ほっけの栄養と効果効能・調理法・保存法
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ほっけの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、ほっけに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
ほっけとは
ほっけ(Atka mackerel)は、アイナメ科ホッケ属の海水魚です。全長50cmほどで、灰色の体に褐色の縞模様が入っています。
北海道沿岸や日本海、ロシアで多く獲れ、国産ほっけの9割以上が北海道で漁獲されています。ほぼ年間を通して流通していますが、5~7月に水揚げされるほっけは脂のりが特に良好です。
ほっけは、干物や燻製などに加工されてから出回ることの多い魚です。生のほっけは、鮮度が落ちやすく、アニサキスなどの寄生虫が繁殖している恐れもあるためです。
ほっけが多く漁獲される北海道では、成長段階によってアオボッケ・ロウソクボッケ・ハルボッケ・ネボッケ・ヒガンボッケなど、それぞれに呼び分けられています。
ほっけの品種・種類
ほっけとして流通する魚には、「真ホッケ」と「シマホッケ」の2種類があります。それぞれの特徴や味の違いは次の通りです。
真ホッケ
真ホッケは、主に北海道近海で獲れる魚です。シマホッケよりも体が小ぶりな傾向にあり、脂ののり方が上品で味の良いほっけです。
旬の時期の脂の多い真ホッケは、腹部が赤みを帯びていることから「赤ほっけ」と呼ばれることもあります。
シマホッケ
シマホッケは、ロシアのオホーツク海で多く漁獲される種類です。体に5本の縞模様が入っているのが特徴。キタノホッケが正式名称で、体の模様からシマホッケという通称名で呼ばれます。国内でも水揚げされますが、大半がロシア産などの輸入品です。
脂のりが良くジューシーで、食べ応えがあるほっけです。魚の脂に多く含まれるDHA・EPAなどを多く摂りたいときは、シマホッケがおすすめです。
ほっけに含まれる成分・栄養素
ほっけ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
食 品 名 | 単位 | <魚類> ほっけ 生 | <魚類> ほっけ 塩ほっけ | <魚類> ほっけ 開き干し 生 | <魚類> ほっけ 開き干し 焼き | |
廃 棄 率 | % | 50 | 40 | 35 | 25 | |
エネルギー | kJ | 435 | 475 | 676 | 749 | |
kcal | 103 | 113 | 161 | 179 | ||
水 分 | g | 77.1 | 72.4 | 67 | 63.7 | |
たんぱく質 | アミノ酸組成によるたんぱく質 | g | 15.4 | -15.8 | 18 | 19.6 |
たんぱく質 | g | 17.3 | 18.1 | 20.6 | 23.1 | |
脂質 | 脂肪酸のトリアシルグリセロール当量 | g | 3.2 | 4.1 | 8.3 | 9.4 |
コレステロール | mg | 73 | 60 | 86 | 100 | |
脂質 | g | 4.4 | 4.9 | 9.4 | 10.9 | |
炭水化物 | 利用可能炭水化物(単糖当量) | g | -0.1 | -0.1 | -0.1 | -0.2 |
g | ||||||
利用可能炭水化物(質量計) | g | -0.1 | -0.1 | -0.1 | -0.2 | |
差引き法による利用可能炭水化物 | g | 3.1 | 3.2 | 3.7 | 4 | |
* | * | * | * | |||
食物繊維総量 | g | 0 | 0 | 0 | 0 | |
糖アルコール | g | - | - | - | - | |
炭水化物 | g | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.2 | |
有機酸 | g | - | - | - | - | |
灰分 | g | 1.1 | 4.5 | 3 | 3.3 | |
無機質 | ナトリウム | mg | 81 | 1400 | 690 | 770 |
カリウム | mg | 360 | 350 | 390 | 410 | |
カルシウム | mg | 22 | 20 | 170 | 180 | |
マグネシウム | mg | 33 | 30 | 37 | 41 | |
リン | mg | 220 | 220 | 330 | 360 | |
鉄 | mg | 0.4 | 0.5 | 0.5 | 0.6 | |
亜鉛 | mg | 1.1 | 0.4 | 0.9 | 1 | |
銅 | mg | 0.1 | 0.04 | 0.05 | 0.06 | |
マンガン | mg | 0.01 | 0.01 | 0.03 | 0.03 | |
ヨウ素 | μg | - | - | 15 | 17 | |
セレン | μg | - | - | 31 | 34 | |
クロム | μg | - | - | 1 | 1 | |
モリブデン | μg | - | - | 0 | 0 | |
ビ タ ミ ン | レチノール(ビタミンA) | μg | 25 | 20 | 30 | 39 |
α|カロテン | μg | 0 | - | 0 | 0 | |
β|カロテン | μg | 0 | - | 0 | 0 | |
β|クリプトキサンチン | μg | 0 | - | 0 | 0 | |
β|カロテン当量 | μg | 0 | 0 | 0 | 0 | |
レチノール活性当量 | μg | 25 | 20 | 30 | 39 | |
ビタミンD | μg | 3 | 3 | 4.6 | 3.5 | |
α-トコフェロール | mg | 1.7 | 0.7 | 1.3 | 1.6 | |
β-トコフェロール | mg | 0 | 0 | 0 | 0 | |
γ-トコフェロール | mg | 0 | 0 | 0 | 0 | |
δ-トコフェロール | mg | 0 | 0 | 0 | 0 | |
ビタミンK | μg | 0 | 0 | - | - | |
ビタミンB1 | mg | 0.09 | 0.1 | 0.1 | 0.14 | |
ビタミンB2 | mg | 0.17 | 0.27 | 0.24 | 0.26 | |
ナイアシン | mg | 2.5 | 2.9 | 3.5 | 3.7 | |
ナイアシン当量 | mg | 5.5 | -6 | 7.1 | 7.7 | |
ビタミンB6 | mg | 0.17 | 0.18 | 0.21 | 0.17 | |
ビタミンB12 | μg | 11 | 7.3 | 5.3 | 5.3 | |
葉 酸 | μg | 9 | 2 | 7 | 11 | |
パントテン酸 | mg | 1.16 | 0.79 | 0.65 | 0.65 | |
ビ オ チ ン | μg | - | - | 3.7 | 4.5 | |
ビタミンC | mg | 1 | Tr | 4 | 2 | |
アルコール | g | - | - | - | - | |
食塩相当量 | g | 0.2 | 3.6 | 1.8 | 2 |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
ほっけの効果・効能
ほっけに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
血液をサラサラにするEPA
ほっけの脂には、オメガ3(n-3系脂肪酸)が豊富に含まれています。
オメガ3は、コレステロール・中性脂肪・血圧の低下、心疾患の予防といった効果があり、健康を維持するうえで大切な多価不飽和脂肪酸の一種です。人間の体内では合成されない栄養素です。
オメガ3のひとつであるEPA(エイコサペンタエン酸)は、魚の脂に豊富な成分で、血管や血液の健康と深く関わっています。血液をサラサラにして血栓を予防し、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを下げる効果が期待できます。
オメガ3の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
脳を活性化するDHAで認知機能や記憶力アップ
EPAと同様、DHA(ドコサヘキサエン酸)も魚の脂に含まれるオメガ3です。
DHAは、脳の中で、記憶や学習機能を司る海馬に多く存在しています。DHAが不足すると、記憶力・認知機能などが低下する恐れがあります。実際に、アルツハイマー型認知症で死亡した患者は、海馬のDHA含有量が大幅に低下していたことがわかっています。
また、DHAは、母乳に多く含まれていて、子供の健康な発育にも欠かせない栄養素でもあります。
二日酔い対策にもなるナイアシン
ナイアシンは、ビタミンB群の仲間で、代謝促進や皮膚・粘膜の健康維持、二日酔いの予防に効果的な栄養素です。ナイアシンには、アルコール分解酵素の働きを助ける作用があります。ナイアシンが豊富なほっけは、飲酒時のおつまみにもおすすめな食材です。
ナイアシンは、ビタミンとしては珍しく熱に強い性質を持っています。そのため、干物や焼き魚に加工しても栄養素がほぼ失なわれません。生のほっけだけでなく、開き干しからも多くのナイアシンを摂取できます。
ナイアシンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンB12で貧血を予防
ビタミンB12は、神経の働きやDNA合成と関わるビタミンです。葉酸と共に赤血球中のヘモグロビンを生成する作用があり、疲れや体力低下を引き起こす巨赤芽球性貧血を予防します。
ビタミンB12は、動物性食品に多く含まれており、過激なダイエットをしている人や菜食主義者の食事では不足することがあります。肉や魚を食べる機会が少ない人は、ビタミン
B12が豊富なほっけを食べ、栄養バランスを整えましょう。
ビタミンB12の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
カルシウムで骨・歯を丈夫にする
ほっけには、骨と歯の健康維持に欠かせないカルシウムが多く含まれています。カルシウムは、骨折や骨粗しょう症、くる病など骨の疾患を予防するほか、血液凝固の促進や、筋肉の働きを調節する機能もあります。
カルシウムは、骨が発達する成長期の子供や、女性ホルモンの影響でカルシウムの利用効率が悪くなる更年期の女性は、特に意識して摂りたい栄養素です。
カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
ほっけの食べ方
ほっけの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。
DHA・EPAを多く摂るには皮ごと食べる
ほっけだけでなく魚類全般に言えることですが、DHA・EPAなど魚の脂由来のオメガ3は、魚の皮付近の脂質に多く含まれています。
オメガ3を多く摂りたいときは、脂のりの良いほっけを選ぶことはもちろん、できるだけ皮ごと食べるようにしましょう。
刺身など生のほっけを食べる場合は食中毒に注意
ほっけには、アニサキスやシュードテラノーバなど、食中毒を引き起こす寄生虫が存在していることがあります。
新鮮なほっけは、刺身として生食もできますが、生で食べる場合はマイナス20℃で24時間以上凍結させ、寄生虫を死滅させてから食べるようにしましょう。
また、寄生虫は60℃で1分以上加熱することでも死滅するため、しっかりと火を通したほっけなら、寄生虫による食中毒の心配はありません。
ほっけの保存方法
ほっけの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
ほっけの開き干しは、冷蔵で数日程度保存できます。商品に記載された賞味期限に従い、なるべく早く食べきるようにしましょう。
ほっけを長期保存したい場合、冷凍保存がおすすめです。ラップで身をぴったりと包んでから冷凍保存用袋に入れ、冷凍してください。冷凍保存期間の目安は、2週間~1ヶ月程度です。
冷凍ほっけを調理するときは解凍せず、凍ったまま魚焼きグリルやフライパンで加熱します。