カリフラワーの栄養と効果効能・調理法・保存法
6517views
カリフラワーの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、カリフラワーに含まれる栄養とその効果効能、ブロッコリーとの栄養価の違い、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
カリフラワーとは
カリフラワー(cauliflower)とは、ブロッコリーやキャベツと同じアブラナ科の植物です。
原産地はヨーロッパと言われ、キャベツの変種として生まれました。そのため「花キャベツ」という別名があったり、キャベツを意味する甘藍(カンラン)に対し花甘藍(ハナカンラン)と呼ばれたりします。
カリフラワーの特徴のひとつである白い見た目は、日光に当てない栽培方法によるものです。日光が当たると黄色っぽく変色してしまうため、花蕾部分を外葉で覆って育てられます。
旬は11月から3月頃で、日本の主な産地は熊本県・茨城県・愛知県です。農林水産省の「令和元年産野菜生産出荷統計」によると、2019年の全国収穫量は21,400トン。ブロッコリーに対し約8分の1の収穫量です。
ブロッコリーと比べるとあまり目にする機会がありませんが、食用として広まったのはカリフラワーのほうが先です。明治時代には日本に伝わり、洋食文化の普及とともに浸透していきました。
カリフラワーの品種・種類
カリフラワーといえば白い見た目を想像しますが、じつはさまざまな種類が存在しています。ここでは代表的な品種を紹介しましょう。
ロマネスコ
ロマネスコはヨーロッパの伝統野菜のひとつです。黄緑色をしており、フラクタル構造と呼ばれる規則的な模様が見られます。
味はカリフラワーとブロッコリーの中間のような味わいです。日本では「サンゴ礁」「うずまき」などの別名を持っています。
グリーンカリフラワー
ブロッコリーほどではありませんが、やさしい黄緑色をしているのがグリーンカリフラワーです。中心にいくほどクリーム色に変化します。加熱しても色は変わりません。
日本では「遠州みどり花やさい」や「きみどり君」などといった品種があります。
オレンジカリフラワー
オレンジカリフラワーはオレンジ色の見た目をしているカリフラワーです。通常のカリフラワーと異なり日光にしっかり当てて育てるので、β-カロテンの色素成分により鮮やかなオレンジ色になります。
茹でるとオレンジ色がさらに鮮やかになるため、料理に華を添えてくれる存在です。品種は「オレンジブーケ」や、手のひらサイズの「オレンジ美星(みせい)」などがあります。
紫カリフラワー
紫カリフラワーとは紫色の見た目をしたカリフラワーです。代表品種は「バイオレットクイン」や「紫雲」など。
紫色の色素であるアントシアニンが含まれていますが、この成分は水に溶けだす性質があるので茹でる際に色落ちしてしまう品種もあります。鮮やかな色味を保ちたい場合は、お酢を加えて茹でると変色をある程度防げます。
カリフローレ
カリフローレは埼玉県にあるトキタ種苗が開発した、日本生まれのカリフラワーです。花蕾が小さく茎部分が長い見た目から「スティックカリフラワー」という別名を持ちます。
コリコリとした食感が特徴的で、バーニャカウダーやスティックサラダとして楽しまれます。
カリフラワーに含まれる成分・栄養素
カリフラワー100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
カリフラワーにはビタミンやミネラル、抗酸化物質が多く含まれています。特にビタミンC・ビタミンK・カリウムが豊富です。
抗酸化物質としてはファイトケミカルが含まれています。ファイトケミカルとは植物の色素や辛味を作り出す成分の総称です。カリフラワーにはスルフォラファンと呼ばれる辛味成分が含まれ、高い抗酸化作用が期待されています。
また、品種によってはβ‐カロテンやアントシアニンなどの色素成分が含まれます。
カリフラワーは栄養価が高い野菜ですが、約90%が水分で構成されているのでカロリーが低いのも特徴です。食物繊維が豊富なため満足感が得やすく、ダイエットでも重宝してくれる食材と言えるでしょう。
ブロッコリーとの栄養価の違い
カリフラワーとブロッコリーは見た目が似ていますが、栄養価にはいくつか違いがあります。
ひとつ目はβ-カロテン量の違いです。成分表を見るとカリフラワーはβ‐カロテンの含有量が低く、ブロッコリーには豊富に含まれています。
100g当たりのβ-カロテン含有量が600µg以上の野菜は緑黄色野菜に分類されるため、ブロッコリーは緑黄色野菜でカリフラワーは淡色野菜になります。
もう1点はビタミンCの含有量です。成分表で比較すると、生の状態ではブロッコリーのほうがビタミンCの含有量が勝っています。しかし、茹でた状態だと100g当たりのビタミンC量はほぼ同じです。
ビタミンCは熱に弱い性質を持ちますが、カリフラワーに含まれるビタミンCは加熱しても壊れにくいため茹でても損失が少ない傾向にあります。
食品名 | 単位 | カリフラワー 花序 生 | カリフラワー 花序 ゆで | ブロッコリー 花序 生 | ブロッコリー 花序 ゆで |
廃 棄 率 | % | 50 | 0 | 50 | 0 |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 27 | 26 | 33 | 27 |
エネルギー(kJ) | kJ/100 g | 113 | 109 | 138 | 113 |
水 分 | g/100 g | 90.8 | 91.5 | 89 | 91.3 |
タンパク質 | g/100 g | 3 | 2.7 | 4.3 | 3.5 |
アミノ酸組成によるタンパク質 | g/100 g | 2.1 | -1.9 | 2.9 | -2.4 |
脂 質 | g/100 g | 0.1 | 0.1 | 0.5 | 0.4 |
トリアシルグリセロール当量 | g/100 g | -0.1 | -0.1 | 0.2 | -0.2 |
飽和脂肪酸 | g/100 g | -0.05 | -0.05 | 0.06 | -0.05 |
一価不飽和脂肪酸 | g/100 g | -0.01 | -0.01 | 0.06 | -0.04 |
多価不飽和脂肪酸 | g/100 g | -0.01 | -0.01 | 0.09 | -0.08 |
コレステロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
炭水化物 | g/100 g | 5.2 | 5.1 | 5.2 | 4.3 |
利用可能炭水化物(単糖当量) | g/100 g | 3.2 | -3 | 1.5 | -1.2 |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.4 | 0.7 | 0.7 | 0.8 |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 2.5 | 2.5 | 3.7 | 2.9 |
食物繊維総量 | g/100 g | 2.9 | 3.2 | 4.4 | 3.7 |
灰 分 | g/100 g | 0.9 | 0.6 | 1 | 0.5 |
ナトリウム | mg/100 g | 8 | 8 | 20 | 14 |
カリウム | mg/100 g | 410 | 220 | 360 | 180 |
カルシウム | mg/100 g | 24 | 23 | 38 | 33 |
マグネシウム | mg/100 g | 18 | 13 | 26 | 17 |
リン | mg/100 g | 68 | 37 | 89 | 66 |
鉄 | mg/100 g | 0.6 | 0.7 | 1 | 0.7 |
亜鉛 | mg/100 g | 0.6 | 0.4 | 0.7 | 0.3 |
銅 | mg/100 g | 0.05 | 0.03 | 0.08 | 0.06 |
マンガン | mg/100 g | 0.22 | 0.17 | 0.22 | 0.17 |
ヨウ素 | µg/100 g | 0 | - | 0 | - |
セレン | µg/100 g | 0 | - | 2 | - |
クロム | µg/100 g | 0 | - | Tr | - |
モリブデン | µg/100 g | 4 | - | 12 | - |
レチノール | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-カロテン | µg/100 g | 0 | 0 | 4 | 0 |
β-カロテン | µg/100 g | 18 | 16 | 800 | 770 |
β-クリプトキサンチン | µg/100 g | 0 | 0 | 7 | 5 |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 18 | 16 | 810 | 770 |
レチノール活性当量 | µg/100 g | 2 | 1 | 67 | 64 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-トコフェロール | mg/100 g | 0.2 | 0.2 | 2.4 | 1.7 |
β-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
γ-トコフェロール | mg/100 g | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.4 |
δ-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
ビタミンK | µg/100 g | 17 | 31 | 160 | 150 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.06 | 0.05 | 0.14 | 0.06 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.11 | 0.05 | 0.2 | 0.09 |
ナイアシン | mg/100 g | 0.7 | 0.2 | 0.8 | 0.4 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.23 | 0.13 | 0.27 | 0.12 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 94 | 88 | 210 | 120 |
パントテン酸 | mg/100 g | 1.3 | 0.84 | 1.12 | 0.78 |
ビオチン | µg/100 g | 8.5 | - | 9.3 | - |
ビタミンC | mg/100 g | 81 | 53 | 120 | 54 |
食塩相当量 | g/100 g | 0 | 0 | 0.1 | 0 |
アルコール | g/100 g | - | - | - | - |
硝酸イオン | g/100 g | Tr | (Tr) | Tr | Tr |
テオブロミン | g/100 g | - | - | - | - |
カフェイン | g/100 g | - | - | - | - |
タンニン | g/100 g | - | - | - | - |
ポリフェノール | g/100 g | - | - | - | - |
酢酸 | g/100 g | - | - | - | - |
調理油 | g/100 g | - | - | - | - |
有機酸 | g/100 g | 0.3 | - | - | - |
重量変化率 | % | - | 99 | - | 110 |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
カリフラワーの効果・効能
カリフラワーに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
カリウムでむくみ防止
ミネラルの一種であるカリウムは、ナトリウム(塩分)の排出を促す作用があります。塩分の摂り過ぎが原因であるむくみの防止に効果的でしょう。
過剰な塩分摂取は肥満や高血圧の危険性が高まるので、健康の面でもカリウムの豊富な食材を取り入れることが重要です。
食物繊維の整腸作用
食物繊維は腸で便のかさとなり、腸のぜん動運動を促してくれる栄養素です。
特にカリフラワーに多く含まれる不溶性食物繊維は保水性が高いため、より便通を促進してくれます。すぐれた整腸作用により便秘改善が目指せるでしょう。
ビタミンCの美容効果
カリフラワーに含まれるビタミンCは美容効果が期待されている栄養素です。高い抗酸化作用で過剰発生した活性酸素から細胞を守り、老化を防止してくれます。
ビタミンCはコラーゲンの生成に必要な成分でもあり、肌にとって重要です。体内で十分な量のコラーゲンが作られれば、肌のハリが増しシワ予防が期待できるでしょう。ビタミンCにはメラニン色素生成を抑制する作用もあるので、シミ予防にもつながります。
カルシウムとビタミンKで骨を強化
カリフラワーには骨に良い栄養素が含まれています。ひとつはカルシウムで、骨を形成する成分です。欠乏すると骨粗鬆症を招く危険性があります。
また、ビタミンKも骨の強化に関わり、骨粗鬆症の治療薬として利用されている栄養素です。骨に存在するタンパク質を活性化し、骨の形成を調節する作用があります。
スルフォラファンのがん予防作用
スルフォラファンとは辛味成分であるイソチオシアネートの一種です。ファイトケミカルとも呼ばれ、高い抗酸化作用を持ちます。
近年ではがん予防としての作用が注目され、マウスを用いた研究では発がん物質の抑制作用が確認されました。
ほかにもスルフォラファンには、血糖値の改善作用や肝臓機能サポート作用があると言われています。
カリフラワーの食べ方
カリフラワーの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。
用途によって茹で時間は変える
カリフラワーの茹で時間は用途によって調節しましょう。一般的な茹で時間は2分から3分。固めなら1分程度、離乳食用で使うなら5分から6分を目安に茹でます。
細かくカットしたほうが火の通りは早いですが、栄養素が損なわれやすくなるため丸ごと茹でる方法がベストです。断面の面積を最小限に抑えることで栄養の損失を防ぎます。隠し包丁を入れれば、火が通りやすくなるので試してみてください。
お湯に酢やレモンを少し加えれば、変色を防げてキレイな白色に茹で上がります。
栄養を効率的に摂取するならレンジで
カリフラワーには水溶性の栄養素が含まれるので、余すことなく栄養を摂取するなら蒸し調理がおすすめです。蒸し時間は約2分ほどを目安にしてみてください。
もう少し手軽に調理したい場合は電子レンジが簡単です。耐熱容器に入れてラップをかけたら、電子レンジで加熱します。600Wなら約1分、500Wなら2分程度が目安です。
カリフラワーは茎まで使おう
一般的に食用とされるのは上部の花蕾部分ですが、カリフラワーは茎や葉も食用できます。カリフラワーの茎と葉は花蕾より栄養素が豊富なので、捨ててしまうのはもったいありません。
茎部分は厚めに皮を剥いてから茹でると、甘みも出ておいしく食べられます。葉と茎を細切りにして炒め物にする方法もおすすめです。
抗酸化作用をさらに高める組み合わせ
カリフラワーにはビタミンCが多く含まれるので、高い抗酸化作用が期待されます。その抗酸化作用をさらに高めるためには、ビタミンEが豊富な食材と合わせるのが得策です。
ビタミンEの含有量が高いアボカドやナッツ類などと合わせて、サラダにしてみても良いでしょう。
置き換えて低糖質メニューに
カリフラワーは炭水化物の含有量が少ないうえにビタミンやミネラルの栄養素が豊富なので、ダイエットをしている人には重宝する野菜です。
白米やジャガイモの代わりに使う人が多く、カリフラワーライスやマッシュドカリフラワーといった糖質制限メニューがあります。
ただし糖質は脳のエネルギー源となったり、筋肉の合成をサポートしたりする重要な栄養素です。完全に排除するのは避けて、夕食だけ置き換えるなどの工夫をしてみましょう。
カリフラワーの保存方法
カリフラワーの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
冷蔵保存
冷蔵庫で保存する場合は、カリフラワーが乾燥しないようラップなどにくるみ野菜室に入れます。横向きではなく、立てて保存してみてください。
ただしカリフラワーは日持ちしないので、購入後はなるべく早く茹でてしまうのが得策です。固めに茹でたら水分をよく拭き取ってから保存します。
茹でても冷蔵保存では2日から3日しか持たないため、長期保存する場合は冷蔵保存がおすすめです。
冷凍保存
冷凍庫で保存する場合は、固めに下茹でしたあとに小分けにカットして保存袋に入れます。その際、水分をしっかり拭き取らないと傷む原因になるので注意しましょう。保存期間は1ヶ月程度です。
使うときは冷蔵庫に入れて自然解凍するか、電子レンジで解凍してから使いましょう。スープなどに使う場合は凍ったまま使用できます。