 g120
β-クリプトキサンチンµg/100 g3
β-カロテン当量µg/100 g120
レチノール活性当量µg/100 g10
ビタミンDµg/100 g0
α-トコフェロールmg/100 g-
β-トコフェロールmg/100 g-
γ-トコフェロールmg/100 g-
δ-トコフェロールmg/100 g-
ビタミンKµg/100 g-
ビタミンB1mg/100 g0.04
ビタミンB2mg/100 g0.27
ナイアシンmg/100 g0.9
ビタミンB6mg/100 g-
ビタミンB12µg/100 g0
葉酸µg/100 g0
パントテン酸mg/100 g-
ビオチンµg/100 g-
ビタミンCmg/100 g0
食塩相当量g/100 g0.7
アルコールg/100 g-
硝酸イオンg/100 g-
テオブロミンg/100 g-
カフェインg/100 g-
タンニンg/100 g-
ポリフェノールg/100 g-
酢酸g/100 g-
調理油g/100 g-
有機酸g/100 g-
重量変化率%-
備考別名: ちょうじ
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

クローブに含まれるオイゲノールの効果・効能

クローブに含まれる栄養素「オイゲノール」の持つ効果・効能を紹介します。

すぐれた抗酸化作用

オイゲノールは強力な抗酸化作用を持っています。研究によると、オイゲノールは脂質の酸化を抑制することがわかりました。

酸化した脂質は身体にとって有毒で、新たな活性酸素やフリーラジカルを発生させる要因になります。抗酸化作用を持つ食品を摂取することで活性酸素の発生を抑え、病気や老化の予防につながると考えられます。

抗菌および殺菌作用

オイゲノールは抗菌作用があり、古くからインドでは風邪薬として使われてきました。研究論文では、大腸菌や黄色ブドウ球菌の増殖を抑える作用が確認されています。

クローブを料理に加えれば、香りや味をプラスするだけでなく、食中毒予防効果が期待できるでしょう。

期待される関節炎の回復効果

まだ研究段階ですが、オイゲノールは免疫の異常で起こるリウマチ関節炎の治療薬として注目を浴びつつあります。

関節炎を持つマウスへオイゲノールによる治療を施したところ、原因となるTNF-αやTNF-βなどの炎症性サイトカインを抑制しました。

クローブの食べ方や注意点

クローブの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

ホールとパウダーの使い分け

クローブは、料理に合わせて製品タイプを選びましょう。

ハンバーグやミートボールなどのタネに混ぜ合わせる場合は、パウダータイプがおすすめです。一方、ホールタイプは具材に直接差し込んで使えます。

例えば、玉ねぎにホールタイプのクローブを刺して煮込み料理に使ったり、ブロック肉に刺してローストしたりといった活用方法があります。

香りが強いため量に注意

クローブの特徴といえばバニラのように濃厚な甘い香りですが、強く香る傾向があるため使用量に気を付けましょう。

パウダータイプなら少量ずつ加えて、味を確かめながら使う方法がベストです。ホールタイプの場合は、1~2本などの少量から始めてみてください。なお、ホールタイプのクローブは食べる前にクローブを取り除きましょう。

ドリンクにも活用できるクローブ

クローブは、チャイティーや紅茶などのドリンクを香りづけする際にも利用できます。クローブのホールをそのまま入れるだけなので手軽です。

サングリアやウイスキーなどのお酒とも相性が良く、手軽にスパイスの香りを楽しめます。

ナチュラルな芳香剤として

クローブは、料理だけでなくクラフト作りにも利用されます。もっとも有名なのは芳香剤として使える「フルーツポマンダー」です。

作り方は簡単で、レモンやオレンジなどの柑橘類にホールタイプのクローブを刺すだけ。昔の西欧では魔除けとして使われていた伝統的なクラフトです。

クローブの保存方法

クローブの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

クローブは製品ごとの保存方法を確認し、適切な環境で保存しましょう。多くの場合、未開封のクローブは常温で保管できます。その際は直射日光や高温多湿を避け、冷暗所に保存するのがおすすめです。

より香りを持続させたいなら、開封後は冷蔵保存がベスト。

なお、湿気が多いとスパイスは固まってしまうことがあるので注意しましょう。香りをなるべく逃がさないよう、使う際はクローブを取り出したらすぐに蓋を閉めるなどの配慮が必要です。

製造日から2年ほど保存可能な製品が多いですが、消費期限を必ず確認したうえで期限以内に使い切るようにしてください。

参考文献

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