米(白米)の栄養と効果効能・調理法・保存法

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米

米(白米)の旬や原産地、主要な品種などの基本情報、米に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

米(白米)とは

米(Rice)は、イネ科の植物である稲の種子です。稲が成長すると籾(もみ)と呼ばれる種子が実りますがこのままでは食せないため籾殻(もみがら)を除きます。籾殻を取り除いた状態が玄米です。さらに玄米から糠(ぬか)と胚芽を取り除く作業を経て白米となります。

稲の原産地は中国と言われ、日本で稲作が始まったのは縄文時代です。福建米(ふっけんまい)と呼ばれる品種が起源と言われています。弥生時代には全国的に稲作技術が広まりました。

昔は精米技術が不十分で糠が残った分づき(ぶづき)米が食されており、米として食べらるようになったのは奈良時代と考えられています。しかし、精米作業が重労働だったため、貴族しか食べられませんでした。

庶民が白米を食べることができるようになったのは江戸時代ごろ。「米将軍」の徳川吉宗が実施した享保の改革をきっかけに米の生産量が増加し、精米技術の発達とともに都市部で白米が食べられるようになりました。明治時代には農村部も含め全国に白米が普及します。

日本人と米は根強い関係にあることは歴史から見ても明らかで、米がソウルフードと呼ばれる由縁と言えるでしょう。

米の種類(栽培種)

米は栽培種によって、アフリカ稲とアジア稲に大別されます。アフリカ稲はアフリカ大陸で栽培されている種類です。一方、アジア稲はアジアを起源とした稲で、現在では世界中で食べられる米のほとんどを占めています。

アジア稲はさらに3種類に分けられますので、1つずつ説明していきましょう。

ジャポニカ米(日本型)

日本で多く食べられている種類が、ジャポニカ米です。日本をはじめ、朝鮮半島、中国東北部などで作られています。胚乳の形状は丸く、炊くと粘りとツヤが生まれるのが特徴です。

インディカ米(インド型)

インディカ米は、ジャポニカ米と比較すると細長い形状をしています。粘り気が少なく、パサパサとした食感が特徴です。日本で馴染み深いものでは、タイ米が挙げられます。主にインドや中国の中南部、タイなどで生産されている種類です。

ジャパニカ米

ジャパニカ米とは、ジャポニカ米とインディカ米の中間に位置する品種です。形状はやや丸く、ジャポニカ米やインディカ米に比べると大粒です。粘りのある食感ですが、味はさっぱりとしています。

主な生産地はジャワ島や中南米などの限られた地域のため、生産量は少ない栽培種です。日本では昔、泡盛の原料として使われていた歴史もあります。

うるち米ともち米の違い

米はアミロースとアミロペクチンの含有量によりうるち米ともち米に分けられます。アミロースは水溶性のデンプンです。一方、アミロペクチンもデンプンですが不溶性の性質によりもちもちとした食感を作ります。

アミロースとアミロペクチンがおおよそ2:8で含まれる米をうるち米、アミロースが含まれずアミロペクチンのみの米はもち米となります。アミロペクチンが多い分、粘り気のある米になるということです。

米の品種

普段、私たちが食べている米のほとんどはうるち米になりますが、2種のデンプン比率を調節することでさまざまな品種が生まれています。次に代表的な品種を簡単に紹介します。

コシヒカリ

コシヒカリは全国各地で作られている代表的な米の品種です。作られる地域によって味が若干異なりますが、新潟県魚沼産のコシヒカリは米の評価する食味ランキングで特Aを連続受賞しています。粘りは強めで、噛むほど甘みと旨味を感じられる米です。

あきたこまち

あきたこまちは、秋田で生まれた品種です。名前は小野小町に由来しており、日本を代表するおいしい米になってほしいという願いが込められています。

コシヒカリを品種改良して作られたため粘りが強く、味が濃いのが特徴です。今では東北各地で栽培される有名なブランド米となりました。

ひとめぼれ

ひとめぼれもあきたこまちと同じく、コシヒカリのDNAを継承している米です。多くの人に愛されてほしいという想いを込め、ひとめぼれの名がつけられました。

宮城県で誕生し、現在は東北を中心に栽培されています。冷害に強く、コシヒカリに次いで生産量の多い品種です。香り高く、粘りや旨味、ツヤ、甘みのトータルバランスに優れています。

はえぬき

はえぬきは山形県で生まれたブランド米です。飛躍の願いを込め、「その土地で生まれ、育つこと」という意味があるはえぬきの名がつけられました。

粒がしっかりとしていて、冷めても味が落ちにくいため、業務用のおにぎりやお弁当によく使用されています。

きらら397

きらら397は北海道生まれた米です。しまひかり、キタアケという2種の品種をかけ合わせて誕生しました。粒が崩れにくく、しっかりとした食感があります。ピラフやカレーライスなどにも最適です。

米に含まれる成分・栄養素

米(白米)100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

米には、5大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミンがバランスよく含まれています。第6の栄養素として注目を集める食物繊維も含まれているため、栄養価の高い食品といえるでしょう。

米をおかゆにした場合、栄養分が若干減るためカロリーも低くなります。おかゆの方が消化しやすく内臓への負担が少ない上に、栄養の吸収率が高まるため、胃腸の不調がある場合の栄養補給として適しているでしょう。

食品名単位白米白米(全かゆ)白米(五分がゆ)白米(おもゆ)
エネルギー(kcal)kcal/100 g358713621
エネルギー(kJ)kJ/100 g149829715188
水 分g/100 g14.98391.595
タンパク質g/100 g6.11.10.50.3
アミノ酸組成によるタンパク質g/100 g5.2-0.9-0.4-0.2
脂 質g/100 g0.90.10.10
トリアシルグリセロール当量g/100 g0.8-0.1-0.10
飽和脂肪酸g/100 g0.29-0.03-0.030
一価不飽和脂肪酸g/100 g0.21-0.02-0.020
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.31-0.03-0.030
コレステロールmg/100 g0000
炭水化物g/100 g77.615.77.94.7
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g83.1-16.2-8.1-4.8
水溶性食物繊維g/100 gTr000
不溶性食物繊維g/100 g0.50.10.1Tr
食物繊維総量g/100 g0.50.10.1Tr
灰 分g/100 g0.40.100
ナトリウムmg/100 g1TrTrTr
カリウムmg/100 g891264
カルシウムmg/100 g511Tr
マグネシウムmg/100 g23311
リンmg/100 g951474
mg/100 g0.8TrTrTr
亜鉛mg/100 g1.40.30.10.1
mg/100 g0.220.040.020.01
マンガンmg/100 g0.810.150.080.04
ヨウ素µg/100 g0000
セレンµg/100 g20Tr1
クロムµg/100 g0000
モリブデンµg/100 g691378
レチノールµg/100 g0000
α-カロテンµg/100 g0000
β-カロテンµg/100 g0000
β-クリプトキサンチンµg/100 g0000
β-カロテン当量µg/100 g0000
レチノール活性当量µg/100 g0000
ビタミンDµg/100 g0000
α-トコフェロールmg/100 g0.1TrTrTr
β-トコフェロールmg/100 gTrTr00
γ-トコフェロールmg/100 g0000
δ-トコフェロールmg/100 g0000
ビタミンKµg/100 g0000
ビタミンB1mg/100 g0.080.01TrTr
ビタミンB2mg/100 g0.02TrTrTr
ナイアシンmg/100 g1.20.1TrTr
ビタミンB6mg/100 g0.120.01TrTr
ビタミンB12µg/100 g0000
葉酸µg/100 g1211Tr
パントテン酸mg/100 g0.660.110.050.03
ビオチンµg/100 g1.40.30.10.1
ビタミンCmg/100 g0000
食塩相当量g/100 g0000
アルコールg/100 g----
硝酸イオンg/100 g----
テオブロミンg/100 g----
カフェインg/100 g----
タンニンg/100 g----
ポリフェノールg/100 g----
酢酸g/100 g----
調理油g/100 g----
有機酸g/100 g----
重量変化率%-50010001700
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

米(白米)の効果・効能

米(白米)に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

エネルギーになる炭水化物

生命活動のエネルギー源となる栄養素が炭水化物です。米の炭水化物には、多糖類のデンプンが多く含まれています。デンプンは消化効率がよく、すぐエネルギーとなる即効性の高い栄養素です。

単糖類のブドウ糖も含まれ、主に脳や神経の栄養補給を担います。欠乏すると意識障害を引き起こす場合がありますが、消費できなかった糖質は中性脂肪へと変わり、肥満の原因となりえるので過剰摂取には気を付けましょう。

ビタミンの吸収を助ける脂質

米には脂質も含まれていますが、多くはオレイン酸やリノール酸などの脂肪酸です。このうちn‒6系脂肪酸のリノール酸は必須脂肪酸の1つで、体内で合成できないため食物から摂取しなければなりません。必須脂肪酸が欠乏すると皮膚炎などを発症する原因となるので注意が必要です。

また、脂質には脂溶性ビタミンなどの吸収を助ける効果があります。脂溶性ビタミンを多く含むニンジンやニラ、小松菜などの野菜をおかずにして食べ合わせると効果が見込めるでしょう。

パン(小麦)より良質なタンパク質

米に含まれるタンパク質には、プロラミンやグルテリンなどのアミノ酸が多く含まれています。体内でタンパク質を合成するために必要なアミノ酸は20種類あり、1つでも欠けると合成することができません。

つまり、食品に含まれるアミノ酸のバランスが非常に重要になりますが、米はパンと比較するとアミノ酸スコアが高く、より良質なタンパク質が含まれている傾向があります。

1971年に実施されたネズミの飼育実験で、米と小麦のタンパク質の栄養価を比較したところ、タンパク質効率比および吸収率は米の方が上回りました。この結果から、パンよりも米の方がタンパク質の栄養価は高いと考えられます。

豊富なミネラル類

米にはカリウム、亜鉛、鉄、カルシウムなどのミネラルが多く含まれています。いずれも体の成長や機能には欠かせない栄養素です。また、体内で合成できないため食品から摂取する必要があります。

なかでもカリウムの、ナトリウム(塩分)排出作用は塩分過多になりがちな現代人にとって重要です。塩分の摂りすぎを防ぐ作用があり、高血圧などの生活習慣病を予防する効果が見込めます。

代謝をサポートするビタミンB群

米には水溶性ビタミンであるビタミンB群が含まれています。水溶性ビタミンは血液などの体液に溶け込み、代謝に必要な酵素をサポートする成分です。

ただし米のビタミンは決して豊富に含まれているわけではありませんので、白米だけを食べるのではなくビタミンの含有量が多い野菜などをおかずとして食べるとよいでしょう。

整腸作用の食物繊維

米に含まれる食物繊維は、水に溶けない不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維は便のかさとなり、腸のぜん動運動を促進する整腸作用が期待できます。血中コレステロール濃度の低下や血糖値の上昇を抑える作用も注目されている栄養素です。

さらに米には食物繊維と同様の働きをするレジスタントスターチ(難消化性デンプン)が多く含まれます。

2016年抗加齢医学会総会では、レジスタントスターチに関する興味深い研究結果が発表されました。高脂肪食だけを食べるマウスに比べ、レジスタントスターチ入りの高脂肪食を食べるマウスは体重が減少したとのことです。研究結果から、レジスタントスターチには体重増加の抑制作用があると考えられます。

米の食べ方

米の栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

米(白米)の洗い方

現在は精米技術が発達し、糠がほとんど残っていないため、米は優しく洗うだけで十分です。

水をたっぷり入れたボウルに米を入れ、2~4回ほど大きくかき混ぜます。洗う際は米を手のひらで押しつぶしてしまわないよう、指を立てて作業しましょう。

米はもともと乾燥状態にあるため、最初に触れた水をよく吸います。糠を落とした水を吸ってしまわないよう、洗い終わったらすぐに水を捨ててください。

この作業を1回か2回ほど繰り返せば作業は完了です。米を浸けた水が透明になるまで洗うのではなく、少し白く濁った程度を目安にしてみましょう。

米(白米)の調理方法

米の調理方法は2つに大別されます。

炊飯

1つは王道の炊く調理方法です。基本的には米1合(180ml)あたり、水200mlを入れて炊きます。米と水の割合が1:1.2が目安です。水を入れて炊くだけでなく、乾燥昆布や調味料を一緒に入れて炊き込みごはんにする方法もあります。

おかゆ

2つ目は煮る調理方法です。主におかゆを作る際に用いられますが、米と水の割合で名称が変わります。

米と水が1:5の割合で作られるおかゆは全かゆです。米と水が1:7で七分がゆ、1:10で五分がゆとなります。五分がゆや三分がゆを作った際にできる上澄み液はおもゆと言い、離乳食にも活用できます。

米(白米)の食べ方

米の調理方法は大きく2つに分けられますが、炊いた米は食べ方によってさまざまな味わいを楽しめます。

代表的な食べ方はおにぎりです。焼き鮭やたらこなど、中に入れる具材で味わいも変わります。

ほかにも酢を混ぜ合わせて酢飯にしたり、茶をかけて茶漬けにしたりなど、米どころの日本では多くの食べ方が生まれてきました。

米(白米)を食べる際の注意点

先ほど米には必須アミノ酸が含まれていると紹介しましたが、唯一リジンの含有量だけ少ないです。リジンの多いアジなどをおかずとして一緒に食べると、より効率的に栄養を摂取できます。

米(白米)の保存方法

米の栄養素を損なわない保存方法を解説します。米は長期保存できるため備蓄しやすい食品です。しかし、間違った方法で保存するとおいしさが半減してしまいますので、この機会に保存方法を見直しましょう。

常温保存

米は常温でも保存できますが、高温多湿の場所は虫が発生しやすくなります。流し台の下は、湿気が多いので米の保存には向きません。直射日光が当たらない涼しい場所で保存しましょう。

空気に触れると米が割れる原因となるため、密閉できるビニール袋や容器に入れて保存してください。

冷蔵保存

冷蔵庫にスペースがあれば、冷蔵保存しましょう。常温に比べ、おいしさが持続すると言われています。保存する際の適温は10度から15度なので、野菜室で保存するのがベストです。

米は臭いが移りやすいので、保存袋はしっかりと口を閉めて密閉させるようにしましょう。

炊いた米の保存方法

炊いた米は冷蔵保存ができますが、2日ほどしか持たないため冷凍保存がおすすめです。冷凍すれば約1ヶ月は持ちますし、急速に冷やすことで米の食感などが劣化しません。

冷凍する場合は温かいうちにラップに包むか、保存容器に入れて保存しましょう。食べるときは電子レンジの温めモードなどで解凍してください。

参考文献

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