玄米ダイエットの効果と正しいやり方・継続のコツ・注意点
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玄米ダイエットの効果と正しいやり方、継続のコツから注意点までを解説します。
玄米ダイエットとは
玄米ダイエットがどんなダイエット法なのか、玄米や含まれる栄養素、似た食品との違いについて解説します。
ダイエット中もお米を食べたい人必見!玄米ダイエット法
玄米ダイエットとは、ふだんの食事で、白米を玄米に置き換えるダイエット法です。
食事の量を減らしたり制限したりするわけではないので、継続しやすく、ダイエット中もお米を食べたい人に向いています。
お米に多く含まれる炭水化物は糖質とも呼ばれ、体脂肪の原因となります。そのため、糖質を多く含むお米などの食べ物を制限する、糖質制限ダイエットが人気になりました。
一方、玄米ダイエットは、糖質のもとである主食は制限しません。玄米は、白米とカロリーはほとんど変わりませんが、含まれる栄養素が大きく異なるため、ダイエットに向いています。
玄米とは
そもそも玄米とは、精米する前のお米から、籾(もみ)と籾殻(もみがら)を取り除いたもの。精米したお米は白くなることから白米と呼ばれますが、玄米は籾が残っているため見た目は茶色をしています。
現在はお米というと白米を指しますが、江戸時代以前は玄米(分づき米)を主食としていました。現代よりも質素な時代において、玄米に含まれる豊富な栄養素は、貴重なものでした。
玄米の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
玄米・発芽玄米・もち麦玄米の違い
玄米に似た穀類には、発芽玄米やもち麦玄米があります。それぞれの違いは次のとおりです。
- 玄米:精米せずに、皮や胚芽を残したもの
- 発芽玄米:玄米より胚芽の発芽が進んだもの
- もち麦玄米:粘りの強い大麦であるもち麦を、玄米と混ぜて炊いたもの
玄米に残った胚芽を、発芽させたものが発芽玄米です。発芽させることで、お米の成長を促進させる栄養素が増え、発芽前の玄米よりも栄養価が高くなります。玄米よりも軟らかいため、食べやすくなるのも特徴です。
もち麦玄米は、粘性の強い大麦を玄米と混ぜたもので、玄米との比率によって栄養価が変わります。大麦は、玄米よりもタンパク質や食物繊維が豊富な食品です。
白米・玄米・発芽玄米・大麦の栄養素(各100g換算)は、次の表のとおりです。
精白米(うるち米) | 玄米 | 発芽玄米 | 大麦(ゆで) | |
カロリー | 168kcal | 165kcal | 167kcal | 122kcal |
タンパク質 | 2.5g | 2.8g | 3.0g | 4.8g |
脂質 | 0.3g | 1.0g | 1.4g | 0.6g |
炭水化物 | 37.1g | 35.6g | 35.0g | 24.3g |
食物繊維 | 0.3g | 1.4g | 1.8g | 2.5g |
玄米に含まれる栄養素
玄米は、ビタミンやミネラルが豊富に含まれる食べ物です。主に、次のような栄養素が多く含まれます。
タンパク質
タンパク質は、脂質と糖質に並ぶ3大エネルギー源の1つです。骨や筋肉などの身体の構造物を構成する主成分であるだけでなく、ホルモンや酵素など体内で働く物質のほとんどがタンパク質から成っています。
皮膚や毛髪を健康に維持し、体内バランスを調整するために、欠かせない栄養素です。
タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA
食物繊維
食物繊維は、人間の体内では消化・吸収できない成分です。栄養素として吸収はされませんが、整腸効果をもつことが知られています。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、それぞれ腸内での働きが異なります。水溶性食物繊維は、大麦や昆布、わかめなど、粘性のある食べ物に多く含まれる食物繊維です。粘性が強いため、腸内をゆっくりと流れていき、腹持ちがよく感じます。食べすぎを防ぎ、コレステロールの排泄に役立ちます。
不溶性食物繊維は、水分を含みやすい性質をもっていて、腸内で膨らみ腸の動きを活発にする食物繊維です。整腸効果の高い成分で、便通をよくします。
食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンB1
ビタミンB1は、エネルギー代謝に関与するビタミンB群の1つです。とくに、糖質の燃焼を助ける働きをします。
またビタミンB1は、疲労回復に効果的な栄養素です。エネルギーを使うと、ビタミンB1が消費されて体内のビタミンB1が足りなくなり、疲労感につながります。そのため、疲労回復に時間がかかると感じるときに、ビタミンB1を多く摂取すると改善するかもしれません。
ビタミンB1の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA
玄米ダイエットの効果
玄米ダイエットにより期待できる効果を解説します。
食物繊維たっぷりで腸内がすっきり
玄米100gに含まれる食物繊維の総量は、1.4gです。これは、精白米(うるち米)100gのおよそ4.7倍もの量。
厚生労働省が公表する食物繊維の食事摂取基準では、18~64歳の男性は1日21g以上、女性は18g以上を目標量としています。3食の主食を玄米に置き換えた場合(1食150g)、1日6.3gの食物繊維を摂取できます。精白米の場合は、1日1.35gなので、玄米に含まれる食物繊維の多さがわかるでしょう。
とくに玄米には、不溶性食物繊維が多く含まれます。不溶性食物繊維は、腸を刺激して働きを活発化させ、便通をよくすることでダイエット効果を期待できます。
水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維 総量 | |
玄米(100g) | 0.2g | 1.2g | 1.4g |
精白米(100g) | 0g | 0.3g | 0.3g |
γ-オリザノールが食べすぎを抑制する
玄米は、γ-オリザノールと呼ばれる成分を含む食べ物です。
γ-オリザノールは、お米に含まれる特有の栄養成分で、食べすぎを抑制する効果があると考えられています。自律神経を調節する働きのあることが知られ、マウスを使った実験では、玄米食に替えることで高脂肪食への嗜好性が変化したとの報告があります。
また、腸からのコレステロール吸収を抑制し、血中コレステロール量を減らす効果のある栄養素です。効果の高さから、化粧品やサプリメントへの応用も期待されています。
γ-オリザノールを多く含む玄米は、ついつい食べすぎてしまう人におすすめの、ダイエット中の主食と言えるでしょう。
低GI値で血糖値の急上昇を抑制
玄米は、低GI食品として知られており、肥満防止・糖尿病の予防に効果のある食品です。
GI値とは、グリセラミック・インデックスの頭文字で、食後の血糖値上昇を指標として表したもの。GI値が高いと、血糖値が急激に上昇しやすく、糖尿病や心筋梗塞の発症リスクが上がります。
またGI値の高い食品は、メタボリックシンドロームを、誘発する因子になりえると考えられています。
玄米・白米・食パン・そばのGI値は次のとおりです。
食品名 | GI値 |
玄米(Japonica short-grain brown rice, pre-germinated) | 54 |
白米(Japonica, short-grain white rice) | 76 |
食パン(Barley bread) | 70 |
そば | 46 |
GI値の低い食品は、低GI食品と呼ばれ、急激な血糖値上昇を抑制します。低GI食品である玄米は、肥満予防効果を期待できるため、ダイエットにも効果的です。
ダイエットで不足しがちなミネラルを補給
ダイエットで無理な食事制限をおこなうと、身体を維持するために必要なミネラルが不足しがちです。
玄米には、鉄や亜鉛、マンガンなどの微量ミネラルが豊富に含まれています。
玄米(100g) | 精白米(100g) | |
鉄 | 0.6mg | 0.1mg |
亜鉛 | 0.8mg | 0.6mg |
銅 | 0.12mg | 0.10mg |
マンガン | 1.04mg | 0.35mg |
モリブデン | 34μg | 30μg |
鉄・亜鉛・銅・マンガン・モリブデンは、玄米のほうが、白米よりも含有量の多いことがわかります。微量ミネラルは体内で産生されることはなく、鉄や亜鉛、銅の摂取量が不足すると、貧血を引き起こします。
また、マンガンと亜鉛は、神経伝達にかかわるミネラルで、体内の機能を調整する栄養素です。不足すると神経障害の原因になります。
ミネラルは、皮膚や髪の毛を形成する作用にもかかわっており、食事から摂取することで、美容効果も期待できます。
玄米ダイエットの正しいやり方
ここからは、玄米ダイエットの具体的なやり方について解説していきます。
白米の代わりに玄米を食べる
玄米ダイエットのやり方は、白米の代わりに、主食を玄米に置き換えるだけです。食パンなどのパン類も糖質が多く高GI食品のため、玄米に換えるのが望ましいでしょう。
ただし、玄米は白米とは食感が異なり、食べづらさを感じることがあります。おいしい玄米の炊き方については、次項で解説します。
量は白米と同量を目安に
玄米ダイエットでは、玄米を食べる量は白米のときと同じくらいを目安にします。食事量を減らすわけではないので、挫折しにくいでしょう。
注意点は、玄米にダイエット効果があるからといって、食べすぎないことです。玄米のカロリーは、白米とほぼ同程度で、いつもより量を増やすと摂取カロリーは増えてしまいます。
玄米を白米に置き換えるときは、1食150g前後を目安に設定しましょう。
玄米ダイエット継続のコツ
玄米は、白米よりも食感にクセがあり、慣れていない場合は食べにくいと感じるケースもあります。おいしくないと感じてしまうと、ダイエットは続きません。
ここでは、玄米ダイエットを継続させるためのコツを説明します。
炊き立てを食べる
玄米ダイエットを継続させるコツは、炊き立ての玄米を食べることです。
玄米は、冷蔵・冷凍で保存すると、食感がボソボソ・パサパサして、おいしさが半減してしまいます。しかし、炊き立ての玄米は、もちもちとしていて、食べやすいのが特徴です。
炊き立てのおいしい玄米を食べ、主食を減らさない、健康的なダイエットを続けましょう。
おいしい玄米の炊き方
玄米は、白米とは異なる炊き方をします。おいしい玄米を炊くときのポイントは、次のとおりです。
- 水の量は玄米の1.5倍
- 水に一晩浸す
- 水に浸すときに塩をひとつまみ入れる
白米を炊くときは米:水を1:1.2にしますが、玄米の場合は1:1.5、玄米1カップに対して水は300mlです。白米と同じ水の量にしてしまうと、パサパサとした食感になってしまうので、水の量に注意しましょう。
水に浸す時間も30分程度の白米に対し、玄米は1晩つけます。玄米炊飯の機能がついた炊飯器では、その必要はないため、鍋よりも簡単に炊けます。
玄米をおいしく炊くポイントは、水に浸すときに塩を入れることです。1合の玄米に対してひとつまみの塩を入れると、玄米の皮が軟らかく炊けます。
玄米ダイエットの注意点
ダイエット効果に優れた玄米ダイエットですが、注意すべき点もあります。
玄米だけは栄養が偏る
玄米は、ビタミンやミネラル豊富な食品ですが、玄米だけでは栄養が偏ってしまいます。
白米よりも栄養面に優れ、ダイエット効果も高いからといって、それだけ食べればよいわけではありません。主食を玄米にして、野菜でビタミンを、肉や魚でタンパク質やミネラルをしっかりと補給しましょう。
太りにくいからと量を増やすのはNG
玄米は、白米と比べて肥満予防の効果が見込める食品ですが、食べすぎはその効果を帳消しにしてしまいます。
玄米のカロリーは、白米と同じくらいであることを忘れず、あくまでも白米の代替品との位置づけとして考えます。摂取量は増やさず、お茶碗1杯(約150g)にとどめましょう。
白米より硬いのでよく噛む
玄米は、皮が硬いため、白米よりもよく噛む必要があります。硬い分、消化されにくく、腹持ちのよいこともメリットの1つですが、胃腸が弱い人は消化不良を引き起こす可能性があります。
よく噛んで食べることで、消化不良を予防しましょう。