ココナッツオイルの栄養と効果効能・調理法・保存法
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ココナッツオイルの原産地や基本情報、ココナッツオイルに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
ココナッツオイルとは
ココナッツオイル(coconut oil)とは、乾燥させたココヤシの胚乳(硬い殻に覆われた白い部分。コプラとも)を圧搾して抽出・生成する油脂のことをいいます。
ココナッツオイルは、中鎖脂肪酸をおよそ60%含有しています。その組成は、ラウリン酸が48%を占めるほか、ミリスチン酸、パルミチン酸、カプリン酸など。
中鎖脂肪酸は、一般的な食用油である長鎖脂肪酸よりも消化吸収が容易なため、エネルギーに変換されやすい性質を持っています。
体脂肪として蓄積されにくいだけでなく、脳のエネルギー源となるケトン体にも変換されやすいことから、アルツハイマー型認知症の予防・改善効果を示唆する報告もあります。
精製・脱臭などの処理を施していない製品を「バージンココナッツオイル」などとして販売されることもありますが、工業的な規格はありません。
比較的高い温度で固まる油脂で、20度程度の室温で固形に、20~25度でクリーム状に、25度以上で透明の液体となります。
ココナッツオイルはヤシ油とも呼ばれますが、一般にヤシ油と言った場合は、アブラヤシの種から抽出したパーム核油(palm kernel oil)のことも含みます。ココナッツオイルとは区別して表記されるべきですが、性質としては類似する傾向にあります。
なお、同じくアブラヤシの果肉から抽出したパーム油も、ヤシ油と呼ばれる油脂のひとつです。ただしこちらは性質が大きく異なるため、同じヤシ油でも同一視しないよう注意が必要です。
ココナッツオイルに含まれる成分・栄養素
ココナッツオイル100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
食品名 | 単位 | ココナッツオイル |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 921 |
水 分 | g/100 g | 0 |
たんぱく質 | g/100 g | 0 |
脂 質 | g/100 g | 100 |
飽和脂肪酸 | g/100 g | 83.96 |
一価不飽和脂肪酸 | g/100 g | 6.59 |
多価不飽和脂肪酸 | g/100 g | 1.53 |
コレステロール | mg/100 g | 1 |
炭水化物 | g/100 g | 0 |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0 |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 0 |
食物繊維総量 | g/100 g | 0 |
ナトリウム | mg/100 g | 0 |
カリウム | mg/100 g | 0 |
カルシウム | mg/100 g | Tr |
マグネシウム | mg/100 g | 0 |
リン | mg/100 g | 0 |
鉄 | mg/100 g | 0 |
亜鉛 | mg/100 g | Tr |
銅 | mg/100 g | 0 |
マンガン | mg/100 g | 0 |
ヨウ素 | µg/100 g | - |
セレン | µg/100 g | - |
クロム | µg/100 g | - |
モリブデン | µg/100 g | - |
レチノール | µg/100 g | 0 |
α-カロテン | µg/100 g | 0 |
β-カロテン | µg/100 g | 0 |
β-クリプトキサンチン | µg/100 g | 0 |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 0 |
レチノール活性当量 | µg/100 g | 0 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 |
α-トコフェロール | mg/100 g | 0.3 |
β-トコフェロール | mg/100 g | 0 |
γ-トコフェロール | mg/100 g | 0.2 |
δ-トコフェロール | mg/100 g | Tr |
ビタミンK | µg/100 g | Tr |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0 |
ナイアシン | mg/100 g | 0 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 0 |
パントテン酸 | mg/100 g | 0 |
ビオチン | µg/100 g | - |
ビタミンC | mg/100 g | 0 |
食塩相当量 | g/100 g | 0 |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
ココナッツオイルの効果・効能
ココナッツオイルに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
コレステロールの上昇を抑制し高血圧予防
中鎖脂肪酸は、一般的な植物油に含まれる長鎖脂肪酸に比べて、消化吸収は4倍、代謝は10倍の速さです。
また、カロリーも比較的低く、トランス脂肪酸を含んでいないことから、普段摂取する脂質を中鎖脂肪酸に置き換えることによって、LDLコレステロールの上昇を抑え、高血圧予防につながる可能性があります。
便秘解消によるダイエット効果も
ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸のうち、48%を占めるラウリン酸にはさまざまな健康効果があり、そのひとつがダイエット効果です。
ラウリン酸には整腸作用があり、腸の動きを促進して便秘解消などに活躍。エネルギーの代謝がアップすることにより、ダイエット効果が期待できます。
アルツハイマー型認知症が劇的に改善したという報告も
若年型アルツハイマー型認知症患者にココナッツオイルを摂取させたところ、症状が改善したという観察報告があります。
アルツハイマー型認知症では、通常の脳がエネルギー源とするグルコースを使えない状態に陥ることが神経症状の悪化につながります。
そこで、ココナッツオイルの摂取によって、グルコースに代わるケトン体というエネルギー源が増えたことで、症状が改善したのではないかと考えられます。
スキンケアに使えばニキビ治療にも?
ココナッツオイルのおよそ半分を占めるラウリン酸には、抗菌作用や抗炎症作用があることから、スキンケアに利用すればニキビ治療に有効です。
ただし、この効果はあくまでも純粋なラウリン酸を使った実験結果によるものであり、48%しかラウリン酸を含んでいないココナッツオイルで同じ効果が得られることを示すものではありません。
むしろ、過剰な油分が毛穴をふさいでしまい別の肌トラブルを引き起こす可能性もあるため、ココナッツオイルをスキンケア目的で使用する場合は、あくまでも健康な肌に使用し、保湿を目的として使った方がよいでしょう。
ココナッツオイルの使い方
ココナッツオイルの食べ方やスキンケアへの活用法を解説します。
ココナッツオイルの食べ方
ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸は、加熱によって酸化しにくい性質を持つため、加熱調理に利用しても問題ありません。
ちなみに、ココナッツオイルに含まれる成分としてビタミンEが紹介されることもありますが、こちらは含有量がとても少ないため損失を気にする必要はあまりないでしょう。
ココナッツオイルのビタミンE含有量は、オリーブオイルの20分の1以下です。
コーヒーやスープなど飲み物にスプーン1杯加えたり、ごはんに振りかけたり、デザートの果物やアイスに加えたり、といった具合に自由に取り入れてみてください。
ただしココナッツオイルには独特の甘い香りがあるため、ココナッツの香りが苦手な人は精製された無臭タイプのものを選ぶとよいでしょう。
適切に摂取すれば健康上の問題はないとされていますが、過剰に摂取すればその限りではありません。体調に変化があれば、ただちに使用を注意して医師に相談しましょう。
ココナッツオイルのスキンケアへの取り入れ方
ココナッツオイルをスキンケアへ取り入れる場合は、クレンジングオイルやマッサージオイルとして使うのが一般的です。
数滴のココナッツオイルを顔や肌になじませていきましょう。
ココナッツオイルを使う際の注意点
市販されているココナッツオイルには、食用のものとスキンケア用のものがあります。目的に合わせて選ぶとよいでしょう。
ココナッツオイルの保存方法
ココナッツオイルの保存方法を解説します。
ココナッツオイルは常温で固まってしまうため、夏場は使いやすいですが、冬場はスプーンなどで削り取って使わなければならず、手軽に使うことができません。
そのため、製氷皿やお菓子用の型などを使って小分けにして固めておくと、使う分だけを取り出しやすく、より普段の食事やスキンケアに取り入れやすくなります。