じゃがいもの栄養と効果効能・調理法・保存法

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じゃがいも

じゃがいもの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、じゃがいもに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

じゃがいもとは

じゃがいもはナス科ナス属の植物で、根菜ではなく、「塊茎(かいけい)」と呼ばれる地下の茎へ養分を蓄えた芋です。植物の根や地下茎に、でんぷんなどの養分を蓄えて肥大したものを、芋と呼びます。

原産地は、南米アンデスからメキシコにかかる、海抜5,000〜3,000mの高原地帯です。栽培が始まったのは紀元後500年ごろ。世界遺産である空中都市マチュ・ピチュの段々畑で栽培され、インカ帝国の食料源として重宝されていました。

日本へは、1598年、オランダ人によって長崎に持ち込まれたことがはじまりです。当初は観賞用として用いられ、本格的な栽培は明治時代以降。

北海道の開拓に伴い、アメリカ・ドイツ・イギリスからじゃがいもが北海道に導入されました。高原地帯での栽培に適していたことから、北海道はじゃがいもの主な生産地となりました。

現在、じゃがいもは1年を通して店頭に並ぶ食材ですが、旬は春(5〜6月)と秋〜冬(10〜2月)の2回。

葉や茎がまだ緑色の若いうちに収穫される「新じゃが」は、小ぶりで皮が薄く、水分が多いのが特徴です。

葉や茎が自然に枯れた状態になる秋に収穫されたじゃがいもは、皮が厚く、栄養が凝縮されています。水分が少なく、旨みと甘みが強いのが特徴です。

じゃがいもの品種・種類

じゃがいもは世界中で栽培され、品種は約2,000あると言われています。現在、国内で栽培されている品種は約20種。そのうちの代表的な品種を解説します。

男爵薯(男爵いも)

男爵薯は、丸くてゴツゴツした形をしており、芽の部分が深くくぼんでいる品種です。白っぽく粉質で、加熱するとホクホクとした食感が楽しめます。

明治時代に、アメリカ原産の「アイリッシュ・コブラー」を北海道北斗市で栽培し始め、普及しました。当時は正式な品種名がわからなかったため、川田龍吉男爵が広めた馬鈴薯(じゃがいも)ということで、「男爵薯」と呼ばれるようになりました。

ちなみに馬鈴薯という呼び方は、中国から来たものです。

メークイン

メークインは、男爵薯と並ぶ、日本の代表的なじゃがいも品種です。細長く卵型をしており、芽のくぼみが浅く、表面は比較的すべすべしています。

粘質で、加熱すると煮崩れしにくいため、シチューや煮物に適しています。メークインという品種名は、もともとの名前「May Queen」からきています。

キタアカリ

キタアカリは、北海道で誕生した品種です。男爵薯に似て丸く、ゴツゴツした形をしています。

芽のくぼみの部分が赤く、中身は濃い黄色です。粉質で加熱調理するとホクホクとした食感が楽しめます。その色や甘さから「黄金男爵」「クリじゃがいも」とも呼ばれています。

デジマ

デジマは皮も中身も淡い黄色で、芽が浅く、表面が滑らかなのが特徴です。やや粉質ですが、春作のデジマは粘質になる傾向にあります。

デジマという品種名は、育成地の長崎県にある「出島」にちなんでつけられたと言われています。

インカのめざめ

インカのめざめは、大きさは平均50gと比較的小ぶりな品種です。形はやや細長く卵型で、中身はきれいな黄色をしています。

少し粘質できめ細かく、舌触りが良く甘味が強いのが特徴です。小さいサイズのため大型機械での生産が難しく、また長期保存に向いてないことから、生産量が限られた希少品種です。

ニシユタカ

ニシユタカは球型や平べったい形をしており、芽のくぼみが浅く、皮と中身ともに淡い黄色をした品種です。

主に九州各地をはじめ、関西より西の温かい地域で栽培されています。粘質で荷崩れしにくく、肉じゃがやカレーなどに適しています。

じゃがいもに含まれる成分・栄養素

じゃがいも100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

日本食品標準成分表2015年版(七訂)より、皮の有無や調理法の違い(レンジ・水煮・蒸し・フライ)などを含めた計8通りの成分を記載しています。

一般的にじゃがいもは、炭水化物(糖質)を多く含むため、ダイエットの敵とみなされることがありますが、健康や美容に効果的な栄養を豊富に含んでいることがわかります。

食品名単位皮なし・生皮付き・生皮なし・レンジ皮付き・レンジ皮なし・水煮皮なし・蒸し皮なしフライドポテト皮付きフライドポテト
エネルギー(kcal)kcal/100 g767083857481168163
水 分g/100 g79.881.17877.680.678.864.265.2
たんぱく質g/100 g1.81.81.92.11.71.92.72.7
脂 質g/100 g0.10.10.10.20.10.35.95.6
飽和脂肪酸g/100 g0.020.02Tr0.01-0.02-0.040.410.4
一価不飽和脂肪酸g/100 g00000(Tr)3.333.21
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.020.010.010.01-0.02-0.031.551.5
コレステロールmg/100 g00000011
炭水化物g/100 g17.315.91919.216.918.126.225.4
低分子量水溶性食物繊維g/100 g1.31.30.60.60.50.40.60.7
高分子量水溶性食物繊維g/100 g3.64.10.70.80.90.91.11.1
不溶性食物繊維g/100 g44.42.22.41.72.22.32.6
食物繊維総量g/100 g8.99.83.53.93.13.53.94.3
ナトリウムmg/100 g111Tr1111
カリウムmg/100 g410420430430340420570580
カルシウムmg/100 g44444556
マグネシウムmg/100 g1919202316242929
リンmg/100 g4746475832387878
mg/100 g0.410.40.90.60.60.51.6
亜鉛mg/100 g0.20.20.30.30.20.30.40.4
mg/100 g0.090.090.10.120.10.080.140.14
マンガンmg/100 g0.370.420.40.450.10.120.480.55
ヨウ素µg/100 g11110Tr12
セレンµg/100 g000Tr0Tr00
クロムµg/100 g41Tr121Tr2
モリブデンµg/100 g33333444
β-カロテン当量µg/100 g3227351416
ビタミンDµg/100 g00000000
α-トコフェロールmg/100 gTrTrTr0.10.10.11.21.1
β-トコフェロールmg/100 g0000Tr000
γ-トコフェロールmg/100 g0000Tr02.32.2
δ-トコフェロールmg/100 g0000Tr00.10.1
ビタミンKµg/100 g1111001111
ビタミンB1mg/100 g0.090.080.090.070.070.080.10.09
ビタミンB2mg/100 g0.030.030.030.020.030.030.020.03
ナイアシンmg/100 g1.51.61.41.7112.22.3
ナイアシン当量mg/100 g1.81.91.72.11.31.32.62.7
ビタミンB6mg/100 g0.20.20.20.190.180.220.240.22
ビタミンB12µg/100 g00000000
葉酸µg/100 g2020171518212426
パントテン酸mg/100 g0.50.490.470.330.410.50.50.45
ビオチンµg/100 g0.40.50.40.60.30.40.70.8
ビタミンCmg/100 g2828231318111616
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

じゃがいもの効果・効能

じゃがいもに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

ビタミンC:抗酸化作用で皮膚や血管の老化を防ぐ

実はじゃがいもにはビタミンCが豊富で、含有量はリンゴのなんと約5倍です。

ビタミンCは抗酸化作用があり、皮膚や血管の老化を防ぎ、免疫力を高める働きがあります。また、コラーゲンの合成を助け、骨を丈夫にしたり、肌にハリを与えたりするため、健康・美容の両面にポジティブな効果が期待できます。

一般的にビタミンCは熱に弱く、加熱調理で壊れてしまいますが、じゃがいもに含まれるビタミンCはでんぷんによって守られているため、熱による損失がないという特徴があります。

カリウム:むくみを解消する・筋肉を正常に保つ

じゃがいもにはカリウムも豊富です。

カリウムは体の細胞内にある過剰な水分(ナトリウム)の排出を促す効果があり、これによってむくみの予防・解消や高血圧になるリスクを軽減することができます。

また、カリウムは筋肉の収縮に関わっており、必要量摂取していると筋肉の働きを正常に保つ効果があります。

ビタミンB1:体を動かすエネルギーになる

ビタミンB1は水溶性で、チアミンとも呼ばれるビタミンB群の一種です。

糖質を体内で分解する酵素をサポートして、体を動かすエネルギーに変換する働きがあります。疲労からくる手足の痺れや食欲不振、不安、集中力不足を改善する効果が期待できます。

じゃがいもの調理方法

じゃがいもの栄養素を損なわない洗い方や調理方法を解説します。

じゃがいもの洗い方

まず水でざっと泥や汚れを落とします。汚れがひどい場合や皮ごと調理する場合は、流水にさらしながらかためのスポンジやタワシでこすって汚れを落としてください。

泥には土壌菌が残っている場合もあるので、丁寧に落としましょう。

じゃがいものおすすめ調理方法

じゃがいもの皮には、カリウムやビタミンB3、マグネシウム、鉄、食物繊維などが豊富に含まれています。

そのため、フライドポテトや煮物、カレーやシチューにして皮ごと食べると良いでしょう。また、抗酸化成分のクロロゲン酸は、皮ごと蒸して食べると損なわずに摂取することができます。

じゃがいもを調理する際の注意点

じゃがいもの芽には、ソラニンやチャコニンという天然毒素があり、皮にも少量の同毒素が含まれています。

ソラニンとチャコニンを多量に摂取すると、めまいや吐き気、下痢、腹痛、頭痛などの中毒症状を引き起こす可能性があります。

重症の場合、眠気や無気力、錯乱、衰弱などの神経症状や視覚症状が見られ、場合によっては死亡する危険性もあります。

皮ごと食べる場合は、下ごしらえの段階で皮についている泥や汚れをしっかりと落とし、芽がある部分はその周りを含めて取り除いてください。

芽が大きく出ていたり、皮が緑色になっているじゃがいもは食べないようにしましょう。

じゃがいもの保存方法

じゃがいもの保存方法を解説します。

スーパーの店頭で並べられているように、基本的には常温保存で問題ありません。風通しが良く、直射日光が当たらない場所で保存してください。太陽の光が当たってしまうと、有毒物質であるソラニンを含む芽が出てしまいます。

保存する際は、ポリ袋や紙袋に入れて保存しましょう。保存期間の目安は、常温保存で約2ヶ月です。住んでいる地域や環境によって大きく異なるので注意してください。

気温が高い夏場は、冷蔵庫へ入れましょう。2~5℃の冷蔵室だと温度が低すぎるため、3〜8℃の野菜室に入れるようにします。乾燥して皮がしわしわにならないように、1つずつ新聞紙に包んでからポリ袋に入れて保管してください。野菜室での保存期間は約1ヶ月です。

冷凍保存する方法もありますが、生のまま冷凍するとじゃがいもの組織を壊してしまうのでおすすめできません。

冷凍する場合は、加熱調理した後や、細く切ったじゃがいもを水にさらした後に水気を拭き取ってから、冷凍用保存袋に入れて保存します。冷凍での保存期間は約3週間です。

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