コラーゲンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・一緒に摂取したい栄養素

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栄養素

コラーゲンの基本情報、種類、効果・働き、不足・欠乏・過剰摂取による影響、1日の摂取目安量、多く含む食品、効率よく摂取する方法について解説します。

コラーゲンとは

コラーゲン(collagen)は、タンパク質の一種です。繊維状をしていて、体組織にハリや弾力を与え健康的に保つ働きがあります。

人の体に含まれるタンパク質のうち、コラーゲンは約30%を占めており、そのうち40%が皮膚に、20%は骨や軟骨に、残りが血管・内臓・じん帯・腱などさまざまな組織に存在します。

皮膚の約70%もの割合を占めており、健康的な肌を保つために欠かせない栄養素です。一方で、経口からのコラーゲン摂取が本当に有効かどうかは、十分に証明されていません。

コラーゲンの種類

人間の体内には、数多くのコラーゲンが存在します。そのうち一部のコラーゲンを、特徴とあわせて紹介します。

Ⅰ型コラーゲン皮膚や腱の主要なコラーゲン。体内で最も多いコラーゲンで、主に弾力性をもたせる働きがある。
Ⅱ型コラーゲン関節・軟骨の主要なコラーゲン。眼球の角膜や硝子体(しょうしたい)にも含まれる。
Ⅲ型コラーゲン皮膚・臓器・血管・子宮などに含まれるコラーゲン。主に柔軟性をもたせる働きがある。
Ⅳ型コラーゲン皮膚の表皮と真皮をつなぐコラーゲン。非繊維性。
Ⅴ型コラーゲン血管・平滑筋・胎盤(プラセンタ)に含まれるコラーゲン。
Ⅵ型コラーゲン皮膚・心臓・軟骨など全身に広く含まれるコラーゲン。
Ⅶ型コラーゲン皮膚に含まれるコラーゲン。皮膚の表皮と真皮との結合に重要な役割を果たしている。

コラーゲン・ペプチド・ゼラチンの違い

コラーゲン・ゼラチン・コラーゲンペプチド(低分子コラーゲン)の違いは、物質の状態です。

コラーゲンたくさんのアミノ酸がつながった繊維状の状態
ゼラチンコラーゲンを加熱して繊維をほどいた(分解した)状態
コラーゲンペプチドゼラチンをさらに酵素分解して細かくした状態
アミノ酸タンパク質が体内で吸収・分解され、ペプチドよりさらに細かくなった状態

従来は、コラーゲンの状態で摂取しても、すべてアミノ酸まで分解されるため、コラーゲンの経口摂取にはタンパク質を摂取する以上の意味はないと考えられていました。

ところが近年の研究では、コラーゲンペプチドならそれ以上分解されず、コラーゲンとしての機能を持ったまま吸収される可能性が示唆されています。

コラーゲンとその他の成分の違い

コラーゲンと混同されやすい、その他の保湿成分や美容成分との違いについて解説します。

ヒアルロン酸

ヒアルロン酸は、保水力が高く皮膚のみずみずしさを保つために重要な成分です。保水力の高さは、ヒアルロン酸1gで6Lもの水分を保持できるほど。

コラーゲンがタンパク質の一種であるのに対して、ヒアルロン酸はムコ多糖類と呼ばれる糖質の一種です。

経口摂取によるポジティブな効果はほとんど確認されておらず、主に注射によって肌の真皮層に届けることで効果を発揮します。

コンドロイチン

コンドロイチンは、ヒアルロン酸と同じくムコ多糖類の一種です。

軟骨に含まれるプロテオグリカンを構成する重要な成分で、関節が柔軟に動くために不可欠とされています。

グルコサミン

グルコサミンは、ヒアルロン酸を構成する2種類の糖のうちのひとつです。

軟骨・皮膚・爪・じん帯など人体のさまざまな臓器・組織に存在していて、クッションのような働きを果たします。

コンドロイチンとともに、軟骨の主成分であるプロテオグリカンを構成する重要な成分のひとつです。

セラミド

セラミドは、バリア機能を持った脂質の一種です。角質層に存在し、乾燥・紫外線・細菌・アレルギー源などの刺激から肌を守ります。

経皮摂取(塗ることによる摂取)が可能なため、化粧水などに配合されていることが多いですが、実は経口摂取も可能なことが報告されています。

プラセンタ

プラセンタは単独の成分名ではなく、動物の胎盤、および胎盤から抽出したエキスとその成分群のことを指します。

胎盤とは、妊娠中の母体と胎児の臍帯(へその緒)をつなぐ器官です。

動物性プラセンタ・海洋性プラセンタ・植物性プラセンタなどいくつか種類がありますが、一般的に健康食品などで用いられるプラセンタは、哺乳類のものを指します。

ヒト由来のプラセンタもありますが、こちらは医薬品として用いられるため食品には使えません。

プラセンタは、主に下記の栄養を含みます。

  • アミノ酸
  • タンパク質
  • 糖質
  • ビタミン
  • ミネラル
  • 成長因子

特に重要なのが成長因子で、細胞の成長・増殖を促すほか、新陳代謝を促進するといった働きがあります。

しかし、哺乳類のプラセンタの経口摂取によって得られる効果は十分に証明されておらず、安全性への懸念も指摘されています。

コラーゲンの効果・働き

コラーゲンの持つ効果・効能・働きについて解説します。

皮膚を健康的に保つ

コラーゲンは、皮膚の表皮の奥にある真皮層の約70%を占めています。

ヒアルロン酸やエラスチンとともに皮膚組織全体を構築して、健康的な肌を保つ働きをしています。また傷の修復にもコラーゲンは活躍し、肌荒れなどに効果を発揮します。

骨を丈夫にする

コラーゲンは、骨に含まれる有機成分(カルシウムなどの無機成分以外の成分)のうち、約90%を占めています。

骨を構成するカルシウムやハイドロキシアパタイトをつなぐ役割を果たしています。

老廃物を排出する

コラーゲンは通常、繊維状をしていますが、コラーゲンⅣ型のように網目状をしたコラーゲンは、基底膜の主成分となって老廃物をろ過する役割を果たします。

コラーゲンが不足・欠乏すると起こる症状

コラーゲンが不足・欠乏すると起こる症状の例は、次の通りです。

  • しわ・たるみ・肌荒れ
  • 骨粗しょう症
  • 血管に柔軟性がなくなることによる高血圧
  • 眼精疲労
  • 抜け毛

コラーゲンが不足・欠乏する原因

コラーゲンが不足・欠乏する原因は、主に加齢です。

コラーゲンはもともと体内で合成される物質なので、体外から摂取する必要は特にありません。

しかし加齢とともにだんだんと合成量が減少するため、健康を維持するうえではコラーゲンの原料となるタンパク質の摂取が重要になってきます。

コラーゲンを過剰摂取すると起こる症状

コラーゲンを過剰摂取すると起こる症状は次の通りです。

  • むくみ
  • 頭痛
  • セルライト

そのほかにも、コラーゲンそのものの副作用ではありませんが、コラーゲンが含まれる食品は高脂質なものが多いことから、ニキビや体重増加につながることなどが指摘されています。

コラーゲンの1日の摂取目安量

コラーゲンの1日の摂取目安量は、日本人の食事摂取基準(2020 年版)では定められていません。

ただ、肌への効果が期待できる摂取目安量は論文で報告されており、1日あたり5~10gとされています。

コラーゲンを多く含む食品

コラーゲンを多く含む食品は、ゼラチンのほか鶏の手羽・フカヒレ・牛すじ・鶏皮などがあります。

ただ、コラーゲンはタンパク質を原料として体の中で合成することができるので、十分な量の良質なタンパク質さえ摂取できていれば、わざわざコラーゲンの形で摂る必要はありません

サプリメントから摂取してもよいのですが、それだけではコラーゲンの合成に必要な栄養素が不足しかねないため、次項の「コラーゲンと合わせて摂取したい栄養素」も参考にしてください。

コラーゲンと合わせて摂取したい栄養素

コラーゲンと合わせて摂取したい栄養素を紹介します。

コラーゲンは単体で摂取しても、本来の効果を発揮できません。次の栄養素とともに摂取することを心がけましょう。

ビタミンC

コラーゲンの再合成には、ビタミンCが必須です。

コラーゲンは、体内に摂取されてから一度アミノ酸まで分解されたのち、あらためてコラーゲンへと再合成されます。

再合成される際に、アミノ酸→プロコラーゲン→コラーゲン、と段階を踏むのですが、プロコラーゲンからコラーゲンへと変換する過程でビタミンCが必要になるのです。

ビタミンCが不足するとコラーゲンが再合成できないため、体内の各機関の柔軟性がなくなり出血する壊血病を引き起こします。

ビタミンA

ビタミンCと同様に、コラーゲンの再合成に関与しています。

カルシウムやリン

コラーゲンは丈夫な骨を構築するうえで重要な役割を持っていますが、コラーゲンだけを摂取しても、主成分となるカルシウムやリンが不足すれば骨は丈夫になりません。

骨を丈夫にするためには、コラーゲンと合わせてカルシウムやリンを摂取することが必要です。

エラスチン

エラスチンは、コラーゲンとコラーゲンを結びつける働きを持つタンパク質です。

コラーゲンと一緒に摂取することで、ヒアルロン酸の産生量が増え、さらなる美肌効果が期待できます。

タンパク質

前述した通り、コラーゲンはタンパク質を消化・分解したアミノ酸から再合成されるため、コラーゲンそのものよりもタンパク質を意識的に摂ることが大切です。

サプリメントなどによってコラーゲンだけを大量に摂取するのではなく、肉・魚・大豆などのタンパク質を摂取することを心がけましょう。

コラーゲンを摂取するうえでの注意点

コラーゲンを摂取していても、次の成分を摂り過ぎるとコラーゲンの効果を下げてしまうため注意してください。

  • 揚げ物などの高脂肪食。とりすぎるとコラーゲンやヒアルロン酸の合成を低下させる
  • 糖分。とりすぎるとコラーゲンが糖化してしまう

糖化したコラーゲンは弾力性を失い、しわやたるみの原因にもなります。

参考文献

VI型コラーゲン:その構造,組織局在および機能|日本結合組織学会

VII型コラーゲンとその関連疾患|日本結合組織学会

知っていますか?若さの源 コラーゲンの健康パワー|すこやかネット|NIPRO-ニプロ株式会社

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