ビタミンDの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ
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ビタミンDの基本情報や種類、効果・働き、不足・欠乏・過剰摂取による影響、1日の摂取目安量、多く含む食品、効率よく摂取するレシピについて解説します。
ビタミンDとは
ビタミンDは脂溶性ビタミンのひとつで、骨を丈夫にするために必要なビタミンとして知られているほか、風邪・インフルエンザなどの感染症を予防する免疫調節機能を持っています。
ビタミンDには、ビタミンD2からビタミンD7までの6種類がありますが、ビタミンD4からビタミンD7までの4種類は食品にほとんど含まれていません。
食事によって摂取できるビタミンDは、キノコ類などの植物性食品に含まれるビタミンD2(エルゴカルシフェロール)と、魚肉や卵など動物性食品に含まれるビタミンD3(コレカルシフェロール)の2種類です。
またビタミンDの供給源は食事だけでなく、ヒトを含む哺乳動物は日光浴によって皮膚でビタミンDを生成することができます。
ビタミンDはビタミンとしては珍しく、体内で生成されるビタミンの一種でもあり、日光浴により必要摂取量の80~90%を体内でつくることが可能です。
ビタミンDの効果・働き
ビタミンDの持つ効果・効能・働きについて解説します。
カルシウムの利用効率を高め骨や歯を丈夫にする
ビタミンDは、骨を丈夫にする働きを持ったビタミンです。ビタミンDは、カルシウムの効率的な吸収・利用に不可欠で、血液中のカルシウム濃度を調整します。
血液中のカルシウム濃度を極端に上下させず、狭い範囲に維持することは、神経系の正常な機能や骨の成長、骨密度の維持に極めて重要です。
さらにビタミンDは、筋肉機能の維持にも役立つため、骨粗しょう症によるリスクを回避するだけでなく、転倒による骨折リスクの回避も期待できます。
免疫力向上&アレルギー症状の改善
ビタミンDには、細菌やウイルスを殺すカテリジンという抗菌ペプチド(免疫機能のひとつ)を作らせる働きがあります。
さらに、β-ディフェンシンという抗菌ペプチドを皮膚上に作らせて、バリア機能を高める働きも。
これらの働きから、風邪・インフルエンザ・気管支炎・肺炎といった感染症の悪化・予防といった効果が期待できます。
さらにビタミンDは、免疫力を向上させるだけでなく、過剰な免疫反応を抑制して必要な免疫機能を促すという作用もあり、花粉症などのアレルギー症状改善にも力を発揮します。
脳内物質セロトニンが心や神経のバランスを整える
ビタミンDには、神経伝達物質であるセロトニンの分泌量を調節する働きがあり、心や神経のバランスを整えることでうつ病リスクの低下にも活躍します。
ビタミンDが不足・欠乏すると起こる症状
ビタミンDが不足・欠乏すると、子どもの場合はくる病、成人の場合は骨軟化症のリスクが高まります。
- くる病:骨が柔らかく、曲がりやすくなり、伸びにくくなった状態。頭蓋骨を指で押しただけでへこむほど柔らかい、乳歯が生えるのが遅い、虫歯になりやすい、などの症状が現れる
- 骨軟化症:身長の伸びが止まった成人では、くる病のことを骨軟化症と呼ぶ。O脚やX脚、転びやすいなどが主な症状として挙げられる
くる病や骨軟化症ほど重篤ではないビタミンD欠乏症では、骨粗しょう症による骨折リスクの増大などが主な症状として挙げられます。うつ病のリスク向上も懸念です。
現代においては、重篤な欠乏症患者は減ったものの、比較的軽度な潜在的ビタミンD欠乏症患者が一定数いると考えられます。
ビタミンDが不足・欠乏する原因と対策
ビタミンDが不足・欠乏する主な原因は、日光浴の不足です。次の習慣にひとつでも当てはまる人は、気を付けた方がよいでしょう。
- 外出頻度が少なく家に閉じこもりがち
- 仕事を含め、屋内で生活する時間が長い
- 運動はしているがジムやプールなど屋内
- 買い物もインターネットで済ませる
- 勤務場所が駅に直結しており外出しても日光を浴びる機会が少ない
- 活動が夜型で外出しても日光を浴びる機会が少ない
- 外出するときは日焼け止め・日傘・帽子・サングラス・マスク・長袖・手袋などで全身を隠している
特に気を付けたいのが、「外出していても日に当たらなければビタミンDは生成されない」という点です。
紫外線による害を恐れるあまり、日光を避けすぎると、ビタミンDが不足・欠乏して骨折やうつ病などのリスクがむしろ高まってしまいます。
特に日照時間の短くなる冬は、血液中のビタミンD濃度が下がり、免疫力が抵抗する傾向がありますので、対策として1日15~30分程度日光に当たる習慣を作ることを心がけましょう。
ただし、UVカット効果の高い日焼け止めや、遮光率の高い日傘を使用しているとビタミンDが生成されないため、週に2~3回は日焼け止めや日傘を使わずに日光浴するようにしてください。
このとき、浴びる日差しが強いものである必要はなく、日陰でも構いません。ベランダや窓際で日光浴するだけでも十分です。
日光浴の習慣化に加えて、食生活の改善、サプリメントによる補給なども検討しましょう。ビタミンDを多く含む主な食品には、キノコ類・魚肉・卵黄などがあります。詳細は記事後半でも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
なお、子どものくる病を予防するためには、妊娠中から母親が意識的にビタミンDを摂取、ないし日光浴するように心がけることも大切です。
ビタミンDを過剰摂取すると起こる症状
ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、ビタミンCなどの水溶性ビタミンに比べると体内に蓄積しやすい性質を持っています。
そのため、サプリメントや強化食品などから過剰に摂取しすぎると、高カルシウム血症・腎臓障害・軟部組織の石灰化などを引き起こす可能性があります。
高カルシウム血症の症状は主に、食欲不振・体重減少・多尿・不整脈などがあり、より重篤なものになると、血管や組織の石灰化が起こり、心血管や腎臓障害を引き起こします。
腎臓障害が起こると、腎機能の低下によって腎結石などのリスクが高まるため、腎結石等の既往がある人は特に注意が必要です。
なお、日光浴によって生成されるビタミンDは生成量が制限されるので、日光の浴び過ぎが過剰摂取の直接的な原因となることはありません。
ビタミンDの1日の摂取目安量
ビタミンDの1日の摂取目安量は、成人男性・成人女性ともに8.5μgです。
これは卵黄で摂取した場合、およそ150g(卵黄1つ20gとして約7.5個分)となります。
卵黄だけでこの量を毎日摂取するのは難しいですが、キノコ類や魚介類は卵黄よりも豊富にビタミンDを含んでいる食品が多く、意識的にメニューに取り入れることで無理なく目安量を満たすことができるでしょう。
なおビタミンDの1日の摂取目安量は、日照によるビタミンDの産生も考慮された数値となっています。そのため、この目安量を摂取すれば十分と考えるのではなく、これに加えて日光浴などの習慣が必要と考えてください。
ビタミン D の食事摂取基準(μg/日)
性 別 | 男 性 | 女 性 | ||
年齢等 | 目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 |
0 ~ 5 (月) | 5 | 25 | 5 | 25 |
6 ~11(月) | 5 | 25 | 5 | 25 |
1 ~ 2 (歳) | 3 | 20 | 3.5 | 20 |
3 ~ 5 (歳) | 3.5 | 30 | 4 | 30 |
6 ~ 7 (歳) | 4.5 | 30 | 5 | 30 |
8 ~ 9 (歳) | 5 | 40 | 6 | 40 |
10~11(歳) | 6.5 | 60 | 8 | 60 |
12~14(歳) | 8 | 80 | 9.5 | 80 |
15~17(歳) | 9 | 90 | 8.5 | 90 |
18~29(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
30~49(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
50~64(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
65~74(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
75 以上(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
妊 婦 | 8.5 | ─ | ||
授乳婦 | 8.5 | ─ |
出典:日本人の食事摂取基準(2020 年版)
ビタミンDを多く含む食品
ビタミンDを多く含む食品を、全食品・きのこ類・卵類の順で、それぞれランキング形式で紹介します。
全食品の中でビタミンDを多く含む食品ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりμg |
1 | きのこ類/(きくらげ類)/あらげきくらげ/乾 | 128.5 |
2 | 魚介類/(かつお類)/加工品/塩辛 | 120 |
3 | 魚介類/あんこう/きも、生 | 110 |
4 | きのこ類/(きくらげ類)/きくらげ/乾 | 85.4 |
5 | 魚介類/うまづらはぎ/味付け開き干し | 69 |
6 | 魚介類/(いわし類)/しらす干し/半乾燥品 | 61 |
7 | 魚介類/いかなご/煮干し | 54 |
8 | 魚介類/(いわし類)/みりん干し/まいわし | 53 |
9 | 魚介類/(いわし類)/たたみいわし | 50 |
9 | 魚介類/(いわし類)/まいわし/丸干し | 50 |
9 | 魚介類/にしん/身欠きにしん | 50 |
全食品ランキングで見ると魚介類(特にいわし)のランクインが大半な中で、ビタミンDを最も多く含むのはキクラゲでした。
単品で毎日摂取することは難しいですが、わずか6gほどで1日の摂取目安量を確保できるのは魅力です。その他には、しらす干し・いわしのみりん干しなどが比較的取り入れやすい食品と言えるでしょう。
ビタミンDを多く含むきのこ類ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりμg |
1 | きくらげ類/あらげきくらげ/乾 | 128.5 |
2 | きくらげ類/きくらげ/乾 | 85.4 |
3 | きくらげ類/あらげきくらげ/油いため | 37.7 |
4 | きくらげ類/あらげきくらげ/ゆで | 25.3 |
5 | まいたけ/乾 | 19.8 |
6 | きくらげ類/しろきくらげ/乾 | 15.1 |
7 | しいたけ/乾しいたけ/乾 | 12.7 |
8 | きくらげ類/きくらげ/ゆで | 8.8 |
9 | まいたけ/油いため | 7.7 |
10 | まいたけ/ゆで | 5.9 |
前項の通り、ビタミンDを最も多く含むのはキクラゲですが、食事への取り入れやすさを考えると、しいたけ・まいたけがとても優秀な含有量を誇ります。
ビタミンDを多く含む卵類ランキング
順位 | 食品名 | 成分量100gあたりμg |
1 | あひる卵/ピータン | 6.2 |
2 | 鶏卵 卵黄 生 | 5.9 |
2 | 鶏卵 卵黄 ゆで | 5.9 |
4 | 鶏卵/卵黄/乾燥卵黄 | 4.9 |
5 | 鶏卵 全卵 いり | 4.7 |
6 | 鶏卵 全卵 素揚げ | 4.5 |
7 | 鶏卵/全卵/目玉焼き | 3.9 |
8 | 鶏卵/全卵/乾燥全卵 | 3.3 |
9 | うずら卵/水煮缶詰 | 2.6 |
10 | うずら卵/全卵、生 | 2.5 |
最後に、卵類でビタミンDを最も多く含む食品ランキングです。魚介類やきのこ類に比べると劣るものの、調理法によっては茹でまいたけと同量のビタミンDを含有しています。
より効率的に摂取したい場合は、生卵かゆで卵で摂取するとよいでしょう。
ビタミンDを効率よく摂取するおすすめレシピ
ビタミンDは食品によって含有量に大きく差があるため、含有量の多い食材を普段のメニューに取り入れることで確実に摂取できます。
ビタミンDが豊富な食材の中でも、汎用性が高く使い回しやすいのが「きくらげ・しらす干し・卵黄」です。
きくらげとしらす干しはお味噌汁にしても食べやすいですし、きくらげと卵黄は炒め物やあんかけにしてもよいでしょう。
ちりめんじゃこをふりかけにして、卵かけご飯にしていただくのもおすすめです。