コールラビの栄養と効果効能・調理法・保存法

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Kohlrabi

コールラビの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、コールラビに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

コールラビとは

コールラビ(Kohlrabi)は、キャベツやブロッコリーと同じアブラナ科の植物です。名称はドイツ語が由来で、「コール」は「キャベツ」、「ラビ」は「蕪(カブ)」を意味します。日本でも「球茎甘藍」や「蕪甘藍」などと呼ばれる野菜です。

地中海沿岸地方が原産で、日本に伝わったのは明治時代初期と言われています。しかし日本ではあまり普及せず、国内での生産数はわずかです。2009年から宮崎県の清武町ではコールラビの特産化が進められ、「きよちゃん大王」と名づけられた品種が出荷および販売されています。

コールラビは温和な気候を好むため、種まきの時期は春か秋です。それぞれ6~7月の初夏、10~12月の晩秋に収穫されます。

一般的な可食部は茎の部分で、皮を剥いて食します。カブや大根のような歯ごたえのある食感と、キャベツのような甘みが特徴です。

コールラビの品種・種類

コールラビの種類を紹介します。

グリーンコールラビ

グリーンコールラビは、皮や茎が淡い緑色の品種です。果肉はクリーム色をしています。歯ごたえのある果肉と、キャベツのような甘味が特徴です。

パープルコールラビ

パープルコールラビは皮や茎が紫色で、果肉はクリーム色の品種です。グリーンコールラビとの違いは見た目だけで、味と食感はほとんど変わりません。

コールラビに含まれる成分・栄養素

コールラビ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

コールラビには、カリウム・ビタミンC・葉酸などの栄養素が多く含まれています。これらの栄養素は水溶性のため茹でると栄養素が流失しやすいですが、成分表を見るとコールラビは茹でても栄養素の損失が少ないことがうかがえます。

また、コールラビ100gあたりの糖質量は約3.2gと、糖質が少ない野菜と言えます。

食 品 名単位コールラビ 球茎 生コールラビ 球茎 ゆで
廃 棄 率%70
エネルギーkJ8785
kcal2120
水 分g93.293.1
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g-0.6-0.6
たんぱく質g11
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g--
コレステロールmg00
脂質g0Tr
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g-2.2-2.2
g
利用可能炭水化物(質量計)g-2.2-2.2
差引き法による利用可能炭水化物g3.63.3
**
食物繊維総量g1.92.3
糖アルコールg--
炭水化物g5.15.2
有機酸g--
灰分g0.60.6
無機質ナトリウムmg77
カリウムmg240210
カルシウムmg2927
マグネシウムmg1514
リンmg2928
mg0.20.2
亜鉛mg0.10.1
mg0.020.02
マンガンmg0.070.07
ヨウ素μg--
セレンμg--
クロムμg--
モリブデンμg--
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg00
α|カロテンμg00
β|カロテンμg015
β|クリプトキサンチンμg230
β|カロテン当量μg1215
レチノール活性当量μg11
ビタミンDμg00
α-トコフェロールmg00
β-トコフェロールmg00
γ-トコフェロールmg00
δ-トコフェロールmg00
ビタミンKμg78
ビタミンB1mg0.040.03
ビタミンB2mg0.050.05
ナイアシンmg0.20.2
ナイアシン当量mg-0.3-0.3
ビタミンB6mg0.090.06
ビタミンB12μg00
葉 酸μg7371
パントテン酸mg0.20.2
ビ オ チ ンμg--
ビタミンCmg4537
アルコールg--
食塩相当量g00
備 考別名: 球茎かんらん、かぶかんらん廃棄部位: 根元及び葉柄基部硝酸イオン: 0.1 g別名: 球茎かんらん、かぶかんらん根元及び葉柄基部を除いたもの硝酸イオン: 0.1 g
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

コールラビの効果・効能

コールラビに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

カリウムでむくみ予防

コールラビにはカリウムが豊富に含まれています。カリウムは主に細胞内液に存在し、ナトリウムの排出を促し過剰な蓄積を防ぐ栄養素です。

むくみの原因のひとつは、塩分の過剰摂取によるものです。ナトリウムは水分を溜め込む性質があるため、過剰に摂取するとむくみが起きやすくなってしまいます。そこでカリウムを含むコールラビを積極的に摂取すれば、むくみ予防に役立つでしょう。

カリウムの効果効能・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

葉酸が神経管閉鎖障害のリスク低減

葉酸はDNAの合成に関わり、細胞増殖をサポートします。そのため妊婦は通常より多めの摂取が推奨されており、胎児の健康を維持するためには欠かせない栄養素です。

妊娠時期に十分な量を摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが低減すると言われています。妊婦の必要摂取量は1日あたり400µgです。

葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンCの美容効果

コールラビはビタミンCが豊富です。ビタミンCは体内でコラーゲンを生成するのに欠かせない栄養素で、健康的な肌作りに役立ちます。

さらにメラニン色素の生成を抑制する作用や、老化防止に期待できる抗酸化作用などの働きも。人間は体内でビタミンCを生成できないので、食品から上手に摂取しましょう。

ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

コールラビの食べ方

コールラビの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

コールラビの選び方

コールラビは育ちすぎると硬くなってしまう上に、 スが入ってしまう場合があります。あまりに大きいものは中が空洞になっている可能性が高いので、茎の直径が5~7cmくらいのものを選びましょう。また、持ったときにずっしりと重みを感じるものもおすすめです。

さらに茎部分がふっくらとしており、葉にハリがあるコールラビは新鮮な証拠。しぼんでいるものや葉がしおれているものは避けましょう。

コールラビの食べ方

コールラビは生のままでも食べられるので、薄くスライスしてサラダに活用してみましょう。マリネや漬け物などにも使えます。

加熱調理する場合は炒め物やスープ、煮物などがおすすめ。煮崩れしにくく、味にクセがないので非常に扱いやすい食品です。

コールラビの下処理

コールラビは茎の皮を剥いてから食します。皮は食感が硬く、繊維質なので、厚めに剥いておく方法がおすすめです。

アク抜き不要な野菜ですが、炒め物にする場合は事前に下茹でしておくと均一に火が通りやすくなります。調理時間の短縮にもつながるでしょう。

葉や皮の活用方法

コールラビは基本的に果肉を食べる食品ですが、葉も使うことができます。細かく刻んで炒め物に使ったり、果物と組み合わせてスムージーにしたりなど活用方法はさまざまです。

さらに人によっては食感の硬い皮を調理に使う場合も。繊維質を活かして、きんぴらに活用する方法が一般的なようです。コールラビを余すことなく使いたい人はチャレンジしてみましょう。

コールラビの保存方法

コールラビの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

コールラビは葉から水分が蒸発しやすいため、必ず葉と茎に分けて保存しましょう。それぞれの保存方法は以下です。

茎の保存方法

茎部分は、コールラビの葉を根元近くで切り落としてから保存します。乾燥しないように新聞紙にくるむのがおすすめです。冷蔵庫の野菜室で保存すれば3日から4日ほど日持ちします。直射日光の当たらない冷暗所でも構いません。

冷凍する場合は皮を剥き、食べやすい大きさにカットしてから保存すると便利です。解凍すると水分が出て食感が損なわれるので、凍ったまま加熱調理に使いましょう。冷蔵保存した場合の保存期間は約1ヶ月です。

葉の保存方法

切り落とした葉は根元部分を水で湿らせてから、新聞紙に包んで保存します。冷蔵庫や冷暗所に置いた場合の保存期間は、茎と同じく3日から4日程度です。

参考文献

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