アマランサスの栄養と効果効能・調理法・保存法

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アマランサス

アマランサスの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、よく似た野菜との栄養価の違い、含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

アマランサスとは

アマランサスは、ヒユ科ヒユ属の疑似穀類です。

夏の終わりを迎えると葉っぱを黄色や赤に色づかせ、その脇に小さな花を咲かせます。この葉っぱがなかなか枯れないことから「粘り強い精神」「不老不死」といった花言葉が付けられました。

アマランサスの原産地は、メキシコ高地(アステカ)、グアテマラのやや低地(マヤ)、ペルー(インカ)の3箇所です。

実はほんのりと苦味があり、皮は食べるとプチプチとした食感があります。その食感が明太子に似ていることから、パスタなどのアレンジレシピに用いられます。

アマランサスの歴史は古く、南米のアンデス山脈でインカ文明の時代から栽培されており、とうもろこしやいんげん豆と同様に食卓に欠かせない作物として食されてきました。

日本へは江戸時代に観賞用の植物として渡ってきたのがはじまりです。近年では、カルシウムやビタミンB6などの栄養素を豊富に含むスーパーフードとして、世界中で注目が集まっています。

アマランサスの品種・種類

アマランサスは約70の品種があり、そのうち60種はアメリカ大陸原産と言われています。そのなかでも、穀類として使用されてきた代表的な3種を解説します。

アマランサス・クルエンタス

アマランサス・クルエンタスの和名は、「スゲモリケイトウ」です。原産地はメキシコ・グアテマラで、「メキシコの穀物」とも呼ばれます。

紀元前4,000年ごろには、メキシコあたりの中央アメリカで食べられていました。種子には、タンパク質が豊富に含まれています。

アマランサス・ヒポコンドリアコゥス

アマランサス・ヒポコンドリアコゥスは、北アメリカ南部が原産地で、現在では熱帯・亜熱帯・温帯地方で観賞用、食用の穀物として栽培されています。

アマランサス・カウダトゥス

アマランサス・カウダトゥスはペルーのアンデス原産で、アフリカとインドでも自生している品種です。

夏場に赤紫の房状の垂れ下がった花が咲くことから、和名ではひも状のケイトウという意味で「ヒモゲイトウ」と呼ばれています。

アンデス地方では、若い葉を野菜として、実は穀類として朝食に食べています。

アマランサスに含まれる成分・栄養素

アマランサス100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位アマランサス 玄穀
エネルギー(kcal)kcal/100 g358
水 分g/100 g13.5
たんぱく質g/100 g12.7
脂 質g/100 g6
トリアシルグリセロール当量g/100 g5
飽和脂肪酸g/100 g1.18
一価不飽和脂肪酸g/100 g1.48
多価不飽和脂肪酸g/100 g2.1
コレステロールmg/100 g0
炭水化物g/100 g64.9
水溶性食物繊維g/100 g1.1
不溶性食物繊維g/100 g6.3
食物繊維総量g/100 g7.4
カリウムmg/100 g600
カルシウムmg/100 g160
マグネシウムmg/100 g270
リンmg/100 g540
mg/100 g9.4
亜鉛mg/100 g5.8
mg/100 g0.92
マンガンmg/100 g6.14
ヨウ素µg/100 g1
セレンµg/100 g13
クロムµg/100 g7
モリブデンµg/100 g59
β-カロテン当量µg/100 g2
ビタミンDµg/100 g0
α-トコフェロールmg/100 g1.3
β-トコフェロールmg/100 g2.3
γ-トコフェロールmg/100 g0.2
δ-トコフェロールmg/100 g0.7
ビタミンKµg/100 g0
ビタミンB1mg/100 g0.04
ビタミンB2mg/100 g0.14
ナイアシンmg/100 g1
ナイアシン当量mg/100 g
ビタミンB6mg/100 g0.58
ビタミンB12µg/100 g0
葉酸µg/100 g130
パントテン酸mg/100 g1.69
ビオチンµg/100 g16.3
ビタミンCmg/100 g0
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

アマランサスの効果・効能

アマランサスに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

ビタミンE・亜鉛:美肌促進に効果的

アマランサスはビタミンEの一種「トコトリエノール」を豊富に含んでいます。

ビタミンEは強い抗酸化作用を持っており、脂溶性の抗酸化成分として医薬品や化粧品、食品に配合されています。

ビタミンEを摂取することで、血行が促進され、血液が滞ることで起こるくすみやクマ、肌荒れによる毛穴の開きを改善する効果があります。

また、亜鉛は新陳代謝に関わる酵素を作る働きがあるため、肌細胞の生まれ変わりを助けてくれます。血行促進と新陳代謝を助ける働きで美肌づくりに効果が期待できるのです。

鉄・葉酸:貧血を改善・予防する

アマランサスに含まれる鉄は、全身に酸素を運ぶ赤血球を作ったり、コラーゲン・骨・粘膜・皮膚の生成に関わったり、エネルギー代謝をスムーズにする働きがあります。

また、白米の10倍の量が含まれている葉酸も、赤血球の生成に不可欠な栄養素のひとつです。

赤血球に含まれるヘモグロビンの生成には、鉄と葉酸のほかにタンパク質とビタミンB6が必要ですが、これらもアマランサスには豊富に含まれています。

水溶性・不溶性食物繊維:便秘を改善する

食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があります。

水溶性食物繊維は水分に溶けやすく、便を柔らかくする働きがあり、不溶性食物繊維は便のかさを増し、腸のぜん動運動を促進する働きがあります。

アマランサスはこの両方の食物繊維を含んでいるため、便秘を改善する効果が期待できるのです。

植物ステロール・リジン:脂肪燃焼を助ける

アマランサスに含まれる植物ステロールは、中性脂肪やコレステロールを低下させる効果があります。

また、必須アミノ酸の一種であるリジンには、脂肪を分解する酵素リパーゼの働きを助けたり、脂質代謝を促すカルニチンの生成を活発にする効果も。

コレステロールを低下させたり、脂肪分解の助けをする成分の分泌を助けることで、ダイエット効果が期待できます。

アマランサスの葉の栄養

アマランサスの葉は、穂が育つまでの短い期間だけ柔らかく食べることができます。

実のように栄養価が高く、カルシウム、ビタミン、ミネラル、鉄などさまざまな栄養が豊富に含まれています。

アマランサスとキヌアの栄養比較

近年、スーパーフードとして注目されている、アマランサスとキヌア。色も形も似ていますが、アマランサスの方が一回り小さいのが見た目の違いです。

アマランサスとキヌアの栄養価を比較すると、食物繊維・ビタミンB6・鉄・カルシウム・カリウム・マグネシム・亜鉛は、アマランサスの方が高い含有量を誇っています。

一方で、タンパク質、ビタミンB1、ビタミンB2、ナトリウム、葉酸はキヌアの方が豊富に含まれています。

アマランサスの調理方法

アマランサスの栄養素を損なわない洗い方や調理方法を解説します。

アマランサスの洗い方

アマランサスは粒が非常に小さいため、土やほこり、ごみなどが選別されずに残っていることがあります。調理の前には、目の細かいザルや茶こしで丁寧に水洗いしてください。

アマランサスのおすすめの食べ方

アマランサスはそのまま食べるよりも、何かに混ぜて食べるのが主流。代表的な食べ方は、白米に混ぜる方法です。

アマランサスを混ぜることで、白米だけでは不足しがちな食物繊維も手軽に摂取することが可能。強いクセがなく、もちもちとした食感を楽しむことができます。

アマランサスの保存方法

アマランサスの保存方法を解説します。

アマランサスは栄養価が高いため、虫が付きやすい植物です。賞味期限や消費期限内であれば基本的に問題はないものの、なるべく早く食べるようにしましょう。

虫がつかないようにするために、冷暗所で保存する必要があります。冷蔵庫に余裕があれば、密閉容器に入れて冷蔵保存すると良いでしょう。

炊いたアマランサスは、白米と同じように粗熱を取ってから密閉容器に入れます。

冷蔵庫で、約1週間は保存が可能です。それ以上保存する場合は、小分けにして冷凍保存しましょう。

ただし、冷凍保存するとプチプチとした食感が失われる可能性があります。まとめて炊きすぎず、なるべく冷蔵保存の期間内で食べるようにしましょう。

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