味噌の栄養と効果効能・調理法・保存法

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miso

味噌の歴史や原料、主要な種類などの基本情報、味噌に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

味噌とは

味噌(miso)とは、大豆に麹(こうじ)と塩を加えて発酵させた基礎調味料です。発酵・熟成には最低でも数ヶ月かかり、数年かけて熟成させる蔵元もあります。

麹とは、麹菌と呼ばれるカビの仲間を、原料と混ぜて繁殖させたものです。麹菌が原料を栄養にして、うまみ成分であるアミノ酸を産生することで、味噌の芳醇な香りと旨味ができます。麹菌は納豆を作るときの納豆菌や、チーズに用いる青カビなどのように多く食品に用いられるもので、食べても健康に問題はありません。

味噌の歴史は古く、平安時代には利用されていた記録が残っています。平安時代の味噌は簡単に手に入るものではなく、位の高い人々の食べ物でした。味噌汁が登場したのは、鎌倉時代に入ってからです。すり鉢が導入され、それまで粒状だった味噌をすり潰してペースト状にした味噌で味噌汁を作ったことから、武士の間で一汁一菜の食事が基本となりました。

庶民が味噌を食べられるようになったのは、室町時代からです。味噌料理も増え、醸造も盛んになりました。現在は国内だけでなく、海外への輸出量も増えており、2019年上半期は前年から約800トン増えて約9000トンもの味噌が米国や韓国、中国に輸出されています。

味噌の種類

味噌は、麹の原料・味・色の違いで名称が変わります。

麹の原料の違い:米味噌・麦味噌・豆味噌

味噌の麹の原料となるのは、米・麦・豆です。それぞれを単体、あるいは混ぜて麹菌を繁殖させます。混合したものを調合味噌と呼んでいます。

日本で作られる味噌のうち、全体の約80%が米から作られる米味噌です。麦味噌は、関西以南の中国・四国・九州で主に生産されています。

豆味噌は、麹にも大豆を使った味噌で、愛知県や岐阜県、三重県などの中部地方で作られています。八丁味噌と呼ばれる味噌は、豆味噌です。

色の違い:白味噌・赤味噌・淡色味噌

味噌の色の違いは、発酵・熟成をおこなうときのメイラード反応によるものです。発酵することで産生されるアミノ酸と原料の糖が反応することで、褐色が濃くなります。常に反応が進んでいくため、冷蔵庫の古い味噌の色が濃くなるのはこのためです。

赤味噌や淡色味噌、白味噌の違いは、麹の量や発酵の進み具合を調整することで生じます。麹菌は、温度や湿度で活発性が変わるため、蔵元によって色や味が異なります。

味の違い:甘味噌・甘口味噌・辛口味噌

味噌の味は、大きく分けて甘味噌・甘口味噌・辛口味噌です。味噌の味は塩の量や、大豆と麹の比率で変化します。麹の比率が高いほうが、甘みの強い味噌になります。

味噌に含まれる成分・栄養素

味噌100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

大豆を原料とするため、タンパク質が多く含まれることがわかります。特に、麹にも大豆を使った豆みそのタンパク質が高いのが特徴です。

味噌には多くの塩が含まれるため、ナトリウムの量は非常に多くなっています。一般的な味噌である米味噌のうち、麹の比率が高い甘味噌の塩分量は、辛味噌の約半分です。

発酵により、原料である大豆よりも栄養素は劣りますが、味噌にはビタミンやミネラルが豊富に含まれています。

大豆の栄養と効果効能・食べ方・注意点・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

食品名単位米みそ 甘みそ米みそ 淡色辛みそ米みそ 赤色辛みそ麦みそ豆みそ減塩みそだし入りみそ即席みそ 粉末タイプ即席みそ ペーストタイプ辛子酢みそごまみそ酢みそ練りみそ
廃 棄 率%0000000000000
エネルギー(kcal)kcal/100 g217192186198217192194343131221258216273
エネルギー(kJ)kJ/100 g908803778828908804810143554692510799051144
水 分g/100 g42.645.445.74444.948.242.82.461.543.642.744.329.9
たんぱく質g/100 g9.712.513.19.717.210.813.221.98.959.44.95.5
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g8.510.811.17.914.58.7-11.8----8.4-4.3-4.8
脂 質g/100 g365.54.310.55.75.79.33.72.19.91.51.7
トリアシルグリセロール当量g/100 g35.95.44.210.25.4-5.67.43.1-2.1-9.8-1.5-1.7
飽和脂肪酸g/100 g0.490.970.880.741.620.92-0.911.230.5-0.27-1.47-0.25-0.27
一価不飽和脂肪酸g/100 g0.521.111.070.731.881.17-1.051.370.68-0.68-3.23-0.26-0.29
多価不飽和脂肪酸g/100 g1.843.613.212.516.293.1-3.44.521.74-1.08-4.63-0.93-1.04
コレステロールmg/100 g0000001000000
炭水化物g/100 g37.921.921.13014.524.522.44315.444.632.944.859
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-11.9---11.9-------
水溶性食物繊維g/100 g0.30.60.60.72.20.90.61.10.5-0.60.20.2
不溶性食物繊維g/100 g5.34.33.55.64.33.545.52.2-4.92.73
食物繊維総量g/100 g5.64.94.16.36.54.34.66.62.8-5.52.83.2
灰 分g/100 g6.814.214.61212.910.915.923.510.43.65.23.43.8
ナトリウムmg/100 g2400490051004200430041005600810038001300160012001400
カリウムmg/100 g340380440340930460370600310170280170190
カルシウムmg/100 g801001308015063978547422304146
マグネシウムmg/100 g3275805513066721405420741618
リンmg/100 g130170200120250160180300130691706674
mg/100 g3.444.336.81.63.82.81.21.73.71.71.9
亜鉛mg/100 g0.91.11.20.921.21.11.80.90.51.50.50.5
mg/100 g0.220.390.350.310.660.30.370.440.250.120.390.110.13
マンガンmg/100 g-----0.7-1.190.47----
ヨウ素µg/100 gTr111631111----0-
セレンµg/100 g298219613----1-
クロムµg/100 g2212942----1-
モリブデンµg/100 g335772156412054----17-
レチノールµg/100 g0000000000000
α-カロテンµg/100 g-----0-00----
β-カロテンµg/100 g-----3-61----
β-クリプトキサンチンµg/100 g-----Tr-00----
β-カロテン当量µg/100 g0000030611200
レチノール活性当量µg/100 g00000Tr0TrTr0Tr00
ビタミンDµg/100 g000000Tr000000
α-トコフェロールmg/100 g0.30.60.50.41.10.60.60.70.5-0.2-0.2
β-トコフェロールmg/100 g0.10.20.20.10.30.10.20.20.1-0.1-0.1
γ-トコフェロールmg/100 g35.75.23.510.95.15.47.13.9-5.4-1.7
δ-トコフェロールmg/100 g1.63.13.2252.12.93.80.7-1.1-0.9
ビタミンKµg/100 g81111919-10156-745
ビタミンB1mg/100 g0.050.030.030.040.040.10.030.110.040.040.10.030.03
ビタミンB2mg/100 g0.10.10.10.10.120.10.112.580.270.050.10.050.06
ナイアシンmg/100 g1.51.51.51.51.211.70.80.40.81.80.80.8
ビタミンB6mg/100 g0.040.110.120.10.130.150.110.120.07-0.140.020.03
ビタミンB12µg/100 g0.10.1TrTrTr0.10.2--0.10.10.10.1
葉酸µg/100 g21684235546465652910361112
パントテン酸mg/100 gTrTr0.230.260.360.270.010.750.42-0.080Tr
ビオチンµg/100 g5.411.913.78.416.810.611.4----2.8-
ビタミンCmg/100 g0000000000000
食塩相当量g/100 g6.112.41310.710.910.314.120.69.63.343.13.4
アルコールg/100 g-------------
硝酸イオンg/100 g-------------
テオブロミンg/100 g-------------
カフェインg/100 g-------------
タンニンg/100 g-------------
ポリフェノールg/100 g-------------
酢酸g/100 g---------1-1.1-
調理油g/100 g-------------
有機酸g/100 g-------------
重量変化率%-------------
備考別名: 西京みそ、関西白みそ等別名: 信州みそ等別名: 田舎みそ別名: 東海豆みそ別名: インスタントみそ汁別名: インスタントみそ汁
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

味噌の効果・効能

味噌に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

大豆レシチンによるコレステロールの低減

味噌を含む大豆製品には、大豆レシチンと呼ばれる脂質の一種が多く含まれます。脂質といっても、レシチンは細胞の構成成分となるリン脂質です。脂質代謝にもかかわっており、大豆レシチンには血中コレステロールを低下させる効果があります。

イソフラボンアグリコンによる更年期障害を軽減

味噌には、イソフラボンアグリコンと呼ばれる成分が多く含まれています。イソフラボンアグリコンは、イソフラボンが腸で吸収されるときに、腸内細菌により作られる成分です。

味噌は、製造の段階で麹菌が大豆を分解・発酵しているため、すでにイソフラボンからイソフラボンアグリコンに変化しています。

イソフラボンアグリコンには、イソフラボンと同じように、女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用があります。そのため、女性ホルモンが減ることで起こる更年期障害の症状を軽減すると考えられています。

サポニンの抗酸化作用で老化防止

味噌の原料となる大豆には、サポニンと呼ばれる成分を多く含みます。サポニンは、苦味や渋味のもとになる成分です。サポニンには、老化の原因となる過酸化脂質の生成を抑制する効果があります。

味噌の食べ方

味噌の栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

おつまみに最適な味噌漬け

料理の調味料として使うだけでなく、食材を味噌漬けにするのもおすすめです。チーズや半熟卵を味噌に漬け込むことで、味噌の芳醇な香りと味が染み込み、おつまみにぴったりの味付けになります。

和食・洋食・お菓子なんでもありの万能調味料

味噌といえば和食のイメージの強い調味料ですが、洋食やお菓子にも使えます。フレンチトーストやマフィン、クッキーなど、味噌の甘みを活かしたスイーツ・デザートも作れますよ。

味噌の塩分量に注意

味噌には、塩分が多く含まれます。味噌汁1人前(辛味噌約15g)でナトリウムが約750mg程度含まれる計算です。

味噌の味は食塩量によっても変化するため、塩分が気になるときは、塩分量の少ない甘味噌を選ぶとよいでしょう。

味噌の保存方法

味噌の栄養素を損なわない保存方法を解説します。

味噌の栄養素を保つためには冷蔵保存が基本

味噌は温度の変化で色や味が変化するため、低温で温度変化の少ない冷蔵庫で保存するのが基本です。日が当たる場所や、湿気の多い場所に保管すると、風味が変わりやすくなります。

味噌は、冷凍庫でも保存可能です。冷凍庫で保存すると硬くなりますが、家庭用冷凍庫では凍ることはないので、そのまま使用できます。

冷蔵・冷凍ともに、保存できるのは1年程度です。時間が経つにつれて風味が落ちるので、できるだけ早く使い切るようにしましょう。

風味を損なわないために内蓋はそのままで保存

味噌は、酸素に触れると風味が失われたり、色が濃くなったりします。そのため、なるべく酸素に触れないよう、内蓋はそのままにして使用するのがおすすめです。

内蓋を捨ててしまった場合は、味噌の表面をラップで覆ってから外蓋を閉めるとよいでしょう。

参考文献

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