カシューナッツの栄養と効果効能・調理法・保存法
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カシューナッツの旬や原産地などの基本情報、似た食品との違い、カシューナッツに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
カシューナッツとは
カシューナッツは、「カシューナットノキ」というウルシ科の植物の種子。果実の部分は英語で「cashew apple(カシューアップル)」と呼びます。
原産は中南米で、一説によるとポルトガルがブラジルに進出した際にカシューの木を世界各地に広めたのがきっかけで、1850年代に普及したと言われています。
日本ではカシューナッツの約99%を海外からの輸入に頼っており、主にカシューナッツの加工技術を持つインドやベトナムから輸入しています。加工品のカシューナッツは通年出回っていますが、生産量世界一のインドのカシューナッツは2〜5月が旬です。
カシューナッツに含まれる成分・栄養素
カシューナッツ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
比較のため、アーモンド、ピスタチオ、ブラジルナッツ、マカダミアナッツの成分表を並記しています。
食品名 | 単位 | カシューナッツ フライ 味付け | アーモンド フライ 味付け | ピスタチオ いり 味付け | ブラジルナッツ フライ 味付け | マカダミアナッツ いり 味付け |
廃 棄 率 | % | 0 | 0 | 45 | 0 | 0 |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 576 | 606 | 615 | 669 | 720 |
エネルギー(kJ) | kJ/100 g | 2410 | 2536 | 2573 | 2799 | 3012 |
水 分 | g/100 g | 3.2 | 1.8 | 2.2 | 2.8 | 1.3 |
たんぱく質 | g/100 g | 19.8 | 19.2 | 17.4 | 14.9 | 8.3 |
アミノ酸組成によるたんぱく質 | g/100 g | 18.9 | -18 | 15.8 | -14.1 | 7.5 |
脂 質 | g/100 g | 47.6 | 53.6 | 56.1 | 69.1 | 76.7 |
トリアシルグリセロール当量 | g/100 g | 47.9 | -53.7 | 55.9 | 68.9 | 76.6 |
飽和脂肪酸 | g/100 g | 9.97 | -4.09 | 6.15 | 15.81 | 12.46 |
一価不飽和脂肪酸 | g/100 g | 27.74 | -34.77 | 30.92 | 21.04 | 59.23 |
多価不飽和脂肪酸 | g/100 g | 8.08 | -12.54 | 16.42 | 29.02 | 1.56 |
コレステロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
炭水化物 | g/100 g | 26.7 | 22.3 | 20.9 | 9.6 | 12.2 |
利用可能炭水化物(単糖当量) | g/100 g | -18.6 | -5.5 | -8.2 | -3.1 | -4.8 |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.8 | 0.6 | 0.9 | 0.3 | Tr |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 5.9 | 11.3 | 8.3 | 6.9 | 6.2 |
食物繊維総量 | g/100 g | 6.7 | 11.9 | 9.2 | 7.2 | 6.2 |
灰 分 | g/100 g | 2.7 | 3.1 | 3.4 | 3.6 | 1.5 |
ナトリウム | mg/100 g | 220 | 130 | 270 | 78 | 190 |
カリウム | mg/100 g | 590 | 740 | 970 | 620 | 300 |
カルシウム | mg/100 g | 38 | 210 | 120 | 200 | 47 |
マグネシウム | mg/100 g | 240 | 270 | 120 | 370 | 94 |
リン | mg/100 g | 490 | 480 | 440 | 680 | 140 |
鉄 | mg/100 g | 4.8 | 2.9 | 3 | 2.6 | 1.3 |
亜鉛 | mg/100 g | 5.4 | 4.4 | 2.5 | 4 | 0.7 |
銅 | mg/100 g | 1.89 | 1.11 | 1.15 | 1.95 | 0.33 |
マンガン | mg/100 g | - | - | - | 1.29 | - |
ヨウ素 | µg/100 g | 0 | Tr | - | - | 0 |
セレン | µg/100 g | 27 | 1 | - | - | 13 |
クロム | µg/100 g | 1 | 9 | - | - | 2 |
モリブデン | µg/100 g | 30 | 29 | - | - | 5 |
レチノール | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-カロテン | µg/100 g | - | - | 0 | - | - |
β-カロテン | µg/100 g | - | - | 120 | - | - |
β-クリプトキサンチン | µg/100 g | - | - | 0 | - | - |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 10 | 8 | 120 | 12 | Tr |
レチノール活性当量 | µg/100 g | 1 | 1 | 10 | 1 | 0 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-トコフェロール | mg/100 g | 0.6 | 29.4 | 1.4 | 4.1 | Tr |
β-トコフェロール | mg/100 g | Tr | 0.3 | Tr | Tr | 0 |
γ-トコフェロール | mg/100 g | 5.4 | 0.7 | 25.5 | 15.5 | 0 |
δ-トコフェロール | mg/100 g | 0.6 | 0 | 0.6 | 0.3 | 0 |
ビタミンK | µg/100 g | 28 | Tr | 29 | Tr | 5 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.54 | 0.08 | 0.43 | 0.88 | 0.21 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.18 | 1.11 | 0.24 | 0.26 | 0.09 |
ナイアシン | mg/100 g | 0.9 | 3.5 | 1 | 1.5 | 2.1 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.36 | 0.08 | 1.22 | 0.25 | 0.21 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 63 | 46 | 59 | 1 | 16 |
パントテン酸 | mg/100 g | 1.32 | 0.6 | 1.06 | 0.23 | 0.5 |
ビオチン | µg/100 g | 19 | 61.6 | - | - | 6.5 |
ビタミンC | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
食塩相当量 | g/100 g | 0.6 | 0.3 | 0.7 | 0.2 | 0.5 |
アルコール | g/100 g | - | - | - | - | - |
硝酸イオン | g/100 g | - | - | - | - | - |
テオブロミン | g/100 g | - | - | - | - | - |
カフェイン | g/100 g | - | - | - | - | - |
タンニン | g/100 g | - | - | - | - | - |
ポリフェノール | g/100 g | - | - | - | - | - |
酢酸 | g/100 g | - | - | - | - | - |
調理油 | g/100 g | - | - | - | - | - |
有機酸 | g/100 g | - | - | - | - | - |
重量変化率 | % | - | - | - | - | - |
備考 | 廃棄部位: 殻 |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
カシューナッツの効果・効能
アーモンドやマカダミアナッツ、クルミやピスタチオなどのナッツ類を比較して、多くの栄養素を豊富に含むカシューナッツ。カシューナッツに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
ビタミンB1:疲労回復に効果的
ビタミンB1は、水に溶けやすい水溶性ビタミンの一種です。ブドウ糖をエネルギーに換える代謝に必要な栄養素であり、「疲労回復のビタミン」とも呼ばれています。また、糖質を主なエネルギー源とする神経や脳の機能を正常に保つ効果もあります。
ビタミンB1が不足すると、疲労感やイライラが生じたり、心不全と末端神経障害をきたす脚気を引き起こしたり、といった危険があります。
水に溶けやすく熱に弱いビタミンB1は、摂取することが難しいとされてきましたが、カシューナッツであれば水と熱を使って調理する必要がなく、手軽に摂取することができます。
鉄:体中に酸素を運んでエネルギー代謝を促す
カシューナッツには、人体に必須のミネラルの1つである鉄も豊富に含まれています。
鉄は、血液中のヘモグロビンの一部となって全身に酸素を運ぶ、二酸化炭素を回収・排出して肩こりや痛みを予防する、新陳代謝の促進とコラーゲンの合成を行いシミ・シワを予防する、健康的な丈夫な髪の毛を保つ、といったさまざまな効果があります。
鉄を十分に摂取できないと、鉄欠乏貧血による疲れやだるさ、頭痛や眠気などの症状が表れます。
葉酸:赤血球を作る・胎児の発育リスクを軽減する
葉酸は水溶性のビタミンで、ビタミンB群のひとつです。ビタミンB12とともに赤血球を作ることから「造血のビタミン」と呼ばれています。
葉酸を摂取することで、胎児の発育リスクを軽減するため、妊婦さんは妊娠初期から授乳期に意識的に摂取したい栄養素です。また、心不全、心筋梗塞、脳梗塞、認知症の発症を予防する効果も期待できます。
ビタミンK:丈夫な骨をつくる
マカダミアナッツやクルミなど、他のナッツに比べてカシューナッツにはビタミンKが豊富に含まれています。
ビタミンKには、ケガをして出血した際に血液をかためる働きや、骨を構成する成分「オステオカルシン」の分泌を促して丈夫な骨づくりを助ける働きがあります。
亜鉛:味覚・嗅覚・免疫システムを正常に機能させる
亜鉛は、タンパク質の代謝やDNAの合成に必要な栄養素であり、体や骨が成長する上で重要な役割を果たします。
亜鉛が不足するとマクロファージ・好中球の機能や、ナチュラルキラー活性が低下してしまうため、免疫システムを正常に機能させるために必須の栄養素です。
また亜鉛には、味覚や嗅覚が正常に機能させる効果もあります。
食物繊維:便秘を予防・改善する
カシューナッツには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が含まれています。
水溶性食物繊維は水に溶けやすく、ゆっくり時間をかけて腸内を移動する性質があります。不溶性食物繊維は、腸内で便のかさを増やして腸を刺激し、ぜん動運動を促します。
2種の食物繊維を摂取することで、便秘の予防・改善に効果が期待できます。
カシューナッツの食べ方
カシューナッツの栄養素を損なわない食べ方を解説します。
市販されているカシューナッツには、塩や油で加工されているものと、素焼きのものの2種類があります。
塩や油が添加されているカシューナッツを多く取ると、むくみや高血圧、脂質の摂り過ぎの原因となるため、健康面・美容面を目的に食べるのであれば、素焼きを選ぶと良いでしょう。
カシューナッツを食べる際の注意点
多くの健康効果を持つカシューナッツですが、食べ過ぎには注意が必要です。主な注意点を解説します。
食物繊維の過剰摂取による便秘の悪化
カシューナッツには、食物繊維が多く含まれています。
食物繊維は適量であれば便秘解消に役立つのですが、過度に摂取すると便の水分が吸収されて固くなり、便秘をさらに悪化させてしまう恐れがあります。
脂質の摂り過ぎによる消化不良
カシューナッツは脂質を多く含む食品でもあり、胃や腸に負担をかけて消化不良を引き起こす可能性があります。
カシューナッツの1日の摂取量の目安は、多くても20粒ほどに抑えておきましょう。
生食によるウルシオール摂取に注意
日本ではなかなか出会う機会はありませんが、海外旅行に行った際に生のカシューナッツを見つけたら必ず調理してから食べるようにしてください。
生のカシューナッツには、ウルシオールという毒が含まれています。口に入れるとウルシかぶれを起こし、大量に摂取すると最悪の場合、死に至る可能性もあります。
カシューナッツの保存方法
カシューナッツの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
一般的に販売されているカシューナッツは加熱処理が施されています。火を通すことによって酸化が進み、風味を損なってしまうので、開封後のカシューナッツは特になるべく早く食べきるようにしましょう。
また、カシューナッツは光にも弱いため、直射日光を避けて冷暗所や冷蔵庫で保管します。
すぐに食べきれない場合は、冷凍保存も可能です。約10粒ずつ小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫に入れましょう。
冷凍保存での保存期間は約1ヶ月です。解凍する際は常温でしばらく置けばすぐ食べることができます。