セロリの栄養と効果効能・調理法・保存法
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セロリの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、セロリに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
セロリとは
セロリはセリ科の植物で、シャキシャキとした食感と特有の香りが特徴の香味野菜です。茎や葉はもちろん、根・実・種のほとんどの部分を食べることができ、むくみ解消に効果的なカリウムなどを豊富に含んでいます。
原産地はヨーロッパ、西南アジア、インドなど諸説ありますが、記録によれば古代エジプトでも食べられていたそう。日本に持ち込まれたのは江戸時代で、朝鮮出兵の際に加藤清正が持ち帰ったとされています。
戦後、欧米の食文化が広まっていくとともに、本格的に栽培され始め、普及するようになりました。
古代ローマやギリシャでは、整腸剤や強壮剤として用いられていたセロリ。現在はサラダとして生で食べられるほか、欧米では肉のくさみ消しとして煮込み料理やスープのベースにも使われます。
旬は11月〜5月。国内で流通するセロリの半分以上が長野県と静岡県で生産されており、5月〜12月頃は長野県産、11月〜6月頃までは静岡県産のセロリが多く出回ります。
セロリの品種・種類
セロリの品種はいくつもありますが、以下では代表的な4種類をご紹介します。
グリーンセロリ(緑色種):香りが強く肉厚
茎葉が緑色で香りが強く、肉厚なのが特徴。アメリカでは人気がある種類ですが、日本ではあまり見かけることはありません。グリーンセロリを日本で品種改良したのが、小型品種の「トップセラー」です。
セロリ(中間種):香りがやわらかい一般的なセロリ
国内で一般的に流通しているセロリは、中間種の「コーネル619」という品種です。薄緑色の太い茎、グリーンセロリに比べてやわらかい香り、少ない繊維質が特徴。
ホワイトセロリ(白色種):白くて細く食べやすい
名前の通り茎は真っ白で、葉はミツバのように小さく柔らかいのが特徴。茎は細く、特有の香りも穏やかで、ほかの種類に比べて食べやすいセロリです。
スープセロリ:香りが強い東洋在来種
芹菜(キンツァイ)、中国セロリとも呼ばれる東洋在来種のセロリ。非常に香りが強く、内臓系の料理のくさみ消しや、中華料理の炒めもの、スープ、薬味として使われます。
セロリに含まれる成分・栄養素
セロリ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
食品名 | 単位 | セロリ(生) |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 15 |
水 分 | g/100 g | 94.7 |
たんぱく質 | g/100 g | 0.4 |
炭水化物 | g/100 g | 3.6 |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.3 |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 1.2 |
食物繊維総量 | g/100 g | 1.5 |
ナトリウム | mg/100 g | 28 |
カリウム | mg/100 g | 410 |
カルシウム | mg/100 g | 39 |
マグネシウム | mg/100 g | 9 |
リン | mg/100 g | 39 |
鉄 | mg/100 g | 0.2 |
亜鉛 | mg/100 g | 0.2 |
銅 | mg/100 g | 0.03 |
マンガン | mg/100 g | 0.11 |
ヨウ素 | µg/100 g | 1 |
セレン | µg/100 g | 0 |
クロム | µg/100 g | 0 |
モリブデン | µg/100 g | 2 |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 44 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 |
α-トコフェロール(ビタミンE) | mg/100 g | 0.2 |
ビタミンK | µg/100 g | 10 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.03 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.03 |
ナイアシン | mg/100 g | Tr |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.08 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 29 |
パントテン酸 | mg/100 g | 0.26 |
ビオチン | µg/100 g | 1.2 |
ビタミンC | mg/100 g | 7 |
備考 | 別名: セロリー、セルリー、オランダみつば廃棄部位: 株元、葉身及び表皮 |
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
日本食品標準成分表2015年版(七訂)より抜粋
セロリの効果・効能
セロリに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
カリウム:むくみの解消に効果的
セロリはカリウムを豊富に含んでいます。
カリウムは、過剰に摂取してしまったナトリウム(水分)を体外に排出する働きを持っているため利尿作用があり、むくみを解消してくれるほか、高血圧の予防にもなります。長時間の運動による筋肉の痙攣の予防にも効果的です。
さらにカリウムによってむくみが解消すると、代謝が上がります。代謝が上がることで脂肪の燃焼もスムーズになることから、ダイエットにも効果的と言えるでしょう。
ビタミンU:胃腸の粘膜を修復する
ビタミンUは、キャベツの絞り汁から発見された成分で「キャベジン」とも呼ばれます。
ビタミンUは正式にはビタミンではありませんが、ビタミン様作用物質と呼ばれる、ビタミンに似た働きをする栄養素のひとつです。
ビタミンUは胃腸の粘膜を修復するほか、胃酸の分泌を抑えるなどの効果があります。
アピイン:気持ちを安定させる
セロリ特有の香りは、約40種の成分からできています。その主成分であるアピインはポリフェノールの一種で、精神を落ち着かせ、リラックスさせる鎮静効果があります。
リラックスすることでストレスをおだやかにし、イライラや不安などの解消に効果的です。
βカロテン:皮膚や粘膜を丈夫にする
セロリは、茎だけを食べて葉は捨ててしまう場合もありますが、βカロテンは茎よりも葉に多く含まれており、その量はおよそ2倍です。
βカロテンは体内でビタミンAに変換し、皮膚や粘膜を丈夫にしたり、視力を健康に保ったり、がんの予防をしたりと、さまざまな効果があります。
セロリの調理方法
セロリの栄養素を損なわない洗い方や調理方法を解説します。
セロリの洗い方
まず茎と葉を切り分けます。茎は付け根にドロや汚れが溜まっていることが多いので、流水でこするようにしてしっかり洗い流すようにしましょう。
セロリのおすすめ調理方法
セロリの栄養素は熱に強いため、加熱調理に向いています。
例えば、セロリに含まれるβカロテンは油と一緒に食べると吸収率が高まるため、炒めものや揚げものにして食べると効率良く栄養を摂取することができるでしょう。
セロリを調理する際の注意点
セロリの茎には筋があります。
歯ざわりを良くするために、サラダや和えものにする際は取り除いた方が良いでしょう。筋は固くて太く、煮たり炒めても柔らかくならないので、下ごしらえの段階でより除きます。
筋は茎の表面に縦方向に盛り上がるように入っており、茎の切り口に薄く包丁を入れて、そのまま根本までひっぱるようにすれば、きれいに取ることができます。
セロリの保存方法
セロリの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
セロリはそのままにしておくとすぐにしなびてしまうため、できれば買ってきたその日のうちに食べるのが好ましい野菜です。
どうしても保存する場合には、冷蔵と冷凍の2つの方法があります。
冷蔵保存する場合は、まず葉と茎を切り分けます。これは鮮度を保つためです。次に濡らしたキッチンペーパーで優しく包み、保存袋に入れたら、コップやタッパなどの容器にまっすぐ立てて並べます。
この状態で、冷蔵庫の野菜室で葉は4日ほど、茎は6日ほど保存することが可能です。
冷凍保存する場合も同じく、まず茎と葉を切り分けます。茎は斜め切りに、葉はあらみじん切りにしましょう。茎はラップに小分けにして包み、冷凍用の保存袋に入れます。
葉はそのまま保存袋にいれてください。できる限り袋の中の空気を抜いてから封をします。この状態で、冷凍庫で約1ヶ月保存することができます。