チンゲン菜の栄養と効果効能・調理法・保存法
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チンゲン菜の旬や原産地、チンゲン菜と似た野菜との違い、チンゲン菜が持つ栄養素とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
チンゲン菜とは
チンゲン菜は、中国華南地方原産の中国野菜です。
見た目には淡色野菜と誤解されやすいチンゲン菜ですが、β-カロテンを100gあたり2,000μgと豊富に含んでおり、れっきとした緑黄色野菜です。
分類としてはアブラナ科の白菜の仲間で、和名は体菜(タイサイ)。日本に広まったのは1972年の日中国交回復以降とされており、現在国内で一般的に食べられている野菜のなかでは比較的最近広まった野菜と言えるでしょう。
広まった理由のひとつに、生育の早さと適応力の高さが関係しています。
チンゲン菜は寒さや暑さに強いので、北海道から九州まで気候を問わず栽培が可能なのです。
そのため通年出荷されておりあまり旬を感じない野菜ですが、9~12月ごろの気温が下がる晩秋あたりがもっともおいしくなるとされています。
チンゲン菜の仲間
チンゲン菜に似た野菜である、ミニチンゲン菜やパクチョイについて解説します。
一般的なチンゲン菜が全長およそ20~25cmほどであるのに対して、全長10~15cmほどのミニチンゲン菜も栽培されています。
ミニチンゲン菜は葉や茎の部分がチンゲン菜よりもやわらかく、丸ごと調理して食べられるのが特徴です。
その他にもチンゲン菜の仲間として、軸(茎)が白いパクチョイという種類も。チンゲン菜が漢字で青梗菜(青い茎の菜)と書くのに対して、パクチョイは白梗菜、あるいは白菜と区別して“しろ菜”と表記されます。
パクチョイはチンゲン菜に比べて柔らかく、火が通りやすいのが特徴です。
含む栄養は似ていますが、β-カロテンはチンゲン菜のほうが多いのに対し、ビタミンCやビタミンKといったビタミン群はパクチョイの方が豊富といった違いがあります。
どちらのほうが栄養が豊富かを比較するのは難しく、どちらも栄養豊富なためどちらもバランスよく摂取することが理想的です。
チンゲン菜に含まれる成分・栄養素
チンゲン菜100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
特筆すべきは加熱後(茹で・油炒め)のβ-カロテンやビタミンCの含有量。チンゲン菜は緑黄色野菜のなかでも比較的熱が通りやすい野菜なので、加熱によって栄養を損なう恐れがあまりありません。
純粋なβ-カロテンの量だけで比べると、代表的な緑黄色野菜であるニンジンやかぼちゃに比べておよそ半分程度しか含有されていません。
しかし栄養素を損なわない程度の短時間の加熱で、サッと炒めるだけでおいしく食べられる点がチンゲン菜の魅力と言えるでしょう。
単位 | チンゲン菜(生) | チンゲン菜(茹で) | チンゲン菜(油炒め) | |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 9 | 12 | 39 |
水 分 | g/100 g | 96 | 95.3 | 92.6 |
たんぱく質 | g/100 g | 0.6 | 0.9 | 0.8 |
炭水化物 | g/100 g | 2 | 2.4 | 2.2 |
利用可能炭水化物(単糖当量) | g/100 g | 0.4 | -0.5 | -0.5 |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.2 | 0.3 | 0.4 |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 1 | 1.2 | 1 |
食物繊維総量 | g/100 g | 1.2 | 1.5 | 1.4 |
ナトリウム | mg/100 g | 32 | 28 | 31 |
カリウム | mg/100 g | 260 | 250 | 230 |
カルシウム | mg/100 g | 100 | 120 | 92 |
マグネシウム | mg/100 g | 16 | 17 | 16 |
リン | mg/100 g | 27 | 27 | 27 |
鉄 | mg/100 g | 1.1 | 0.7 | 0.9 |
亜鉛 | mg/100 g | 0.3 | 0.2 | 0.3 |
銅 | mg/100 g | 0.07 | 0.06 | 0.07 |
マンガン | mg/100 g | 0.12 | 0.17 | 0.12 |
ヨウ素 | µg/100 g | Tr | - | - |
セレン | µg/100 g | 1 | - | - |
クロム | µg/100 g | 1 | - | - |
モリブデン | µg/100 g | 7 | - | - |
レチノール | µg/100 g | 0 | 0 | 0 |
α-カロテン | µg/100 g | 0 | 0 | 0 |
β-カロテン | µg/100 g | 2000 | 2600 | 3000 |
β-クリプトキサンチン | µg/100 g | 3 | - | 5 |
β-カロテン当量(ビタミンA)※1 | µg/100 g | 2000 | 2600 | 3000 |
レチノール活性当量※2 | µg/100 g | 170 | 220 | 250 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 | 0 | 0 |
α-トコフェロール(ビタミンE) | mg/100 g | 0.7 | 0.9 | 1.4 |
β-トコフェロール(ビタミンE) | mg/100 g | 0 | 0 | 0 |
γ-トコフェロール(ビタミンE) | mg/100 g | 0 | 0 | 1 |
δ-トコフェロール(ビタミンE) | mg/100 g | 0 | 0 | Tr |
ビタミンK | µg/100 g | 84 | 120 | 110 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.03 | 0.03 | 0.03 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.07 | 0.05 | 0.06 |
ナイアシン | mg/100 g | 0.3 | 0.3 | 0.3 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.08 | 0.04 | 0.05 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 | 0 | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 66 | 53 | 62 |
パントテン酸 | mg/100 g | 0.17 | 0.12 | 0.12 |
ビオチン | µg/100 g | 1.3 | - | - |
ビタミンC | mg/100 g | 24 | 15 | 21 |
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
チンゲン菜の効果・効能
チンゲン菜の栄養素が持つ効果・効能について解説します。
β-カロテンが豊富で免疫力アップに期待
チンゲン菜は、ピーマンの6倍にあたる100g中2000μgものβ-カロテンを含んだ緑黄色野菜。
β-カロテンは、皮膚や粘膜を正常に保つといった働きを持つビタミンAの前駆体(プロビタミンA)です。ビタミンAとして機能することにより、風邪予防・感染症予防などの効果が期待できます。
ビタミンCの抗酸化作用による美肌・アンチエイジング効果
チンゲン菜に含まれるビタミンCには、メラニン色素の生成を阻害してしみを予防するほか、コラーゲンの生成をサポートするなどの美肌効果があります。
チンゲン菜のビタミンC含有量は野菜の中でひときわ多いというほどではありませんが、チンゲン菜はアクが少なく加熱時間が短く済む点がなにより長所です。
加熱時間を抑えられることにより栄養素の損失が少ないので、ビタミンCをはじめとする壊れやすい栄養素をより効率的に摂取することができます。
抗がん作用のあるグルコシレノートを含有
アブラナ科の野菜には、摂取すると抗がん作用のあるイソチオシアネートに変化する、グルコシレノートという辛み成分が含まれています。
グルコシレノートは、アブラナ科の野菜の仲間であるチンゲン菜にも含まれています。
豊富なカリウムがむくみ解消に効果を発揮
チンゲン菜は、むくみ解消に効果を発揮するカリウムも豊富に含有しています。
カリウムは塩分を体外に排出するのを促すため、普段から塩分の多い食事を取っている方や、汗をかくことの多い夏場、授乳中などは特に不足しがちなミネラルです。
カルシウムを豊富に含む数少ない野菜
チンゲン菜は野菜のなかでは数少ない、カルシウムを豊富に含む野菜のひとつでもあります。
カルシウムは骨や歯を形成する栄養素ですので、できるだけ普段の食生活のなかで必要摂取量を摂取したいところです。
30歳女性の1日のカルシウム推奨摂取量が650mgなのに対し、チンゲン菜100gあたりに含まれるカルシウムが100mgですので、チンゲン菜だけで1日の摂取量を補うのは難しいでしょう。しかし十分に補助となる量と言えます。
チンゲン菜の調理方法
β-カロテンは脂溶性ビタミンの一種なので、油と一緒に摂取することで吸収率が高まります。
一方、ビタミンCは熱に弱いので、強火でサッと炒めることで損失を最小限に抑えることができます。
そのほか、肉や魚といったタンパク質と食べ合わせることでさらなる免疫力アップも期待できるでしょう。
チンゲン菜の保存方法
チンゲン菜は乾燥に弱いため、保存する際は濡れた新聞紙などで包んで乾燥しないようにする必要があります。
新聞紙に包んだチンゲン菜は、ビニール袋に入れて野菜室で立てて保存しましょう。冷蔵保存での日持ち日数は、およそ4~5日程度です。
長期保存する場合は、固めに茹でてから冷凍保存してください。冷凍保存なら、2週間から最大1ヵ月程度の長期保存が可能になります。