ハトムギの栄養と効果効能・調理法・保存法

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ハトムギの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、ハトムギに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

ハトムギとは

ハトムギ(adlay)は、東南アジアやインドを原産地とするイネ科の作物です。

古来より食料として利用されていますが、トウモロコシや稲が栽培され始めたことで栽培量が少なくなりました。中国や韓国では昔から漢方薬として使用されることが多く、日本でも食品としてだけでなく医薬品や化粧品などに利用されています。

ハトムギの実は、外側を硬い殻で覆われています。殻の内側には薄皮・渋皮と呼ばれる皮があり、中心の子実を守る構造です。この子実がヨクイニン(薏苡仁)と呼ばれ、漢方薬の原料になります。

ハトムギの殻と皮をとって、精米機にかけたものが精白粒です。精白粒は、加工して食品として利用されます。ハトムギ茶は、一般的に殻を取り除かずに全粒を焙煎したものです。

ハトムギの旬は、一般的に9月~10月です。ハトムギの原産は熱帯地域のため低温に弱いので、地域によっては収穫が9月よりも早いこともあります。海外からの輸入が増えた時期もありましたが、ハトムギの効能が注目されたことで近年は国内の生産量も増えています。

国内では岡山を在来とする品種が改良され、日本各地でハトムギの栽培が行われるようになりました。

ハトムギの品種・種類

ハトムギの品種には多くの種類が存在します。品種の違いは、地域の環境に合わせて栽培するためのもの。食品としては国産や外国産と表示されていることが多く、品種の表示がないものも多いのが現状です。

しかし、ハトムギの品種によってその特性や見た目が異なることもあります。

あきしずく

比較的新しい品種で、全国のハトムギ生産量の8割が『あきしずく』です。

粒の大きさは中等度で、その精白粒は粘りが強いのが特徴。焙煎したときの粒艶が良く香りが高いため、お茶に利用される品種です。

はとむすめ

『はとむすめ』は『はとひかり』よりも小粒ですが、食物繊維や粗タンパク質などは在来種と同程度を含有しています。『はとむすめ』の特徴は粘り気が少ないことです。また、精白粒の白度も高く見た目にも優れています。

はとひかり

『はとひかり』の粒は大きく、外観・加工性に優れた品種です。他の品種と同様に、お茶としても利用されます。

ハトムギに含まれる成分・栄養素

料理に利用されることの多い、ハトムギの精白粒100gに含まれる成分・栄養素は、下記表の通りです。

カロリーは米100gの約2倍、タンパク質も13.3gと米の2.5gよりも多く含まれています。

もう一つ注目したい点は、豊富に含まれるミネラルです。カリウムを始め、マグネシウム・リン・鉄・亜鉛・マンガンを多く含みます。

なお、ハトムギは殻にも栄養素が豊富に含まれており、精白粒と殻付きのハトムギでは成分が異なります。ハトムギはその構造から、殻と薄皮・渋皮、中身の子実に分けられ、子実を精製したものが精白粒です。

一般的に殻付きのハトムギはお茶に使用されますが、粉末状で販売されるハトムギのなかにも殻付きのまま粉末にしている製品があります。

食品名単位はとむぎ 精白粒
廃 棄 率%0
エネルギー(kcal)kcal/100 g360
エネルギー(kJ)kJ/100 g1506
水 分g/100 g13
たんぱく質g/100 g13.3
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g12.3
脂 質g/100 g1.3
トリアシルグリセロール当量g/100 g-
飽和脂肪酸g/100 g-
一価不飽和脂肪酸g/100 g-
多価不飽和脂肪酸g/100 g-
コレステロールmg/100 g0
炭水化物g/100 g72.2
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-
水溶性食物繊維g/100 g0
不溶性食物繊維g/100 g0.6
食物繊維総量g/100 g0.6
灰 分g/100 g0.2
ナトリウムmg/100 g1
カリウムmg/100 g85
カルシウムmg/100 g6
マグネシウムmg/100 g12
リンmg/100 g20
mg/100 g0.4
亜鉛mg/100 g0.4
mg/100 g0.11
マンガンmg/100 g0.81
ヨウ素µg/100 g-
セレンµg/100 g-
クロムµg/100 g-
モリブデンµg/100 g-
レチノールµg/100 g0
α-カロテンµg/100 g-
β-カロテンµg/100 g-
β-クリプトキサンチンµg/100 g-
β-カロテン当量µg/100 g0
レチノール活性当量µg/100 g0
ビタミンDµg/100 g0
α-トコフェロールmg/100 g0
β-トコフェロールmg/100 g0
γ-トコフェロールmg/100 g0.1
δ-トコフェロールmg/100 g0
ビタミンKµg/100 g0
ビタミンB1mg/100 g0.02
ビタミンB2mg/100 g0.05
ナイアシンmg/100 g0.5
ビタミンB6mg/100 g0.07
ビタミンB12µg/100 g0
葉酸µg/100 g16
パントテン酸mg/100 g0.16
ビオチンµg/100 g-
ビタミンCmg/100 g0
食塩相当量g/100 g0
アルコールg/100 g-
硝酸イオンg/100 g-
テオブロミンg/100 g-
カフェインg/100 g-
タンニンg/100 g-
ポリフェノールg/100 g-
酢酸g/100 g-
調理油g/100 g-
有機酸g/100 g-
重量変化率%-
備考歩留り: 42~45 %
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ハトムギの効果・効能

ハトムギに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

身体づくりに良い高タンパク質

ハトムギは、米やムギよりもタンパク質が多く含まれています。精白米の6倍ものタンパク質を含んだ高タンパク質な食品です。

人間の身体を形づくる筋肉や血液、皮膚などはタンパク質からできています。また、エネルギー源としてもタンパク質は重要です。タンパク質を多く含むハトムギは、筋トレなどの身体づくりにも効果が期待できます。

免疫力を高める亜鉛

ハトムギは、亜鉛の含有量が多いことも特徴です。亜鉛はミネラルの一種で、酵素の働きを助けています。免疫機能を守り、皮膚や髪の毛を健康に維持する役目をしています。

ハトムギに含まれる亜鉛は、米と比べて約3倍。大豆よりも多く含まれています。

血圧に作用するカリウム

血圧を下げる役割をするカリウムを多く含むのも、ハトムギの魅力の一つです。カリウムは血管を広げて血圧を下げる作用があります。また、血圧を上げるときに働く交感神経の活動を抑制する役割もします。

他の穀類と同様に、ハトムギに含まれるミネラルの中で一番多いのがカリウムです。ハトムギのカリウム含有量は、米よりも多いことが特徴です。

いぼ・肌あれに効く漢方効果も

ハトムギには、いぼや肌荒れに対する抗炎症作用もあります。食品としてではなく、漢方薬などの医薬品や化粧品、サプリとして、その効果を期待されています。いぼや肌あれに効果があると、特に注目されている成分がヨクイニンです。

ハトムギの食べ方

ハトムギの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

ハトムギは茹でる前に水に浸す

粒のままのハトムギは、調理する前に下ごしらえが必要です。

まず、お米をとぐように水で数回洗います。洗った後、3時間以上水に浸けましょう。時間がある場合は、一晩浸けるとハトムギの中にしっかりと水が浸透して、よりモチモチ感を味わえます。

市販のハトムギの中には、粉末状のタイプも販売されています。粉末状のハトムギは、下ごしらえの必要はありません。そのまま料理に使用できます。

ハトムギの調理方法

水に浸けたハトムギは、茹でてから料理に使います。

ハトムギとたっぷりの水を鍋に入れて、火にかけます。水が沸騰したら、弱火にして20分程度を目安に茹でてください。茹で上がったら、ザルに開けてお湯をきって完成です。

ハトムギの食べ方はサラダやスープに入れるのがおすすめ

ハトムギのプチプチ感を活かすには、サラダやスープに入れるがおすすめです。サラダにトッピングとして添えると、カフェのようなお洒落なサラダに仕上がります。特にイタリアンドレッシングと相性抜群です。

ハトムギをスープに入れるときは、茹でハトムギだけでなく茹でる前のハトムギも使えます。トマトと相性が良く、ミネストローネなどに入れて朝食にするのもおすすめです。また、和風のスープにも合います。

妊娠中のハトムギ摂取について

ハトムギにはカフェインが含まれないため、飲料としても妊娠中の摂取に問題はありません。ただし、ハトムギ種子の抽出物は子宮収縮の作用があるため、過剰摂取には注意しましょう。

ハトムギの保存方法

ハトムギの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

全粒ハトムギの保存方法

殻付きのハトムギは、殻なしのものよりも常温保存で栄養が損なわれにくいのが特徴です。湿度が高いとハトムギの栄養素の一つである脂質が酸化して味を損ねるため、湿度の低い冷蔵庫や冷凍庫で保存しましょう。

粉末状ハトムギの保存方法

粉末状のハトムギは、冷蔵あるいは冷凍保存がおすすめです。一般的に、冷凍保存の方が長く保存できます。粉末状のハトムギを常温や冷蔵庫で長く保管すると、色が変化することがあります。

茹でハトムギの保存方法

茹でたハトムギは、冷蔵庫に長く入れると水分が蒸発して硬くなってしまいます。そのため、茹でハトムギを保存するときは、茹でたあと粗熱がとれたら小分けにして冷凍保存すると良いでしょう。

参考文献

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