銅の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法
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銅の基本情報、種類、効果・働き、不足・欠乏・過剰摂取による影響、1日の摂取目安量、多く含む食品、効率よく摂取する方法について解説します。
銅とは
銅(copper)は原子番号29、元素記号Cuの、金や銀と同じ11族に属する遷移金属元素です。
銅は成人の体内に約100mg存在する多量ミネラルで、そのうち約65%は筋肉や骨、約10%は肝臓に存在します。
銅は、約10種類の酵素の働きに関わっており、エネルギーの生成を助けるほか、鉄から赤血球が作られるのをサポートする栄養素です。
その他にも、神経伝達物質を生み出したり、活性酸素を除去したりといった働きにも関わっています。なお、体内に余分に取り込まれた銅は、肝臓から胆汁として排泄されます。
銅の効果・働き
銅の持つ効果・効能・働きについて解説します。
酵素の構成要素として働く
銅はさまざまな酵素の構成要素であり、それらの酵素には次のような働きに必須の役割を持ったものがあります。
- エネルギーの産生
- 赤血球・骨・結合組織の形成
- 抗酸化作用(活性酸素を抑制・除去する作用)
エネルギーを生み出す
銅依存性酵素(銅を構成要素とする酵素)の中には、エネルギーを生み出すために必須のものがあります。
銅が不足すると一部の栄養からエネルギーを生み出すことができなくなってしまうため、銅はエネルギーを生み出すという人間の基本機能を支える重要な栄養素です。
鉄を運んで貧血予防
銅は、酸素を運ぶ役割を果たすヘモグロビンに必要な鉄を届ける役割を持っており、貧血の予防に効果を発揮します。
ヘモグロビンは、鉄が足りないと酸素と結合することができないため、鉄の摂取が不足すると鉄欠乏性貧血となってしまうのです。
しかし鉄だけが十分に摂取できていても、鉄がヘモグロビンに届くためには銅が必要となるため、銅が不足してもやはり銅欠乏性貧血となってしまいます。
骨の形成を助ける
銅は、骨の形成を助けるリジルオキシターゼやアミンオキシターゼの構成要素にもなっています。
2つの酵素は、骨を形成するために不可欠な角質の生成に関わっています。そのため、銅が不足すると骨粗しょう症などの異常をきたします。
抗酸化作用によって活性酸素を除去
銅依存性酵素のなかには、活性酸素を分解するスーパーオキシドスムターゼという酵素も含まれており、この酵素が持つ抗酸化作用によって活性酸素を除去・過酸化脂質の生成を妨げる働きがあります。
抗酸化作用は、動脈硬化予防や老化防止などにも効果的です。
銅が不足・欠乏すると起こる症状
銅が不足・欠乏すると起こる症状は次の通りです。
- 銅欠乏性貧血
- 疲労
- 白血球数の減少
- 骨粗しょう症
- 神経の損傷(手足を刺す感覚、あるいは感覚消失)
- 筋力の低下
- 怒りやすい
- 軽度の抑うつ
- 錯乱
- 協調運動障害
銅欠乏症は、先天的な疾患であるメンケス病と、銅の摂取不足が原因の後天的な銅欠乏症とに分けられます。
メンケス病では銅を吸収することができず、血液や臓器中の銅濃度が低下して、知能低下、発育遅延、中枢神経障害などを生じる点が特徴です。
一方、摂取不足が原因の後天的な銅欠乏症における症状は、鉄投与に反応しない貧血、白血球減少、好中球減少、脊髄神経系の異常などが見られます。
銅が不足・欠乏する原因
銅が不足・欠乏する原因は次の通りです。
- 極端な摂取不足
- 特に小児期の重度のタンパク欠乏症
- 遺伝性の吸収不全・重度の吸収不良
- 難治性の長期間にわたる下痢
- 持続性の乳児下痢症
- 胃の手術
- 亜鉛の過剰摂取
一般的な食生活を送る人において銅欠乏症が起こることは稀です。
先天的な銅欠乏症は、遺伝的な吸収不全や消化不良を原因としており、後天的な銅欠乏症は、手術後に銅が添加されていない高カロリー輸液を使用した場合に多く発生しています。
銅を過剰摂取すると起こる副作用
銅を過剰摂取すると起こる症状は次の通りです。
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 胃腸炎
- 腎臓の損傷
- 尿の産生の阻害
- 溶血性貧血
- 肝障害・肝硬変
また、銅の過剰症が起こる主な原因は次の通りです。
- 先天性の銅代謝障害
- 銅製食器や調理器具の使用による中毒
- サプリメントによる大量摂取
銅中毒・銅の過剰摂取が通常の食事からおこることは稀で、銅製の容器に長時間触れていた酸性の食品や飲料を摂取することによって引き起こされます。
なお、高齢の女性に関しては、銅サプリメントの使用が死亡率を上昇させることも報告されています。
銅の1日の摂取目安量
銅の1日の摂取目安量(推奨量)は、成人男性で0.9mg、成人女性で0.7mgです。
これは、銅を豊富に含む魚介類で摂取した場合、牡蠣(缶詰)ならおよそ25~30g、ホタルイカならおよそ6~7.5gで十分な量となります。
また銅には過剰症や中毒症状が確認されているため、耐容上限量として成人男性・成人女性ともに1日当たり7mgが設定されています。
平成28年国民健康・栄養調査における日本人成人の銅摂取量は、男性で0.8~1.6mg/日、女性で0.8~1.4mg/日であり、平均的に見れば欠乏も過剰も特に心配する必要はないと言えます。
ただし、マルチミネラルサプリメントの服用などによって過剰摂取が生じる可能性はあるため、摂取目安量や耐容上限量を守るよう注意してください。
銅の食事摂取基準(mg/日)
性 別 | 男 性 | 女 性 | ||||||
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 |
0~5 (月) | - | - | 0.3 | - | - | - | 0.3 | - |
6~11(月) | - | - | 0.3 | - | - | - | 0.3 | - |
1~2 (歳) | 0.3 | 0.3 | - | - | 0.2 | 0.3 | - | - |
3~5 (歳) | 0.3 | 0.4 | - | - | 0.3 | 0.3 | - | - |
6~7 (歳) | 0.4 | 0.4 | - | - | 0.4 | 0.4 | - | - |
8~9 (歳) | 0.4 | 0.5 | - | - | 0.4 | 0.5 | - | - |
10~11(歳) | 0.5 | 0.6 | - | - | 0.5 | 0.6 | - | - |
12~14(歳) | 0.7 | 0.8 | - | - | 0.6 | 0.8 | - | - |
15~17(歳) | 0.8 | 0.9 | - | - | 0.6 | 0.7 | - | - |
18~29(歳) | 0.7 | 0.9 | - | 7 | 0.6 | 0.7 | - | 7 |
30~49(歳) | 0.7 | 0.9 | - | 7 | 0.6 | 0.7 | - | 7 |
50~64(歳) | 0.7 | 0.9 | - | 7 | 0.6 | 0.7 | - | 7 |
65~74(歳) | 0.7 | 0.9 | - | 7 | 0.6 | 0.7 | - | 7 |
75 以上(歳) | 0.7 | 0.8 | - | 7 | 0.6 | 0.7 | - | 7 |
妊婦(付加量) | +0.1 | +0.1 | - | - | ||||
授乳婦(付加量) | +0.5 | +0.6 | - | - |
銅を多く含む食品
銅を多く含む食品を、全食品・豆類・種実類・野菜・魚介類・肉類・飲料の順で、それぞれランキング形式で紹介します。
銅を多く含む食品ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりmg |
1 | ほたるいか/くん製 | 12 |
2 | ほたるいか/つくだ煮 | 6.22 |
3 | うし/[副生物]/肝臓/生 | 5.3 |
4 | 干しえび | 5.17 |
5 | ピュアココア | 3.8 |
6 | しゃこ/ゆで | 3.46 |
7 | ほたるいか/生 | 3.42 |
8 | さくらえび/素干し | 3.34 |
9 | 湯葉/干し/乾 | 3.27 |
10 | エスカルゴ/水煮缶詰 | 3.07 |
銅を多く含む豆類ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりmg |
1 | 湯葉/干し/乾 | 3.27 |
2 | 大豆たんぱく/分離大豆たんぱく/塩分調整タイプ | 1.51 |
2 | 大豆たんぱく/分離大豆たんぱく/塩分無調整タイプ | 1.51 |
4 | 大豆たんぱく/粒状大豆たんぱく | 1.41 |
5 | きな粉/全粒大豆/青大豆 | 1.32 |
6 | いり大豆/黄大豆 | 1.31 |
7 | いり大豆/青大豆 | 1.29 |
8 | きな粉/脱皮大豆/黄大豆 | 1.23 |
9 | そらまめ/全粒、乾 | 1.2 |
10 | きな粉、脱皮大豆、青大豆 | 1.19 |
銅を多く含む種実類ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりmg |
1 | ブラジルナッツ/フライ、味付け | 1.95 |
2 | えごま/乾 | 1.93 |
3 | カシューナッツ/フライ、味付け | 1.89 |
4 | ひまわり/フライ、味付け | 1.81 |
5 | チアシード/乾 | 1.79 |
6 | ごま/いり | 1.68 |
7 | ごま/乾 | 1.66 |
8 | ヘーゼルナッツ/フライ、味付け | 1.64 |
9 | ごま/むき | 1.53 |
10 | ごま/ねり | 1.5 |
銅を多く含む野菜ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりmg |
1 | わらび/干しわらび、乾 | 1.2 |
1 | ぜんまい/干しぜんまい/干し若芽、乾 | 1.2 |
3 | とうがらし/果実、乾 | 0.85 |
4 | ドライトマト | 0.82 |
5 | くわい/塊茎、生 | 0.71 |
6 | かんぴょう/乾 | 0.62 |
6 | きく/菊のり | 0.62 |
8 | くわい/塊茎、ゆで | 0.59 |
9 | ずいき/干しずいき、乾 | 0.55 |
10 | しそ/実、生 | 0.52 |
銅を多く含む魚介類ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりmg |
1 | ほたるいか/くん製 | 12 |
2 | ほたるいか/つくだ煮 | 6.22 |
3 | 干しえび | 5.17 |
4 | しゃこ/ゆで | 3.46 |
5 | ほたるいか/生 | 3.42 |
6 | さくらえび/素干し | 3.34 |
7 | エスカルゴ/水煮缶詰 | 3.07 |
8 | ほたるいか/ゆで | 2.97 |
9 | いいだこ/生 | 2.96 |
10 | かき/くん製油漬缶詰 | 2.81 |
銅を多く含む肉類ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりmg |
1 | うし/[副生物]/肝臓/生 | 5.3 |
2 | がちょう/フォアグラ/ゆで | 1.85 |
3 | ぶた/[副生物]/肝臓/生 | 0.99 |
4 | ぶた/[その他]/スモークレバー | 0.92 |
5 | いなご/つくだ煮 | 0.77 |
6 | うし/[副生物]/心臓/生 | 0.42 |
7 | すずめ/肉、骨・皮つき、生 | 0.41 |
7 | ぶた/[副生物]/じん臓/生 | 0.41 |
9 | かも/まがも/肉、皮なし、生 | 0.36 |
9 | はち/はちの子缶詰 | 0.36 |
銅を多く含む飲料ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりmg |
1 | ピュアココア | 3.8 |
2 | 紅茶/茶 | 2.1 |
3 | せん茶/茶 | 1.3 |
4 | ミルクココア | 0.93 |
5 | 玉露/茶 | 0.84 |
6 | 抹茶 | 0.6 |
7 | 青汁/ケール | 0.17 |
8 | 白酒 | 0.08 |
9 | みりん/本みりん | 0.05 |
9 | 甘酒 | 0.05 |
銅を効率よく摂取する方法
銅を多く含む食品を見ると分かる通り、銅はさまざまな食品に豊富に含まれており、特に言意識せずとも必要量・推奨量を満たすことのできる栄養素です。
普段の食生活で不足している場合も、サプリメントによる補給ではなく、ナッツ類を数粒食べるようにするなどで十分でしょう。
一方で、過剰摂取の心配もあまりない栄養素ですので、銅単体の摂取量を気にするよりも、その他の栄養素を基準として考えた方が良いかもしれません。