ソイプロテインの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
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ソイプロテインの基本情報、種類、効果・働き、不足・欠乏・過剰摂取による影響、1日の摂取目安量、多く含む食品、効率よく摂取する方法について解説します。
ソイプロテインとは
ソイプロテイン(soy protein:大豆タンパク)とは、大豆に含まれるタンパク質のことであり、またそれを抽出したプロテイン製品のことです。
豆腐・納豆などに含まれる大豆タンパク質には、中性脂肪や内臓脂肪を低減する効果があるとされるβ-コングリシニンや、女性ホルモンに似た働きをするとされる大豆イソフラボンが含まれています。
パウダー状に精製されたソイプロテインの特徴としては、吸収速度が遅く、腹持ちがよい点が挙げられます。そのため、ダイエット時の食べ過ぎ防止などにも便利です。
ソイプロテインは、動物性タンパク質を摂取できない多くのベジタリアンやビーガンの人にとって、欠かせない栄養補助食品といえるでしょう。
ソイプロテインと他のプロテインの違い
ソイプロテインとその他のプロテインの違いについて解説します。
ホエイプロテイン
ホエイプロテイン(whey protein)は、牛乳に含まれるタンパク質で、動物性プロテインの一種です。
ミネラルや水溶性ビタミンが豊富に含まれていて、筋肉の増強・修復に効果のあるアミノ酸も豊富であり、吸収スピードが速いことから、トレーニングにより筋肉や持久力を効率的につけたい人に適しています。
カゼインプロテイン
カゼインプロテイン(casein protein)は、ホエイプロテインと同じく牛乳を主成分とする動物性プロテインです。
水溶性のホエイプロテインと違い不溶性なため、吸収スピードが遅く、ゆっくりと吸収されます。
ダイエット時の間食や、運動をしない日のタンパク質補給などにも適しています。満腹感が持続するので、空腹感を紛らわして無理なく食事量をコントロールできます。
ソイプロテインの効果・働き
ソイプロテインが持つ効果・効能・働きを解説します。
糖質・脂質を抑えながらタンパク質を補給できる
ソイプロテインは、その他のプロテインに比べて低糖質かつ低脂質なため、運動をしていない人のタンパク質補給としても利用しやすい点が特徴です。
タンパク質は、骨や歯、皮膚、血管、内臓、髪の毛など、人体のあらゆる部位に利用されているため、不足するとさまざまな不調につながります。トレーニングのお供としてだけでなく、普段からの健康維持としても欠かせません。
コレステロール値を低下させる
大豆タンパク質の主要成分のひとつであるグリシニンには、血中のコレステロール値を低下させる働きがあります。
体に取り込まれた大豆タンパク質の一部は、腸管のなかで胆汁と結合して体外へと排出されます。排出された分の胆汁を作るために血中のコレステロールが利用され、コレステロール値が下がるのです。
中性脂肪を低減する
大豆タンパク質には、コレステロール値を低下させる働きだけでなく、中性脂肪を低減させる効果もあります。
大豆タンパク質の成分でこの働きを担っているのが、もうひとつの主要成分であるβ-コングリシニンです。
満腹感が持続するためダイエットに効果的
ソイプロテインは腹持ちがよいため、空腹感を紛らわして無理のないダイエットをサポートします。
大豆イソフラボンによる美肌効果や血流改善効果に期待
大豆イソフラボンは、女性ホルモン「エストロゲン」と似た働きをすることで、女性ホルモンの低下が原因で起こるしわ・たるみ、さらに更年期に起こりがちな骨密度の低下などを予防します。
またイソフラボンには血小板の凝集を抑制する働きがあり、これによって血液をサラサラにして血流の改善効果も期待できます。
ソイプロテイン(タンパク質)が不足・欠乏すると起こる症状
ソイプロテインに限らず、タンパク質が不足・欠乏すると起こる症状は次の通りです。
- 運動しても体力がつかない
- 髪にコシがなくなった
- 肌にハリやツヤがなくなった
- 集中力の欠如
- 筋肉量の減少
- クワシオルコル(クワシオルコール、カシオコアとも)
- 高齢者におけるフレイル(frailty)およびサルコペニア(sarcopenia)
特に、若い世代や中年世代の成人に比べて、高齢者では筋肉を増量・維持するために必要となるタンパク質摂取量が多いとする研究報告があります。
そのため、高齢者におけるフレイルやサルコペニアの予防には、若い世代に比べてより多くのタンパク質が必要になると考えられます。
※クワシオルコル……タンパク質の欠乏が原因で起こる栄養失調のひとつ。足の浮腫、腹部の膨張、肝臓の肥大、細い毛髪、歯の脱落、肌の脱色、皮膚炎などの症状が見られる。
※フレイル……加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態。
※サルコペニア……高齢になるに伴い、筋肉の量が減少していく現象。
ソイプロテイン(タンパク質)を過剰摂取すると起こる副作用
タンパク質を過剰摂取すると起こる症状は次の通りです。
- 肝臓や腎臓への負担増大
- カロリーの過多
タンパク質の過剰摂取による健康被害に関する研究報告は少ないですが、タンパク質が豊富な食品は比較的カロリーが高いものが多いため、食べ過ぎるとカロリーが過多になる可能性が高まります。
ただ、ソイプロテインはタンパク質が豊富な食品の中でも低カロリー・低脂質なため、このリスクは比較的低いと言えるでしょう。
ソイプロテイン(タンパク質)の1日の摂取目安量
ソイプロテイン単体での摂取目安などはないため、ここではタンパク質の摂取目安量を解説します。
タンパク質の1日の摂取推奨量は、成人男性で65g、成人女性で50g、妊婦・授乳婦の場合最大で+20gが推奨されます。
子どもや妊婦においては、組織を新たに作るタンパク質が必要になるため、推奨量が多く設定されています。
実態として平均摂取量が不足していることから、推奨量や目標量が設定されている一方で、耐容上限量はいずれの年齢区分にも定められていません。
なお、タンパク質維持必要量は体重当たりで報告されており、体重1kg当たり1gのタンパク質摂取が推奨されます。
タンパク質の食事摂取基準
推定平均必要量、推奨量、目安量:g/日、目標量:%エネルギー
性 別 | 男 性 | 女 性 | ||||||
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 目標量 1 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 目標量 1 |
0 ~ 5 (月) | ─ | ─ | 10 | ─ | ─ | ─ | 10 | ─ |
6 ~ 8 (月) | ─ | ─ | 15 | ─ | ─ | ─ | 15 | ─ |
9 ~11(月) | ─ | ─ | 25 | ─ | ─ | ─ | 25 | ─ |
1 ~ 2 (歳) | 15 | 20 | ─ | 13~20 | 15 | 20 | ─ | 13~20 |
3 ~ 5 (歳) | 20 | 25 | ─ | 13~20 | 20 | 25 | ─ | 13~20 |
6 ~ 7 (歳) | 25 | 30 | ─ | 13~20 | 25 | 30 | ─ | 13~20 |
8 ~ 9 (歳) | 30 | 40 | ─ | 13~20 | 30 | 40 | ─ | 13~20 |
10~11(歳) | 40 | 45 | ─ | 13~20 | 40 | 50 | ─ | 13~20 |
12~14(歳) | 50 | 60 | ─ | 13~20 | 45 | 55 | ─ | 13~20 |
15~17(歳) | 50 | 65 | ─ | 13~20 | 45 | 55 | ─ | 13~20 |
18~29(歳) | 50 | 65 | ─ | 13~20 | 40 | 50 | ─ | 13~20 |
30~49(歳) | 50 | 65 | ─ | 13~20 | 40 | 50 | ─ | 13~20 |
50~64(歳) | 50 | 65 | ─ | 14~20 | 40 | 50 | ─ | 14~20 |
65~74(歳)2 | 50 | 60 | ─ | 15~20 | 40 | 50 | ─ | 15~20 |
75 以上(歳)2 | 50 | 60 | ─ | 15~20 | 40 | 50 | ─ | 15~20 |
妊婦初期(付加量) | +0 | +0 | ─ | ─ 3 | ||||
妊婦中期(付加量) | +5 | +5 | ─ | ─ 3 | ||||
妊婦後期(付加量) | +20 | +25 | ─ | ─ 4 | ||||
授乳婦(付加量) | +15 | +20 | ─ | ─ 4 |
2 65 歳以上の高齢者について、フレイル予防を目的とした量を定めることは難しいが、身長・体重が参照体位に比べて小さい者や、特に75 歳以上であって加齢に伴い身体活動量が大きく低下した者など、必要エネルギー摂取量が低い者では、下限が推奨量を下回る場合があり得る。この場合でも、下限は推奨量以上とすることが望ましい。
3 妊婦(初期・中期)の目標量は、13〜20% エネルギーとした。
4 妊婦(後期)及び授乳婦の目標量は、15〜20% エネルギーとした。
出典:日本人の食事摂取基準(2020 年版)
ソイプロテインを効率よく摂取する方法
ソイプロテインを効率よく摂取する方法を解説します。
筋肉増強が目的ならトレーニング後&就寝前に
筋肉の増量などを目的として摂取する場合は、運動後30分以内に飲むようにすると、より効率的です。
あるいは、就寝時の疲労回復や筋肉修復をスムーズにするために、就寝前に飲むのも良いでしょう。
ただしその場合は、就寝直前ではなく、就寝の1時間前までに飲むことをおすすめします。就寝直前の飲食は消化器官に負担をかけ、睡眠の質を低下させかねません。
ダイエットや減量が目的なら食事といっしょに
ダイエットや減量を目的として摂取する場合は、食事と一緒に摂ったり、食事前の間食として摂ったりすることで、満腹感の維持につながり食事量を緩やかに制限することができます。
ただし、一食すべてプロテインのみで済ませるような、いわゆる置き換えダイエットは、食事で摂取していた栄養の不足につながりかねませんので控えましょう。
健康を損ねない範囲内で食事を制限し、サポートとしてプロテインを利用してください。
栄養補給が目的なら食後に
日ごろの食生活で不足しているタンパク質を補給する目的で摂取するなら、食後に飲むのがおすすめです。
トレーニング後に飲むのも効果的ですが、トレーニング後に飲むためにはトレーニングを先にしなければならず、かかさず飲むことが難しくなってしまいます。
また、食前に飲むと肝心の食事量が減ってしまい、プロテイン以外の栄養が不足しかねません。ソイプロテインによって補給した栄養素をきちんと活かすためにも、食事量が減らないよう工夫しましょう。